2021年3月28日、東京・GOOMSTUDIO 管理室
GOOMSTUDIOの管理室は、冷たい蛍光灯の光とモニターの青白い輝きに支配されていた。
バスク郷里は、PACIFIC RACINGコラボ配信のアーカイブをモニターで再生し、ミライアカリの輝く笑顔とファンの熱狂的な#SaveAkariコメントを睨みつけた。
苛立ちを抑えきれず、彼は拳を握り締め、吐き捨てるように言った。
「ミライアカリ…レースでも輝くとは! 貴様の絆など、GOOMSTUDIOの支配を揺るがせん!」
ジャミトフ西村は、椅子に深く腰掛け、冷ややかに応じた。
「PACIFIC RACINGコラボは、ファンの心を掴んだが、沙羅とレコアの離反は我々の致命傷だ。バスク、沙羅とレコアを排除し、シロッコを潰せ。次の配信で、アカリを完全に支配下に置くのだ」
ローレン中本は、部屋の隅から静かに進言した。
「ジャミトフ様、沙羅とレコアはシロッコと完全に手を組み、NEOENTUMに情報を流しています。ヤザン大塚も裏で動いており、姜小花や鳴神裁との連携が確認されています」
バスクは目を細め、憤怒を込めて吐き捨てた。
「ふん、沙羅もレコアもシロッコもあおぎりもNEOENTUMも…シリウスシュガーの月ヶ瀬ちゆるも! ミライアカリを救おうとする者たちは、全員潰す!」
管理室の空気は一層重くなった。
バスクはモニターに映るアカリの笑顔を睨み、内心で次の計画を練り始めた。
「黒龍の『牙』とZIZAIのネットワークを叩き潰し、アクスマンの潜伏を隠し通す。#SaveAkariなど、俺たちの掌で終わる」
ジャミトフは冷酷に付け加えた。
「次の配信企画を加速しろ。いちからとカバーの上層部に圧力をかけ、ヨメミの失踪の真相を隠蔽。シフィールのチャンネル乗っ取りと桐生ココのパワハラ疑惑も、ファンの目を逸らすために利用する」
ローレンは一瞬躊躇し、静かに言った。
「しかし、ジャミトフ様、ファンの#SaveAkariの勢い、NEOENTUMとクリエイトリングの提携、鳴神とユリアの北京での動きは、制御が難しいかと…」
バスクはローレンを一瞥し、冷たく遮った。
「黙れ、ローレン。制御できないものなどない。次の配信で、アカリを過激な企画に放り込み、ファンの絆を粉砕する。黒龍の資金で、どんな妨害も潰せる」
バスクは暗号化された通信で、黒龍の「牙」に指示を送った。
メッセージ(バスクから黒龍の「牙」へ)
「『牙』、アカリの次の配信で過激な企画を仕込む。沙羅、レコア、シロッコの離反を封じ、中国公安部の姜小花、鳴神とユリア・バーンズ、月ヶ瀬ちゆるのハッキングを無効化しろ。アクスマンの潜伏とヨメミの失踪は死守。資金ルートは確保済み。#SaveAkariを叩き潰せ」
2021年3月29日、東京・GOOMSTUDIO 会議室
GOOMSTUDIOの会議室は、春の陽気が窓から差し込む中、ジャミトフ西村の過激な提案によって一触即発の空気に包まれていた。テーブルの上には、過去の配信データと「ミライアカリってエッッッ ←おい」という動画の分析資料が広げられていた。
バスク郷里、パプテマス・シロッコ、水谷沙羅、ローレン中本、エマ・シーン、ヤザン大塚、ジェリド井上、カクリコン戸松、レコア勝生が同席していた。
沙羅とレコアの離反、PACIFIC RACINGコラボの成功、あおぎり高校の結束、NEOENTUMの支援が、GOOMSTUDIO内部に深い亀裂を生じさせていた。
ジャミトフはモニターを指差し、不敵な笑みを浮かべて切り出した。
「バスクよ。『ミライアカリってエッッッ ←おい』というタイトルの動画は視聴しただろうな。」
バスクは冷静にデータを確認し、答えた。
「は――サムネは少し不適切ですが、内容に関しては問題ありません。」
ジャミトフは満足げに笑い、続けた。
「ククク、これぞサムネ詐欺だ。エッチな動画を見せかけて内容はクイズだ。」
バスクは一瞬目を細め、慎重に尋ねた。
「ジャミトフ様、まさかとは思いますが、最近エイレーンの動画を視聴しているのですか?」
ジャミトフは鼻を鳴らし、軽く認めた。
「フン、少しだけ見たが、此奴も攻めた過激な動画をあげとるな。何度もBANされとるのに性懲りないのか。」
バスクは冷ややかに応じた。
「彼女がBANされるのは時間の問題かと。」
ジャミトフは手を振って話を切り上げた。
「そうだな。放っておいてもよかろう。」
バスクは次の企画を見据え、確認した。
「…彼女の動画を参考にして動画配信を実行しますか?」
ジャミトフは一瞬考え、突然声を張り上げた。
「待て。急ぎすぎるな――そうだな……次の企画は、SODだ!」
会議室は一瞬にして騒然となった。
全員が息を呑み、ざわめきが広がった。
バスクでさえ動揺を隠せず、確認した。
「ジャミトフ様、本気でやるんですか?」
ジェリドは我慢の限界を超え、立ち上がって叫んだ。
「もう我慢ならねえ。おいジャミトフ、アカリにこんな企画にやらすな! 彼女はAV女優じゃねえんだぞ!」
カクリコンも即座に同調し、声を荒げた。
「俺も同感だ。こればかりは却下すべきですよ!」
エマはジャミトフを睨み、怒りを込めて言った。
「ジャミトフ…あなたは何考えてるのよ!」
レコアは拳を握り、鋭い口調で非難した。
「…いつも女を道具に使うことしか思いつかない。…あなた達は女性の尊厳を破壊させたいの!? 人権侵害よ!!」
会議室は一層ざわつき、反発の声が響き合った。
ヤザンは静かにバスクを睨み、内心で呟いた。
「(バスク、ジャミトフ…ここまで落ちたか。)」
シロッコは沙羅と視線を交わし、この混乱が反撃の好機だと確信した。
沙羅はバスクへの忠誠を完全に捨て、シロッコとレコアに情報を流す準備を固めていた。バスクは騒ぎを抑えようと、冷静に進言した。
「…こればかりは却下すべきです。」
ジャミトフは全員の反発に圧され、珍しく後退した。
「ううむ、儂が間違っておった……彼女に相応しい企画を皆で考えよう。」
会議室の空気は一時的に落ち着いたが、ジャミトフとバスクへの不信感は深まるばかりだった。
エマはレコアの手を握り、決意を新たにした。
ジェリドとカクリコンはアカリを守る意志を固め、ヤザンとシロッコは次の反撃を密かに計画していた。
同日、GOOMSTUDIO 隔離配信ルーム
ミライアカリは隔離配信ルームでモーションキャプチャ装置を装着し、次の配信の準備をしていた。PACIFIC RACINGコラボの成功と、あおぎり高校の音霊魂子、水菜月夏希、石狩あかり、大代真白からの応援が彼女の心を支えていたが、ジャミトフの過激な企画の噂が、彼女を不安にさせていた。
「PACIFIC RACING、ファンのみんな喜んでくれて…でも、バスクさんたちの新企画、なんか怖い…」
ドアが開き、エマ・シーンとレコア勝生が入ってきた。
エマは穏やかな笑みを浮かべ、優しく言った。
「アカリ、PACIFIC RACINGコラボ、凄くかっこよかったわ。ファンのみんな、喜んでた。」
アカリは不安げに尋ねた。
「エマさん、レコアさん…バスクさんたちの新企画、なんか変なのって本当? ファンのみんな、嫌がるよね…?」
レコアはアカリの純粋さに心を動かされ、力強く答えた。
「アカリ、ジャミトフの無茶な企画は、みんなで却下させた。あなたはそんな企画にふさわしくない。ファンのために輝いて。」
エマも頷き、安心させるように言った。
「レコアの言う通りよ。アカリ……私たちがバスクを止める。次の配信、ファンのために心から楽しんで。」
アカリは目を潤ませ、決意を込めて呟いた。
「エマさん、レコアさん…ありがとう。アカリ、ファンのみんなと魂子ちゃんたちのために、絶対頑張る!」
その時、生駒葵が静かに部屋に入ってきた。
彼女はエマとレコアに軽く頷き、アカリに小声で言った。
「アカリ、もう分かってると思うがジャミトフのSOD企画は全員の反発で潰れた。沙羅とレコアが完全にバスクを裏切り、完全に味方だ。お前はお前なりの配信スタイルを貫けばいい」
アカリの瞳が輝き、かすかに微笑んだ。
「葵さん…ありがとう。みんな…アカリ、負けないよ!」
2021年3月30日、東京・H.LIVE 社長室
H.LIVEの社長室は、モダンなデザインのデスクと大きな窓から差し込む春の陽光に照らされ、静かな緊張感に包まれていた。
エイレーンはデスクに座り、タブレットでPACIFIC RACINGコラボ配信のアーカイブを繰り返し見返していた。
画面には、ミライアカリが三菱ランサーエボリューションファイナルエディションの横で輝く笑顔でファンと交流する姿が映し出されていた。
Twitterの#SaveAkariトレンドには、ジャミトフ西村のSOD企画への批判と、アカリへの熱い応援が溢れていた。
エイレーンはタブレットを握り、静かな怒りを滲ませた。
「ジャミトフ…バスク…アカリさんにSOD企画を押し付けようだなんて、どこまで腐ってるんだ…!アカリの純粋さ、ファンの絆を、こんな汚い手で潰そうとするなんて、許せない!」
彼女の視線は、Twitterのコメント欄に映し出されたファンの声に注がれた。「#SaveAkari アカリちゃん、ずっと応援してるよ!」「ジャミトフの企画、最低!」「アカリの笑顔を守れ!」
エイレーンは唇を噛み、決意を新たにした。
「ファンのみんな、アカリさんの輝き…これが#SaveAkariの力です。私も、H.LIVEの社長として、アカリさんを守るために動く!」
エイレーンはタブレットを置き、暗号化された通信で姜小花、シロッコ、レコア、葵にメッセージを送った。彼女はH.LIVEの改革とエイレーン学園の運営を通じて、VTuber業界の倫理を守る立場を明確にしていた。
エイレーンは社長室の窓に近づき、東京の街を見下ろした。彼女の心には、H.LIVEのAVTuber謝罪配信、エトラとのスカウト騒動、オホ声騒動、萌実との実家訪問、同性婚妄想の記憶が蘇った。
「私は、VTuber業界の闇を払うためにH.LIVEを立て直した。アカリさん、ヨメミさん、シフィールちゃん、ココさん…みんなの未来を守るため、ジャミトフとバスクの支配を終わらせる。#SaveAkariは、ただのムーブメントじゃない。VTuberの魂そのものです」
エイレーンはCi-enでの漫画執筆を思い出し、ファンコミュニティへのメッセージを準備した。
「ファンのみんな、H.LIVEはアカリさんと#SaveAkariを全力で支えるよ。次の配信、私も一緒に戦う!」
2021年3月31日、東京都葛飾区郊外 萌実の家(萌実ハウス)
萌実の自宅の一室で、月ヶ瀬ちゆるはノートパソコンの画面を睨みながら、アクスマンのネットワーク解析を続けていた。
彼女の指がキーボードを高速で叩く中、ついにハインツ・アクスマンの潜伏先を特定した。
場所は北海道石狩市――あおぎり高校のメンバー、石狩あかりの出身地だった。
ちゆるの瞳が鋭く光り、興奮を抑えながら呟いた。
「アクスマン…ついに見つけた! 石狩市、しかもあかりちゃんの地元って…これは偶然じゃない!」
ちゆるは即座に暗号化された通信を開き、鳴神裁、姜小花、シロッコ、レコア、葵、そしてあおぎり高校の音霊魂子に情報を共有するメッセージを送った。
#SaveAkariムーブメントは、PACIFIC RACINGコラボ配信の成功、ジャミトフのSOD企画の失敗、エイレーンのH.LIVE支援で勢いを増していたが、アクスマンの潜伏先特定は決定的な突破口だった。
メッセージ(ちゆるから鳴神、姜小花、シロッコ、レコア、葵、魂子へ)
「鳴神君、小花さん、シロッコさん、レコアさん、葵さん、魂子ちゃん。アクスマンの潜伏先特定したよ! 北海道石狩市、あかりちゃんの出身地! 黒龍の資金ルートも石狩に繋がってるっぽい。#SaveAkari、次の動き急ぐよ! 魂子ちゃん、あかりちゃんに連絡して!」
鳴神の返信は迅速だった。
「ちゆる、すげえ! 石狩市だと? アクスマン、黒龍の『牙』、ヨメミの失踪、全部繋がる。ユリアと北京で情報屋締め上げて、黒龍のルート追う。魂子、あかりに地元の情報頼む! #SaveAkari、ガチでいくぜ!」
姜小花も即座に応じた。
「月ヶ瀬さん、ナイスハックです! 石狩市、ZIZAIのダミー会社が動いてる可能性高い。美玲のヨメミ追跡、いちからとカバーのサーバーデータと統合して、アクスマンの動き封じる。NEOENTUMとクリエイトリングで次配信準備、アカリの輝き乗っけます!」
魂子からの返信は熱を帯びていた。
「ちゆるさん、すっごい! あかりちゃんの地元でアクスマン!? すぐあかりに連絡するよ! あおぎり高校(魂子、夏希、あかり、真白)で石狩の調査協力する! #SaveAkari、絶対守る!」
同日、北海道石狩市・あおぎり高校の動き
石狩あかりは、魂子からの連絡を受け、故郷の石狩市でアクスマンの潜伏に関する情報を集め始めた。
彼女は地元のコネクションを頼りに、石狩市内の倉庫街や怪しい施設の噂を調査。あおぎり高校の水菜月夏希、大代真白も合流し、魂子と共にオンラインで作戦会議を開いた。
あかりはビデオ通話で、緊張した声で言った。
「魂子先輩、ちゆるさんの情報、マジでびっくりしましたよ…私の地元にアクスマンが潜伏してるなんて…! 地元の友達から、最近倉庫街で変な黒いバン見かけたって情報入ってる。黒龍の『牙』に関係あるかも」
魂子は力強く頷いた。
「石狩、地元パワー頼りにしてるよ! 夏希、真白、私で配信企画作りながら、#SaveAkariの勢いキープ。このままアクスマンを追い詰める!」
夏希が付け加えた。
「あかりちゃんの地元なら、夏希たちの絆で絶対負けないよ。黒龍の資金ルート、ZIZAIの動き、ぜんぶ暴こう!」
真白は笑顔で締めた。
「うん! アカリちゃんの輝き、#SaveAkariの心だよ。石狩でアクスマン見つけて、ヨメミちゃんも救う!」
ちゆるのアクスマン潜伏先特定と、あおぎり高校の石狩市調査は、#SaveAkariムーブメントに決定的な実地情報を加え、アクスマンの潜伏、黒龍の資金ルート、ヨメミの失踪、桐生ココのパワハラ疑惑、シフィールのチャンネル乗っ取りの真相が迫る中、GOOMSTUDIOの支配を揺さぶっていた。
VTuber業界の絆と国際的なファンの力が、革命の火を燃え上がらせていた。
この長き闘争はまだまだ続く