2020年11月24日
GOOMSTUDIO 会議室
GOOMSTUDIOの会議室は、冷たい蛍光灯の光に照らされ、緊張と策略の空気が漂っていた。ジャミトフ西村とバスク郷里は、ミライアカリを利用した新たな企画でVTuber業界の支配力をさらに強めようとしていた。テーブルの上には、アカリの最新動画データが広げられていた。
ジャミトフはタブレットを手に、口を開いた。
「バスクよ。今月の7日に投稿された動画『違いのわかる女 ミライアカリ』の内容見てどう思った?」
バスクはデータを確認し、即答した。
「は――高評価数は2,724人。視聴者回数は38,732回を達しております。」
ジャミトフは満足そうに頷いた。
「ほぅ…カレーの食べ比べか。暫く食べてなかったな――次の配信企画はゴーゴーカレーだ。」
バスクは少し驚いたように確認した。
「ゴーゴーカレーですか。」
ジャミトフは余裕の笑みを浮かべた。
「注文は自由だ。彼女にも食する自由があっても良かろう。」
バスクは渋々同意した。
「…ジャミトフ様が仰るなら。」
ジャミトフは断定的に言った。
「決まりだな。」
ヤザン大塚は会議室の隅で静かに耳を傾け、内心で呟いた。
「(ゴーゴーカレーか……)」
彼の心には、アカリへの共感とバスクへの疑問がさらに深まっていた。
橘雅清の転向、葵とうるうの裏切り、そして自身の動揺が、#SaveAkariのムーブメントへの参加を後押ししていた。
株式会社NEOENTUM 会長室
NEOENTUMの会長室では、ベアトリクス・ブレーメが、ニコラ・ミヒャルケ、ファルカ・ミューレンカンプ、カタリーナ・ディーゲルマンと向き合い、#SaveAkariの作戦を議論していた。
テーブルの上には、警視庁公安部の走り鳰警視から送られたGOOMSTUDIOの最新情報が映し出されていた。
ベアトリクスは冷静に言った。
「バスクはアカリの動画でゴーゴーカレーとのコラボを企画立てているわ。」
ニコラは頷き、分析した。
「金沢カレーですね。アカリらしい動画企画かと。」
ベアトリクスは目を細め、警告した。
「ええ、私達を油断させようと目論んで救出作戦を妨害しているわね。」
ニコラが尋ねた。
「少佐、如何なさいますか?」
ベアトリクスは静かに答えた。
「ZIZAI本社での会議で聞いたとおり、準備に取りかかっている。でもダメよ――今は耐えるしかないわね。」
ファルカは苛立ちを抑えきれず、声を上げた。
「耐えるって…私達は傍観するだけでいろとでも!?」
ニコラが制した。
「ミューレンカンプ、よせ。」
ベアトリクスは穏やかに、だが力強く言った。
「いいのよ。ファルカ、焦らないで。アイリスディーナ達には既に伝言済みよ――エーベルバッハは納得出来ないでしょうけど、ゆっくり考えましょう。そのうち救出できる機会が訪れる。」
ファルカは渋々頷いた。
「了解しました――仕送りはどうなされますか?」
ベアトリクスはカタリーナに視線を向けた。
「カタリーナ。」
カタリーナは即座に報告した。
「は――! ミライアカリ本人の給料はスパチャ制限で2割しか貰っていません。貯金は恐らくもうないかと。」
ベアトリクスは眉をひそめ、決断した。
「8割がバンナムに流れているのか……ニコラ、今すぐ彼女に仕送りを実行しなさい。」ニコラは力強く応じた。
「了解しました。」
ベアトリクスはさらに命じた。
「多めに送金しなさい。」
ニコラは敬礼し、答えた。
「――は!」
ベアトリクスは冷ややかな笑みを浮かべ、呟いた。
「バスク郷里…いつか必ず潰してやるわ。それまでは生かしといてあげる。」
ミライアカリは配信ルームでモーションキャプチャ装置を装着し、ゴーゴーカレーとのコラボ配信の準備を進めていた。
バスクの強制的な台本と「ティターンズの制服」に縛られながらも、内部協力者(岩城、ブライト、エマ、ジェリド、カクリコン、ライラ、橘、ヤザン、葵、うるう)の支援が彼女の心を支えていた。
蒼い瞳には、疲労と葛藤が滲みつつも、希望が燃えていた。岩城がそばに立ち、小声で囁いた。
「アカリ、姜小花と劉翠蘭が次の音声メッセージを準備中。葵とうるうがバスクの警備を攪乱してる。NEOENTUMからの仕送りも届く予定だ。もう少しだ。」
葵が静かに付け加えた。
「バスクはゴーゴーカレー企画で油断してる。私たちが隙を作る。」
うるうは縮こまりながらも、勇気を振り絞って言った。
「…アカリさんの笑顔、絶対守ります…!か、必ず!」
アカリは二人に微笑み、力強く頷いた。
「葵さん、うるうさん、ありがとう。みんなの想い、ちゃんと届いてる。私、ファンのために絶対に負けない!」
アカリは準備を終え、呟いた。
「みんな…ゴーゴーカレーでも、私の全てをかけるよ…!」
彼女の心には、仲間たちの想い、NEOENTUMの支援、ファンの応援が響き合い、「ココロヤミ」を超える希望が燃えていた。#SaveAkariのムーブメントは、篁唯依の調査、内部協力者の結束、鳴神の貢献、カタリーナとファルカの潜入、姜小花と劉翠蘭の諜報、NEOENTUMの戦略により、勝利への最終準備を整えた。ミライアカリの救出とちゆるの命を守る戦いはまだまだ続く。
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