ENTUM23   作:マブラマ

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第212話 差し伸べる希望

2020年11月29日

GOOMSTUDIO 会議室

 

GOOMSTUDIOの会議室は、冷たく重い空気に包まれ、ジャミトフ西村とバスク郷里の策略が渦巻いていた。

テーブルの上にはミライアカリの最新動画データが広げられ、モニターには11月28日に投稿された『ふむふむ、これでいけそうだ。』の動画が映し出されていた。

アカリのココロヤミ設定を活かした新衣装が、ファンの間で大きな反響を呼んでいたが、その裏にはバスクの厳しい監視と台本があった。

バスクは自信満々に報告した。

「ジャミトフ様、『ふむふむ、これでいけそうだ。』という動画ですが、かなり反響があるかと。」

ジャミトフは眉をひそめ、興味深そうに尋ねた。

「ん? ふむふむ、これでいけそうだ? 何がいけそうなんだ? バスクよ。」

ジャマイカン山田が補足した。

「ココロヤミの新衣装かと。」

ジャミトフは頷き、満足げに呟いた。

「ふむふむ、成る程…これでいきそうだ。」

バスクは目を輝かせ、提案した。

「彼女の二重人格を利用して、次の動画企画は『ジン何杯飲めるか?』でいきましょう。」

ジャミトフは一瞬驚いたように目を細めた。

「ジンはキツい酒だぞ。大丈夫かね。」

バスクは軽く笑い、自信満々に答えた。

「彼女は頑丈な肝臓を持ってるので、20杯以下はいけるかと。」

ジャミトフは慎重に念を押した。

「無理はするなよ。NEOENTUMの動きは?」

バスクは即座に答えた。

「今のところ、何も動きはありません。」

ジャミトフは厳しく命じた。

「出来る範囲で実行だ。ギブアップしたら中止だぞ? 分かっているな。」

バスクは少し驚いたように尋ねた。

「は――動画企画終了後は、彼女にジュースをあげても宜しいですか?」

ジャミトフは意外そうに笑い、言った。

「ん? バスク、お前らしくないな。彼女に同情しているのか。」

バスクは冷静に反論した。

「いえ、お体を壊されたらこの企画をやる意味はありません。」

ジャミトフはクスクスと笑い、頷いた。

「ククク…そうだな。」

バスクはさらに提案した。

「仕事終わりに我々だけバーでジンとウォッカを飲みましょう。」

ジャミトフは目を輝かせ、応じた。

「おお、行くか。」

バスクは軽く笑い、尋ねた。

「ジェリド達も誘いますか?」

ジャミトフは即座に否定した。

「いや、よせ。あの連中は我々のやり方を反している。誘う必要はない。」

バスクは話題を変え、報告した。

「来月1日にここに配属する社員が来ますが。」

ジャミトフは手を振って締めくくった。

「…今日は早めに切り上げるか。バスクよ。行くぞ。」

バスクは敬礼し、答えた。

「はい、ジャミトフ様。」

ジャミトフは高揚した声で叫んだ。

「そうとくれば深夜まで飲みまくるぞ!」

二人の笑い声が会議室に響き合った。

「あはははははははははは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミライアカリは配信ルームでモーションキャプチャ装置を装着し、次の配信の準備を進めていた。

バスクの強制的な台本と「ティターンズの制服」に縛られ、精神的な疲弊がさらに深まる中、内部協力者(岩城、ブライト、エマ、ジェリド、カクリコン、ライラ、橘、ヤザン、生駒葵、波瀬うるう)の支援とNEOENTUMからの仕送りが彼女の心を支えていた。

蒼い瞳には、疲労が色濃く滲み、希望の光がわずかに揺らいでいた。

葵がそばに立ち、静かに小声で囁いた。

「バスクはジン企画で油断してる。私たちが警備を攪乱する。NEOENTUMが裏口から動く。」

うるうは縮こまりながらも、勇気を振り絞って言った。

「わ、私も…アカリさんの笑顔、絶対守ります…!嘘じゃないですよぉ…」

アカリは二人に微笑み、弱々しく頷いた。

「葵さん、うるうさん、ありがとう。みんなの想い、ちゃんと届いてる。私…まだ、ファンのために頑張るよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GOOMSTUDIO 裏口付近

 

その夜、GOOMSTUDIOの裏口付近はひっそりと静まり返り、薄暗い廊下に緊張感が漂っていた。

バスク郷里は、NEOENTUMの動きを完全に察知していなかったものの、内部からの情報漏洩を疑い、警備をさらに強化。裏口を封鎖する指示を出し、その実行を内部協力者の一人である生駒葵に命じた。

葵はバスクの命令を表面上従いつつ、#SaveAkariのムーブメントを裏で支えるため、巧妙に動いていた。

葵は裏口の封鎖作業を進めながら、隣に立つ波瀬うるうに小声で囁いた。

「すまない、アカリ。NEOENTUMの計画を瓦解する訳にはいかない。」

うるうは震える声で、不安そうに応じた。

「葵さん…こんなことして大丈夫ですかぁ? アカリさんがこの事知ったら…」

葵は冷静に、だが力強く答えた。

「うるう、大丈夫だ。鍵は私が持っている。スペアキーも作成済みだ。」

葵はうるうに裏口のスペアキーをそっと手渡した。

彼女の規律正しい表情には、仲間への信頼とバスクへの反発が宿っていた。

「これで、NEOENTUMが明日動く際に、裏口を確実に開けられる。バスクには気づかせない。」

うるうはスペアキーを握りしめ、小さく頷いた。

「わ…わかりました…! アカリさんのために、頑張ります…!」

 

バスクとジャミトフ西村は、会議室での打ち合わせを終え、バーでの飲み会に向かう準備をしていた。

バスクは裏口の封鎖を指示したことで一時的に安心していたが、内部協力者の裏切り(葵、うるう、橘、ヤザン、ジェリドなど)には気づいていなかった。

ジャミトフは高揚した気分でバスクに言った。

「バスク、裏口の封鎖は完璧か? NEOENTUMの動きを完全に潰しておけ。」

バスクは自信満々に答えた。

「はい、ジャミトフ様。生駒葵に封鎖を命じました。彼女は忠実です。問題ありません。」

ジャミトフはクスクスと笑い、グラスを手に持った。

「ククク…なら、今夜は飲んで楽しむぞ。明日もアカリをしっかり働かせろ。」

二人の笑い声が会議室に響き合ったが、その裏で、葵とうるうの策略が着々と進行していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NEOENTUM本社

 

ベアトリクス・ブレーメは、ファム・ティ・ラン、アネット・ホーゼンフェルト、イングヒルト・ブロニコフスキー、シルヴィア・クシャシンスカ、リィズ・ホーエンシュタイン、ニコラ・ミヒャルケ、カタリーナ・ディーゲルマンと作戦を最終確認していた。

篁唯依からの最新調査データとヤミクモケリンの情報が届き、裏口封鎖の情報もキャッチしていた。

カタリーナが報告した。

「バスクが裏口を封鎖しましたが、葵とうるうがスペアキーを確保。明日、裏口からの救出は予定通り実行可能です。」

ベアトリクスは目を細め、力強く宣言した。

「同志諸君、バスクの油断は我々のチャンスだ。葵とうるうの協力、篁唯依の調査、ヤミクモケリンの情報で、#SaveAkariは明日、必ず成功する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年11月30日

新宿区某所

 

新宿のネットカフェの個室で、鳴神裁とヤミクモケリンは、#SaveAkariのムーブメントを加速させるため、協力者を集めるべく暗号化されたビデオ会議を開催していた。

参加者は、瀬戸あさひ、ミディ、ニーツ、かしこまり、パンディ、おめがシスターズといった個人勢や中小事務所所属のVTuberたち。

画面には個性的なアバターが並び、熱気と決意に満ちた雰囲気が漂っていた。

鳴神は拳を握り、熱く語り始めた。

「みんな、ミライアカリがGOOMSTUDIOでバスク郷里に搾取されてる! ファルカやNEOENTUM、ZIZAIが動いてるけど、俺たちも黙って見てられない! #SaveAkariのために、情報を集めたり、SNSで拡散したり、力を貸してくれ!」

ヤミクモケリンが冷静に補足した。

「鳴神の熱は本物だが、単独行動はリスクが高い。NEOENTUMのベアトリクスや姜小花の動きに合わせる必要がある。俺たちの役割は、ファンの声を拡散し、バスクの注意を分散させることだ。無茶は厳禁だぞ。」

瀬戸あさひが明るい声で応じた。

《アカリちゃんの笑顔、めっちゃ好きだから! 私、Twitterで#SaveAkariをバンバン拡散するよ! ファンのみんなにも、応援の輪を広げてもらう!》

ミディが少し緊張した声で言った。

《私、情報収集なら得意だよ。クリエイトリングの篁唯依さんの調査状況、間接的に追ってみる。バスクの動きを掴めれば、NEOENTUMに情報提供できるかも。》

ニーツが力強く頷いた。

《よし、私も配信でさりげなく#SaveAkariの話題を振ってみます。バスクに気づかれない程度に、ファンの意識を高めるよ!》

かしこまりが穏やかに微笑み、言った。

《アカリちゃんの絆は、VTuberみんなの絆だよね。私も歌の配信で、応援メッセージを織り交ぜるよ。ファンの心に響くように、頑張る!》

パンディが少し照れながら言った。

《う、うーん、俺、ちょっと怖いけど…アカリちゃんのために、できることやってみるよ! SNSでイラスト描いて、#SaveAkariを広めるよ!》

おめがシスターズのリオとレイが同時に声を上げた。

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鳴神は目を輝かせ、叫んだ。

「みんな、最高だ! アカリを救うため、絶対に成功させるぞ!」

ケリンはクールに締めくくった。

「よし、各自の役割は分かったな。NEOENTUMやZIZAIの動きを邪魔しないよう、慎重に動け。情報は俺がまとめて、ベアトリクスやアイリスディーナに連絡する。鳴神、お前も暴走すんなよ。」

鳴神はニヤリと笑い、頷いた。

「分かってる! アカリの笑顔を守るため、俺も賢く動くぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GOOMSTUDIO 配信ルーム

 

ミライアカリは依然としてGOOMSTUDIOに留まり、配信ルームでモーションキャプチャ装置を装着していた。

バスク郷里の強制的な台本と「ティターンズの制服」に縛られ、過酷な「ジン何杯飲めるか?」企画の準備に追われていた。

精神的な疲弊がピークに達しつつあったが、内部協力者(岩城、ブライト、エマ、ジェリド、カクリコン、ライラ、橘、ヤザン、生駒葵、波瀬うるう)の支援とNEOENTUMからの仕送りが、彼女の心をわずかに支えていた。

岩城がそばに立ち、小声で囁いた。

「アカリ、バスクの裏口封鎖でNEOENTUMの救出作戦が一時瓦解した。だが、葵とうるうがスペアキーを確保済み。次の配信で再計画が動く。持ちこたえろ。」

葵が静かに付け加えた。

「バスクは私を信頼してる。スペアキーで裏口の封鎖を無効化する。明日、NEOENTUMが動く。」

うるうは縮こまりながらも、勇気を振り絞って言った。

「アカリさんの笑顔、絶対守ります…!!」

アカリは二人に弱々しく微笑み、呟いた。

「葵さん、うるうさん、ありがとう…みんなの想い、ちゃんと届いてる。私…まだ、ファンのために頑張るよ…」

 

配信が始まり、アカリはモーションキャプチャを通じて、かろうじて明るく話し始めた。「みんな、ミライアカリだよ…! 今日は、ジンに挑戦…! 応援、よろしくね…」

バスクの台本に縛られ、声には疲れが滲んでいたが、ファンとの絆を強調するアドリブをわずかに織り交ぜた。

その瞬間、モニターの隅にノイズが走り、姜小花と劉翠蘭からの暗号化された音声メッセージがアカリのイヤホンに流れ込んだ。

「アカリさん、裏口封鎖は葵とうるうが突破。仲間たちが準備完了。次で必ず救う。#SaveAkari」

音声には、ちゆる、魂子、シロ、ギルザレン、ひなた、萌実、める、ベアトリクス、アイリスディーナ、晴子、多恵、鳴神、ヤミクモケリン、篁唯依、そして新たに瀬戸あさひ、ミディ、ニーツ、かしこまり、パンディ、おめがシスターズの想いが込められていた。

アカリは涙をこらえ、コメント欄を見ながら叫んだ。

「みんなの応援…めっちゃ届いてるよ…! 私、絶対に負けない…! #SaveAkari、ありがとう…!」

コメント欄は「アカリちゃん、頑張れ!」「負けないで!」「#SaveAkari」で埋め尽くされ、彼女の心にわずかな力を与えた。

 

アカリは配信を終え、呟いた。

「みんな…明日、私の全てをかけるよ…」

彼女の心には、葵とうるうのスペアキー確保、瀬戸あさひたちの参戦、仲間たちの想い、ファンの応援が響き合っていたが、ジン企画の過酷さと精神的な疲弊が彼女をさらに蝕んでいた。

#SaveAkariのムーブメントは、葵のスペアキー確保、篁唯依の調査、ヤミクモケリンの情報、新たなVTuberの参戦、内部協力者の結束、エトラの無意識の拡散、鳴神の貢献、カタリーナとファルカの潜入、姜小花と劉翠蘭の諜報、NEOENTUMの戦略により、勝利への準備を整えた。ミライアカリの救出とちゆるの命を守る決戦は、まだ終わらない。

 

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