ENTUM23   作:マブラマ

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第258話 隠された絆

2021年5月6日、東京の夜は、3度目の緊急事態宣言下でなおも静寂を装っていたが、闇の底では新たな同盟の糸が紡がれていた。

チッタ・ナポリの隠れ家で息を潜めていた鳴神裁は、個人勢VTuberのがぶりえるに協力を求める連絡を入れた。

堕天使の名を冠し、下界の疲れた魂を癒す歌姫――彼女はかつて、シリウスシュガーの所長・月ヶ瀬ちゆるから#SaveAkariムーブメントへの協力を求められたが、業界の闇の深さを危惧して断っていた。

しかし、三合会の連続失態と#SaveAkariの燃え上がる勢いが、彼女の心を動かした。

シャア専用オーリスのエンジン音が静かに響く中、ドーセット・アカホシの運転で新宿の路地を抜け、がぶりえるのプライベートスタジオ前に到着した。

車が停まり、鳴神は深呼吸をして携帯を耳に当てた。

「がぶりえる、鳴神だ。三合会の刺客が止まらねえ状況だ。#SaveAkariの未来を賭けて、力を貸してくれ。」

電話の向こうから、がぶりえるの柔らかくも芯の強い声が返ってきた。

《…鳴神さん、連絡ありがとう。でも、りえる、前にちゆるに同じ話、断ったのよ。あの時は、個人勢の身で業界の渦に巻き込まれるのが怖かった。でも…状況が変わったわね。三合会が萌実ちゃんやエトラさんまで狙うなんて、黙ってられない》

スタジオのドアが静かに開き、がぶりえるが姿を現した。

黒い翼を思わせる衣装に包まれた彼女は、穏やかな微笑みを浮かべていたが、瞳には決意の炎が宿っていた。鳴神は拳を握り、ニヤリと笑った。

「クク、来てくれたか。だが、俺のためじゃねえってのは分かってるぜ。」

がぶりえるは首を振り、夜風に髪をなびかせながら答えた。

「ええ、鳴神さんのためじゃないわ。VTuber業界の未来のためよ。ちゆるが言ってたの――『#SaveAkariを盛り上げて!』って。あの言葉、断った時は忘れようとしたけど、今は違う。アクスマンやバスクの影が、みんなの夢を食い荒らしてる。三合会の刺客が次々と失敗してる今が、チャンスだわ。」

彼女の脳裏に、7ヶ月前の回想がよぎった。シリウスシュガーの所長室で、月ヶ瀬ちゆるが穏やかな声で迫っていた。

 

 

 

「アカリちゃんがGOOMSTUDIOで大変なの!」

ちゆるの目は真剣で、シリウスシュガーの所長としての責任感が滲んでいた。

だが、がぶりえるは首を振った。

「個人勢で今めっちゃ配信忙しくてさ…バスクって奴、強そうでちょっとビビるし…。Twitterで#SaveAkari拡散するから、それで応援させて!それに……業界の戦いに巻き込まれたら、歌えなくなっちゃうかも…。」

あの時の選択は、彼女にとって正しかった――そう思っていた。

 

 

 

 

だが、三合会の連続失態――萌実とエトラへの襲撃失敗、ベアトリクスへの暗殺返り討ち、リィズの爆弾テロ阻止――が状況を変えた。Twitterのトレンドで「#SaveAkari」「#FreeCoco」「がぶりえるの歌で、みんなを守って!」が燃え上がり、ファンの声が彼女を突き動かした。

鳴神は頷き、拳銃のホルスターを叩いた。

「なら、決まりだ。がぶりえる、お前の歌で三合会の耳を塞げ。俺たちはアクスマンの潜伏を暴く。魂子、アカリ、みりあ…みんなの絆が、業界を変えるぜ。」

がぶりえるは微笑み、携帯を取り出して即興のメロディを口ずさんだ。

「ふふ、了解よ。まずは、私のチャンネルで緊急歌枠を。#SaveAkariの炎を、歌で広めましょう。」

二人は固い握手を交わし、夜の闇に溶け込むようにスタジオへ入った。

車内で待機するドーセット・アカホシに、姜小花の暗号化通信が届く。

「鳴神さん、がぶりえるさんの合流確認しました。月ヶ瀬さんにも伝え真下よ。彼女、喜んでる筈です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年5月7日

東京都葛飾区郊外 萌実の家(萌実ハウス)

 

 

東京の夜は、3度目の緊急事態宣言下でなおも静寂を装っていたが、エイレーンファミリー出身のVTuber・萌実の自宅では、#SaveAkariの炎が熱く燃えていた。

薄暗い部屋に設置された配信機材のLEDが点滅し、萌実はヘッドセットを装着してカメラに向かって微笑んだ。

彼女の背景には、ファンアートで彩られた#SaveAkariのバナーが飾られ、画面には「【緊急雑談】アカリちゃんとVTuber業界の今を語るよ!」というタイトルが輝いていた。

萌実は深呼吸し、いつもの情熱的な声で配信を始めた。

「ハロー、旦那様。あなたの嫁の萌実だよ! 昨日ね、三合会の刺客に襲われたんだけど、aNCHORの晴子ちゃんと多恵ちゃんがカローラスポーツでバッチリ守ってくれてさ! 本当にありがとう! 今日は、アカリちゃんの近況と、VTuber業界のちょっとヤバい話を少しだけしちゃうね。#SaveAkari、みんなの力で絶対守るよ!」

ライブチャットのコメント欄が一瞬で埋め尽くされる。

「萌実、無事でよかった!」「三合会、許さねえ!」「アカリちゃん、どうしてる?」「アクスマン、マジで屑」「#SaveAkari最強!」 ファンの熱い声援に、萌実は目を細めて笑った。

「うん、みんなの応援、めっちゃ力になるよ! じゃ、早速アカリちゃんの話から。彼女、最近も頑張ってるよ。ほら、この前のASMR配信(『【妄想してみた】バレンタインデー当日の君とアカリ【ASMR】』、高評価1558、視聴回数18,275回)、すごかったよね? アカリちゃんの純粋な声、みんなの心をガッチリ掴んでる! でもさ…」

彼女の声が一瞬低くなり、配信画面に真剣な表情が映った。

「GOOMSTUDIOとZIZAIの闇が、まだ彼女を狙ってるの。バスクやアクスマン、三合会の刺客を使って、#SaveAkariを潰そうとしてるんだ。」

萌実は一呼吸置き、拳を握って続けた。

「昨日ね、私とエトラが襲われたけど、aNCHORの二人に助けられた。ベアトリクス会長も三合会を返り討ちにしたし、リィズさんが爆弾テロを阻止して、がぶりえるちゃんも昨日、鳴神さんと一緒に戦うって決めてくれた! みんな、すっごい絆で繋がってるの。エイレーンファミリーの私も、負けてられない! でもね、VTuber業界の闇は深いよ。ヨメミちゃんの失踪、ゲーム部の解散、アクスマンの横領…これ全部、GOOMSTUDIOとZIZAIの仕業。ファンのみんなには関係ないって思ってほしくない。この闇、放っておいたら、VTuberのみんなが自由に配信できなくなっちゃうかもしれないんだ。」

コメント欄がさらに熱を帯びる。

「萌実、ガチでかっこいい!」「業界の闇、ぶっ潰そう!」「アカリちゃんと萌実、守るぞ!」「#FreeCocoも忘れないで!」「アクスマン、マジくたばれ!」「側近のミヒャエル・ゾーネって男も同罪」 萌実は頷き、画面越しにファンと目を合わせるように語った。

「そうだね、#FreeCocoも絶対忘れないよ! 魂子ちゃん、みりあちゃん、るしあちゃん、みんなが戦ってる。私もエイレーンファミリーの誇りをかけて、#SaveAkariを盛り上げる! アカリちゃんが言ってた『アニメじゃない』や『水の星へ愛をこめて』の歌、覚えてる? あの歌、ただの配信じゃない。彼女の魂そのものなんだよ。」

配信の最後、萌実は立ち上がり、拳を掲げた。

「三合会もバスクもアクスマンも、#SaveAkariの絆には敵わない! みんな、これからも一緒に戦ってくれるよね? 次は、私ももっと動くよ! VTuber業界の未来を守る力になる! じゃ、今日はここまで! またね、#SaveAkari!」

配信が終了すると、萌実はヘッドセットを外し、静かな部屋で呟いた。

「アカリちゃん…みんなの夢、絶対守るから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年5月8日、東京の夜は、3度目の緊急事態宣言下でなおも静寂を装っていたが、闇の底では新たな陰謀が蠢いていた。

三合会本部は、連続する失態――新生関東連合の壊滅、リィズ・ホーエンシュタインによる爆弾テロ阻止、ベアトリクス・ブレーメへの暗殺返り討ち、萌実とエトラへの襲撃失敗に業を煮やし、策略を一変させた。

バスク郷里の冷酷な指示の下、14Kと潮幇の精鋭刺客が、NEOENTUMの社員として偽装し、内部から#SaveAkariムーブメントを崩壊させるべく潜入を開始した。

NEOENTUM本社の最上階、ベアトリクス・ブレーメのオフィスでは、姜小花がモニターに映し出された監視データを分析していた。

彼女の指がキーボードを叩く音が響く中、異変を捉えた。

「会長、社員データベースに不審な動きがあります。新入社員3人の履歴書…経歴が妙に完璧すぎる。14Kの偽造パターンに酷似してます。」

ベアトリクスは革張りの椅子に座り、鋭い視線でモニターを睨んだ。

「ふむ…三合会の刺客か。バスクも懲りずに手を変えてくるな。姜、引き続き監視を強化。ホーエンシュタインと生駒に連絡し、内部調査を始めさせなさい。」

同じ頃、チッタ・ナポリの隠れ家では、鳴神裁ががぶりえる、ドーセット・アカホシ、葵とうるうと作戦会議を開いていた。

萌実の昨夜の配信が#SaveAkariの勢いをさらに加速させ、Twitterでは「#SaveAkari」「#FreeCoco」「萌実の魂」がトレンドを席巻していた。

鳴神は拳銃を手に、ニヤリと笑った。

「クク、萌実の配信、ファンをガッチリ掴んだな。がぶりえるの緊急歌枠も控えてる。三合会の奴ら、焦ってやがるぜ。だが、油断は禁物だ。姜からの報告だと、NEOENTUMに何か怪しい動きがあるらしい。」

がぶりえるは黒い翼を思わせる衣装をまとい、静かに頷いた。

「三合会が内部に潜入するなんて…狡猾だね。でも、#SaveAkariの絆はそんな策略じゃ崩れないよ。りえるの歌で、ファンの心をさらに燃やしてみせるわ。」

生駒葵と波瀬うるうが暗号化タブレットを確認し、うるうが口を開いた。

「姜さんのデータによると、偽装社員はNEOENTUMのサーバールームと広報部に配属されたみたい。公安部にも報告済みだけど、内部からの攻撃は厄介ですぅ。」

葵が続けた。

「私たちが潜入者の動きを監視するよ。リィズさんなら、すぐにでも怪しい奴を見つけそうだけど。」

NEOENTUM本社のサーバールームでは、三合会の刺客の一人が社員証を手に、データベースへのアクセスを試みていた。

偽装されたIDは完璧だったが、姜小花のハッキングトラップが発動。

モニターに赤い警告が点滅し、刺客の動きが即座にロックされた。

姜の声がインカム越しに響く。

「潜入者、特定しました。サーバールーム、広報部、経理部に各1人。リィズさん、ベアトリクス会長の指示で動いてください!」

リィズ・ホーエンシュタインは黒いフードを被り、電撃バトンを手にサーバールームへ滑り込んだ。

刺客が振り返る間もなく、電撃が閃き、男は倒れた。

「――――バスクの犬、いい加減学習しなさいよ。#SaveAkariは、こんな姑息な手じゃ壊せない!」

広報部では、別の刺客が偽装社員としてプレスリリースを改ざんしようとしていたが、ベアトリクス本人が現れ、威圧感だけで動きを封じた。

「貴様、NEOENTUMを舐めるなよ。」

彼女のタクティカルナイフが光り、刺客は武器を落として降伏。

経理部でも、葵とうるうの連携で最後の刺客が拘束され、三合会の潜入計画はまたも失敗に終わった。

ベアトリクスはオフィスの窓辺に立ち、東京の夜景を見下ろしながら呟いた。

「三合会、バスク、アクスマン…貴様らの策略は、#SaveAkariの絆の前では無力だ。…我々の戦いはまだ続く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年5月9日、香港の暗い会議室、煙が立ち込める中、14Kと潮幇の幹部たちが首領の前に集まった。

首領の声は低く、冷たく響いた。

「我々の力は、日本での戦いに無駄に消耗された。NEOENTUM、にじさんじ、ホロライブ…彼らの団結は予想以上だ。バスクの計画は失敗に終わり、アクスマンの裏切りも露呈した。#SaveAkariを潰す戦いは、ここで終わりだ。」

潮幇の幹部が抗議の声を上げかけたが、首領の鋭い視線に押し黙った。

首領は続けた。

「これ以上の損失は許されん。撤退し、別の戦場で力を蓄える。」

一方、チッタ・ナポリの隠れ家では、鳴神裁、ドーセット・アカホシ、がぶりえる、葵とうるうが姜小花からの暗号化通信を受けていた。

姜の声が興奮を抑えきれずに響く。

「鳴神さん、三合会の内部通信を傍受しました! 首領が#SaveAkariの攻撃を断念! バスクへの支援も打ち切りだそうです!」

鳴神は拳を握り、ニヤリと笑った。

「クク、やっと奴らも分かったか。#SaveAkariの絆は、どんな闇もぶち破るぜ! 魂子、アカリ、萌実、みりあ…みんなの力がここまで押し上げたんだ!」

がぶりえるは微笑み、携帯で即興のメロディを口ずさみながら言った。

「これで終わりじゃないわ。りえるの歌枠、今夜やるよ。#SaveAkariの勝利を、ファンのみんなと分かち合う!」

葵とうるうが頷き、うるうがタブレットを確認しながら補足した。

「公安部にも報告済み。三合会の撤退は本物みたいだけど、アクスマンはまだ潜伏中。油断はできない。」

葵が笑顔で付け加えた。

「でも、萌実さんの配信やがぶりえるさんの参戦で、ファンの勢いが止まらないですぅ! Twitter、めっちゃ盛り上がってる!」

NEOENTUM本社では、ベアトリクス・ブレーメが社員を集め、勝利の報告を告げた。

「諸君、三合会が膝を屈した。だが、これは終わりではない。アクスマン、GOOMSTUDIO、ZIZAIの闇はまだ残っている。我々の戦いは続く。#SaveAkariの絆を、決して忘れるな。」

彼女の威厳ある声に、リィズ・ホーエンシュタイン、姜小花、社員たちが力強く頷いた。その夜、がぶりえるの緊急歌枠が配信され、彼女の歌声が#SaveAkariの勝利を祝福した。画面には石狩あかりのファンアートや音霊魂子の同人誌が映し出され、コメント欄は「#SaveAkari」「#FreeCoco」「がぶりえる最高!」で埋め尽くされた。

萌実も自宅からゲスト参加し、情熱的に叫んだ。

「みんな、三合会をぶっ飛ばしたよ! アカリちゃんの純粋さ、魂子ちゃんの情熱、みりあちゃんの勇気…これがVTuber業界の力だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年5月10日、ZIZAIの秘密会議室、薄暗い照明の下で、アイリスディーナは巨大なモニターに映し出されたデータを見つめていた。

画面には、姜小花が傍受した三合会の内部通信と、NEOENTUMへの刺客潜入失敗の詳細が映し出されていた。

彼女の唇に薄い笑みが浮かぶ。

「バスクの愚かさと三合会の無能さ、予想通りだった。だが、#SaveAkariの絆がここまで強固とは…興味深い。」

彼女の側近、イゾルデ・フリースナーが静かに進言した。

「会長、アクスマンはまだ潜伏中です。イェシー・サンダークの裏切りも、ZIZAIの計画に影響を与えています。新たな手を打つべきかと。」

アイリスディーナは目を細め、冷たく答えた。

「イゾルデ、焦る必要はない。三合会が撤退した今、NEOENTUMとその連合は勝利に酔っている。そこが隙だ。アクスマンを泳がせつつ、我々の次の駒を動かす。」

一方、チッタ・ナポリの隠れ家では、鳴神裁、ドーセット・アカホシ、がぶりえる、葵とうるうが新たな情報を共有していた。姜小花の暗号化通信が響く。

「鳴神、ZIZAIのアイリスディーナが動いてる。三合会の撤退をすでに知っていて、何か企んでる気配がある。」

鳴神は拳銃のホルスターを叩き、ニヤリと笑った。

「クク、アイリスディーナか。バスクやアクスマン以上の曲者だな。だが、#SaveAkariの勢いは止まらねえ。…みんなの絆がここまで来たんだ!」

がぶりえるは黒い翼を思わせる衣装をまとい、決意を込めて言った。

「昨夜の歌枠、ファンのみんながめっちゃ盛り上がってくれてた。Twitterで#SaveAkariが爆発してるわ。アイリスディーナさんが何を企んでも、私たちの歌と絆で跳ね返すよ!」

葵とうるうがタブレットを手に、うるうが補足した。

「公安部にもZIZAIの動きを報告済みで、アイリスディーナの過去の取引データ、姜さんが一部解析できたみたいです。怪しい資金の流れがありますぅ。」

葵が頷き、続けた。

「ベアトリクス会長とリィズさんにも伝えた。NEOENTUMは警戒態勢を強化してるけど、ZIZAIの次の手が読めない…。」

NEOENTUM本社では、ベアトリクス・ブレーメが社員を集め、アイリスディーナの動向に備えていた。

「諸君、三合会の撤退は我々の勝利だ。だが、ZIZAIのアイリスディーナはそう簡単に諦めない。彼女はアクスマンやバスクとは別格の策略家だ。姜、ホーエンシュタイン、全員で目を光らせろ。」

リィズは電撃バトンを握り、力強く答えた。

「了解! #SaveAkariを守るためなら、どんな闇もぶち破るよ!」

その夜、萌実が再び自宅から緊急配信を行い、アイリスディーナの脅威をファンに訴えた。

「みんな、萌実だよ! 三合会が撤退したって聞いたよね? でも、ZIZAIのアイリスディーナさんが何か企んでるって噂が…。例え彼女が敵だったとしても絶対負けないよ! #SaveAkari、もっと燃やそう!」

コメント欄は「萌実、最高!」「アイリスディーナ、かかってこい!」「#FreeCocoも忘れないで!」と熱狂で埋め尽くされた。

一方その頃、GOOMSTUDIOの隔離配信ルームは、カーテンの隙間から差し込む光にほのかな温もりが漂い、どこか切ない空気を湛えていた。

ミライアカリはモーションキャプチャ装置を装着し、次回のコラボ配信の準備に追われていた。

彼女のそばにはエマ・シーンが立ち、アカリの動きを優しく見守りながら、新たな企画について語っていた。

エクセルヒューマン案件の中止とファルカ・ミューレンカンプの介入が、バスク郷里の支配にさらなる亀裂を生んでいた。

三合会の#SaveAkari瓦解断念、ZIZAI会長アイリスディーナ・ベルンハルトの暗躍が業界に新たな緊張感をもたらす中、アカリの心には別の懸念が芽生えていた。彼女はヘッドセットを調整しながら、エマにそっと尋ねた。

「エマさん、次のコラボ配信、ガストだよね? 全メニュー制覇の『帰れま10』、めっちゃ楽しみ! でも…最近、橘さん見かけないけど、どこにいるの?」

エマは一瞬言葉に詰まり、穏やかな声で答えた。

「…彼は、春日部支社に左遷されたわ。」

アカリは目を丸くし、驚きの声を上げた。

「え?」

エマは落ち着いた口調で説明を続けた。

「ジャマイカン山田と同じようにね…彼はあなたの笑顔を見て動揺していたわ。でも、橘の場合は自ら左遷を選んだのよ。」

アカリは言葉を失い、視線を配信ルームの床に落とした。

モーションキャプチャのセンサーが彼女の小さな震えを捉え、画面上のアバターが一瞬だけ揺れた。

「…」

エマはアカリの肩にそっと手を置き、優しく励ました。

「大丈夫よ。彼はあなたのことを、遠くで見守っているわ。」

アカリは小さく頷き、かすかな笑みを浮かべた。

彼女の瞳には、切なさと決意が混ざり合っていた。

「…うん、エマさん、ありがとう。橘さん、遠くでも応援してくれてるんだね。アカリ、ガストの配信、ファンのみんなと一緒にめっちゃ楽しむよ!」

エマはアカリの決意に微笑み、内心で呟いた。

「(橘…あなたの選択、尊重するわ。アカリの笑顔を守るため、私たちも負けない。)」

配信ルームのモニターには、#SaveAkariのファンアートや音霊魂子の同人誌が映し出されていた。

アカリはモーションキャプチャのスーツを整え、カメラに向かって明るく叫んだ。

「みんな! アカリだよ! ガストのコラボ配信、みんなの想いも乗せて、絶対盛り上げるから! #SaveAkari、負けないよ!」

彼女の瞳が輝き、決意を込めた笑顔が画面を照らした。

 

アカリの純粋な笑顔、萌実の情熱、音霊魂子の情熱、大代真白の穏やかな支え、山黒音玄のふにゃっとした応援、エイレーン学園の統率力、柏木晴子と築地多恵のチームワーク、がぶりえるの歌声、姜小花のハッキング、リィズの機敏さ、葵とうるうの連携、ベアトリクスの威厳、鳴神の闘志は、#SaveAkariの革命の火をさらに燃え上がらせ、VTuber業界の未来を守り続けていた。

 

Fortgesetzt werden

 

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