ENTUM23   作:マブラマ

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第211話 唯一の親友

2020年11月25日

新宿区某所

 

新宿のネットカフェの個室で、鳴神裁は数少ない親友であるバーチャルYouTuber、ヤミクモケリンに協力を求めるため、暗号化されたビデオ通話をつないでいた。

#SaveAkariのムーブメントに新たな力を加え、ミライアカリの救出を加速させたいという鳴神の熱意は、依然として燃え上がっていた。

前日の花香琴音からの忠告や兎田ぺこらからの情報で一時的に慎重になったものの、彼の行動力は抑えきれなかった。

画面に映るヤミクモケリンは、クールでミステリアスな雰囲気を漂わせながらも、鳴神の真剣な表情を見て少し驚いた様子だった。

《鳴神、お前…また何か企んでるな? 何だ、今回は?》

鳴神は拳を握り、熱く語り始めた。

「ケリン、ミライアカリがGOOMSTUDIOでバスク郷里に搾取されてるんだ! #SaveAkariのムーブメントが動いてるけど、俺も黙って見てらんねえ! お前も協力してくれ! アカリを救うために、情報を集めたり、拡散を手伝ってくれよ!」

ヤミクモケリンはしばらく黙って鳴神を見つめ、彼の言葉の裏にある情熱と焦りを測るように目を細めた。

《…お前、いつもこうだな。猪突猛進で突っ走るタイプ。NEOENTUMやZIZAIが動いてるって話は聞いてる。単独で突っ込むと、計画を台無しにするリスクもあるぞ?》

鳴神は一瞬言葉に詰まったが、すぐに反論した。

「分かってる! でも、俺はアカリの笑顔を信じてるんだ! あの笑顔をバスクの奴らに踏みにじられてたまるか! ケリン、お前もアカリのファンだろ? 力を貸してくれ!」

ヤミクモケリンは小さくため息をつき、口元に微かな笑みを浮かべた。

《…ったく、お前のその熱意、嫌いじゃないぜ。分かったよ、協力する。ただし、NEOENTUMやシリウスシュガー、中国公安部の動きに水を差さないよう、慎重にやるぞ。俺のネットワークで、GOOMSTUDIOの裏情報を探ってみる。拡散も、タイミングを見てやるから、勝手に暴走すんなよ。》

鳴神は目を輝かせ、力強く頷いた。

「サンキュ、ケリン! 頼んだぞ! アカリを救うため、絶対に成功させる!」

ヤミクモケリンは軽く手を振って通話を終えた。

《まぁ、ほどほどにな。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GOOMSTUDIO 配信ルーム

 

ミライアカリは配信ルームでモーションキャプチャ装置を装着し、ゴーゴーカレーとのコラボ配信の準備を進めていた。

バスク郷里の強制的な台本と「ティターンズの制服」に縛られながらも、内部協力者(岩城、ブライト、エマ、ジェリド、カクリコン、ライラ、橘、ヤザン、生駒葵、波瀬うるう)の支援が彼女の心を支えていた。

蒼い瞳には、疲労と葛藤が滲みつつも、希望が燃えていた。

岩城がそばに立ち、小声で囁いた。

「アカリ、姜小花と劉翠蘭からの音声メッセージが今日も届く予定だ。葵とうるうがバスクの警備を攪乱してる。NEOENTUMからの仕送りも届いた。もうすぐだ。」

葵が静かに付け加えた。

「バスクはゴーゴーカレー企画で油断してる。私たちが隙を作る。次の配信で、NEOENTUMが動く。」

うるうは縮こまりながらも、勇気を振り絞って言った。

「…アカリさんの笑顔、絶対守ります…!アカリさんは、太陽ですから…」

アカリは二人に微笑み、力強く頷いた。

「葵さん、うるうさん、ありがとう。みんなの想い、ちゃんと届いてる。私、ファンのために絶対に負けない!」

配信が始まり、アカリはモーションキャプチャを通じて明るく話し始めた。

「みんな、ミライアカリだよ! 今日はゴーゴーカレーとコラボ! めっちゃ楽しみ!」 彼女はバスクの台本を巧みに回避し、ファンとの絆を強調するアドリブを織り交ぜた。

その瞬間、モニターの隅にノイズが走り、姜小花と劉翠蘭からの暗号化された音声メッセージがアカリのイヤホンに流れ込んだ。

「アカリさん、仲間たちが準備してる。次で必ず救う。#SaveAkari」

音声には、ちゆる、魂子、シロ、ギルザレン、ひなた、萌実、める、ベアトリクス、アイリスディーナ、晴子、多恵、鳴神、そして新たにヤミクモケリンの想いが込められていた。

アカリは涙をこらえ、コメント欄を見ながら叫んだ。

「みんなの応援、めっちゃ届いてるよ! 私、絶対に負けない! #SaveAkari、ありがとう!」

コメント欄は「アカリちゃん、最高!」「負けないで!」「#SaveAkari」で埋め尽くされ、彼女の心をさらに強くした。

アカリは配信を終え、呟いた。

「みんな…次も、私の全てをかけるよ…!」

彼女の心には、ヤミクモケリンの参戦、仲間たちの想い、ファンの応援が響き合い、「ココロヤミ」を超える希望が燃えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年11月26日

東京都葛飾区郊外

萌実の家(萌実ハウス)

 

ちゆるは、萌実の家から暗号化された通信ラインを使い、株式会社クリエイトリングの社員、篁唯依(たかむら ゆい)に連絡を試みていた。

#SaveAkariのムーブメントを加速させ、自身の命を脅かす黒龍の暗殺計画に対抗するため、ちゆるは全てを話す覚悟を決めた。

彼女は、ミライアカリのGOOMSTUDIOでの搾取状況、鳴神裁のデマ騒動とその贖罪としての#SaveAkariへの貢献、そして黒龍による自身の危険について、篁唯依に詳細に伝えた。

篁唯依は、見目麗しい姿と名家出身の気品から『唯依姫』と呼ばれ、礼儀正しく凛々しい性格で知られていた。

しかし、若干真面目すぎるのが欠点で、恋愛に関しては非常に臆病で素直になれない一面を持っていた。

彼女の規律厳守の姿勢は生駒葵と似ていたが、バスク郷里やジャミトフ西村のような権力濫用者を嫌悪しており、#SaveAkariに協力する強い動機を持っていた。

ちゆるはビデオ通話で、緊張しながらも真剣に語った。

「唯依さん、アカリちゃんがGOOMSTUDIOでバスクに搾取されてるの…! 私も黒龍に狙われてるし、鳴神さんのデマ騒動もあって…でも、みんなでアカリちゃんを救いたい! 唯依さんの調査、めっちゃ頼りにしてるよ!」

篁唯依は冷静に耳を傾け、静かに頷いた。

《ちゆるさん、状況は理解しました。あなたの勇気、尊敬します。黒龍の動きは、私もクリエイトリングのネットワークで追っています。バスクとジャミトフのティターンズ計画も、内部資料からその腐敗が明らかになっています。》

彼女は少し声を低くし、続けた。

《私の調査はNEOENTUMと連携済みです。葵さん、うるうさん、橘さん、ヤザンさんの内部協力と、姜小花さん、劉翠蘭さんのハッキング、ヤミクモケリンさんの情報網で、バスクの警備の隙はほぼ掌握しました。次の配信で、救出を実行します。》

ちゆるは目を輝かせ、拳を握った。

「唯依さん、ありがとう! アカリちゃん、絶対救うよ! 私も、黒龍に負けない!」

唯依は微かに微笑み、だが真剣に忠告した。

《ちゆるさん、黒龍の脅威はまだ残っています。くれぐれも慎重に。鳴神さんのデマ騒動については…彼の行動は問題でしたが、今はアカリさんのために動いている。彼を信じて、仲間として連携してください。》

ちゆるは力強く頷いた。

「うん、わかった! 鳴神さんも、みんなも、アカリちゃんのために頑張ってる! 唯依さん、よろしくね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年11月27日

新宿区某所

 

新宿のネットカフェの個室で、鳴神裁は暗号化されたアカウントを使い、株式会社クリエイトリングの社員、篁唯依(たかむら ゆい)とコンタクトを取る方法を模索していた。花香琴音から得た情報をもとに、唯依がGOOMSTUDIOの内部を極秘調査していることを知った鳴神は、彼女の調査を#SaveAkariのムーブメントに直接結びつけようと意気込んでいた。

ヤミクモケリンの協力を得たことで、彼の行動はより大胆になっていたが、NEOENTUMの「泳がせ」戦略の下、リィズ・ホーエンシュタインやカタリーナ・ディーゲルマンに監視されていた。

鳴神はクリエイトリングの公式サイトやSNSを調査し、唯依の連絡先を探ろうとしたが、彼女の情報は厳重に管理されており、直接のアクセスは困難だった。

そんな中、クリエイトリングの関係者にDMを送ろうとした瞬間、意外な人物から返信が届いた。

クリエイトリングの社員、崇宰恭子(たかつかさ きょうこ)だった。崇宰恭子は、篁唯依の母親・篁栴納(たかむら せんな)の従姉妹にあたる人物で、唯依とは幼少期から親しい関係にあった。

恭子は唯依を妹のように可愛がり、彼女の安全を常に気にかけていた。

ビデオ通話で現れた恭子は、落ち着いた口調ながら鋭い視線で鳴神を牽制した。

《鳴神裁、あなたが唯依に近づこうとしてるのは分かってる。でも、彼女の調査は極秘なの。軽率な接触は、唯依の安全を危険に晒すだけよ。》

鳴神は苛立ちを抑え、熱く訴えた。

「恭子さん、俺はミライアカリを救うために動いてるんだ! 唯依の調査がバスクの裏をかく鍵になるって聞いた。協力させてくれ!」

恭子は冷ややかに応じた。

《あなたの情熱は認めるけど、唯依は一人で動いてるわけじゃない。クリエイトリングは、NEOENTUMやZIZAIと連携して慎重に進めてるの。あなたが単独で突っ込むと、調査がバスクにバレるリスクが高まる。唯依は私の大切な家族なのよ。無茶な行動は許さない。》

鳴神は拳を握り、反論しようとしたが、恭子の言葉に家族への強い思いやりを感じ、言葉を飲み込んだ。

「…分かった。唯依には手を出さない。だが、#SaveAkariのために、俺に何かできることはないか?」

恭子は少し考え、静かに言った。

《今は待ちなさい。唯依の調査が進めば、NEOENTUMを通じて情報が共有される。あなたが本当にアカリを救いたいなら、NEOENTUMや姜小花の動きに合わせなさい。ヤミクモケリンにも同じことを伝えておくわ。》

鳴神は渋々頷き、呟いた。

「…了解した。ケリンにも伝える。」

#SaveAkariのムーブメントは、崇宰恭子の忠告、篁唯依の調査、ヤミクモケリンの参戦、内部協力者の結束、ギルザレンⅢ世の拡散、鳴神の貢献、カタリーナとファルカの潜入、姜小花と劉翠蘭の諜報、NEOENTUMの戦略により、勝利への最終準備を整えた。ミライアカリの救出とちゆるの命を守る決戦は、11月28日の配信で、成功の瞬間を迎えようとしていたが、彼女の未来に暗い影が忍び寄っていた。

この戦いはまだ終わる気配はない。

 

 

 

 

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