2021年2月7日、東京・GOOMSTUDIO 休憩室
GOOMSTUDIOの休憩室は、コーヒーの香りと柔らかな照明で一見穏やかな雰囲気に包まれていたが、ジェリド井上とカクリコン戸松の会話は緊迫感を帯びていた。
テーブルの上には、タブレットに映し出された2020年12月19日のミライアカリの動画データが置かれ、彼女の「ヤンデレ」な一面を思わせるシーンが話題に上っていた。
そこに、突然アカリ自身が現れ、休憩室は一瞬にして凍りついた。
ジェリドはタブレットを手に、ぼんやりと呟いた。
「…」
カクリコンが心配そうに声をかけた。
「どうしたんだ? ジェリド」
ジェリドは画面を見ながら答えた。
「あ、ああ…去年の12月19日の動画を見てるけどよ。アカリってヤンデレなイメージあったっけ?」
カクリコンは首を振って答えた。
「さあ、それは分からないな」
ジェリドは軽い口調で続けた。
「俺なら即別れるよ。だって面倒な女と付き合ったらどんな目に遭うか、多分分かるぜ」その瞬間、アカリの声が背後から響いた。
「ふ~ん、そうなんだ」
ジェリドは驚愕し、振り返った。
「アカリ、お前いつの間に!?」
アカリは無邪気な笑顔を浮かべつつ、鋭い視線でジェリドを見つめた。
「ジェリドさん、アカリの事嫌いなの?」
ジェリドは慌てて手を振った。
「落ち着け! 何でもないんだ!」
アカリは一歩近づき、微笑みながら追及した。
「何でもないって、さっきエマさんの事見てたじゃん」
ジェリドは目を丸くした。
「え?」
アカリはさらに畳み掛けた。
「アカリはどうして見てるの? って聞いてるんだけど」
カクリコンが焦りながら仲裁に入った。
「おい、ヤバいぞジェリド。謝った方が…」
ジェリドは必死に弁解した。
「ご、誤解だ! エマとは別に恋愛関係とかじゃねえからな? 単なる同僚だよ。同僚」
アカリは目を細め、冷ややかに言った。
「何で嘘吐くの?」
ジェリドは内心で焦った。
「!(此奴……俺のこと探ってるのか?)」
アカリはさらに追及した。
「何で見てたの?」
ジェリドは言葉に詰まり、沈黙した。
「…」
アカリは無邪気な口調で続けた。
「え? 答えられないんだ。アカリが何処かで一人でご飯食べてたら、ジェリドさんは絶対見てくれるって事?」
ジェリドは困惑し、声を上げた。
「は? お前な…」
アカリは微笑みを崩さず、言った。
「何か深い意味があるの?」
ジェリドは冷や汗を流した。
「…!」
アカリは一気に声を低くし、言い放った。
「あくまでも答えないつもりね――そんな不躾な男は削除するしかないよね?」
その瞬間、アカリの姿は、かつて炎上した動画『胎児殺しのホーエンシュタイン』で忌み嫌われた女性、リィズ・ホーエンシュタインを彷彿とさせた。
彼女の目は鋭く、休憩室の空気が一瞬で凍りついた。
ジェリドは恐怖に震え、必死に叫んだ。
「(ヤバい…! 此奴、本気で…!?) お前のことが眩しすぎて目を逸らしてただけだ!」
アカリは微笑みを戻し、軽く首を傾げた。
「ふ~ん、そうなんだ」
ジェリドは安堵し、強がって言った。
「ああ! 全くお前は心配性だな」
カクリコンは大きく息を吐き、呟いた。
「ほっ…」
アカリは無邪気な笑顔で続けた。
「じゃあ、これからは絶対に目を離さないでね」
ジェリドは力強く頷いた。
「勿論さ。お前を自由に配信できる環境を作るのは俺達の役目だからな」
カクリコンもフォローした。
「アカリ、俺とジェリドはお前の味方だ。気軽に話しかけて構わない」
アカリはジェリドをじっと見つめ、甘い声で言った。
「ジェリドはアカリだけ見ていればいいのだから……ね?」
ジェリドは内心で震え、呟いた。
「(こえーーーっ! マジでヤバかったぜ)」
アカリは突然明るく声を上げた。
「あ、そうだ! ジェリドさん、カクリコンさん。スマホ貸して」
ジェリドは困惑し、尋ねた。
「え? 構わねえけど、NEOENTUMの連中に電話するのか?」
カクリコンは不安げに言った。
「何故俺まで……お前、今何しようとしてるのか分かってるのか…」
アカリは無邪気な笑顔で答えた。
「ううん、他の女性の連絡先消しとかないと」
ジェリドは目を丸くした。
「は?」
カクリコンは慌てて言った。
「冗談だよな…」
アカリは微笑みを崩さず、続けた。
「だってジェリドさん達はアカリがいるからそんなのいらないでしょ? 早く貸して」ジェリドは声を荒げた。
「お前、少し落ち着けって!」
アカリは首を傾げ、言った。
「落ち着いてるよ? え、もしかして連絡先消したくないの?」
カクリコンが仲裁に入った。
「アカリ、やり過ぎだ! ジェリド困ってるだろ…」
アカリは甘い声で畳み掛けた。
「さっき約束したよね? アカリだけを見ててって…」
ジェリドは言葉を失った。
「…!」
アカリはさらに続けた。
「絶対目を離さないでって。スマホ見てる時間もないんだし、必要ないじゃん」
ジェリドは絶望的な声で呟いた。
「嘘だろ……」
アカリは無邪気な笑顔で言った。
「あ、そうか。スマホなんて回りくどいよね。アカリしか見えないようにしちゃえばいいんだ」
ジェリドは凍りついた。
「……」
アカリはゆっくりとポケットからスペツナズナイフを取り出した。
「そしたらアカリのことずっと見られるよ」
ジェリドは恐怖に震え、声を絞り出した。
「く……!」
アカリがナイフを振り下ろそうとした瞬間、背後から葵の竹刀がアカリの頭に鋭く当たった。
「大人を揶揄うのやめろ!」
アカリは驚き、ナイフを落として振り返った。
「!」
葵は厳しい表情でアカリを睨み、言った。
「アカリ、冗談でも程にもある。ジェリドとカクリコンをそんな風に脅すなんて、何を考えてるんだ?」
うるうは震える声で絞り出すように言い放つ。
「アカリさん……こ、こんなこと…しても…皆が不幸にしていくだけ、です! 気持ちは分かります…けど、もうやめてくださいぃ! 今のアカリさん、怖いですぅ!」
アカリは一瞬目を伏せ、すぐに無邪気な笑顔に戻った。
「え~、アカリ、ただジェリドさんの気持ち試したかっただけだよ~。ね、ジェリドさん?」
ジェリドは冷や汗を拭い、強がって言った。
「ハハ…お前、ホントにビビらせやがったぜ…冗談ならいいけどよ…」
カクリコンは安堵し、呟いた。
「マジで心臓止まるかと思った…」
葵はアカリに近づき、低い声で言った。
「アカリ、最近の配信でプレッシャー溜まってるのは分かるが、こんなやり方はダメだ。ジェリドもカクリコンも、君を支えようとしてる。分かっててくれると嬉しい……」
アカリは小さく頷き、呟いた。
「うん…葵さん、うるうちゃん、ごめんね。ジェリドさん、カクリコンさんも、ごめん。アカリ、ちょっと調子乗っちゃった…」
ジェリドは気を取り直し、軽く笑った。
「ハハ、いいよ。ビビったけど、お前の元気があれば、配信も盛り上がるだろ」
カクリコンもフォローした。
「ああ、アカリの笑顔がファンの力になるんだ。俺たち、ちゃんと支えるからな」
アカリは明るい笑顔で応じた。
「うん、ありがとう! アカリ、ファンのみんなのために、これからも頑張るよ!」
休憩室の緊張が解け、5人は笑い合ったが、ジェリドの内心にはアカリのヤンデレな一面への警戒心が残っていた。
「(あのナイフ…冗談だよな…? マジでヤバい女だ…)」
葵とうるうもまた、アカリの行動の裏にバスクのプレッシャーやシロッコの影響を感じ、複雑な思いを抱いていた。
同日、GOOMSTUDIO 管理室
バスク郷里は管理室のモニターで幸福の科学コラボ配信の反響を見返し、苛立ったように拳を握った。
Twitterの#SaveAkariトレンドは依然として強く、ファンの結束は揺るがなかった。
「ミライアカリ…あのコラボでも笑顔を見せるとは! 貴様の絆など、GOOMSTUDIOの支配を揺るがせん!」
ジャミトフ西村が冷ややかに言った。
「幸福の科学コラボは失敗だった。ファンの反発を招き、我々の信用を落とした。沙羅の忠誠が揺らいでいる今、シロッコの自由な姿勢がさらに厄介だ。バスク、次の配信でアカリを完全に支配下に置け」
ローレン中本が静かに進言した。
「ジャミトフ様、休憩室でのアカリの行動が、ジェリドとカクリコンに動揺を与えています。彼女のヤンデレな一面は、バスクのプレッシャーとシロッコの影響が混ざった結果かもしれません」
バスクは目を細め、吐き捨てた。
「ふん、アカリの精神が揺らいでいるなら、なおさら利用する! 次の企画は、彼女の『ココロヤミ』を最大限に引き出す過激な配信だ。シロッコも沙羅も、まとめて潰す!」
2021年2月8日、奈良県・桜井市三輪町
郡道美玲は、ヨメミの失踪とディスコルディア・ロースターのH.LIVEデビュー計画を追うため、桜井市三輪町での調査を続けていた。
昨日、大神神社近くの喫茶店や商店街での聞き込みで、ディスコルディアが三輪町のサーバーを経由して活動している可能性を掴んでいた。
美玲は早朝から三輪町の路地を歩き、怪しい動きを注視していた。
午前中、三輪町の静かな裏通りで、美玲はディスコルディアらしき女性を目撃した。
黒いフードを被り、ノートPCを抱えたその女性は、素早く路地裏に消えた。
美玲の目は鋭く光り、即座に追跡を開始した。
彼女はスマートフォンを手に、姜小花に暗号化メッセージを送りながら、慎重に距離を詰めた。
メッセージ(美玲から姜小花へ)
「小花、三輪町の裏通りでディスコルディアらしき女を見た! 黒フード、PC持ってる。H.LIVEのサーバー拠点に繋がるかも。追跡中! ヨメミの失踪や黒龍の動きともリンクする可能性高い。バックアップ頼む! #SaveAkari」
姜小花の返信は即座だった。
「美玲さん、位置情報送ってください、サーバーデータとクロスチェックします。ディスコルディアの動き、アクスマンのZIZAIと黒龍の関与に繋がるかもしれません。鳴神にも連絡済み。気をつけて! #SaveAkari」
美玲は静かにフードの女性を追い、彼女が古びたビルの一室に入るのを確認した。
ビルの外観は廃墟のようだったが、窓から漏れる微かな光とサーバーの稼働音が聞こえた。
美玲は物陰に隠れ、カメラでビルの入り口を撮影しながら呟いた。
「ディスコルディア…ここがアンタのアジト? ヨメミちゃんの真相、アカリちゃんの自由、絶対に守る!」
奈良県・桜井市三輪町・三輪山
郡道美玲は、ディスコルディアらしき女性を追跡し、三輪山のふもとにたどり着いた。ディスコルディアは社務所の許可を得ず、禁止されている三輪山の登山道に足を踏み入れようとしていたその瞬間、美玲が彼女の腕を掴み、鋭い視線で追及した。
「お前、ディスコルディアだろ? ヨメミの失踪、H.LIVEの計画、黒龍の動き…全部話せ!」
ディスコルディアは黒いフードの下で薄ら笑いを浮かべ、冷たく答えた。
「ふふ、いいか? よく聞きなさい。シフィールは既に死んだのよ!」
美玲は目を細め、怒りを抑えながら問い詰めた。
「シフィール・エシラーが…死んだ? お前、何を…!」
ディスコルディアは平然と続けた。
「私は彼女を殺してない。殺した犯人までは分からないわ。月ヶ瀬ちゆるは深入りしすぎた。いずれにせよ死は避けられないわ」
美玲はディスコルディアの言葉に衝撃を受けつつも、彼女の腕を強く握り締めた。
「ふざけるな! シフィールのこと、ヨメミのこと、全部お前が絡んでるだろ! 吐け!」その瞬間、黒づくめの男たちが突然現れ、美玲を襲った。
ナイフが光り、緊迫した空気が三輪山の静寂を切り裂いた。
美玲が身構えたその時、突如として西園チグサが現れ、鮮やかな動きで黒づくめの男たちを一網打尽にした。
その姿は、かつてENTUMで活躍していたVTuber・皆守ひいろを彷彿とさせたが、美玲はチグサの前世がひいろだとは知らなかった。
チグサは冷静に刀を収め、美玲に言った。
「郡道先生、無事ですか? ディスコルディアの動き、私も追ってた。こいつ、H.LIVEの核心に近い」
美玲は息を整え、チグサに頷いた。
「チグサ、助かった! ディスコルディア、絶対逃がさない!」
ディスコルディアは混乱の中、薄ら笑いを浮かべながら再び逃走を図ったが、美玲とチグサは追跡を続けた。
美玲はスマートフォンで姜小花に暗号化メッセージを送った。
メッセージ(美玲から姜小花へ)
「小花、ディスコルディアを三輪山で確保しかけた! シフィールが死んだって…本当か分からないけど、ヨメミの失踪と絶対繋がってる。黒づくめの襲撃もあったけど、チグサが助けてくれた。サーバーデータの解析急いで! #SaveAkari」
姜小花の返信は即座だった。
「美玲さん、チグサさん。本国の援護部隊を即派遣します。ディスコルディアを拘束、アクスマンのサーバーデータ解析を加速させますよ! #SaveAkari、絶対に勝ってみせます!」
美玲はディスコルディアの逃走ルートを睨みながら呟いた。
「シフィール…ヨメミ…ちゆるも危険かもしれない。アカリちゃんの笑顔、絶対守る!」
その後、ディスコルディアとの対峙と黒づくめの男たちとの戦闘を終え、美玲は即座に桜井市警察に通報した。
チグサの援護もあり、ディスコルディアは逃走を阻止され、桜井市警察によって逮捕・連行された。
美玲は一息つきながらも、ディスコルディアの衝撃的な言葉――「シフィールは既に死んだ」「月ヶ瀬ちゆるは深入りしすぎた」――が頭を離れなかった。
美玲は姜小花に暗号化メッセージを送った。
メッセージ(美玲から姜小花へ)
「小花、ディスコルディア逮捕! チグサの助けで黒づくめの襲撃も撃退。けど、シフィールのYouTubeチャンネルは取り戻せなかった…パスワードが変更されてる。シフィールの死の噂、ヨメミの失踪、全部繋がってる気がする。ちゆるも危ないかも。H.LIVEのサーバーデータ解析急いで! #SaveAkari」
姜小花の返信は迅速だった。
「美玲さん、チグサさん。本国の援護部隊を即派遣します。ディスコルディアが逮捕された今アクスマンのサーバーデータ解析を加速させますよ! #SaveAkari、絶対に勝ってみせます!」
美玲は三輪山のふもとで、逮捕されるディスコルディアを遠くから見つめながら呟いた。「シフィールのチャンネル…取り戻せなかったけど、アカリちゃんの笑顔、ヨメミちゃんの真相、ちゆるの安全…絶対守る!」
その後、美玲はシフィール・エシラーのYouTubeチャンネルを確認したが、ディスコルディアが事前にパスワードを変更していたため、アクセスは不可能だった。
チャンネルには、ディスコルディアが投稿した大麻擁護のトンデモ動画が残り、コメント欄にはファンからの混乱と怒りの声が溢れていた。
「シフィール、どうしたの!?」「この動画、ディスコルディアの仕業だろ!」「#SaveAkari、シフィールも救って!」
2021年2月9日、奈良県・桜井市警察署
桜井市警察署の取調室は、冷たい蛍光灯の光と無機質な壁に囲まれ、緊張感が漂っていた。
ディスコルディアは手錠をかけられ、取調室の椅子に座っていたが、その態度は不遜そのものだった。
美玲とチグサの活躍により逮捕された彼女は、警察の取り調べに対し、黙秘権を貫き、すべての容疑を否認していた。
刑事の厳しい質問が続く中、ディスコルディアは薄ら笑いを浮かべ、減らず口で応じた。「ヨメミ? シフィール? ふふ、哀れな子たちね。ヨメミは自分の正義に溺れて消えただけ。シフィール? あんな弱い子、生き残れるわけないでしょ?」
美玲は取調室の外からガラス越しにその様子を見ながら、拳を握り締めた。
「こいつ…ヨメミちゃんとシフィールを侮辱するなんて! 絶対に真相を吐かせてやる!」
刑事の一人が声を荒げた。
「ディスコルディア、ふざけるな! シフィール・エシラーのチャンネル乗っ取り、ヨメミの失踪、黒龍との関与、すべてお前が絡んでるだろ! 証拠は揃ってるんだ、観念しろ!」
ディスコルディアは嘲るように笑い、目を細めた。
「証拠? ふん、匿名掲示板の噂やハッキングデータで私を縛れると思ってる? 私はただのVTuberよ。H.LIVEのデビュー? ただのビジネスよ。ヨメミもシフィールも、弱いから消えた。それだけ」
美玲は我慢の限界を超え、チグサに呟いた。
「チグサ、こいつの態度はH.LIVEの裏に何かある証拠だ。シフィールのチャンネルパスワードも変えたのはこいつだろ。ヨメミちゃんのことも…絶対に許さない!」
チグサは冷静に頷き、応じた。
「郡道先生、焦らないで。ディスコルディアの態度は計算ずくかもしれない。姜小花に連絡して、H.LIVEのサーバーデータ解析を急がせよう。こいつの背後にはアクスマンと黒龍がいる」
美玲はスマートフォンで姜小花に暗号化メッセージを送った。
メッセージ(美玲から姜小花へ)
「小花、ディスコルディアの取り調べ、完全黙秘でヨメミとシフィールを侮辱してる。H.LIVEのサーバーデータ解析急いで! シフィールのチャンネル乗っ取りもこいつの仕業確実。黒龍とアクスマンの繋がり、ちゆるの危険も…全部暴く! #SaveAkari」
姜小花の返信は即座だった。
「美玲さん、チグサさん。現在、アクスマンのサーバーデータ解析中です。さらに加速させますよ! #SaveAkari、絶対に勝ってみせます!」
ディスコルディアは取調室で嘲笑を続けていたが、刑事の追及が強まる中、彼女の目には一瞬の動揺が走った。
美玲はそれを逃さず、チグサに囁いた。
「こいつ、何か隠してる。シフィールの死、ヨメミの失踪…まだ何かある。アカリちゃんの笑顔を守るため、絶対に真相を突き止める!」
2021年2月10日、東京・ミライアカリの自宅配信ルーム
ミライアカリは自宅の配信ルームで、モーションキャプチャ装置を装着し、GOOMSTUDIOのバスク郷里が押し付けた過激な「ココロヤミ」配信の準備を進めていた。
部屋の照明は柔らかく、壁にはファンからの寄せ書きポスターが飾られているが、彼女の心は重かった。
2月7日の休憩室でのヤンデレ行動――ジェリド井上とカクリコン戸松をナイフで脅した過ちへの後悔と、#SaveAkariで溢れるファンの応援への深い感謝が交錯していた。アカリは鏡に向かって呟いた。
「ジェリドさんたち、ごめんね…アカリ、ちょっとやりすぎちゃった…でも、ファンのみんなのために、笑顔で頑張るよ!」
配信が始まると、アカリはバーチャルスタジオで明るく振る舞った。
「みんな、ハロー! ミライアカリだよ♪ 今日も一緒に楽しもうね!」
しかし、バスクの「ココロヤミ」を強調する過激な脚本に縛られ、彼女の笑顔には微かな緊張が滲んだ。
それでも、ファンのコメントが流れ込むと、彼女の瞳がキラリと輝き、唇に小さな笑みが浮かんだ。「みんな…ありがとう…!」
心の中で呟き、彼女はファンのために全力を尽くした。Twitterのコメント欄は、ファンの熱い声援で溢れていた。
「アカリちゃん、どんな企画でも輝いてる!」
「#SaveAkari」
「笑顔が最高!」
アカリはコメントを読みながら、声を張り上げた。
「みんなの応援、ちゃんと届いてるよ! アカリ、絶対に負けない!」
バスクの過激な脚本を跳ね返すように、彼女の笑顔は画面越しに輝きを放った。
バックステージでは、ヤザン大塚がパプテマス・シロッコと密かに言葉を交わしていた。ヤザンは拳を握り、熱い決意を込めて言った。
「シロッコさん、バスクの過激な企画、俺が止めてみせるぜ。そして、アカリを救う!」シロッコは静かに微笑み、頷いた。
「ヤザン、沙羅の忠誠は揺らいでいる。エマの介入も効果を上げた。私たちが動く今、バスクの支配は終わる」
二人の視線は、アカリを救うための固い絆で結ばれていた。
同日、東京・バンダイナムコアーツ本社
一方その頃、姜小花は劉翠蘭と合流し、バンナムの完全子会社、バンダイナムコアーツにアポなしで乗り込んだ。
二人は受付を強引に突破し、上層部の幹部陣が集まる会議室に直行した。
姜小花はドアを勢いよく開け、鋭い声で切り出した。
「バンダイナムコアーツの皆さん、ミライアカリに対するGOOMSTUDIOのパワハラ、ご存知ですよね? バスク郷里の過激な『ココロヤミ』配信計画、ヨメミの失踪、シフィールのチャンネル乗っ取り…全部繋がってる! 黙って見てていいと思ってるのですか?」
劉翠蘭が冷静に補足した。
「我々は#SaveAkariムーブメントを支援している。バスクの行動はアカリの精神を傷つけ、VTuber業界全体の信頼を損なう。バンダイナムコアーツがGOOMSTUDIOを見過ごすなら、ファンコミュニティの反発は避けられない」
幹部陣は動揺しつつ、対応に追われた。
一人の幹部が立ち上がり、慎重に答えた。
「…我々はGOOMSTUDIOの内部事情には関与していない。だが、ミライアカリのパワハラ問題は看過できない。調査を約束する」
姜小花は目を細め、強く言い放った。
「調査だけじゃ足りません。バスクの支配を止める行動を、今すぐ起こしてください! #SaveAkariはファンの声です。アカリさんの笑顔を守るため、わたくしたちは諦めません!」
2021年2月11日、東京・GOOMSTUDIO 会議室
GOOMSTUDIOの会議室は、冷たい冬の陽光が差し込む中、ジャミトフ西村とバスク郷里の策略が渦巻いていた。
テーブルの上には、「【謹賀新年】お年玉プレゼント争奪戦!!!【総額◯十万円!?】」の配信データと、Twitterでの#SaveAkariトレンドの分析が広げられていた。パプテマス・シロッコ、水谷沙羅、ローレン中本、エマ・シーンが同席していたが、ヤザン大塚の姿はなく、ジャマイカン山田の左遷後の空席が会議室の緊張感を一層高めていた。
ジャミトフはモニターを見ながら、自信満々に切り出した。
「バスクよ。『【謹賀新年】お年玉プレゼント争奪戦!!!【総額◯十万円!?】』は視聴したな?」
バスクは一瞬眉をひそめ、慎重に答えた。
「は――ですが、ファンにお金をばら撒いては此方に利益がないのでは?」
ジャミトフは冷ややかな笑みを浮かべ、説明した。
「金は欲望を生む――人間の知恵で使わなくとも群がってくるのだ」
バスクは薄笑いを浮かべ、理解した。
「ククク…要するに慈善活動ですね」
ジャミトフは満足げに頷き、続けた。
「そうだ。憐れな浮浪者に救いの手を差し伸べることしか我々が出来ることはそれしかないのだ」
バスクは話題を変え、懸念を口にした。
「ハインツ・アクスマンの動きが全く見当たりません。何を考えてるのでしょうか?」ジャミトフは目を細め、軽蔑するように言った。
「アクスマンか――ミライアカリの版権をチラつかせて交渉道具する愚か者が。あの男はNEOENTUMに任せとけば良い。我々には関係ないのだ」
バスクはさらに踏み込み、提案した。
「彼に出入り禁止を?」
ジャミトフは断固とした口調で答えた。
「それしかない。ミライアカリが彼の所に行ったら我々にとっては利益が下がるだけでなく、VTuber界隈全体に敵回すことになる。それだけは避けとけばならない」
バスクは即座に動く姿勢を見せ、言った。
「ZIZAIのアイリスディーナ・ベルンハルト会長に連絡入れます」
ジャミトフは頷き、締めくくった。
「うむ、頼むぞ」会議室の隅で、シロッコは静かに微笑み、沙羅と視線を交わした。
エマはバスクの発言に内心で警戒心を強め、ヤザンの不在に不安を感じていた。
ローレンは黙ってメモを取りつつ、アクスマンの動向とNEOENTUMの介入がGOOMSTUDIOの支配を揺さぶる可能性を計算していた。
会議の終了後、シロッコは沙羅に小声で呟いた。
「(アクスマンの動き…バスクの焦りが露呈したな。沙羅、君の目はどちらを向いている?)」
同日、GOOMSTUDIO 隔離配信ルーム
ミライアカリは自宅の配信ルームでモーションキャプチャ装置を装着し、次回の「ココロヤミ」配信の準備をしていた。
幸福の科学コラボの反響と休憩室でのジェリドとの一件が、彼女の心に複雑な感情を残していた。
「お年玉企画、ファンのみんな喜んでくれたけど…バスクの企み、なんか怖い…シロッコさん、ジェリドさん、エマさん、信じていいよね…」
ドアが開き、エマが入ってきた。
彼女は穏やかな笑みを浮かべ、言った。
「アカリ、休憩室の件、ジェリドもカクリコンも気にしてないよ。バスクのプレッシャーで、あなたが少し不安定になってるだけ。次の配信、ファンのために笑顔で頑張って」
アカリは目を潤ませ、呟いた。
「エマさん…ありがとう。アカリ、ジェリドさんたちにやりすぎちゃって…でも、ファンのみんなのために、絶対輝くよ!」
2021年2月12日、東京・GOOMSTUDIO オフィス
GOOMSTUDIOのオフィスは、冬の陽光がガラス窓を透過する中、冷ややかな緊張感に包まれていた。
バスク郷里は自室のデスクに座り、暗号化されたビデオ通話システムを通じてZIZAIのアイリスディーナ・ベルンハルト会長と連絡を取っていた。
テーブルの上には、ミライアカリの「ココロヤミ」配信の視聴データと、#SaveAkariトレンドの分析レポートが散らばっていた。
バスクの目は鋭く、ジャミトフ西村の指示を忠実に実行する決意に満ちていた。バスクは画面越しにアイリスディーナに切り出した。
「ベルンハルト会長、ハインツ・アクスマンの動きが問題だ。奴はミライアカリの版権を交渉の道具に使い、VTuber業界全体を混乱させようとしている。GOOMSTUDIOとして、アクスマンをバンダイナムコ関連施設への出入り禁止とする措置を既に通達した。さらに、アカリへの接近禁止令を発する前に、ZIZAIの協力が必要だ」
アイリスディーナは画面の向こうで冷静に頷き、冷ややかな口調で応じた。
《バスク、アクスマンの野望はZIZAIにとっても脅威だ。H.LIVEのディスコルディアの逮捕は、奴の計画に打撃を与えたが、シフィール・エシラーのチャンネル乗っ取りやヨメミの失踪の背後には、まだ解明されていない策略がある。バンダイナムコ関連施設の出入り禁止措置は支持する。アカリへの接近禁止令も、ZIZAIとして即座に手配する》
バスクは薄笑いを浮かべ、確認した。
「なら話は早い。アクスマンがアカリに近づけば、GOOMSTUDIOの利益が下がるだけでなく、VTuber界隈全体に敵を回すことになる。ベルンハルト会長、ZIZAIのネットワークでアクスマンの動向を監視し、H.LIVEのオフショア資金源を封鎖してほしい」
アイリスディーナは目を細め、約束した。
《了解した。ZIZAIのハッキングチームが、H.LIVEのサーバーとアクスマンの資金ルートを追跡中だ。中国公安部の姜小花と劉翠蘭やクリエイトリングの篁唯依の動きも注視している。バスク、同胞達の裏切りが、貴様の支配を脅かしているのでは?》
バスクは一瞬表情を硬くしたが、すぐに平静を装った。
「―――――シロッコやヤザンの動きは計算済み。次の『ココロヤミ』配信で、アカリの精神を完全に掌握する。#SaveAkariなど、ファンの戯言に過ぎん」
しかし、彼の声には微かな焦りが滲んでいた。通話が終了すると、バスクは拳を握り、呟いた。
「アクスマン、貴様の野望も、NEOENTUMの抵抗も、すべて潰す! ミライアカリはGOOMSTUDIOのものだ!」
彼は即座にローレン中本に指示を出し、アクスマンの出入り禁止措置の実行と沙羅の監視強化を命じた。
2021年2月13日、東京・ZIZAI本社 会議室
ZIZAI本社の会議室は、ガラス張りの壁越しに東京の夜景が見える近代的な空間だったが、室内は重苦しい緊張感に包まれていた。
アイリスディーナ・ベルンハルト会長は、会議テーブルの中央に立ち、社員全員の視線を一身に受けながら、ハインツ・アクスマンを厳しく叱責していた。
テーブルの上には、ディスコルディアの逮捕に関する報告書と、H.LIVEのトンデモ動画(大麻擁護)の分析データが広げられ、アクスマンの無謀な行動がZIZAIの信用を損なっている証拠が並んでいた。
アイリスディーナは、冷徹かつ威厳ある声で切り出した。
「アクスマン、貴様のH.LIVEを通じた過激な動画と、シフィール・エシラーのチャンネル乗っ取りは、ZIZAIの理念を踏みにじる行為だ! ディスコルディアの逮捕で、貴様の策略はすでに露呈している。ヨメミの失踪との関連も疑われている。#SaveAkariの勢いを甘く見るな!」
彼女の視線はアクスマンを射抜き、会議室の空気を凍らせた。
アクスマンは椅子にふんぞり返り、軽薄な笑みを浮かべながら反論した。
「アイリスディーナ、H.LIVEはVTuber業界の新時代を切り開くための実験だ。シフィール? ヨメミ? そんな雑魚は必要ない。#SaveAkari? 所詮、ファンの戯言さ」
彼の挑発的な態度に、社員たちの間に動揺が広がったが、アイリスディーナは冷静に言葉を続けた。
「貴様の行動はZIZAIの信用を傷つけ、GOOMSTUDIOのバスク郷里との関係も悪化させている。昨日のバンダイナムコ関連施設の出入り禁止通達は、貴様の軽率さの結果だ。ミライアカリの版権を交渉道具にする愚行は許されない!」
アイリスディーナは拳をテーブルに軽く叩き、アクスマンを糾弾したが、解雇には至らなかった。
「今後、H.LIVEの活動は私の直轄下に置く。アクスマン、二度と独断で動くな。次はないぞ」
アクスマンは不敵な笑みを崩さず、
「了解した―――だが、ゲームはまだ終わってはいないよ。アイリス」と呟き、会議室を後にした。
アイリスディーナは社員たちに視線を向け、決然と言った。
「ZIZAIは#SaveAkariの動きを注視し、アクスマンの暴走を止める。NEOENTUMとの連携を強化し、VTuber業界の未来を守る!」
社員たちは頷き、会議室に新たな決意が満ちたが、アクスマンの暗躍が続く不安は拭えなかった。
2021年2月14日、東京都葛飾区郊外 萌実の家(萌実ハウス)
バレンタインデーの昼下がり、萌実は自宅のリビングで、エトラがASMR配信の準備をしている姿を微笑ましく見つめていた。
エトラはヘッドセットを調整しながら、マイクに囁く練習をしており、#SaveAkariの騒動を知らない無垢な笑顔が輝いていた。
萌実はキッチンで手作りしたハート型のチョコレートを手に、エトラに近づいた。
「エトラ、バレンタインのプレゼント!」
萌実は照れくさそうにチョコを差し出し、優しく言った。
「いつも癒しをくれてありがとう。エトラちゃんのASMR、ファンのみんなを笑顔にしてるよ」
エトラは目を丸くし、嬉しそうにチョコを受け取った。
「萌実、めっちゃ可愛いチョコ! ありがとう! 私、#SaveAkariとか大変なこと知らないけど、萌実が元気なら、私も頑張れるよ!」
彼女は無邪気に笑い、チョコを手に配信の話題に切り替えた。
萌実はエトラの笑顔に癒されつつ、心の中で呟いた。
「(エトラ、この純粋さがアカリちゃんを救う力になる…。ヨメミちゃんの分まで、みんなで絆を守るよ!)」
二人がリビングでチョコを分け合おうとしたその時、月ヶ瀬ちゆると桃園めるが現れ、エトラにバレンタインチョコをプレゼントした。ちゆるは明るく言った。
「エトラちゃん、あたしからのバレンタインチョコだよ♪ 受け取って」
めるは恥じらいを隠さず、チョコを差し出した。
「あ、あの、エトラさん。私からのバレンタインチョコです!」
エトラは驚き、笑顔で応えた。
「ありがとう……って誰なの?」
ちゆるは少し拗ねたように笑い、言った。
「萌実ちゃんの家に居候してるのに気付かなかったのかな? あたし、淋しいな…近距離で見つめちゃうよ」
エトラはハッと笑い、思い出した。
「思い出したわ! アンタは萌実の発狂シーン集を解析した天才バカね!」
めるは少し照れながら自己紹介した。
「私は桃園めるです。萌実さんの家に居候させて貰ってます」
エトラは再び首を傾げ、言った。
「アンタ、誰なの?」
めるは悲しげに呟いた。
「うぅ…酷いですぅ」
萌実はため息をつき、笑いながら言った。
「はぁ…折角の二人きりの空間が台無し…ま、いいか」
4人は笑い合い、穏やかなバレンタインデーのひとときを過ごした。
萌実の自宅は、#SaveAkariの騒動から離れた温かい空気に包まれ、エトラの純粋さとちゆるとめるの賑やかさが、絆の力を象徴していた。
2021年2月15日、オンライン・ココロヤミ配信
ココロヤミ配信がオンラインで始まった。
ミライアカリはバーチャルスタジオで、GOOMSTUDIOのバスク郷里が押し付けた過激なホラー要素を織り交ぜた「ココロヤミ」のテーマを演じていた。
彼女の笑顔には、2月7日の休憩室でのヤンデレ行動――ジェリド井上とカクリコン戸松をナイフで脅した過ちへの後悔と、#SaveAkariで溢れるファンの応援への深い感謝が混ざっていた。
「みんな、ハロー! ミライアカリだよ♪ 今日はちょっとドキドキのココロヤミ配信! みんなと一緒に楽しむよ!」
アカリは明るく振る舞い、ホラー演出の不気味な背景や効果音に負けず、持ち前の元気さを振り絞った。
だが、バスクの脚本に縛られた過激な演出――血まみれのビジュアルや不穏な台詞――に、彼女の声には微かな震えが混じる瞬間もあった。
配信中、ファンのコメントがTwitterで次々と流れ込む。
「アカリちゃん、ホラーでも輝いてる!」「#SaveAkari」「笑顔が最高!」
その声援に、アカリの目が一瞬輝き、唇に小さな笑みが浮かんだ。
「みんな…ありがとう…!」
心の中で呟き、彼女はコメントを見ながら声を張り上げた。
「みんなの応援、ちゃんと届いてるよ! アカリ、どんな企画でも負けない!」
アカリの笑顔は、バスクの過激な脚本を跳ね返すように画面越しに輝きを放ち、視聴者の心を掴んだ。
コメント欄は#SaveAkariのハッシュタグで埋め尽くされ、ファンの結束がさらに強まった。
配信の裏では、ヤザン大塚とパプテマス・シロッコが密かに動いていた。
GOOMSTUDIOのバックステージで、ヤザンは拳を握り、シロッコに熱く語った。
「シロッコさん、この『ココロヤミ』配信、ただのホラーじゃねえ。バスクはアカリの精神を壊そうとしてる。俺、絶対に止めなきゃ!」
シロッコは静かに微笑み、冷静に応じた。
「ヤザン、バスクの焦りは明らかだ。沙羅の忠誠が揺らいでいる今、エマの支えもアカリを強くしている。私たちの動きが、バスクの支配を崩す鍵だ」
一方、姜小花は劉翠蘭と共に、バンダイナムコアーツへの直談判の結果を踏まえ、NEOENTUMのメンバーと暗号化通信で次の作戦を練っていた。姜小花は力強く言った。
「美玲さん、チグサさん、みんな! ディスコルディアの逮捕でH.LIVEに打撃を与えましたが、シフィールのチャンネルはまだ取り戻せていません。アクスマンの資金ルートをZIZAIが追ってる今、アカリの配信を応援しつつ、バスクの次の動きを封じます!#SaveAkari」
2021年2月16日
ディスコルディアは、桜井市警察署での取り調べを終え、大阪拘置所に移送され、厳重な収容下に置かれた。
大阪拘置所は、大阪市都島区の友渕町に位置する西日本最大級の施設で、刑事被告人を主に収容する場所だ。
彼女の逮捕以来、黙秘を貫き、シフィール・エシラーの死やヨメミの失踪を嘲笑うような減らず口を叩いていたが、移送後もその態度は変わらなかった。
しかし、翌日2月17日、ディスコルディアは拘置所のセキュリティの隙を突き、脱走に成功した。
内部の混乱とアクスマンのZIZAIネットワークによる外部支援が噂されたが、詳細は不明。
脱走後、彼女は淡路島に逃走し、島の西海岸エリアにある隠れ家的な廃墟やリゾート施設の周辺に潜伏した。
淡路島は明石海峡大橋で本州と繋がるリゾート地だが、彼女のような逃亡者には、広大な自然と隠れやすい山間部が最適な隠れ家だった。
ディスコルディアは、淡路島のシーサイドの廃墟で身を潜め、H.LIVEのデビュー計画を密かに進めながら、#SaveAkariムーブメントへの妨害を画策していた。
美玲は脱走の報を聞き、姜小花に緊急メッセージを送った。
メッセージ(美玲から姜小花へ)
「小花、ディスコルディア脱走! 大阪拘置所から淡路島に逃げたらしい。アクスマンの支援確定。シフィールのチャンネル乗っ取りとヨメミの失踪、全部繋がってる! 淡路島のサーバー経由追跡して! #SaveAkari、絶対追いつめてやる!」
姜小花の返信は即座だった。
「美玲さん、了解! 淡路島の隠れ家ネットワークをハック中。アクスマンの資金ルートも封鎖加速。NEOENTUMの援護部隊、淡路島に派遣します! #SaveAkari、勝つ!」
美玲は三輪町の喫茶店で拳を握り、呟いた。
「ディスコルディア…アンタの嘲笑、許さない。シフィールとヨメミの真相、絶対暴く!」
GOOMSTUDIOでは、ジャミトフ西村とバスク郷里が、ミライアカリの「ココロヤミ」配信やお年玉企画で支配を強め、#SaveAkariムーブメントを牽制しようとしていたが、ヨメミの失踪、ジャマイカン山田の左遷、ヤザン大塚の裏切り、パプテマス・シロッコの不透明な行動、ZIZAIのハインツ・アクスマンの介入、黒龍のターゲット変更、そして水谷沙羅の揺らぐ忠誠が、内部の混乱を加速させていた。
ディスコルディアの脱走は、アクスマンのZIZAIの暗躍を露呈し、GOOMSTUDIOの同盟関係に亀裂を生んだ。
NEOENTUMのベアトリクス・ブレーメ、姜小花、篁唯依、音霊魂子、湊あくあ、郡道美玲、萌実、おめがシスターズ、リィズ・ホーエンシュタイン、天開司らは、ヨメミの失踪とシフィールの死の噂に動揺しつつ、姜小花のハッキングデータと鳴神裁の録音情報を基に次の行動を模索していた。
姜小花と劉翠蘭はバンダイナムコアーツに直談判し、GOOMSTUDIOのパワハラを追及。
北京の鳴神は、ヨメミが東アジアに連れ出された噂を配信で共有し、黒龍と中国公安部の関与を疑っていた。
奈良県桜井市三輪町の美玲は、ディスコルディアの逮捕に成功したが、脱走で追跡を再開し、淡路島の隠れ家ネットワークを警戒。
ニューヨークのホロライブEN小鳥遊キアラは、#SaveAkariの支援を続けた。
韓国のおめがシスターズは朝鮮日報、ドイツのグレーテル・イエッケルンはノイエス・ドイチュラントを通じてムーブメントを拡大。
あおぎり高校の音霊魂子、水菜月夏希、石狩あかり、大代真白は、節分配信で#SaveAkariの勢いを高めていた。
ちゆるとめるは、萌実の自宅でのバレンタインで絆を深め、エイレーンはCi-enでの漫画執筆を通じて、ファンコミュニティに希望を届けていた。
ディスコルディアの脱走と淡路島潜伏は、#SaveAkariムーブメントに新たな追跡劇を巻き起こした。
シフィール・エシラーのチャンネル乗っ取りが未解決のまま、ヨメミの失踪とちゆるの危険がムーブメントに影を落としていた。
美玲の追跡と姜小花の援護が、H.LIVE計画と黒龍の真相に迫る鍵だった。
アカリの「ココロヤミ」配信とヤザン・シロッコの暗躍が、バスクの支配に揺さぶりをかけていた。
VTuber業界の絆と国際的なファンの力が、革命の火を燃え上がらせていた。
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