2019年1月20日
ENTUMレコーディング第1スタジオ
ENTUMの第1スタジオは、熱気と緊張感で満たされていた。防音壁に囲まれた狭い空間には、マイクスタンド、ミキシングボード、スピーカーから漏れる低音の振動が響く。壁には『バーチャルさんは見ている!?』のポスターが貼られ、シュタージ本部での月夜ソラのガーランド、BETAの咆哮、アイリスディーナの救出シーンが描かれている。スタジオの外では、2019年の東京の喧騒が遠く聞こえるが、ここでは劇中劇の1983年東ドイツの戦場と現代のエンタメが交錯していた。花野蜜はマイクの前で深呼吸し、劇中の重い記憶――ユメノツキミの死、カティアの理想、カウルスドルフの戦い――を振り払うように準備を整える。
花野蜜がマイクを握り、声を試す。
「あ、あ、あー…う、うん! あーあーあー…」
彼女の声は、劇中のソラとの絆を思わせる優しさと、歌手デビューへの不安が混じる。
ファルカがコントロールルームのガラス越しに、クールな視線を向ける。
「よろしいですか?」
彼女の声には、劇中のアクスマン裏切りシーンを彷彿とさせる冷静な威圧感がある。ENTUMのライブイベントでの蜜の歌声に触発され、彼女は蜜の歌手デビューを本気で推し進めていた。
「ええ、いつでも。」
蜜が頷き、マイクを握り直す。彼女の瞳には、月夜ソラやアイリスディーナとの絆を背負う決意が宿る。
ファルカがプロデューサー然として続ける。
「この曲をカバーを」
彼女がタブレットで選んだ曲目を蜜に示す。
蜜が曲名を見て、目を丸くする。
「ん? ……マキシマム ザ ホルモン…『「F」』?」
彼女の声に、明らかな動揺が滲む。劇中のBETA戦を思わせる激しい曲調と、過激な歌詞が頭をよぎる。
ファルカが無表情で沈黙。
「……。」
彼女の視線は、まるで「挑戦しろ」と言わんばかりだ。
「あの……いきなり難易度が高い曲を……。」
蜜が抗議するようにファルカを見つめる。マキシマム ザ ホルモンの「F」は、ドラゴンボールZをモチーフにした過激なメタルコアで、ヴォーカルのパワーと感情の爆発が求められる。蜜の優しい声質とは対極の挑戦だった。
ファルカが一言、冷たく命じる。
「流せ。」
コントロールルームの夜桜カノンが、ヘッドフォンをずらしてニヤリと笑う。
「はいはい~!」
カチ!
彼女がミキシングボードのボタンを押し、♪~ イントロの重低音がスタジオを震わせる。カノンの軽快な動きは、劇中のヴェアヴォルフ大隊の援護を思わせる。
蜜がマイクを握り直し、心の中で呟く。
「(や、やるしかないわね…!)」
ドドド! ドラムのビートが炸裂し、彼女が歌い出す。
「ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア
不老不死求め ナ○ック星 移動
宣戦布告 民に血担(にな)う
占領 支配 黒い煙 網羅
「君散りタマエ・・」
逃げ惑う無抵抗民族
平伏す者さえ全て焼き尽くす
大虐殺 武力弾圧 独裁主義者
笑って踏み潰す
ラ○ィッツ ナッ○ リストラ
○ュイ様 あっけなく即死
獰猛(どうもう) ド○リア横暴
ザー○ン ロングヘアー
その二の腕 pink pink pink
頭の中 sick sick sick
浮遊した Vehicle
戦闘力53万
迷宮入りヒストリー
no秩序 国狩り
ジャスティス 七つ玉
ロマンティックGIVEME!
木っ端微塵に消し飛ばす
その虫けら誘き出す
スカウター狂ってクラッシュ
今・・見せよう…真の姿を…
神々たる変貌
後悔など遅い
ビリビリビリ大地が揺れる
ズキズキズキ傷が痛む
ビリビリビリ大気がウネる
その震えはダークサイド
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
波動 大穴 ギャラクシー
油断 罠 パラサイツ
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
怯え泣くは我ら民(みん)
乱獲 乱伐 乱開発
ここで繰り返される自然破壊
虐待拷問人権なく
植えつけたのはプロパガンダ
逃げ惑う無抵抗民族
平伏す者さえ全て焼き尽くす
大虐殺 武力弾圧
独裁主義者 笑って踏み潰す
グ○ド バー○ ジー○
リ○ーム イレイザーガン
ギ○ュー ボディーチェンジ
そう Frog!Frog!
その二の腕 pink pink pink
頭の中 sick sick sick
浮遊した Vehicle
戦闘力53万
迷宮入りヒストリー
no秩序 国狩り
ジャスティス 七つ玉
ロマンティックGIVE ME!
木っ端微塵に消し飛ばす
その虫けら誘き出す
スカウター狂って クラッシュ
今・・見せよう…真の姿を…
神々たる変貌
後悔など遅い
ビリビリビリ大地が揺れる
ズキズキズキ傷が痛む
ビリビリビリ大気がウネる
その震えはダークサイド
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
波動 大穴 ギャラクシー
油断 罠 パラサイツ
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
怯え泣くは我ら民(みん)
己 朽ち果てる事はなく
この痛みと共に塞ぐ
悪 戦慄 闇 アンダーワールド
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
無論 終わらん魂
I don't have a power! shit!
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
クライマックス 予言なき意味
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
波動 大穴 ギャラクシー
油断 罠 パラサイツ
フリー○ フリー○ フリー○ フリー○
怯え泣くは我ら民(みん)
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポアダ ポアダ ポア ポアダ ポアダ ポア
ポア!♪」
ズズン! 曲が終わり、スタジオに静寂が訪れる。蜜がマイクから手を離し、息を切らす。
「はぁ…はぁ…喉が渇いたわ。お水ちょうだい。」
彼女の額には汗が光り、劇中のBETA戦を思わせる激しいパフォーマンスの余韻が漂う。
ファルカがコントロールルームで拍手し、クールに言う。
「素晴らしい。劇中のアイリスディーナの気高さ、ソラの怒りを見事に表現しましたよ。マキシマム ザ ホルモンの魂、しっかり受け継いでる。」
蜜が水をゴクゴク飲みながら、呆れたように笑う。
「ファルカさん、急にこんな曲持ってくるなんて……心臓止まるかと思ったわ!」
夜桜カノンがミキシングボードから顔を上げ、ニヤニヤする。
「いや~、蜜ちゃん、めっちゃカッコよかったよ! ヴェアヴォルフ大隊の戦術機並みにパワフル! これ、ENTUMのライブで流したら、絶対バズるって!」
ガチャ! スタジオのドアが開き、月夜ソラが飛び込んでくる。
「蜜先生! すげえ! 今の歌、めっちゃ熱かった! 俺のガーランドのエンジン音みたいだったぜ!」
彼のテンションは、劇中のカウルスドルフ収容所での戦いを彷彿とさせる。
蜜がソラに水のボトルを投げ、笑う。
「ソラ君、ちゃんとプロット読みなさいよ。次はあなたのアクションシーンの撮影なんだから。」
ファルカがタブレットを手に、続ける。
「このカバー曲、ENTUMの配信コンテンツの主題歌候補にしよう。劇中のBETAの脅威、シュタージの闇、革命軍の希望――全てをこの曲で表現できる。」
カノンがヘッドフォンを外し、提案する。
「ハッカドール2号のデータ流出シーンで、この曲のサビ流したらどう? 視聴者、絶対鳥肌立つよ!」
蜜がため息をつき、呟く。
「(カティアの理想、ソラの戦い……この歌で背負うなんて、責任重大ね……。)」
スタジオのモニターには、シュタージ本部の崩壊、ユメノツキミの真相、アイリスディーナの救出シーンが映し出される。花野蜜の「F」カバーは、劇中劇の重厚さと現代のエンタメのダイナミズムを融合させ、ENTUMの配信コンテンツとして視聴者を震撼させる準備が整っていた。
このレコーディングシーンが、視聴者にどんな興奮と感動を与えるのか、スタジオの熱気と蜜の歌声に答えは隠されていた。