ENTUM23   作:マブラマ

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第204話 うるうの葛藤

2020年11月13日

GOOMSTUDIO 配信ルーム

 

GOOMSTUDIOの配信ルームは、モーションキャプチャ装置の機械音とモニターの冷たい光で満たされていた。

ミライアカリは、金髪サイドテールとピンクの星マークが揺れる新衣装をまとい、緊張と決意の中で配信の準備を進めていた。

モニターには彼女の笑顔が映し出されていたが、その裏にはバスク郷里の厳重な監視と、ホロライブとにじさんじを批判する内容が盛り込まれた強制的な台本があった。

11月9日と10日の配信で届いた姜小花と鳴神裁の音声メッセージが、彼女の心に希望を灯していた。

「ココロヤミ…私のもう一つの心…でも、ファンのみんなのために、私は絶対に負けない…!」

アカリは呟き、決意を新たにした。配信が始まり、アカリはモーションキャプチャを通じてエネルギッシュに話し始めた。

「みんな、ミライアカリだよ! 今日も一緒に楽しもう!」

彼女の声は明るく、ファンを元気づける力に満ちていたが、蒼い瞳には疲労と葛藤が滲んでいた。

その瞬間、モニターの隅に小さなノイズが走り、劉翠蘭からの暗号化された音声メッセージがアカリのイヤホンに流れ込んだ。

「アカリさん、仲間たちがここにいます。絶対に負けないでください。#SaveAkari」

音声には、ちゆる、魂子、ギルザレンⅢ世、シロ、ひなた、萌実、める、ベアトリクス、アイリスディーナ、晴子、多恵、鳴神の想いが込められていた。

アカリの蒼い瞳が一瞬輝き、彼女は小さな笑みを浮かべた。

「みんな…ありがとう…!」

声には微かな震えがあったが、ファンの前での笑顔は揺るがなかった。

コメント欄には、ファンの応援メッセージが溢れた。

「アカリちゃん、最高!」「#SaveAkari」「負けないで!」「いつも笑顔をありがとう!」

その一つ一つが、アカリの心に力を与え、「ココロヤミ」の闇を押し退けた。

アカリはコメントを見ながら、声を張り上げた。

「みんなの応援、ちゃんと届いてるよ! 私、絶対に負けない!」

彼女はバスクの台本を無視し、ファンとの絆を強調するアドリブを続けた。

 

バックステージでは、橘雅清がモニターのノイズに気づき、声を荒げた。

「またノイズだ! バスクに報告しろ!」

彼の目は疑念に満ち、姜小花と劉翠蘭のハッキングを察知した可能性を示していた。

岩城は静かに微笑み、橘を制した。

「橘、落ち着け。ファンの応援だ。問題ない。」

彼の穏やかな口調には、内部協力者(ブライト、エマ、ジェリド、カクリコン、ライラ)としての確信が込められていた。

生駒葵は配信ルームの隅で、規律正しい姿勢でアカリの配信を見守っていた。

「…アカリは台本通りに動いている。問題ない―――そうだろ? うるう。」

彼女の声は冷徹だったが、アカリの情熱に微かな動揺が混じっていた。

波瀬うるうは縮こまり、不安げに呟いた。

「え? でも、これ台本通りじゃないような…」

葵は鋭く、だが静かに言った。

「いいんだ。これも台本通りだ。」

うるうは目を伏せ、震える声で応じた。

「そ、そうですね……ファンが応援してるならそれで、いいと思います。」

彼女の葛藤は、バスクの命令への疑問をさらに深め、内部協力者にとって味方に引き込むチャンスを広げていた。

 

GOOMSTUDIOの配信ルームで、アカリはモニターを見つめ、呟いた。

「みんな…今日も、私の全てをかけるよ…!」

彼女の心には、仲間たちのメッセージとファンの応援が響き合い、「ココロヤミ」を超える希望が燃えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年11月14日

GOOMSTUDIO 管理室

 

GOOMSTUDIOの管理室は、モニターの光と書類の散乱するデスクに囲まれ、静かな緊張感が漂っていた。

葵は、バンダイナムコ本社から派遣された規律正しい新人社員として、アカリの監視を担当していたが、この日、彼女はアカリの配信アーカイブを50本視聴し終え、深い感銘を受けていた。

モニターには、ミライアカリの過去の動画――『Mi:LIVE 2020 AKARI→START』やスパワールドでのウォータースライダー動画、日常の雑談配信まで――が次々と映し出されていた。

金髪サイドテールとピンクの星マークが揺れるアカリの笑顔は、どの動画でもファンを元気づける力に満ちていた。

葵はモニターを見つめ、規律を重んじる厳格な表情に微かな柔らかさが混じっていた。「…ミライアカリ、50本の配信を見たが…その情熱、ファンを想う心…本物だ。」

彼女は呟き、普段は冷静な「規律の守護者」としての姿勢が揺らぎ始めていた。

名家の出身で、父親が政治家という背景から、葵は常にルールと秩序を優先してきた。

しかし、アカリの配信での純粋なエネルギーと、ファンのコメント欄に溢れる「#SaveAkari」の応援は、彼女の心に波紋を広げていた。

隣にいたうるうは、縮こまりながら葵に尋ねた。

「葵さん…アカリさんの配信、すごいですよね…。私、こんなにファンを笑顔にする人、初めて見たかも…。でも、バスクさんの命令、ほんとにこれでいいんですか…?」

葵は目を細め、静かに応じた。

「うるう、バスクのやり方は…確かに疑問だ。アカリの笑顔がファンのためなら、私たちが監視する意味は何だ? 彼女を縛る台本、強制的な批判…規律以前に、正しいことなのか?」

彼女の声には、初めてバスクの命令に対する明確な疑念が滲んでいた。

 

ミライアカリは配信ルームで、次の配信準備を進めていた。

11月13日の配信で劉翠蘭からの音声メッセージ「アカリさん、仲間たちがここにいます。絶対に負けないでください。#SaveAkari」が届き、彼女の心はさらに強くなっていた。モーションキャプチャ装置を調整しながら、アカリは呟いた。

「ココロヤミ…私の闇も、ファンのみんなの光で照らされてる…。絶対に負けないよ…!」

彼女の蒼い瞳には、疲労と葛藤を越えた決意が宿っていた。

岩城がそばに立ち、密かに励ました。

「アカリ、姜小花と劉翠蘭が次のメッセージを準備してる。内部の協力者も増えてる。もうすぐだ、持ちこたえろ。」

アカリは小さく頷き、微笑んだ。

「岩城さん、ありがとう。みんなの想い、ちゃんと届いてる。私、ファンのために全力を尽くすよ!」

 

 

 

 

 

GOOMSTUDIOの管理室で、葵はモニターを切り、呟いた。

「ミライアカリ…お前の笑顔は、規律を超える力がある。バスクのやり方は…間違っている。」

うるうはそっと頷く。

「葵さん…私も、アカリさんを守りたい…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新宿区歌舞伎町

 

新宿歌舞伎町のネオンが煌めく夜、鳴神裁は雑踏の中を一人歩いていた。

ホロライブ、にじさんじ、個人勢からの拒絶を乗り越え、ミライアカリを救うための情報を求めて、裏の情報網が集まるこの街に足を踏み入れていた。

彼は暗号化されたタブレットを手に、姜小花のハッキングルートを通じて得た断片的なデータを頼りに、GOOMSTUDIOやバスク郷里の動きを追っていた。

過去のデマ騒動(ゲーム部、にじさんじ、ホロライブ、アズマリム関連)で孤立した鳴神だったが、アカリへの想いと贖罪の気持ちが彼を突き動かしていた。

「アカリ…俺は絶対にお前を救う…!」

彼は呟き、雑踏の中を進んだ。

その時、歌舞伎町の路地裏で、電脳少女シロが突然目の前に現れた。

白銀の髪と鮮やかな青い瞳がネオンの光に映え、彼女は軽蔑した視線で鳴神を睨んだ。「鳴神裁…こんなところで何してるの? また勝手な行動で、みんなの計画を台無しにする気?」

シロの声には、過去の騒動による不信感が滲んでいた。

彼女は#SaveAkariのムーブメントに深く関与し、魂子やギルザレンⅢ世、ZIZAI、NEOENTUMと連携してアカリ救出を進めていただけに、鳴神の単独行動を警戒していた。

鳴神は一瞬たじろいだが、目を逸らさず訴えた。

「シロ、俺は…アカリを救いたいだけだ! 俺の過去は最低だった、認めるよ。だが、アカリがバスクに縛られてるのを見過ごせねえ! 姜小花のハッキングルートで、俺も情報を集めてる。頼む、協力させてくれ!」

彼の声には、孤立と葛藤を乗り越えた本気の決意が宿っていた。

シロは鋭い視線で鳴神を見つめ、彼の言葉の真偽を見極めるように沈黙した。

やがて、彼女の表情が緩み、優しい笑みを浮かべた。

「…ふふっ、鳴神、ずいぶん必死な顔ね。あなたの情熱、偽物じゃないって分かったわ。アカリちゃんの笑顔は、VTuberみんなの宝だもん。#SaveAkariに協力するなら、ちゃんと私たちと足並み揃えてよ。もう一人で突っ走らないで、約束ね?」

シロの声には、仲間への信頼とアカリへの想いが込められていた。

鳴神は唇を噛み、深く頷いた。

「…分かった、シロ。約束する。俺の情報、全部渡す。アカリを救うためなら、なんでもする。」

シロは微笑み、タブレットを取り出した。

「なら、早速始めましょう。姜小花と劉翠蘭に連絡して、あなたの情報と私たちのデータを統合するわ。カタリーナの潜入も進んでるし、アカリちゃん救出、すぐそこよ!」

彼女は軽やかなステップで歩き出し、鳴神を路地裏の安全な場所へ導いた。

 

#SaveAkariのムーブメントは、鳴神とシロの合流、葵とうるうの動揺、カタリーナの潜入、ギルザレンⅢ世の拡散、姜小花と劉翠蘭の諜報、内部協力者の結束により、かつてない勢いで加速。ミライアカリの救出とちゆるの命を守る戦いはまだ終わりそうにない。

 

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