ENTUM23   作:マブラマ

263 / 266
第263話 6月のカンパネラ

2021年6月1日、東京の初夏、3度目の緊急事態宣言下。GOOMSTUDIOの会議室は、冷ややかな空気とモニターの光に支配されていた。

バスク郷里は、ミライアカリのデロリアン・モーター・カンパニー(DMC)コラボ配信の成功と「霽れを待つ」の反響に苛立ちを隠せなかった。

ジャミトフが重々しい声で切り出した。

「バスクよ。『絶対、押すなよ!?!?!?』を視聴はしただろうな?」

バスクは一瞬たじろぎつつ、答えた。

「は―――ジョロキア入りのドリンクを飲んだリアクションが反応があり素晴らしい動画です。」

ジャミトフは冷ややかに目を細め、続けた。

「まあ、彼女は“変態バーチャル芸人”というあだ名が界隈全体に広がっとる…これを覆す方法はないか?」

バスクは焦りを押し隠し、提案した。

「体当たり芸なら、スカイダイビングは如何でしょうか?」

ジャミトフは鼻で笑い、切り捨てた。

「それもアリだが、単純すぎてつまらぬ。」

バスクは額に汗を滲ませ、問い返した。

「ではどんな内容が宜しいのですか?」

ジャミトフは一瞬沈黙し、冷徹な笑みを浮かべた。

「……スーパーフォーミュラだ。彼女のラッピングを施したフォーミュラカーをコースに走らせるぞ。プロレーサーに任せれば良い。」

バスクは即座に頷き、動き出した。

「…早速準備に取りかかります。」

その背後で、パプテマス・シロッコは静かに微笑み、心の中で呟いた。

「(バスクも焦ってるようだ…そろそろ仕上げと行くか。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年6月2日、GOOMSTUDIOの隔離配信ルームは、モーションキャプチャ装置の微かな作動音とミライアカリの明るい声で満たされていた。アカリはスーパーフォーミュラコラボ配信の準備を進めながら、バーチャル空間で輝く自分の姿を調整していた。

「絶対、押すなよ!?!?!?」のジョロキアリアクション動画の爆発的な反響と、デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)コラボ配信の成功が、彼女の心に自信を与えていた。

しかし、バスクとジャミトフが仕掛ける過激なスーパーフォーミュラ企画には、ほのかな不安が混じる。

「ジョロキア、めっちゃ辛かったけど、ファンが喜んでくれて…スーパーフォーミュラ、めっちゃかっこいいけど、ちょっとドキドキ! ファンのみんなと一緒に、輝くよ!」

配信ルームのドアが静かに開き、エマ・シーンとレコア勝生が入ってきた。エマは心配そうな表情でアカリに話しかけた。

「アカリ、スーパーフォーミュラの企画、聞いたよ。無理のない範囲でやってね。ファンはあなたの笑顔が見たいだけだから。」

アカリは少し緊張した笑みを浮かべ、応えた。

「うん、エマさん! フォーミュラカー、めっちゃかっこいいよね! ファンのみんなと一緒に、楽しめるように頑張るよ! でも…ちょっと怖いかな…」

レコアは鋭い目で、冷静に切り込んだ。

「バスクとジャミトフがこんな過激な企画を押し付けてきたのは、ファンの支持を無理やり引き出そうとしてる証拠よ。沙羅と私、NEOENTUMと一緒に、この企画の裏を徹底的に調べる。アカリ、あなたは自分のペースで輝いて。」

アカリは少し不安げに尋ねた。

「レコアさん…橘さん、春日部で大丈夫かな?」

エマは優しく微笑み、答えた。

「橘は遠くであなたの笑顔を見守ってるよ。彼の決意、忘れないで。あなたが輝くことが、橘やみんなへの恩返しよ。」

アカリは決意を込めて頷いた。

「うん…エマさん、レコアさん、ありがとう。アカリ、ファンのみんなのために、絶対負けない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音玄は自宅の配信ルームで、ふにゃっとした笑顔を浮かべながら雑談配信をスタート。モーションキャプチャ装置が彼女のゆるい動きを捉え、バーチャル空間に柔らかな雰囲気を広げた。

「んふふ~、みんな、おはにゃん! 音玄だよ~! アカリちゃんのスーパーフォーミュラ、めっちゃ楽しみ~! あのね、フォーミュラカー、爆速カーって呼んじゃおう! アカリちゃん、ブーンって未来を駆け抜けるんだから!」

ふにゃっとした口調と「爆速カー」ネタに、コメント欄は瞬時に爆笑と応援で埋め尽くされた。

「音玄、ふにゃっと最高!」「ねくろち可愛いよ!」「爆速カーw」「アカリちゃん、輝け!」「#SaveAkari無敵!」「アクスマン最低だな」

音玄はマシュマロを読み上げながら、のんびり続けた。

「え~、マシュマロありがとう~! 『音玄ちゃん、アカリのスーパーフォーミュラどう思う?』だって~。んふふ、めっちゃかっこいいよね! ジョロキアもすごかったけど、爆速カーでバスクの雑魚、ぶっちぎってほしいな~! ディスコルディアさんも、絶対帰ってくるよ~!」

コメント欄は「音玄のふにゃっと神!」「ディスコルディア、待ってる!」「#霽れを待つ」でさらに盛り上がり、Twitterでは「#SaveAkari」「#アカリの爆速カー」「#音玄ふにゃっと」がトレンド入り。

 

同時刻、がぶりえるは黒い翼の衣装で歌枠配信を開催。

バーチャル空間に響く彼女の力強い歌声が、ファンの心を掴んだ。

「みんな、こんばんは! がぶりえるだよ! 今日はアカリちゃんのスーパーフォーミュラを応援する歌枠! 彼女の輝き、ディスコルディアさんの想い(5/23)、ファンの絆…全部歌に込めるよ!」

彼女はアカリをイメージしたオリジナル曲を披露し、歌詞に#SaveAkariの希望を織り込んだ。

「未来を駆けるアカリの光、どんな闇も突き破るよ!」

コメント欄は「がぶりえる、歌声最高!」「アカリ、爆速で輝け!」「#SaveAkari」「#FreeCoco」で熱狂に包まれた。

がぶりえるは歌の合間に語った。

「アカリちゃんのデロリアン、エトラちゃんのASMR、ギル様のガーリックライス、シルヴィアさんの制裁…全部、#SaveAkariの絆だよ!ファンのみんな、一緒に応援しよう!」 彼女の情熱的な呼びかけに、Twitterでは「#がぶりえるの歌枠」「#アカリのスーパーフォーミュラ」「#ディスコルディア帰還」がトレンドに浮上。

 

チッタ・ナポリの隠れ家では、姜小花が音玄とがぶりえるの配信をモニタリングし、ベアトリクス・ブレーメ、鳴神裁、ドーセット・アカホシ、葵とうるうに報告。

「音玄の『爆速カー』ネタ、がぶりえるの歌枠で#SaveAkariの勢いが急上昇。スーパーフォーミュラ企画はバスクの焦りの証。日本警察と連携し救出作戦を加速。」

ベアトリクスは鋭く頷いた。

「音玄のゆるさ、がぶりえるの情熱、アカリの輝き…#SaveAkariは無敵だ。姜、劉、ホーエンシュタイン、平壌急襲の準備を急げ。」

鳴神は拳銃を叩き、ニヤリと笑った。

「クク、音玄のふにゃっと、がぶりえるの歌、アカリの爆速カー! バスクの雑魚、震えてろ! ディスコルディア、必ず取り戻すぜ!」

生駒葵と波瀬うるうがタブレットを手に、うるうが補足。

「こ、公安部にアクスマンの最新位置を送信済み…です。沙羅さんとレコアさんのデータで、バスクの資金ルートも完全掌握ですぅ…。」

葵が微笑み、続けた。

「山黒音玄のふにゃっと、がぶりえるの歌、アカリの輝き、全部守るよ」

 

GOOMSTUDIOの会議室では、バスク郷里が音玄とがぶりえるの配信に激昂し、ブレイブ玄田とトッシュ堀内に怒鳴った。

「音玄の『爆速カー』だと? がぶりえるの歌枠まで! アカリのスーパーフォーミュラを潰せなかったら、#SaveAkariに全て奪われる!」 ブレイブは冷ややかに応じた。

「バスクさん、焦らないでください。スーパーフォーミュラは我々の支配を強めるための賭けです。沙羅とレコアの離反は痛いですが、アクスマンにディスコルディアを処理させ、アカリを屈服させましょう。」

シロッコは静かに微笑み、心の中で呟いた。

「(バスクの終わりが近い…私の計画が動き出す時だ。)」

姜小花のハッキングがこの会話を傍受し、NEOENTUMに送信。

劉翠蘭はナイフを手に、姜に言った。

「小花さん、バスクの焦りは頂点に。アクスマンの平壌を急襲し、ディスコルディアを救う。#SaveAkari、ここからが本番です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年6月9日、GOOMSTUDIOの会議室は、ブラインド越しに差し込む陽光と重い緊張感に包まれていた。テーブルの上には「【大興奮】今までで最高に面白いVRゲーム見つけたかも!」の動画データ、スーパーフォーミュラコラボ(近日予定)、「霽れを待つ」「絶対、押すなよ!?!?!?」の反響資料が散らばっていた。

ジャミトフはモニターを指差し、満足げに切り出した。

「バスクよ。『【大興奮】今までで最高に面白いVRゲーム見つけたかも!』を視聴はしただろうな?」

バスクは訝しげに応じた。

「は――しかし、何故このゲームを?」

ジャミトフは冷ややかな笑みを浮かべ、逆に問い返した。

「お前が選んだゲームだろ。スーパーフォーミュラの成功は、ファンの結束をさらに強めた。次は『機動戦士ガンダム 戦場の絆』でのゲーム実況だ。」

バスクは一瞬驚き、確認するように呟いた。

「アーケードゲームですか?」

ジャミトフは首を振って訂正した。

「いや、ポータブルだ。どちらの勢力に付くのか自由に選ばせろ。」

バスクは不敵な笑みを浮かべ、即座に対応を約束した。

「ククク…早速準備に取りかかります。」

ジャミトフは目を細め、低い声で呟いた。

「我らの野望のためにその絆、確かめさせて貰うぞ。ミライアカリ。」

会議室の空気は一気に重くなった。

エマはアカリへの負担とジャミトフの不穏な意図を察し、眉をひそめた。

ジェリドとカクリコンは「戦場の絆」の重厚なテーマがアカリの純粋なイメージに影響するのではないかと不安に思った。

ヤザンは内心で怒りを抑え、ジャミトフの言葉がアカリを支配する策略だと確信。

シロッコは静かに微笑み、ジャミトフの提案がバスクの焦りをさらに露呈していると見抜いた。沙羅とレコアは視線を交わし、NEOENTUMへの情報提供を急ぐ必要性を再確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年6月10日、ホロライブの桐生ココが配信で7月1日付の卒業を発表。

世界中のファンが祝福の声を上げ、香港のバス停にココのイラスト広告、台湾でのラッピングバス運行、日本での「桐生ココ」「たつのこ」星命名など、ファンの熱い企画が展開された。#FreeCocoと#SaveAkariのムーブメントは、VTuber業界全体の絆を象徴し、GOOMSTUDIOのバスク郷里とジャミトフ西村の支配に対する情報戦を加速させた。そして、#SaveAkariの不滅の絆をさらに強化していた。

 

 

 

 

Fortgesetzt werden

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。