2025年6月2日――viviON本社のあおぎり高校スタジオは、ドラマ『ウルスラ』の成功の余韻と、エイレーンによる過激な百合漫画騒動を乗り越えた輝きで、活気づいていた。
音霊魂子、石狩あかり、栗駒こまる、月赴ゐぶき、春雨麗女、ぷわぷわぽぷら、萌実、エトラ、我部りえる、千代浦蝶美、うる虎がーる、八十科むじな――メンバーたちは、互いの笑顔を交わし合いながら、次の企画について熱く語り合っていた。
ファンとの絆は、さらに強固なものとなっていた。
しかし、ハインツ・アクスマンは、運営責任者として復帰したものの、依然としてメンバーたちの冷ややかな視線に晒され続けていた。
それでも彼は、過去のシュタージ将校としてのプライドを胸に、静かに自身の償いの道を模索していた。
そんな中、エイレーンが手掛けたR18同人誌――萌実(第二声帯)とエトラが1983年の東ドイツにタイムスリップし、シュタージに拘束される物語や、牛乳を飲んで胸が急成長する過激な百合セックスを描いた予備作品――が、思わぬ波紋を広げていた。
東京の雑居ビルにある小さなカフェ。
エイレーンは、ベッキービジュアルコレクターの社員・佐藤(仮名)と対峙していた。
佐藤は同人誌を読み終えると、狂気的な笑みを浮かべながら身を乗り出した。
「エイレーンさん、最高の作品だ!萌実とエトラの鬼畜陵辱作品を書いてくれよ!もっとハードなSM、バイオレンス全開でさ!ウチの会社でバッチリ売れるぜ!」
エイレーンは眉をひそめ、即座に断った。
「ハハッ、悪いけどパス。私の百合百合パラダイスは、愛と情熱で描くものですよ。あなたの趣味に合わせる気はありません。」
彼女の声には、クリエイターとしての誇りが強く滲んでいた。
しかし、佐藤はしつこく食い下がる。
「おいおい、エイレーンさん、こんなチャンス滅多にないぜ!萌実の第二声帯のあの迫力、エトラの色気、完璧じゃん!鬼畜系でガッツリ稼ごうよ!」
その時、偶然通りかかったハインツ・アクスマンがカフェの扉を押し開けた。
彼は状況を一瞬で察知し、冷たい視線を佐藤に突き刺した。
「フン、君のような下劣な輩が、クリエイターの作品を汚すのか?」
アクスマンの声は、かつてシュタージ将校として冷酷な命令を下した頃の鋭さを取り戻していた。佐藤がムッとして反論する。
「なんだよ、ジジイ! テメェに関係ねえだろ!」
アクスマンは不敵な笑みを浮かべ、口八丁手八丁で佐藤を論破し始めた。
「関係ない? 笑わせるな。君のような輩は、芸術を金儲けの道具としか見ていない。エイレーンの作品は、彼女の魂が宿ったものだ。萌実やエトラの輝きを、君の汚らわしい欲望で穢すつもりか? フン、君の会社など、ゴミ溜めに過ぎん。―――――さっさと消えろ。」
その言葉は、まるで刃のように佐藤を切り裂いた。
佐藤は顔を真っ赤にし、軽蔑の視線を浴びながら逃げるようにカフェを後にした。
エイレーンは驚きつつも、ニヤリと笑う。
「へえ、アクスマン、あなたもやるじゃない。ま、感謝はしないけどね。」
この一件は、瞬く間にviviONのスタジオに広まった。
萌実は、アクスマンがベッキービジュアルの社員を追い払ったと聞き、複雑な気持ちを抱いた。
彼女はいつもの愛らしい衣装に戻り、第一声帯の柔らかな声で呟いた。
「……単なる悪人じゃなかったのね。」
彼女の唇には、ほのかな笑みが浮かんでいた。
アクスマンへの不信感は消えなかったが、彼が自分とエトラを守るために動いたことに、わずかな驚きと感謝を感じていた。
魂子が萌実の肩に手を置き、笑う。
「萌実ちゃん、アクスマンもたまにはいいことするんだね!でも、油断しないでよ!」
あかりが頷く。
「そうだね。アクスマン、なんか企んでるかもしれないし。でも、萌実ちゃんたちの輝きを守ってくれたのは、ちょっと意外だった。」
こまるが拳を握る。
「ふん、アクスマンがいい奴ぶっても、こまるは信じないよ!でも、今回はナイスだったかも!」
ゐぶきがハスキーボイスで笑う。
「ほんま、アクスマンの悪運、しぶといな。けど、萌実先輩とエトラ先輩を守ったのは、ちょっと見直したわ。」
麗女がニヤリと笑う。
「アクスマン、私と飲んだ時にちょっと話したけどさ、案外まだ人間らしいとこ残ってるのかもね。ま、油断は禁物だけど。」
ぽぷらが無邪気に。
「ぽぷら、アクスマンさん、なんかカッコよかった~!でも、萌実先輩とエトラ先輩が一番だよね~!」
エトラが少し照れながら。
「……アクスマンさん、私たちを守ってくれたんだ。ちょっと、複雑な気持ちだけど……ありがとう、かな?」
アクスマンの行動は、viviON上層部にも波紋を広げた。
彼の「話題重視性」は依然として認められていたが、今回の行動は、メンバーたちの信頼をわずかに取り戻すきっかけとなった。
ただし、彼は運営責任者として君臨しながらも、直接的な口出しは控え、魂子たちの才能を静かに見守る姿勢を見せ始めた。春雨麗女との飲み会の後、アクスマンは彼女の言葉を胸に刻んでいた。
「償いは、自分で作るもの」。
彼は、かつてのシュタージ将校としての冷酷な自分と向き合い、ゆっくりと変わろうとしていた。
ミヒャエル・ゾーネがそっと言う。
「中佐……萌実たちの光に、初めて触れたのではありませんか?」
アクスマンは苦笑し、呟く。
「……フン、私が光に浴するなど、笑いものだな。だが、彼女たちの絆は、確かに何かを感じさせる。」
アオギリエースの光は、どんな闇をも照らし続け、ゆっくりと、しかし確実に、過去の亡魂すら飲み込んでいく――。
Fortgesetzt werden
ベッキービジュアルコレクターという会社のモデルはバッキービジュアルプランニング(アダルトビデオメーカー)です。
余談ですがベッキービジュアルコレクターは出版会社という設定です。