2021年8月12日
株式会社Brave group傘下クリエイトリング あおぎり高校スタジオ
あおぎり高校に新たな風が吹いた。
デビューを果たしたのは、千代浦蝶美。
「握力40kgのアイドルVTuber!千代浦蝶美ですっ!!」
149cmの小柄な体ながら“握力ゴリラ”を名乗るインパクト。
誕生日は2月5日、永遠の22歳という設定。
アイドルらしい可憐さと、どこか真面目で清楚な雰囲気をあわせ持つ存在だった。
ファンネームは「蝶民」。
牛タンや日本酒を愛する一面、天然気味な“ちよる”発言、
そしてセンシティブ路線に頼らない歌枠中心の活動方針。
後に自作曲「夢追いの蝶」を発表し、地上波ラジオパーソナリティも経験。
着実に実力と信頼を積み上げていくタイプのアイドルだった。
2021年8月14日 ― 2日後の衝撃
続いてデビューしたのが、栗駒こまる。
「み、皆さん、初めまして…あおぎり高校1年の栗駒こまる。だゾ☆」
152cmの小柄な体で「まろん組」を結成。
デビュー当初はASMRを武器に急浮上。
攻めた企画で注目を集めつつ、ガイドラインとの戦いも経験。
「歩く18禁」を自称する破天荒さ。
大食い、コスプレ、バラエティ適性の高さ。
蝶美が“王道アイドル”なら、こまるは“攻めのエンターテイナー”。
対照的な二人が、同時期にあおぎりへ加わった。
8月下旬 ― LOW-NON-BARでの会合
場所はマーチエキュート神田万世橋内のLOW-NON-BAR。
そこには既に音霊魂子、石狩あかり、大代真白、山黒音玄の姿。
そして呼びかけ人――ヰ世界情緒。
ハーブモクテルを手に、蝶美が真剣な眼差しで語る。
「アカリちゃんの輝き、守りたいよ。私、歌で支えたい。」
こまるは腕を組み、少しニヤリと笑う。
「私は私のやり方でいく。笑わせて、盛り上げて、味方だって分からせる。」
魂子がまとめる。
「王道もバラエティも両方いる。それがあおぎりだろ。」
静かなバーの空間に、確かな連帯が生まれた。
蝶美の誠実さ。
こまるの突破力。
その二つが加わったことで、
あおぎり高校は“勢い”だけでなく“層の厚み”を持ち始める。
#SaveAkariは単なる救済運動ではなく、
「界隈を前に進めるための共闘」へと形を変えていった。
バーの照明が柔らかく揺れる。
誰か一人を守るためではなく、
VTuberという文化そのものを守るための意思。
2021年夏。
その夜、確かに新しい流れが生まれていた。
翌日――
配信部屋に響く、こまるの甘い囁き声。
「ねぇ……もっと近く、来て?」
マイクは高性能。
距離は限界。
内容は――ギリギリ。
チャット欄は盛り上がる。
だが同時に、内部通報も入っていた。
数時間後。
あおぎり高校運営元・クリエイトリングの会議室。
調査を終えた篁唯依が資料を机に置く。
「こまる。」
栗駒こまるは正座。
「は、はい……」
「今回のASMR配信。YouTubeガイドラインに明らかに抵触しかけている。センシティブすぎる内容は、チャンネルBANのリスクを高めるだけだ」
こまるは目を泳がせる。
「えっと……ファンが喜んでくれてたから、ついノリで……。でも、アカリちゃんの#SaveAkariに協力したい気持ちもあって!」
唯依は一拍置く。
「……その気持ちは理解する。」
空気が少し和らぐ。
「だが、ルールを破れば活動自体が終わる。あおぎり高校の仲間、ファン、そして自分自身を守るためにも慎重になれ。次からは必ず事前相談。自分の役割を理解しろ。」
視線が鋭くなる。
「――貴様は未熟だ。」
こまるは深く頭を下げる。
「……分かった。ガイドライン、ちゃんと守る。篁さん、ありがとう。次は安全な企画で応援する!」
唯依は小さく頷く。
「良い返事だ。その調子で続けろ。」
廊下。
大代真白が壁にもたれていた。
「こまるちゃん、大丈夫?」
「真白先輩……篁さん、怖いけどちゃんとしてる人ですね」
真白は苦笑。
「言い方が軍人なんだよなぁ、あの人」
こまるは拳を握る。
「よし。こまる、健全路線でギリギリを攻める!」
真白が即ツッコミ。
「ギリギリ攻めるな!!」
二人の声が廊下に響く。
その夜。
こまるは配信予告を更新。
「次回:健全ASMRチャレンジ(※ほんとに健全)」
コメント欄は爆笑。
一方、唯依はモニター越しに呟く。
「成長しろ……それが守るということだ。」
夏はまだ続く。
だがこの日、こまるは一つ
“活動者としての責任”を学んだのだった。
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