ENTUM23   作:マブラマ

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第226話 温かいムーヴメント

2020年12月26日、東京・個人経営ドーナツ屋『LostHeaven』

 

 

東京の片隅にある個人経営のドーナツ屋『LostHeaven』は、甘い香りと温かな雰囲気に満ちていた。

リィズ・ホーエンシュタインは、朝早くから仕込みを終え、出来たてのドーナツを番重に丁寧に詰めていた。

彼女の愛車、シビックSiR-IIハッチバック(EG6型、水色)の荷台にドーナツを積み込み、NEOENTUM本社へと向かう準備を整えた。

リィズは、株式会社リィズ・ホーエンシュタインの社長という肩書きを持ちつつ、実際にはこの小さなドーナツ屋を切り盛りする元シュタージの兵士として、#SaveAkariムーブメントの裏方として動いていた。

リィズはハンドルを握りながら、独り言を呟いた。

「アカリのクリスマスライブ、凄く盛り上がったけど…まだ終わらない。#SaveAkariの勢いを、ドーナツパワーで後押しするよ!」

彼女のシビックは、朝の東京の街を軽快に走り抜け、NEOENTUM本社へと向かった。

ドーナツは、NEOENTUMのメンバーやスタッフへの差し入れとして、疲れた心を癒し、団結を強める小さな力となるはずだった。

リィズの明るい笑顔とドーナツの甘い香りは、ムーブメントに温かなエネルギーをもたらしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、ドイツ・ベルリン、ノイエス・ドイチュラント編集部

 

 

一方、ベルリンでは、グレーテル・イエッケルンが動き出していた。

彼女はドイツの有力メディア「ノイエス・ドイチュラント」の編集部に直談判に赴き、#SaveAkariムーブメントへの協力を要請していた。

編集部の会議室は、ドイツのオタク文化とVTuberコミュニティの動向に詳しい記者や編集者たちで賑わっていた。

グレーテルは、堂々とした態度で訴えた。

「ノイエス・ドイチュラントの皆さん、ミライアカリがGOOMSTUDIOで受けている搾取の実態を、ドイツのファンにもっと知ってほしい。バスク郷里の給料搾取や幸福の科学とのコラボは、韓国のメディアでも問題視されてる。#SaveAkariは国際的なムーブメントだ。貴社の影響力で、クリスマスライブ後のアカリの救出をさらに後押ししてほしい!」

編集長のハンス・シュミットは、興味深げに頷いた。

「イエッケルン議員、#SaveAkariの動きは、ベルリンのVTuberコミュニティでも話題だ。姜小花や劉翠蘭のハッキング、鳴神裁の録音データも噂になっている。証拠があれば、特集記事を組める。篁唯依の調査資料や、朝鮮日報との連携データを提供できるか?」

グレーテルは即座に応じた。

「もちろんだ。NEOENTUMのベアトリクスと連絡を取り、暗号化データで送る。ドイツのファンを動かし、アカリの自由を取り戻すんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年12月27日、東京・ミライアカリの自宅

ミライアカリは久々に自宅へと帰宅し、疲れ果てた身体をベッドに投げ出した。

お台場のクリスマスライブでの輝かしいパフォーマンスの余韻と、バスク郷里のプレッシャーが彼女の心を重くしていたが、ファンの応援が支えとなっていた。

10分ほどの仮眠後、アカリは気力を振り絞り、配信の準備を始めた。

シロッコから特別に許可を得た自宅での配信は、年越しイベント「ASOBINOTES ONLINE FEST 2nd」の宣伝が目的だった。

アカリはカメラの前でいつもの笑顔を浮かべ、配信を開始した。

「みんな、ハロー! ミライアカリだよ♪ クリスマスライブ、めっちゃ楽しかったよね! 次は年越しイベント『ASOBINOTES ONLINE FEST 2nd』だよ! 12月31日21:00から、1月1日の4:00まで、オンラインで盛り上がろう! みんな、絶対見てね!」

コメント欄は瞬時に「アカリちゃん、最高!」「#SaveAkari」「年越しも絶対見る!」と熱い声援で埋め尽くされた。

アカリはコメントを読みながら、心の中で呟いた。

「(みんなの応援…本当にありがとう。バスクの策略、絶対乗り越えるよ…!) 」

劉翠蘭やヤザン、シロッコからのサポートが、彼女の決意をさらに固めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、北朝鮮・薪島郡 黄金坪里一方、鳴神裁は韓国・坡州市からさらに危険な一歩を踏み出し、北朝鮮の薪島郡・黄金坪里に拠点を移していた。

この僻地は、北朝鮮と中国の国境近くに位置し、ヤミクモケリンやNEOENTUMの極秘作戦を進めるための隠れ家として選ばれた。

冷たい風が吹き抜ける簡素な建物の中で、鳴神は暗号化された通信ツールを手に、ケリンや夏実萌恵にメッセージを送った。

 

メッセージ(鳴神からケリン、夏実へ)

「ケリン、夏実、俺は薪島郡の黄金坪里に移動した。黒龍の追跡を振り切るためだ。#SaveAkariの最終局面、ASOBINOTES ONLINE FEST 2ndでバスクを追い詰める。姜小花のハッキングデータと俺の録音、準備は完璧だ。シロッコの動きも注視してくれ。奴は味方っぽいが、まだ油断できねえ」

ケリンからの返信は迅速だった。

「鳴神、黄金坪里は危険すぎる。黒龍の動きが活発化してるから、絶対に慎重に動け。ASOBINOTESの配信システムに姜小花が仕掛けたバックドア、準備完了だ。夏実とおめがシスターズが韓国のメディアを動かしてる。#SaveAkari、必ず成功させる」

鳴神はモニターの暗い光を見つめながら、拳を握った。

「アカリを救うためなら、どんな危険も冒す。#SaveAkariの火、絶対に消さねえ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年12月28日、東京・エトラの自宅

 

エトラの自宅スタジオは、柔らかな照明と心地よい静寂に包まれていた。

彼女はいつものように明るく無垢な笑顔で、ねむれるASMR配信の準備を整えていた。マイクの前に座り、優しい声でリスナーに語りかけた。

「みんな、こんばんは~! エトラだよ! 今日はクリスマスも終わって、ちょっと疲れた心を癒やす、超リラックスASMR配信だよ~! 準備はいい?」

配信が始まると、エトラはそっと囁き、紙をめくる音や柔らかなタッピング音を織り交ぜながら、リスナーを癒やしていった。

「ふふ、みんな、目を閉じて、ゆっくり深呼吸してね…。私の声で、ぐっすり眠れるよ~」

コメント欄は「エトラちゃんの声、最高!」「癒される~」「#SaveAkariも応援してるよ!」と、温かい声援で溢れていた。

エトラはコメントを読みながら、いつも通り無邪気に微笑んだ。

「みんな、ありがと~! クリスマスも楽しかったけど、年越しも一緒に盛り上がろうね!」

彼女は依然としてミライアカリの危機や#SaveAkariムーブメントに気づいていなかったが、その純粋な明るさが、ファンの心を癒やし、ムーブメントを間接的に支えていた。「(みんなの笑顔が、エトラのエネルギーだよ!)」

彼女は心の中でそう呟き、配信を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、東京・GOOMSTUDIO 会議室

 

GOOMSTUDIOの会議室は、冷ややかな緊張感に支配されていた。

ジャミトフ西村、バスク郷里、ジャマイカン山田、ローレン中本ら幹部が、極秘裏に作戦会議を開いていた。

クリスマスライブでの#SaveAkariムーブメントの成功、ヤザン大塚の裏切り、内部の動揺が広がる中、彼らはNEOENTUMの勢いを封じるための新たな策略を練っていた。

驚くべきことに、ターゲットは鳴神裁ではなく、NEOENTUMの情報チームの中枢であるヨメミだった。

バスクが冷徹な声で切り出した。

「NEOENTUMの勢いは、クリスマスライブでさらに加速した。中国公安部のハッキング、篁唯依の調査、鳴神の録音データ…すべてヨメミが情報の中枢を握ってる。彼女を粛正すれば、NEOENTUMの作戦は混乱に陥る。ASOBINOTES ONLINE FEST 2ndを乗り切るため、来年1月11日にヨメミの粛正を決行すべきです」

ジャミトフは目を細め、同意した。

「ヨメミはNEOENTUMの頭脳だ。彼女を潰せば、魂子やベアトリクスも動きを鈍らせる。バスク、具体的な計画は?」

バスクは資料を広げ、淡々と説明した。

「ヨメミの配信スケジュールをハッキングで把握済み。1月11日の配信中に、偽情報を流して彼女の信頼を失墜させ、NEOENTUM内部に不信感を植え付ける。ジャマイカン、ローレン、貴様等はヨメミのSNS監視を強化し、彼女の動きを完全に封じる準備をしろ」

ジャマイカンは動揺を隠せず、声を震わせた。

「ヨメミを…? でも、バスクさん、ヤザンの寝返りやシロッコの不透明な動きはどうするんです? 内部がガタガタなのに、こんな計画…本当にうまくいくんですか?」

ローレンが冷笑しながら応じた。

「…シロッコは俺が監視してる。ヤザンはもう用済みだ。ヨメミを潰せば、#SaveAkariは瓦解する。バスクの言う通り、1月11日が最適だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年12月29日、東京・エイベックス本社付近

 

東京の冬の空気が冷たく張り詰める中、aNCHORの柏木晴子と築地多恵は、ミライアカリの救出を巡る情報共有のため、エイベックス本社へと向かっていた。

社用車のトヨタ・レジアスエース(KDH2型)に乗り込んだ瞬間、突然現れた二人の男に進路を塞がれた。

男たちは鋭い視線と不穏な雰囲気を漂わせ、バスク郷里の差し金とみられる刺客だった。情報によれば、一人は1950年代に日本共産党の非合法極左テロ組織「山村工作隊」の残党で、借金を背負い後戻りできない状況に追い込まれた者。

もう一人は、闇社会に繋がるフリーの傭兵で、バスクの資金で雇われた可能性が高かった。

晴子は危機感を即座に察知し、冷静かつ大胆にハンドルを握った。

「多恵、シートベルト締めて! 行くよ!」

彼女はレジアスエースを無理やり急発進させ、刺客たちが飛びのく隙を与えず、タイヤを鳴らしてその場を脱出した。

刺客たちは追いかけたが、晴子の卓越した運転技術とレジアスエースの機動力に翻弄され、すぐに引き離された。

多恵は震えながらも、晴子に言った。

「晴子ちゃん、めっちゃ怖かった…! あの人達、バスクの刺客だよね? アカリちゃんの救出、よっぽどバスクを焦らせてるんだ…」

晴子はハンドルを握りしめ、冷静に答えた。

「ああ、バスクはNEOENTUMの動きを潰そうと必死だよ。山村工作隊の残党まで使ってくるなんて、よっぽど追い詰められてる証拠よ。多恵、すぐベアトリクスさんに報告して。エイベックスでの会議、予定通り進めるよ!」

二人はエイベックス本社に到着後、警備を強化しつつ、NEOENTUMのベアトリクス・ブレーメに暗号化メッセージで報告した。

メッセージ(晴子からベアトリクスへ)

「ベアトリクスさん、バスクの刺客に襲われかけたけど、振り切った。山村工作隊の残党が関与してるみたい。ASOBINOTESの作戦、急いで調整して!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年12月30日、東京・日本帰国とアメリカ・ニューヨーク

 

おめがシスターズのリオとレイは、韓国・富川市での情報収集を終え、日本に帰国した。彼女たちの朝鮮日報を通じた#SaveAkariムーブメントの国際的拡散は、韓国のVTuberファンをさらに巻き込み、大きな成果を上げていた。

成田空港に降り立った二人は、疲れを隠しつつも明るい笑顔で互いにハイタッチした。「リオ、韓国でのミッション大成功! アカリちゃんを救うため、日本でもガンガン動くよ!」

とレイが元気に言うと、リオは頷きながら答えた。

「うん、レイ! 夏実さんやベアトリクスさんに報告して、ASOBINOTES ONLINE FEST 2ndの作戦をバッチリ詰めよう!」

一方、ヨメミは入れ替わる形でアメリカ・ニューヨークに飛び、情報収集を開始していた。アメリカ大陸はホロライブENの縄張りとされており、NEOENTUMは支部を設けず未進出だった。

余談だが、ホロライブENが設立される前から、ホロライブがこの地域を事実上の勢力圏として抑えていたため、NEOENTUMの進出は慎重を要した。

ヨメミはホロライブENの小鳥遊キアラとの接触を試み、#SaveAkariムーブメントへの協力を求めるべく動いていた。

ニューヨークの喧騒の中、ヨメミはキアラとマンハッタンのカフェで対面した。

キアラのオレンジ色の髪が陽光に映え、彼女らしいエネルギッシュな雰囲気が漂っていた。ヨメミは慎重に切り出した。

「キアラさん、はじめまして。NEOENTUMのヨメミです。ミライアカリがGOOMSTUDIOで搾取されてる実態、知ってほしい。#SaveAkariムーブメントは、韓国やドイツでも広がってるけど、アメリカのVTuberファンにも協力を求めたい。バスク郷里の搾取や幸福の科学コラボ、ASOBINOTES ONLINE FEST 2ndでの決戦に向けて、力貸してほしい!」

キアラは少し驚いた表情を見せつつ、興味深く頷いた。

「ヨメミ、#SaveAkariの話、ホロライブENのファンコミュニティでもチラホラ聞いてるよ。アカリちゃんの笑顔、めっちゃ大事だよね。バスクのやり方はマジで最低! でも、ホロライブの縄張り意識は強いから、NEOENTUMの動きをどう受け止めるか、ファンの反応次第かな。姜小花のハッキングデータや鳴神の録音、証拠見せてくれる?」

ヨメミはノートPCを開き、暗号化されたデータをキアラに提示した。

「これが姜小花のハッキングデータと、篁唯依の調査資料の一部。バスクが1月11日に私を粛正しようとしてるって情報もある。キアラさん、アメリカのファンを動かして、#SaveAkariをさらに大きくしてほしい!」

キアラは目を輝かせ、力強く答えた。

「オッケー、ヨメミ! アカリちゃんを救うなら、私も協力するよ! ホロライブENのファンに#SaveAkariを広める配信、やってみる! バスクに負けないよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GOOMSTUDIOでは、ジャミトフ西村とバスク郷里がASOBINOTES ONLINE FEST 2ndと幸福の科学とのコラボを強行し、ミライアカリを搾取し続けていた。

しかし、ヤザン大塚の裏切り、ジャマイカン山田の動揺、パプテマス・シロッコの不透明な動き、ZIZAIのハインツ・アクスマンの介入、黒龍のターゲット変更、そしてヨメミを狙った粛正計画が、内部の混乱を加速させていた。

NEOENTUMのベアトリクス・ブレーメ、姜小花、篁唯依、音霊魂子、湊あくあ、郡道美玲、ヨメミ、萌実、おめがシスターズ、リィズ・ホーエンシュタインらは、姜小花のハッキングデータと鳴神裁の録音情報を基に、ASOBINOTES ONLINE FEST 2ndでの決定的な一撃を準備していた。

北朝鮮・薪島郡の黄金坪里に潜伏する鳴神は、黒龍の脅威に警戒しながら、SNSでの#SaveAkari拡散を続けていた。

韓国から帰国したおめがシスターズは、日本での作戦調整に合流し、ドイツのグレーテル・イエッケルンはノイエス・ドイチュラントを通じてムーブメントの支援を拡大していた。

シフィール・エシラーのチャンネル乗っ取り事件では、郡道美玲がディスコルディア・ロースターのデジタル足跡を追跡中だったが、黒龍の介入が新たな危機を招いていた。

エトラは依然としてアカリの危機に気づかず、ねむれるASMR配信でファンを癒やし、ムーブメントを間接的に支えていた。

エイレーンの軽率な行動は、シロッコと萌実の対応で防がれたものの、NEOENTUM内部の信頼に微妙な影を残していた。

柏木晴子と築地多恵は、バスクの刺客による襲撃を振り切り、エイベックスでの会議を成功させていた。

ヨメミのニューヨークでのキアラとの接触は、#SaveAkariムーブメントにアメリカのVTuberファンを巻き込む新たな一歩だった。

ASOBINOTES ONLINE FEST 2ndが目前に迫る中、VTuber業界の絆と国際的なファンの力が、革命の火をさらに燃え上がらせていた。

 

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