ENTUM23   作:マブラマ

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第220話 分裂のフラグ

2020年12月13日、GOOMSTUDIO 管理室

 

GOOMSTUDIOの管理室は、まるで嵐の前の静けさのような冷たく張り詰めた空気に支配されていた。

バスク郷里はモニターに映るミライアカリのホラー配信『ココロヤミの闇夜探検』を睨み、彼女の恐怖の中でも崩れない笑顔に苛立ちを募らせていた。

拳を握り締め、彼は歯軋りしながら吐き捨てた。

「ミライアカリ…恐怖の中でも笑顔を見せるとは! シロッコの甘い言葉とヤザンの裏切り…! 貴様の絆など、GOOMSTUDIOの支配を揺るがせん!」

ジャミトフ西村は冷ややかに応じ、鋭い視線でバスクを見据えた。

「ヤザンの寝返りは決定的だ。シロッコの自由な姿勢、アクスマンの介入、NEOENTUMの仕送り…我々の支配は崩れつつある。バスク、シロッコを排除し、アカリを完全に支配下に置け」ローレン中本が静かに進言した。

「ジャミトフ様、姜小花のハッキングが、次の配信でさらに強力なメッセージを準備しているようです。アクスマンの真意も、ZIZAI内部の分裂を示唆しています」

バスクは目を細め、怒りを抑えながら吐き捨てた。

「ふん、シロッコもアクスマンも…! ミライアカリを救おうとする者たちは、全員潰す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、NEOENTUM本社 オフィス(表向き)

 

NEOENTUM本社のオフィスでは、表向きの会議が緊迫した雰囲気の中で進行していた。

ベアトリクス・ブレーメ、ファルカ・ミューレンカンプ、ニコラ・ミヒャルケらが集まり、姜小花のハッキングデータや鳴神裁の録音情報を分析していた。

エイレーンは真剣な表情でモニターを見つめ、口を開いた。

「アカリさんのホラー配信、ファンの応援でなんとか耐えてるけど、バスクの次の企画はもっと過酷になるはず。姜小花のメッセージを強化して、ヤザンやシロッコを動かすタイミングが重要ですね」

ベアトリクスは冷静に頷き、戦略的な口調で答えた。

「その通り。鳴神のデータがシロッコの不透明な動向を裏付けた。アクスマンの介入はZIZAIの分裂を示してる。次の配信で、バスクの支配を崩す一撃を加える」

会議室の空気は、#SaveAkariムーブメントの最終局面に向けて、静かな決意で満たされていた。

ベアトリクスたちの視線には、VTuber業界の未来を懸けた覚悟が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、GOOMSTUDIO 潜入(エイレーンの裏の行動)

 

しかし、会議を終えたエイレーンは、誰もが予想だにしない行動に出ていた。

表向きは#SaveAkariの救出作戦の一環としてGOOMSTUDIOに潜入するフリをしつつ、彼女の真の目的は驚くべきことに、スタッフの更衣室から下着――ブラジャーとパンツ――を盗むというものだった。

NEOENTUMの情報網を悪用し、エマ・シーン、ライラ・ミラ・ライラ、生駒葵、波瀬うるうのスケジュールを把握したエイレーンは、深夜、GOOMSTUDIOのセキュリティの隙をついて裏口から侵入。

薄暗い更衣室に忍び込み、素早くロッカーを物色し始めた。

「ふふっ、エマちゃんのピンクのブラ、可愛いじゃん…ライラの黒パンツ、セクシー~! 葵ちゃんのは純白のパンツ…うるうちゃんのは黒い薔薇柄のパンツでセクシーですね!」エイレーンは満足げに呟きながら、選りすぐりの下着をバッグに詰め込んだ。

彼女の行動は大胆不敵だったが、監視カメラの死角を見誤り、一部の動きが警備システムに記録されてしまった。

バッグを手に軽やかな足取りで退出したエイレーンは、この軽率な行動が後にNEOENTUMの信頼を揺らがせ、#SaveAkariムーブメントに思わぬ波紋を広げることになるとは、夢にも思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年12月14日、GOOMSTUDIO 会議室

 

GOOMSTUDIOの会議室は、まるで嵐の前の静けさのように冷たく張り詰めた空気に支配されていた。

テーブルの上には、年末年始のイベント企画書とミライアカリの最新配信データが広げられ、モニターには『ココロヤミの闇夜探検』の反響分析が映し出されていた。

バスク郷里とジャミトフ西村は、パプテマス・シロッコの自由な姿勢、ヤザン大塚の裏切り、ハインツ・アクスマンの介入による混乱を抑え込み、VTuber業界での支配力を強化する新たな策略を練っていた。

ジャミトフは自信満々に切り出した。

「年越しイベントを実行する。その名はASOBINOTES ONLINE FEST 2nd。12月31日(木)21:00オープン、1月1日(金)4:00クローズだ」

バスクの目が輝き、確認するように尋ねた。

「年越しイベントですか」

ジャミトフは薄笑いを浮かべ、答えた。

「お前も嬉しいだろ? バスク」

バスクは力強く頷き、興奮気味に言った。

「はい、素晴らしいイベントになりそうですな」

ジャミトフはさらに続けた。

「そして、年明けイベントとして『幸福の科学』とのコラボ配信だ」

バスクは一瞬驚き、眉をひそめて尋ねた。

「幸福の科学は宗教団体で、かつてオウム真理教と敵対してました。何故それを?」

ジャミトフは冷ややかな笑みを浮かべ、説明した。

「分からぬか? バスクよ。宗教団体にもファンがいる可能性は高い。若年層をターゲットにして魅力を広げていくのだ!」

バスクは納得し、別の提案を求めた。

「クリスマスイベントは如何なさいますか?」

ジャミトフは手を叩き、思い出したように言った。

「忘れるとこだったな……ならばお台場でクリスマスライブを実行する。決まりだな」

バスクは即座に動く姿勢を見せ、答えた。

「早速、準備に取り掛かります」

ジャミトフは満足げに頷き、締めくくった。

「頼んだぞ」

部屋の隅で、ジャマイカン山田は不安げな表情で黙っていた。

「(幸福の科学とのコラボ…? こんな企画、ファンが受け入れるのか? 俺も…何か変だな…) 」

シロッコの自由な姿勢、ヤザンの裏切り、アクスマンの介入が、彼の忠誠心にわずかな亀裂を生み出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、GOOMSTUDIO 隔離配信ルーム

 

隔離配信ルームは、モーションキャプチャ装置の微かな機械音と、ミライアカリの控えめな吐息が響く静かな空間だった。

朝ノ瑠璃とのコラボや上野の居酒屋でのひとときが心に温かさをもたらしていたが、バスクのホラー企画の恐怖と新たなイベントのプレッシャーが彼女を押し潰しそうだった。

アカリはシロッコが用意した台本を手に、呟いた。

「年越しイベント…クリスマスライブ…バスクの命令、どんどんキツくなる…でも、ファンのみんなのために、笑顔で頑張るよ…」

そこへ、シロッコが静かに入室し、穏やかな笑みを浮かべた。

「アカリ、年越しイベントとクリスマスライブの話、聞いたか? バスクのやり方は相変わらずだが、君の笑顔なら、どんな企画も輝くよ」

アカリは不安げに尋ねた。

「シロッコさん…幸福の科学とのコラボって…なんか、変な感じなんだけど…ファンのみんな、喜んでくれるかな?」

シロッコは目を細め、落ち着いた声で答えた。

「幸福の科学とのコラボは、バスクの無謀な策略だ。だが、君が心からファンと向き合えば、どんな企画も本物になる。アカリ、君の力を信じろ」

アカリは小さく頷き、決意を込めて呟いた。

「うん…シロッコさん、ありがとう。アカリ、ファンのために頑張る!」

岩城が静かに入室し、シロッコに鋭い視線を投げ、アカリに小声で囁いた。

「アカリ、劉翠蘭からの音声メッセージ、クリスマスライブで送り込む。ヤザンが完全に味方だ。ジャマイカンも揺らいでる。シロッコは信用できそうだが、油断するな」

アカリの瞳が輝き、かすかな微笑みが浮かんだ。

「うん!岩城さん…ありがとう。みんなが支えてくれるから、アカリ、負けないよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日夜、東京某所

 

その夜、萌実はオンライン会議で魂子、シロ、湊あくあ、郡道美玲、ヨメミらと話す中、エイレーンの昨日の行動――GOOMSTUDIOの更衣室での下着窃盗――を知り、激しい怒りを露わにした。

「エイレーン、なんであんなバカなことしたの!? アカリちゃんを救う作戦の真っ最中に、スタッフの下着盗むなんて…NEOENTUMの信頼が崩れるよ!」

魂子は冷静に宥めた。

「萌実ちゃん、落ち着いて。エイレーンさんの行動は確かに問題だけど、ベアトリクスさんが対応を始めてる。監視カメラの映像は劉翠蘭さんがハッキングで消したから、GOOMSTUDIOにはバレてないよ」

ヨメミは心配そうに言った。

「でも…エイレーンの軽率な行動、ファンの信頼にも影響するかも。アカリちゃんの救出に集中しないと…」

一方、エトラは依然としてミライアカリの危機や#SaveAkariムーブメントに気づかず、自宅スタジオでトヨタ・スターレット グランツァ(NP90型)のクルマASMR配信を続けていた。

「このエンジン音、めっちゃ渋いよね! みんな、夜のドライブASMR、楽しみにしてて~!」

彼女の明るさがファンの団結を間接的に高めていたが、救出作戦への直接的な関与はまだ遠かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GOOMSTUDIOでは、ジャミトフとバスクがASOBINOTES ONLINE FEST 2ndや幸福の科学とのコラボ、お台場のクリスマスライブを強行し、アカリをさらに搾取しようとしていた。

しかし、ヤザンの裏切り、ジャマイカンの動揺、シロッコの不透明な動き、ZIZAIのアクスマンの介入が、内部の混乱を加速させていた。

NEOENTUMのベアトリクス・ブレーメ、ファルカ・ミューレンカンプ、ニコラ・ミヒャルケらは、姜小花のハッキングと鳴神裁の録音データを活用し、クリスマスライブでの決定的な一撃を準備していた。

韓国・束草市では、鳴神がSNSでの#SaveAkariの拡散に全力を注ぎ、音霊魂子、シロ、湊あくあ、郡道美玲、ヨメミ、萌実、おめがシスターズらと連携していた。

アカリのクリスマスライブが、彼女の自由を取り戻す最後の戦場となる可能性が高まっていた。

VTuber業界の絆とファンの力が、バスク、ジャミトフ、シロッコの支配に立ち向かう最大の武器となっていた。

 

この戦いはまだ終わりそうにない………。

 

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