ENTUM23   作:マブラマ

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第285話 平和の祈り

2021年12月24日

ミライアカリ クリスマスライブ2021

 

会場は赤とゴールドに包まれたホリデーステージ。

センターに現れたのは――ミライアカリ

 

白とピンクを基調にしたクリスマス衣装。

背後には巨大なLEDツリー。

 

オープニングはアルバム『未来』のリード曲。

 

観客席(オンライン)はコメントの雪。

 

「メリークリスマス!」

「#SaveAkari最高!」

「アカリしか勝たん!」

 

中盤ではバラードアレンジ。

11月の騒動を乗り越えた想いを込めたMC。

 

「今年は本当に色々あった。でも、みんながいたからここに立ててる。」

 

ラストは新曲サプライズ披露。

金色の紙吹雪が舞い、ライブは大成功で幕を閉じた。

 

 

 

2021年12月31日

みんなが選ぶ、2021年の動画No.1は???

【ミライアカリアワード】

 

年末恒例の特別企画。

 

候補は――

 

デビュー当時の神回

 

アルバム制作ドキュメンタリー

 

#SaveAkari関連配信

 

コラボ神回

 

投票はリアルタイム集計。

 

結果発表。

 

第1位

“ティターンズ制服サイン配信回”

 

アカリは驚きつつも笑顔。

 

「やっぱり“未来”はみんなと作るんだね!」

 

最後は年越しカウントダウン。

 

10…9…8…

 

2022年へ。

 

 

 

2022年1月1日

正月生配信

 

振袖姿のアカリが登場。

 

「明けましておめでとう!」

 

書き初め企画。

 

今年の抱負は――

 

『進』

 

「止まらない。止まらせない。」

 

おみくじ企画では“大吉”。

 

コメント欄は

 

「最高のスタート!」

「今年も守るぞ!」

で溢れる。

 

 

 

 

 

2022年1月2日

VTuber餅つき大会

 

特設和風スタジオ。

 

臼と杵が中央に置かれ、

複数VTuberが参加。

 

アカリはエプロン姿。

 

「よいしょー!」

 

杵を振り下ろすたびにコメントが弾ける。

 

途中ハプニング。

 

「腕プルプルなんだけど!」

 

笑いに包まれる配信。

 

最後は完成した餅をカメラに掲げて――

 

「2022年も、粘り強くいくよ!」

 

2021年の激動を越え、

2022年が静かに動き出す。

 

中心にいるのは、やはり――ミライアカリ。

 

未来は、まだ続いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かに、しかし確かな存在感を伴って現れた一人の女性。

 

カティア・ヴァルトハイム

(本名:ウルスラ・シュトラハヴィッツ)

 

1月7日生まれ。

 

淡い茶髪のポニーテール。

同色の瞳。

小柄で可憐な外見とは裏腹に、その歩みは激動の歴史と共にあった。

 

過去 ― 国家人民軍第666中隊

 

彼女はかつて東西冷戦下のドイツに身を置いた存在。

 

元は西ドイツ側で教育を受けた少女だったが、

ある人物を探すため東側戦線へ。

 

派遣部隊は壊滅。

孤立した戦場で彼女を救ったのが、テオドール・エーベルバッハ。

 

その後、目的達成のため東ドイツ軍内部へ入り込むことを決意。

亡命を志願し、第666中隊へ編入された。

 

思ったことをはっきり言う性格。

 

民主主義教育の影響から、東西融和を口にし、体制批判を隠さなかった。

 

そのたびに政治将校…現在左翼党の女性議員のグレーテル・イエッケルンから叱責を受けることもあった。

 

 

 

彼女は――体制に異を唱え粛清されたアルフレート・シュトラハヴィッツ中将の一人娘。

 

シュタージによる基地制圧の中、テオドールと脱出。

 

反体制派に保護され、西方総軍教育総監フランツ・ハイムのもとへ。

 

革命の象徴を欠いていた状況で、彼女は自らの本名と出自を明かし、“象徴になる覚悟”を示す。

 

それが決起を後押しした。

 

1989年11月9日 ― ベルリン

 

歴史的転換点。

 

ベルリンの壁崩壊

 

彼女は放送局を占拠した別動隊に参加。

演説で東ドイツの異常性を訴え、国民へ決起を呼びかけた。

 

その声に応えた群衆の行動が、壁崩壊を決定づける。

 

その後、シュタージ解体と東西統合協議が進行。

彼女も代表団の一人として参加した。

 

現在 ― 平和活動家

 

軍を離れ、理念を選んだ。

 

南北朝鮮統一を目指す平和活動を展開。

対話と民間交流を重視する姿勢を貫く。

 

1995年にはオウム真理教による

**地下鉄サリン事件を受け、「宗教の皮を被ったテロ組織」と明確に糾弾。

 

過激思想と暴力を否定する立場を鮮明にした。

 

2022年1月8日

 

そんな彼女が再び表舞台へ。

 

武器ではなく、言葉を携えて。

 

「壁は壊せる。でも憎しみの壁は、対話でしか壊せない。」

 

可憐な外見の奥に宿るのは、歴史を動かした覚悟。

 

新たな局面に、

平和の象徴が加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年1月9日

ドイツ ベルリン

カティア自宅

 

静かな室内。

ノートPCに映るのは――ミライアカリの配信アーカイブ。

 

その裏で囁かれる、GOOMSTUDIO内部の実態。

 

運営責任者バスクによる圧力、叱責、精神的拘束。

 

画面を見つめたまま、カティアは小さく呟く。

 

「……こんなの、間違ってる。」

 

拳が震える。

 

「支配の構造は、どこにでも現れるんですね……」

 

彼女は、かつて体制と対峙した少女だった。

 

2023年3月26日

 

公の場で、カティアは名指しで告発。

 

バスク、そして背後にいたジャミトフ体制を厳しく批判。

 

世論は一気に傾く。

 

内部告発、録音、証言。

 

構造的パワーハラスメントが白日の下に晒された。

 

支配は終わる。

 

しかし――崩壊寸前、後任として、パプテマス・シロッコが運営責任者に就任。

 

だが、アカリの心は既に限界だった。

 

2023年3月31日。

 

ミライアカリ、引退。

 

同時にGOOMSTUDIOは運営終了。

 

最後の配信

 

バスクは悪足掻きを見せる。

 

配信は非公開化。

アーカイブは1時間に縮小。

 

しかし――鳴神が入手していた録音データ。

 

ファンによる切り抜き。

 

証拠スクリーンショット。

 

保存された元動画。

 

情報は拡散し、隠蔽は失敗に終わる。

 

「真実は消せない。」

 

それが証明された瞬間だった。

 

2023年11月21日

転生

 

渋谷の街を走るアドトラック。

 

渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョンをジャック。

 

ソニーミュージックから新たな名でデビュー。

 

「パスタ王国の女王、アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノなのじゃ!」

 

略称――ぺぺち。

 

ソニーミュージックエンタテインメント

 

新章が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの行き先

 

エマ → ソニーミュージック

 

ジェリド井上/カクリコン戸松 → あおぎり高校スタッフ

 

ライラ/マウアー/葵/うるう → バンナム残留

 

ブライト → ゲーム事業部へ異動

 

ヤザン大塚 → MEWLIVE運営に参画(2023年9月28日始動)

 

アイリスディーナのその後

 

2022年3月末、

ZIZAIがDMM傘下入り後にVTuber事業撤退。

 

孤立の末、退任。

 

その後、元CEO塚原の誘いで

株式会社MEDIX会長に就任。

 

終わりと始まり

 

GOOMSTUDIOは消えた。

 

だが、アカリは消えなかった。

 

名前を変え、舞台を変え、

再び光の下へ。

 

カティアが言った言葉。

 

「支配は終わらせられます。」

 

物語は、崩壊の先で再生する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日

 

春の冷たい風が吹く日。

 

GOOMSTUDIOはその日をもって運営終了。

時代の一区切りが静かに下ろされた。

 

だが――その内部で暗躍していた

“口破らせの女”の姿は、すでに無かった。

 

嫉子は数週間前にはGOOMSTUDIOを離脱していた。

 

潜入任務は完了。

 

必要な情報は回収済み。

 

証拠は共有され、役目は終わった。

 

去り際に未練はない。

 

「組織は利用するもの。依存するものじゃない。」

 

それが彼女の流儀。

 

夜の高速道路。

 

黒い車体がヘッドライトを伸ばす。

 

行き先は不明。

 

CODE-ELからの新たな指令。

 

支配構造の裏に潜む“別の影”。

 

彼女はバックミラー越しに都会の灯りを見つめる。

 

GOOMSTUDIO崩壊。

 

アカリの引退。

 

世論のうねり。

 

それらは彼女にとって、任務の一部に過ぎない。

 

「次は、誰の仮面を剥がそうかしら。」

 

唇に薄い笑み。

 

2023年3月31日。

 

一つの舞台が終わる日。

 

しかし、嫉子にとっては――

 

ただの通過点。

 

彼女はすでに、次の戦場へ向かっていた。

 

 

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