2020年12月4日
非武装地帯(DMZ)付近。
凍てつく風が吹き荒れる北緯38度線。
薄暗い夜の闇の中、鳴神裁は息を潜め、板門店(パンムンジョム)を目指して進んでいた。彼の胸には、燃えるような決意があった。自身の配信「【GOOMSTUDIO】バンナムの奴隷制度、クズすぎるバスク・オム」が引き起こした大炎上の余波を受け、鳴神は大胆な行動に出ていた。
#SaveAkariムーブメントを加速させるため、そしてバスク郷里やパプテマス・シロッコの監視から逃れるため、彼は北朝鮮への潜伏を計画していたのだ。
単独行動のリスクを承知しつつ、鳴神はヤミクモケリンの情報網と自身のネットワークを頼りに、韓国側からDMZを越えようとしていた。
だが、その一歩を踏み出そうとした瞬間、闇の中から鋭い声が響いた。
「나루신재, 당신의 행동은 너무 무모하다. 여기에서 무엇을하려고합니까?」
声の主は、NEOENTUMの南北朝鮮38度線支部の支部長、夏実萌恵(なつみ もえ)だった。エイレーンファミリーの一員であり、帰国子女として流暢な朝鮮語と日本語を操る彼女は、NEOENTUMのベアトリクス・ブレーメの指示を受け、鳴神の動きを事前に察知していた。
彼女の瞳は冷たく、まるで闇を切り裂く刃のようだった。
鳴神は一瞬驚き、焦りを隠せないまま日本語で叫んだ。
「萌恵さん、俺はアカリを救うためだ! バスクの目を逃れるには、ここで身を隠すしか…!」
萌恵は冷ややかに遮り、朝鮮語で言葉を続けた。
「당신의 폭주는 #SaveAkari의 작전을 위험에 노출시킬 뿐이다. NEOENTUM도 ZIZAI도 신중하게 움직이고 있다. 당신의 혼자 행동은 모든 것을 망칠 것입니다.」
彼女の背後には、親日家の朝鮮人民軍兵士が静かに控えていた。
銃を構えた兵士の一人が、片言の日本語で呟いた。
「日本人のVTuber、面白い奴だな…だが、ルールは守れよ」
鳴神は抵抗を試みたが、兵士たちの素早い動きに敵わず、あっという間に拘束された。
彼はDMZ近くの冷たく無機質な尋問室へと連行された。
尋問室
薄暗い部屋には、鉄の机と椅子だけが置かれ、冷たい空気が漂っていた。
萌恵は静かに椅子に腰掛け、鋭い視線で鳴神を見据えた。
彼女は朝鮮語と日本語を織り交ぜ、まるで心の奥まで見透かすような口調で尋問を開始した。
「鳴神、あなたが知っている日本のVTuber界隈の現状、すべて話せ。GOOMSTUDIO、バスク、シロッコ、#SaveAkariの動き…隅から隅まで吐き出しなさい」
鳴神は最初、口を閉ざそうとした。
だが、萌恵の圧倒的な威圧感と、NEOENTUMの情報網が彼の行動を全て把握している事実に気圧され、ついに観念した。
彼の声は震えながらも、知る限りの情報を詳細に語り始めた。
GOOMSTUDIOでのミライアカリの搾取。
バスクとジャミトフの狡猾な策略。
シロッコの不穏な登場。
ヤザン大塚の裏切り。
あおぎり高校の魂子やシロ、ヨメミらが結成した救出チーム。
篁唯依の極秘調査。
そして、自身の配信が引き起こしたファンの怒涛の反応…。
萌恵は黙って聞き終えると、静かに口を開いた。
「あなたの情熱は認める。だが、単独行動は我々の作戦を乱す。NEOENTUMは、篁唯依の調査と中国公安部のハッキングを軸に、アカリを救う準備を進めている。あなたは一旦身を引け。ヤミクモケリンや魂子に連絡し、協調して動くんだ」
鳴神は悔しそうに唇を噛み、目を伏せた。だが、やがて小さく頷き、呟いた。
「…分かった。俺、やりすぎた。アカリを救うため、ちゃんと仲間と協力するよ」
萌恵はわずかに微笑み、朝鮮語で締めくくった。
「그래서 좋다. #SaveAkari는 VTuber 업계의 유대와 팬의 힘으로 이루어진다. 우리는 아카리를 반드시 구할 것입니다.」
38度線支部は、2020年1月20日に「あおぎり高校38度線分校」として一時機能していた。しかし、アカリのパワハラや搾取問題が表面化し、元の体制に戻されていた。
今、この場所は#SaveAkariムーブメントの最前線として、静かに、しかし確実に動き始めていた。
鳴神の無鉄砲な行動は、思わぬ形で仲間たちの絆を再確認させ、救出作戦に新たな火を灯していた。
Fortgesetzt werden