ENTUM23   作:マブラマ

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第261話 ディスコルディアロスト

2021年5月23日、東京の初夏、3度目の緊急事態宣言下のVTuber業界に、突然の闇が訪れた。

ディスコルディア・ロースター――#SaveAkariムーブメントの脅威でシフィールのチャンネルを乗っ取って動画投稿したとして知られる彼女が、消息不明となった。

最後のツイートは、いつも通り軽やかなトーンで綴られていた。

「フロスは虫歯や歯周病予防の効果あるって言うが、ボクはあまりつかっていないんだ。今後つかってみてもいいかも知れない。キミも使うといいと思う。#マシュマロを投げ合おう」

その投稿は、ファンとの温かな交流を思わせるものだったが、投稿から数時間後、彼女のチャンネルは沈黙。

表舞台から完全に姿を消したのだ。

Twitterでは即座に「#ディスコルディア消息不明」「#SaveAkari」「#FreeCoco」がトレンド入り。

ファンのコメントが洪水のように溢れた。

「ディスコルディア、どこ行ったの?」「マシュマロ、待ってるよ!」「アクスマンの仕業か…怖い!」

萌実は自宅配信で涙を浮かべ、叫んだ。

「みんな、ディスコルディアさん、消息不明だって! 彼女のツイート、いつもファンを癒してくれたのに…ちゆるさんを守った私みたいに、#SaveAkariで絶対探すよ! アカリちゃんの三菱コラボ、鳴神君の襲撃、みんなの絆で、ディスコルディアさんを連れ戻す!」

コメント欄は「萌実、がんばれ!」「ディスコルディア、無事でいて!」「#SaveAkari最強!」「シフィールのチャンネルを乗っ取ったツケが回ってきたな」「自業自得」「消息不明で草」「せめて謝罪だけはして欲しかった」「逃げるな!ディスコルディア」「アクスマン、マジでクソ」で埋め尽くされた。

GOOMSTUDIO周辺のシカゴ残党が動揺中。アクスマンの潜伏先、絞り込みが進んでるよ。」 葵が微笑み、続けた。

「アカリちゃんの三菱コラボ、ディスコルディアさんの分まで輝かせよう。#SaveAkari、負けない!」

ミライアカリは配信ルームで三菱コラボの余韻に浸りながら、ディスコルディアの失踪を知り、静かに呟いた。

「ディスコルディアさん…マシュマロ、待ってるよ。アカリ、みんなの絆で探すよ!」 エマ・シーンがそっと抱きしめ、言った。

「アカリ、ファンの愛がディスコルディアさんを連れ戻すよ。君の笑顔が、希望の光よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年5月24日、GOOMSTUDIOの会議室は、表面上の平静とは裏腹に、緊張感が漂っていた。

テーブルの上には、ミライアカリの「霽れを待つ」(推定再生回数15万超、高評価7000超)の動画データと、三菱自動車コラボ配信の成功をまとめた資料が広げられていた。ジャミトフ西村が議長席に座し、バスク郷里、パプテマス・シロッコ、水谷沙羅、レコア勝生、ジェリド井上、カクリコン戸松、ブライト・ノアが同席。

バスクの支配に深刻な亀裂を生む中、会議は一見穏やかに進んでいるように見えた。

ジャミトフはモニターに映る「霽れを待つ」の再生回数を指差し、満足げに切り出し

「バスクよ。『霽れを待つ』を視聴しただろうな?」

バスクは無表情で応じ、内心の焦りを隠した。

「は――勿論です。素晴らしい一曲に仕上がりましたな。」

彼の声には、シカゴの連続失敗とヴィンセント・カッサーノとの対立の苛立ちが滲んでいた。ジャミトフは目を細め、力強く続けた。

「この曲は、ミライアカリにとって絆の結晶だ。魂子、みりあ、ファンの想いが詰まっている。三菱自動車のコラボも大成功だ。ファンの心をガッシリと掴んでおる!」

バスクは一瞬沈黙し、静かに頷いた。

「…確かに。」

バスクは話題を切り替え、慎重に尋ねた。

「次のコラボ企画は…?」

ジャミトフは不敵な笑みを浮かべ、宣言した。

「デロリアン・モーター・カンパニーだ。」

バスクは一瞬目を丸くし、確認するように言った。

「…『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンですか?」

ジャミトフは軽く笑い、補足した。

「まあ、本家とは繋がりは薄いが、デロリアンのパーツを提供する会社だ。EVも出したらしい。アカリの輝きを、過去と未来でさらに増幅させる企画だ。」

バスクは渋々頷き、事務的に応じた。

「…デロリアン・モーター・カンパニーに連絡し、コラボを打診します。」

だが、彼の声には覇気がなかった。

シロッコは静かに微笑み、バスクの動揺を察しつつ、沙羅とレコアに視線を投げた。

二人は無言で頷き、NEOENTUMへの情報提供をさらに強化する決意を固めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年5月25日、東京・GOOMSTUDIO 隔離配信ルーム

 

GOOMSTUDIOの隔離配信ルームは希望の光で満たされていた。

ミライアカリはモーションキャプチャ装置を装着し、デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)とのコラボ配信の準備に没頭していた。

背景には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿とさせるデロリアンの3Dモデルが輝き、「霽れを待つ」(再生回数15万超、高評価7000超)と三菱自動車コラボの成功が彼女の心に燃えるような自信を灯していた。

「『霽れを待つ』、みんなが泣いて喜んでくれて…! デロリアンコラボ、タイムマシンみたいでめっちゃワクワク!ファンのみんなと一緒に、絶対輝くよ!」

アカリの声は弾け、バーチャル空間に熱気が溢れた。ドアが静かに開き、エマとレコアが入ってきた。

エマは穏やかな笑みを浮かべ、アカリを優しく見つめた。

「アカリ、『霽れを待つ』、本当に素晴らしい曲だったよ。ファンのみんな、Twitterで感動の嵐だった。デロリアンコラボ、楽しそうな企画で良かったね。」

アカリは目を輝かせ、モーションキャプチャのセンサーが彼女の興奮した動きを捉えた。「うん、エマさん! 三菱のレーシングカーもかっこよかったけど、デロリアン、めっちゃ未来的でテンション上がる! ファンのみんなと一緒に、めっちゃ盛り上げるよ!」レコアは鋭い視線で部屋を見渡し、低く言った。

「バスクが三菱に続き、まともな企画を立て続けに出してるのは怪しい…何か企んでるわ。沙羅と私、NEOENTUMと連携してバスクの動きを徹底監視してる。アカリ、あなたはファンのために輝いてて。」

アカリは一瞬不安げに目を伏せ、そっと尋ねた。

「レコアさん…橘さん、春日部で元気かな?」

エマは優しく微笑み、答えた。

「橘は遠くでアカリを応援してるよ。彼の決意、忘れないで。あなたの笑顔が、橘や魂子ちゃん、みりあちゃん、ファンのみんなへの一番の贈り物よ。」

アカリは決意を込めて頷き、瞳に強い光を宿した。

「うん…エマさん、レコアさん、ありがとう。橘さん、魂子ちゃん、みりあちゃん、ファンのみんなのために、アカリ、絶対負けない!」

彼女の力強い笑顔がバーチャル空間を照らし、モニターに映るデロリアンのガルウィングドアが希望の象徴のように輝いた。

「…ありがとう、みんな! アカリ、もっと輝くよ!」

 

 

 

デロリアンコラボの準備は、「#SaveAkari」「#FreeCoco」を背景に、GOOMSTUDIOとZIZAIの崩壊をさらに加速させた。

だが、姜小花のハッキング、劉翠蘭の行動力、リィズの機敏さ、葵とうるうの連携、萌実の情熱、エトラの冷静さ、ちゆるの責任感、音霊魂子の情熱、大代真白の穏やかな支え、山黒音玄のふにゃっとした応援、エイレーン学園の統率力、柏木晴子と築地多恵のチームワーク、がぶりえるの歌声、アカリの純粋な笑顔、ベアトリクスの威厳、鳴神の闘志、ドーセット・アカホシの冷静さ、ヤザンの決意、シロッコの策略、レコアの鋭さは、#SaveAkariの革命の火をさらに燃え上がらせ、ディスコルディアの帰還を信じてVTuber業界の未来を守り続けていた。

 

 

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