ENTUM23   作:マブラマ

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第264話 萌エトの絆

2021年6月19日、東京・エイレーン自宅書斎室

 

東京の初夏、3度目の緊急事態宣言下。エイレーンの自宅書斎室は、静かな空気の中、タブレットの微かな光がデスクを照らしていた。

萌実は椅子に座り、「機動戦士ガンダム 戦場の絆」ポータブル版の配信をタブレットで見返していた。

Twitterの#SaveAkariトレンドは、ミライアカリのメンバーシップ成功への祝福と限定壁紙への喜びで溢れていた。

萌実は画面を見つめ、呟いた。

「アカリちゃん…戦場の絆、めっちゃかっこよかった! メンバーシップ、みんなの愛がすごい…橘さん、遠くで応援してるんだ…」

エトラがコーヒーを手に部屋に入り、萌実の肩を軽く叩いた。

「萌実、アカリちゃんのメンバーシップの成功で、ファンの絆がさらに深まったよ。でも、バスクがこれを利用して何か企んでる可能性があるわ。シロッコ達やあおぎり高校がバスクへの反撃を強化している。限定配信が、転換点になるよ!でも、萌実…私がエイレーンの家に招いて大丈夫なの?勝手に入ったら怒られるんじゃ…」

萌実は目を輝かせ、立ち上がった。

「大丈夫大丈夫。エイレーンはH.LIVEの仕事があって忙しいから暫く帰ってこないよ。それにメンバーシップ、めっちゃすごいよ!」

エトラが頷き、力強く言った。

「うん。魂子ちゃん達の絆が、ファンの心を掴んでる。NEOENTUMも、アクスマンの動きを警戒しつつ、アカリちゃんを救う準備を進めてる。限定配信、楽しみね!」

突如、萌実はエトラに抱きついた。

「萌実?」

強く抱きつき、エトラの胸に顔を埋め、囁いた。

「…暫くこうさせて。エトラ、離れたくないよ。」

エイレーン不在の書斎室で、萌実とエトラは二人きりの時間を静かに過ごしていった。

萌実とエトラのひとときは、#SaveAkariと#FreeCocoのムーブメントが最高潮に達する中での一幕であり、GOOMSTUDIOの支配に致命的な打撃を与えていた。

萌実はエトラの胸に顔を埋めたまま優しい笑みを浮かべた。

「あたたかい……」

エトラも微笑み返す。

「うん、アカリちゃん、絶対に救おうね」

二人きりの時間は夜が明けるまで過ごしていった。

「エトラ、大好き…」

「私もよ。萌実。私の大事な大事なかけがえのない親友だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年6月20日

株式会社Brave group傘下クリエイトリング あおぎり高校スタジオ

 

萌実はリィズの伝手で、あおぎり高校の運営元クリエイトリングのスタジオを借用し、配信準備を終えていた。ミライアカリの「機動戦士ガンダム 戦場の絆」配信、メンバーシップの成功、桐生ココの卒業発表、#SaveAkariと#FreeCocoのグローバルなムーブメントが、VTuber業界の絆をさらに燃え上がらせていた。

萌実はスタジオのモーションキャプチャ装置を調整しながら、目を輝かせ呟いた。

「アカリちゃんのガンダム、めっちゃかっこよかった! 今日の配信で、#SaveAkariをもっと盛り上げるよ!みんなのために!」

しかし、スタジオの裏口から突如、アクスマンの刺客らしき男が現れ、萌実を強引に拉致。

彼女は抵抗する間もなく、ハイエースの後部座席に放り込まれ、車は夜の東京へと走り去った。

刺客の動きは素早く、クリエイトリングの警備を掻い潜る手際の良さだった。

リィズはスタジオの監視カメラで異変を察知し、即座にエトラに連絡。

「エトラ、緊急事態! 萌実がアクスマンの刺客に拉致された! ハイエース、型式はH100系、色は白、ナンバーは…品川300、わの5960…『わ』ナンバーはレンタカーだ。スタジオ裏から歌舞伎町方面へ逃走。すぐ動け!」

エトラは.LIVEのばあちゃると連携し、急遽生配信で使用予定だった白い塗装のマツダ・サバンナRX-7(FC3S型)を借り、刺客を追跡する準備を整えた。

ばあちゃるはニヤリと笑い、鍵を手渡しながら言った。

「エトラ、萌実を絶対取り戻せ! このRX-7、配信用のイケイケ仕様だけど、追跡もバッチリだ! #SaveAkari、頼んだぞ!」

エトラはFCに飛び乗り、エンジンを唸らせて歌舞伎町のネオンを切り裂くように疾走。

彼女の冷静な眼差しは、萌実を救う決意で燃えていた。

「萌実、待ってて…アクスマン、絶対許さない!」

リィズからのリアルタイム情報を受け、エトラはハイエースの動きを追跡。

姜小花がハッキングで刺客の通信を傍受し、NEOENTUMに送信。

「エトラ、ハイエースは平壌のアクスマンと連絡中。ディスコルディアの拘束を盾に、萌実を人質にして#SaveAkariを潰す気です。歌舞伎町の倉庫街に移動中。」

エトラはアクセルを踏み込み、FCの白いボディが夜を切り裂いた。

GOOMSTUDIOでは、バスク郷里が萌実の拉致を知り、ブレイブとトッシュ堀内に怒鳴った。「萌実の拉致成功だ! アカリのメンバーシップ、ココの卒業、エトラの絆が#SaveAkariを燃やしてるが、これで終わりだ! アクスマン、ディスコルディアを処理しろ!」

ブレイブは冷ややかに応じた。

「バスクさん、焦らないでください。萌実の拉致は#SaveAkariを潰す切り札です。限定配信でアカリを屈服させ、NEOENTUMを壊滅させてみせましょう。」

トッシュも冷ややかに応じる。

「そうです。我々の野望…いえ、理想のためにも急ぐべきではありません」

ジャミトフも頷き応じた。

「バスクよ。エトラの絆が#SaveAkariの灯火を灯っておるが、焦る必要はない。ゆっくりと潰すべきだ」

シロッコは静かに微笑み、心の中で呟いた。

「(バスクとジャミトフ、終わったな…私の計画が全てを決める。)」

姜小花のハッキングがこの会話を傍受し、NEOENTUMに送信。

劉翠蘭は拳銃を手に、姜に言った。

「小花さん、エトラさんが萌実さんを救います。平壌でアクスマンを確保し、ディスコルディアを解放する。#SaveAkari、決戦の夜です。」

 

港区の倉庫街で、エトラのFCがハイエースを追い詰めた。

刺客は倉庫に逃げ込むが、エトラは車を降り、ばあちゃるから借りたスタンガンを手に突入。

「萌実、絶対助ける!」

倉庫内で萌実は縛られていたが、エトラの姿を見て叫んだ。

「エトラ! 来てくれた!」

エトラは刺客を瞬時に制圧し、萌実を解放。

抱き合う二人の背後で、姜小花が警視庁公安部と連携し、アクスマンの平壌拠点への急襲を成功させた。

ディスコルディア・ロースターが解放され、#SaveAkariと#FreeCocoの勝利が確定した。

解放されたディスコルディアは萌実に軽別な目線を送り、冷ややかに言い放つ

「何で私を助けたの……?」

萌実は小さな笑みを浮かべて言った。

「どうしても聞きたい事があるから」

ディスコルディアは萌実の言動に呆れつつ小さな笑みを浮かべた

「シフィール・エシラーの事と彼女のチャンネル…その真相でしょ?」

「そうよ」

エトラはディスコルディアに謝罪を要求した。

「ディスコルディアさん、謝ってください」

「は?」

「私と萌実に…いや、懸命に配信し続けてるVTuber達に、心の底から詫びてください!」

「アンタ…」

エトラは真剣な眼差しでディスコルディアの顔を見る。

観念したかディスコルディアは口を開く。

「フン、どうせ隠したっていずれバレるし…いいわ。シフィールの行方とチャンネル奪還。全部話すわ。それと…今まで迷惑掛けてごめんなさい」

萌実とエトラはディスコルディアの態度を見て目を丸くした。

「え?」

「あっさりと…」

「アンタ達を酷い目に遭わしちゃったのは事実だし…隠す必要はないわ。まずシフィールの行方だけど、アンタ達にとっては悪いニュースよ」

萌実は決意を宿す

「いいよ。全部話して」

ディスコルディアは暗い表情を浮かべシフィールの消息を語った。

「シフィール・エシラーはもうこの世に存在しない」

「え!?」

萌実とエトラは落胆する

「シフィールが…死んだ?」

「ええ、NEOENTUMの連中はまだ捜索しているだろうけど、努力の無駄よ」

2人は現実を受け入れるしかなかった。

「そうなんだ……」

「萌実……」

ディスコリディアは暗い表情のまま言い放つ

「ベアトリクスとアイリスディーナはまだ知ってはいないでしょうね。―――もう一つ、チャンネルの奪還だけど、そのパスワード…もう忘れちゃったのよ」

エトラは彼女に問いだした。

「メモ用紙とかはないんですか?」

それに対しディスコルディアは答えた。

「紛失したわ」

エトラは悲しげな表情を浮かんだ。

「そう……最後に一ついいかな?」

「どうぞ」

エトラは彼女に誘致する。

「私達と協力しませんか?アカリちゃんがパワハラ受けてる事は知ってる筈よ。ディスコルディアさん」

ディスコルディアはエトラの誘いを断った。

「ごめん、アンタ達と協力する事は出来ない。私は、ミライアカリを傷付けようとした愚か者よ。VTuber界隈のために戦うなんて今更…」

「ディスコルディアさん…」

「私は、私なりの贖罪…受けるしかないのよ。ケジメ付けなきゃいけないの」

萌実は何か言おうとしたがエトラに制止される

ディスコルディアは2人に向け小さな笑みを浮かべて言った。

「ふふ、もしもう一度やり直せるならVTuberやっていけるかな…?」

エトラはディスコルディアに向けこう言った。

「やり直せるよ。でも次は誰かを傷付けちゃダメですよ」

「エトラ、アンタの言葉で少し救われた気がしたよ。萌実、ベアトリクスに…みんなに伝えてくれる。”二度とVTuber界隈に現れない”と」

「……分かった。伝えるよ」

「――――アンタ達は生きなさい。出来る限りね」

ディスコルディアは踵を返す。

「萌実、エトラ。二度と会うことはないわ。じゃあね達者でな」

ディスコルディア・ロースターは萌実達の前に去り、二度と姿現すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年6月22日、ミライアカリのメンバーシップ限定配信がオンラインで幕を開けた。バーチャル空間では、ピンクと白を基調にした特別な背景が輝き、アカリはモーションキャプチャ装置を装着し、ファンからの質問に答えるQ&Aコーナーをスタート。

「みんな、ハロー! ミライアカリだよ♪ 今日はメンバーシップ限定配信! みんなの質問に答えて、めっちゃ楽しい時間にするよ!ファンのみんなと一緒に、輝くよ!」

アカリの明るい笑顔と弾けるトークに、コメント欄は瞬時に熱狂で埋め尽くされた。

「アカリちゃん、限定配信最高!」「#SaveAkari」「壁紙、めっちゃ可愛い!」

アカリの目が輝き、彼女は小さな笑みを浮かべた。

ファンからの質問に答えながら笑い合い、声を張り上げた。

「みんなの愛、めっちゃ感じるよ! アカリ、ファンのみんなと一緒に、ずっと輝く!」 Twitterのコメント欄には、ファンの感動と応援が溢れていた。

「アカリ、めっちゃ楽しそう!」「#SaveAkari」「限定配信、最高!」

アカリはコメントを見ながら、笑顔で応えた。

「みんな、ありがとう! アカリ、負けないよ!」

GOOMSTUDIOの会議室では、バスク郷里がアカリの限定配信の成功に激昂し、ジャミトフ西村とパプテマス・シロッコに叫んだ。

「アカリのメンバーシップ限定配信だと? 萌実の救出、ディスコルディアの解放、ココの卒業、#SaveAkariの勢いが止まらん! これ以上、NEOENTUMに全てを奪われる!」

ジャミトフは冷ややかに応じた。

「バスク、焦るな。限定配信は最後の賭けだったが、生駒葵と波瀬うるうの離反で計画は破綻した。シロッコ、アクスマンの平壌での失敗をどう説明する?」

シロッコは静かに微笑み、心の中で呟いた。

「(バスクとジャミトフ、終わりだ…私の計画が全てを決める。)」

同日、生駒葵と波瀬うるうはバスクを完全に見限り、ジャミトフに懇願して自ら千代田支部に左遷していた。

葵はタブレットを手に、うるうに言った。

「うるう、バスクの支配はもう終わりだ。アカリの限定配信、萌実の救出、ココの卒業…#SaveAkariの絆は無敵だ。千代田支部でNEOENTUMと連携して、バスクを潰す!」

うるうは少し震えながら答えた。

「あ、葵さん…バスクのデータ、全部NEOENTUMに渡した…です。ジャミトフの隠し資産も、姜さんにハッキング済みですぅ…。」

二人の離反は、GOOMSTUDIOの崩壊を決定的にした。

萌実はクリエイトリングスタジオで配信を再開し、アカリの限定配信を祝福。

「ハロー、旦那様! あなたの嫁の萌実だよ! アカリちゃんの限定配信、めっちゃ輝いてた! メンバーシップの壁紙、最高!チェーンソー握って、#SaveAkariをもっと盛り上げるよ!」

コメント欄は「萌実、チェーンソー最高!」「アカリ、輝け!」「#SaveAkari無敵!」で埋め尽くされた。

エトラはリィズ・ホーエンシュタインのスタジオでアカリの配信を見ながら呟いた。

「アカリちゃん、限定配信めっちゃ輝いてる…萌実、ディスコルディア、魂子ちゃん、ファンのみんな、ありがとう。#SaveAkari、絶対負けない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年6月23日、GOOMSTUDIOの管理室は、モニターの青白い光と重い緊張感に支配されていた。

バスク郷里は、ミライアカリのメンバーシップ限定配信の反響を映し出すモニターを睨み、苛立ったように拳を握りしめた。

「ミライアカリ…『戦場の絆』でもメンバーシップでも輝くとは! 貴様の絆など、GOOMSTUDIOの支配を揺るがせん!」

ジャミトフ西村が冷ややかな視線を投げ、静かに言い放った。

「メンバーシップの成功は、ファンの結束をさらに強めた。バスク、次の配信で、アカリを完全に支配下に置くのだ。」

ローレン中本が静かに進言した。

「ジャミトフ様、メンバーシップの成功は、バスクの焦りをさらに露呈しています。」

バスクは目を細め、吐き捨てた。

「ふん、NEOENTUMも…! ミライアカリを救おうとする者たちは、全員潰す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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