ENTUM23   作:マブラマ

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第21話 ENTUMの権力闘争と外部からの挑戦 ~名誉会長室の緊迫~

2018年5月1日、株式会社ENTUMの名誉会長室は、まるで嵐の前の静けさを思わせる緊張感に包まれていた。窓から差し込む光が、ベアトリクスのデスクに冷たく影を落とし、部屋の空気は重く張り詰めていた。ニコラが書類を手に、ベアトリクスの前に進み出る。

「少佐、匿名で起訴状が届きました」

ニコラの声は冷静だが、その瞳には不安が滲んでいた。

ベアトリクスが眉をひそめ、書類を受け取る。

「起訴状?」

カタリーナが小さく呟く。

「嫌な予感がします……」

ベアトリクスは書類に目を落とし、冷たく言い放つ。

「調べるまでもない。エイレーンが偽の証言をしてでっち上げてるに過ぎないわ」

ニコラが慎重に問う。

「如何なさいますか?」

ベアトリクスが不敵な笑みを浮かべる。

「情報戦なら私たちのほうが上よ。落ちこぼれのクリエイターなぞ敵ではないわ。始末しろ」

ニコラが即座に敬礼し、通信機に手を伸ばす。

「ハッ! ヴォルクヴァルテ01、出撃命令だ」

通信機の向こうから、冷徹な声が応じる。

《了解! 今、現場に向かう》

ニコラがベアトリクスに視線を戻す。

「これでエイレーンは……」

ベアトリクスが冷たく続ける。

「情報漏洩罪として捕まり、刑務所へ入らせる。私に歯向かうからこうなるのよ」

その時、部屋のインターホンが鳴り、秘書が緊張した声で告げる。

「名誉会長、キズナアイさんが名誉会長に会いたいと……」

ベアトリクスが一瞬目を細め、即座に命じる。

「通せ」

ニコラが呟く。

「キズナアイ? あぁ、『魔法少女サイト』の……」

カタリーナが小さく頷く。

「挑戦状って訳ね」

ベアトリクスが静かに繰り返す。

「挑戦状ね」

突然、ファルカが息を切らして部屋に飛び込んでくる。

「同志少佐! エイレーンがテレビに……!」

ベアトリクスが驚愕に目を丸くする。

「何だと!?」

その時、ドアがノックされ、キズナアイが軽やかな声で入ってくる。

「失礼しまーす♪」

ニコラがベアトリクスに視線を向け、囁く。

「少佐……」

ベアトリクスが冷たく命じる。

「入らせろ! 見せしめにしてやる」

カタリーナが慌ててテレビのスイッチを入れる。

「テレビ付けます!」

ピッと音が鳴り、画面にエイレーンの姿が映し出される。

エイレーンが明るく、しかしどこか不気味な笑顔で語りかける。

《百合百合パラダイスの完成のため、一口百万年。皆様からの御心労受け付けています!》

ドアがガチャリと開き、キズナアイが部屋に入ってくる。彼女はテレビを一瞥し、首を傾げる。

「あれ? あの人って確か……」

カタリーナが眉をひそめ、呟く。

「何かインチキっぽいわ」

ニコラが頷く。

「ああ、これでは怪しい団体と変わらん」

ベアトリクスは無言でテレビを見つめ、内心で呟く。

「(エイレーン……勝手なことを……! これでは視聴者が離れていく。もうエイレーンは不要だ。しかし……)」

彼女の視線が、部屋に入ってきたキズナアイに向けられる。キズナアイは無邪気な笑顔を浮かべているが、その瞳には鋭い光が宿っていた。ベアトリクスは一瞬の迷いを見せた後、冷徹な決意を固める。

「キズナアイ、貴女がここに来た理由は分かっている。ENTUMを挑発しに来たのだろう?」

キズナアイが軽く肩をすくめる。

「挑発だなんて、そんなつもりないよ! ただ、ミライアカリちゃんの会社がどんな感じか、気になっちゃって♪ それに……エイレーンさんのこと、ちょっと心配だなって」

ベアトリクスが目を細める。

「エイレーンはもうENTUMの人間ではない。彼女の行動は会社とは無関係だ」

キズナアイが小さく笑う。

「ふーん、そうなんだ。でも、テレビでこんなこと言っちゃうと、ENTUMのイメージにも影響するんじゃない? ねぇ、名誉会長さん?」

部屋の空気が一層冷たくなる。カタリーナとニコラが互いに顔を見合わせ、ファルカが息を呑む。ベアトリクスは一瞬の沈黙の後、静かに言い放つ。

「エイレーンは始末される。貴様が心配することはない」

キズナアイの笑顔が一瞬凍りつき、すぐに元に戻る。

「始末……するの? ちょっと物騒だね。でも、まあ、ENTUMのやり方って、そういう感じなんだね。面白いな~」

ベアトリクスが冷たく続ける。

「貴様もENTUMを舐めるな。ミライアカリは必ず貴様を超える」

キズナアイがニコッと笑い、軽やかに答える。

「うん、楽しみにしてるよ! ミライアカリちゃん、頑張ってね♪ じゃあ、またね!」

彼女が踵を返し、部屋を出ていく。ドアが閉まる音が響き、名誉会長室に重い静寂が戻る。ベアトリクスはテレビを消し、ニコラに命じる。

「エイレーンの件、急げ。彼女がこれ以上ENTUMに害を及ぼす前に」

ニコラが頷く。

「了解しました、少佐」

カタリーナが小さく呟く。

「キズナアイ……彼女も一筋縄ではいかないわね」

ファルカが不安げに言う。

「エイレーンさんが……本当に始末されるんですか?」

ベアトリクスが冷たく答える。

「必要とあらば、だ」

名誉会長室の空気は冷え切り、窓の外では春の風がそよぐ。ENTUMの物語は、内部の権力闘争と外部からの挑戦が交錯し、さらなる混沌へと突き進む。エイレーンの運命とキズナアイの真意は、ENTUMの未来に暗い影を落としていた――。

 

 

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