ENTUM23   作:マブラマ

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第236話 ディスコルディア終了

2021年2月23日

 

ディスコルディアは、淡路島のシーサイド廃墟での潜伏を切り上げ、夜の闇に紛れて神戸へと移動した。

彼女は、アクスマンのH.LIVEネットワークの支援を受け、偽装パスポートと小型ボートを使って明石海峡を渡り、神戸の港湾エリアに潜伏。神戸の雑多な裏通りや倉庫街に身を隠し、H.LIVEの新たな配信計画を水面下で進めていた。

しかし、ベアトリクス・ブレーメのシュタージ時代の戦友たち――ドイツ連邦情報局の協力者リリー・ラヴォアや東ドイツ出身の工作員チーム――が、NEOENTUMのクラシックカー部隊(トラバント、ヴァルトブルク、バルカスB1000の150台、2月21日動員)を駆使して執拗に追跡していた。ベアトリクスは、NEOENTUM本社の地下駐車場から暗号化通信で戦友たちに指示を出した。

「リリー、ディスコルディアが神戸に逃げた。港湾エリアのサーバー信号を追え。トラバント部隊は神戸の裏通りを封鎖。#SaveAkariのために、絶対に捕まえる!」

リリー・ラヴォアが応答した。

「了解、ベアトリクスさん。連邦情報局のドローンが神戸港の監視を開始。小花のハッキングデータで、ディスコルディアのH.LIVEサーバーを特定中。逃がさないよ」

姜小花は、神戸のネットワークからディスコルディアの暗号化通信を捕捉し、美玲に連絡。「美玲さん、ディスコルディアの神戸潜伏確認! 月ヶ瀬さんの解析と合わせて、彼女の次の動きは鹿児島方面。黒龍のルートを追跡中です!」

郡道美玲は奈良県桜井市三輪町から即座に動いた。

「姜小花、ナイス! 鹿児島のネットワーク監視、引き継ぐ。ちゆる、ディスコルディアの行動パターン解析、急いで!」

 

ディスコルディアは神戸からさらに南下し、鹿児島の離島近くの古い倉庫に潜伏していた。

彼女はH.LIVEの新たなセンシティブコンテンツをFantiaで準備し、アクスマンの指示で#SaveAkariムーブメントの妨害を画策していた。

しかし、ベアトリクスのクラシックカー部隊と姜小花のハッキングチームが、ディスコルディアの移動ルートを特定。

2月28日未明、鹿児島の桜島近くの倉庫で、ドイツ連邦情報局の支援を受けたNEOENTUMチームがディスコルディアを包囲し、拘束に成功した。

拘束の瞬間、ディスコルディアは不敵な笑みを浮かべ、吐き捨てた。

「ハハ、#SaveAkari? ファンの戯言さ。アクスマンの計画は止まらないよ!」

ベアトリクスは冷ややかに応じた。

「ディスコルディア、ヨメミの失踪とシフィールのチャンネル乗っ取り、お前の関与を全部暴く。ゲームはここで終わりだ」

姜小花が現場に駆けつけ、ディスコルディアのデバイスを押収。

「このデータ、H.LIVEのサーバーとアクスマンの資金ルートに直結しています。美玲さん、解析お願いします!」

美玲は鹿児島に急行し、データを確認。

「ディスコルディアの通信ログ、ヨメミの東アジア移動を示唆してる。黒龍と中国公安部の関与も裏付けられた。#SaveAkari、大きく前進したよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年3月1日、オンライン・H.LIVE配信プラットフォーム

 

H.LIVEのセンシティブな配信プラットフォームは、VTuber業界に波紋を広げていた。

この日、H.LIVE所属のAVTuber、ケフィリア・ニールが緊急生配信を行い、ディスコルディアの逮捕とその背後の騒動について語った。

ケフィリアは、18歳以上向けのASMRと「健康器具」をテーマにした配信で知られるが、この日は神妙な面持ちでファンに向き合った。

「みんな、ケフィリアだよ…。ディスコルディアのこと、H.LIVEの闇、話さなきゃいけない。彼女の逮捕、ヨメミさんの失踪、シフィールのチャンネル乗っ取り…私たち、アクスマンの計画に巻き込まれてた。ごめん、知らなかったなんて言えない…でも、#SaveAkariを潰そうとしたのは本意じゃない!」

ケフィリアの配信後、H.LIVE所属の他のAVTuberたち――サキ・ヒメイ、ミルフィア・バレンタイン、ホワイトフィールド、ノノア・ブロム、アンドレア・オズワルド――が次々と生配信で釈明と謝罪を行った。

サキ・ヒメイは涙ながらに語った。

「私、H.LIVEで楽しく配信したかっただけ…アクスマンの裏の計画、知らなかった。ミライアカリちゃんの笑顔、#SaveAkariのファンの声、ちゃんと届いてるよ…ごめんなさい」ミルフィア・バレンタインは冷静に、だが悔しさを滲ませて言った。

「H.LIVEのFantiaコンテンツ、確かに過激だった。でも、アカリちゃんを傷つけるつもりはなかった。アクスマンの指示に従った私たちの責任…謝罪します」

ホワイトフィールド、ノノア・ブロム、アンドレア・オズワルドも同様に、H.LIVEの活動がアクスマンの策略に利用されたことを認め、#SaveAkariムーブメントへの支持を表明。Twitterの#SaveAkariトレンドは、H.LIVEの謝罪配信を受けてさらに勢いを増し、ファンの声が「アカリちゃんを救え!」「H.LIVE、変わって!」と広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、ディスコルディアは鹿児島刑務所に移送・収監された。

桜島を望む厳重な施設で、彼女は再び黙秘を貫き、アクスマンやH.LIVEの詳細について口を閉ざした。

収監の際、彼女は看守に不敵な笑みを浮かべ、呟いた。

「#SaveAkari? まだ終わらないよ…アクスマンはもっと大きな計画を持ってる」NEOENTUMのベアトリクス・ブレーメは、姜小花と美玲に暗号化通信で連絡。

「ディスコルディア収監完了。だが、アクスマンの次の動きが問題だ。H.LIVEのAVTuberたちの謝罪は本物か、陽動か、解析を急げ!」

姜小花は即座に応答。

「ベアトリクスさん、H.LIVEの配信データとFantiaのログ解析中。ケフィリアさんたちの謝罪、半分本気、半分アクスマンの指示に従ってる可能性は少なからずあるかと。美玲さん、ディスコルディアの通信ログからヨメミの東アジア移動の詳細、引き出して!」

美玲は鹿児島刑務所近くの拠点から答えた。

「了解! ディスコルディアのデバイスから、黒龍と中国公安部の関与を裏付けるデータ発見。ヨメミの行方、すぐ追うよ。#SaveAkari、絶対守る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年3月2日、エイレーンは、H.LIVEの社長に突如就任した。

NEOENTUMの統括プロデューサーとしての役割を継続しつつ、二足のわらじを履くことになった彼女は、内心で新たな挑戦に胸を躍らせていた。

H.LIVEのAVTuberたち――ケフィリア・ニール、サキ・ヒメイ、ミルフィア・バレンタイン、ホワイトフィールド、ノノア・ブロム、アンドレア・オズワルド――と直接触れ合えることに、密かな喜びを感じていた。

「H.LIVEのライバーたち、みんなくそ可愛い…! アクスマンの闇を払って、彼女たちの輝きをちゃんと引き出してやる!」

しかし、エイレーンにはもう一つの秘密があった。

2021年1月9日、彼女はベアトリクスやアイリスディーナにも内密で、VTuberグループ「エイレーン学園」を立ち上げていた。

所属するのは、卯依れん、黒宮ティマ、紅花琥珀、チレン・ザヴィ、夏目めい、むむいみ・あにもの6人。

当初のグループ名は「エイレーン学園ペロペロ部」という、彼女らしいネーミングセンスだったが、配信をメインに活動し、エイレーンファミリーとは異なる独自のスタイルを確立していた。

ゲーム実況、雑談、歌ってみたなど、多彩なコンテンツでファンを魅了し、エイレーンはVTuber業界で中堅の地位を築いていた。

エイレーンはH.LIVE本社で、ケフィリアたちと初のミーティングを開いた。

「みんな、アクスマンのH.LIVEは確かに過激だったけど、これから一緒に新しい道を作ろう! #SaveAkariの精神で、VTuberの自由と輝きを取り戻すよ!」

ケフィリアたちはエイレーンの情熱に感化され、頷いた。サキ・ヒメイが呟いた。

「エイレーンさん…アカリちゃんを救うため、私たちも変わるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、GOOMSTUDIOの休憩室では、生駒葵と波瀬うるうが幕の内弁当を食べながら、穏やかな会話を交わしていた。

ジャミトフ西村とバスク郷里の圧力に疲弊する中、二人にとってこのひとときは貴重な休息だった。

うるうが箸を止め、葵をチラリと見た。

「あ、葵さん」

葵は弁当の鮭を丁寧に食べながら応じた。

「何だ? うるう」

うるうは少し照れながら言った。

「そ、その…葵さんは食べ方が綺麗、ですね」

葵は軽く笑い、箸を置いた。

「そうか? 自分ではあまり意識していないのだが」

うるうは感心したように続けた。

「それに魚なんて骨しか残ってませんよ。…やっぱり子供の頃に躾厳しかったんですか?」

葵は少し遠い目をして答えた。

「そうだな。特に父には厳しく言われてきた。食事には感謝を忘れてはいけないと。食材となった動植物の命を頂いている事への感謝。そして生産から調理に至るまでの過程で働く人々への感謝…」

うるうが目を丸くした。

「それって…」

葵は静かに続けた。

「そういった気持ちを失わない事。だからこそ残すなど言語道断だとな」

うるうは真剣に頷き、言った。

「た、確かに…私も、ちゃんと感謝して食べます!」

葵は微笑み、優しく言った。

「ふふ、そうしてくれると嬉しいな。例えばお前の鮭に、多少身が残っていたとしても、傲慢などとは思わないぞ」

うるうは少し焦りながら呟いた。

「うぅむ、意識していないと難しいですねぇ…」

葵は穏やかにアドバイスした。

「一応言っておくと、それに拘りすぎるとそれはそれでよくないぞ」

うるうが驚いて尋ねた。

「え? 何でですか?」

葵は笑みを深め、言った。

「食べる速度が遅くなり、折角の料理が冷めてしまって、今度は作ってくれた人に失礼だからな。大事なのは気持ちだ」

うるうは納得し、微笑んだ。

「…そうですね。ありがとうございます」

二人の会話は、GOOMSTUDIOの重苦しい雰囲気の中で、ささやかな絆を育んでいた。

葵とうるうは、内部告発の後、#SaveAkariを支える決意を胸に秘めていた。

 

エイレーンのH.LIVE社長就任とエイレーン学園の秘密設立、葵とうるうのささやかな絆は、#SaveAkariムーブメントに新たな希望と戦略をもたらした。

ディスコルディアの収監、アクスマンのH.LIVE計画、ヨメミの失踪、シフィールのチャンネル乗っ取りの真相が迫る中、ヤザン・シロッコの暗躍とアカリのパワハラ問題が、GOOMSTUDIOの支配を揺さぶっていた。

VTuber業界の絆と国際的なファンの力が、革命の火を燃え上がらせていた。

 

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