ENTUM23   作:マブラマ

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第94話 花野蜜のS〇X講座!??????

2019年2月25日

花野蜜自宅 リビング

 

花野蜜の自宅リビングは、穏やかな午後の光に包まれていた。木目調のテーブルには、ノートパソコンと「アフィリエイト講座」の資料が散らばり、壁にはENTUMのポスターやミライアカリのサイン入り写真が飾られている。キッチンカウンターには、淹れたての紅茶のポットとクッキーの皿が並び、ほのかに甘い香りが漂う。花蜜スタジオでのVTuber講座撮影やグラビアの仕事で忙しい蜜だったが、今日は珍しく自宅で次の企画の準備を進めていた。だが、彼女の日常は、ENTUMらしいカオスに飲み込まれようとしていた。

蜜がノートパソコンをカタカタ叩きながら、呟く。

「次は…ん? アフィリエイト講座ね。詳しくはないけど、調べれば大丈夫よね。」

彼女の声には、いつもの優しさと、仕事のプレッシャーが混じる。YouTube動画の編集、水着グラビア撮影、VTuber企画――最近の彼女のスケジュールは、まるで終わりなきマラソンだ。

プルルルルル! 固定電話のベルがリビングに響く。

「何かしら?」

蜜が椅子を引いて立ち上がり、電話に手を伸ばす。

ガチャッ!

「はい、花野です。」

電話の向こうから、エイレーンが少し慌てた声で言う。

《すみません。急な用事で。》

「エイレーンさん、どうかされましたか?」

蜜が眉をひそめ、心配そうに尋ねる。

《急遽変更です。〇〇講座の次の内容は『S〇X講座』です》

エイレーンの声は、まるで事務的に告げるかのように淡々と響く。

「え? 今何て…?」

蜜が目を丸くし、電話を握る手に力が入る。

《『S〇X講座』です》

エイレーンが繰り返す。

「え? …あ、いやその…少し考えさせてください」

蜜の顔が一瞬で真っ赤になり、慌てて言葉を絞り出す。

ガチャン! 彼女が電話を切ると、リビングに気まずい静寂が広がる。

「……あ…そ、そんな…恥ずかしい内容に…。」

蜜がソファにドサッと座り込み、両手で顔を覆う。彼女の脳裏には、ミライアカリの「時間泥棒ちゃん」ツッコミや、ベイレーン過激なVTuber講座がチラつき、こんな企画がネットでどうバズるか想像してさらにパニックになる。

しばらく放心状態

「……それに…せ…せ…セック…コホン!」

蜜が咳払いし、急に立ち上がる。

「よし、やってやる! 資料を集めてまとめれば…!」

彼女の瞳に、恥ずかしさを振り払う決意が宿る。プロとして、どんな企画も乗り越える覚悟だ。

ブー! ブー! ブー!

スマホが振動し、着信音が鳴る。

ピッ! 蜜がスマホを手に取り、応答。

「はい。」

ベイレーン過激な声が飛び出す。

《大変だお! 薬袋カルテが引退したお!》

「え!????」

蜜がスマホを握り潰しそうになる。

「カルテちゃん? カルテちゃんが引退…!?」

《今、緊急会議してるお!》

ベイレーンがまくしたてる。

《代役は名取さなだお!》

「代役って…。」

蜜が呆然と呟く。カルテちゃんのナースキャラと癒し系トークが、ENTUMの人気コンテンツだっただけに、衝撃は大きい。

ブツ! ツーツーツー

電話が突然切れる。

「あれ? 切れちゃったわ。」 蜜がスマホを見つめ、首を傾げる。

ピンポーン♪

インターホンのチャイムが軽快に鳴る。

「はーい♪」

蜜がドアに向かい、ガチャリと開ける。

田中ヒメが勢いよく飛び込んでくる。

「てぇへんだ! てぇへんだ!」

彼女のツインテールがバウンドし、いつものハイテンションがリビングを一気に明るくする。

「ヒメちゃん、何が大変なの?」

蜜が微笑みつつ、彼女の勢いに圧倒される。

「てぇへんだ! カルテちゃんが対馬にある診療所に行くんだって!」

ヒメが両手を広げ、まるで世界の終わりを告げるような大げささ。

「何だそんな事か。」

蜜がホッと息をつき、笑う。

「さっきベイレーンさんから電話があって知ったわ。今頃、スタジオで大騒ぎになってるわ。」

「え?」

ヒメが目をパチクリさせる。

タタタ! 鈴木ヒナが息を切らしてドアから現れる。

「ヒメ! ここにいたんですか!?」

「おおっ! ヒナちゃああん!」

ヒメがヒナに飛びつき、二人でキャッキャと騒ぐ。

蜜が呆れたように二人を見つめ、言う。

「…貴女たち、ここに何しに来たのかしら?」

ヒメがハッとして、ニヤリと笑う。

「え? あー…そ、その…そうだ! 蜜先生、性教育について知りたいです! 教えてください!」

「ヒメ! な、なななななな何を言ってるんですか!?」

ヒナが顔を真っ赤にしてヒメの肩をバシバシ叩く。

蜜がため息をつき、ソファに座る。

「そのことだけど、少し悩んでるのよ… エイレーンさん、何を考えてるのか分からないわ。 副社長は長期の海外視察に行ってるし…」

彼女の声には、最近の忙しさと疲れが滲む。動画撮影、グラビア、企画会議――派手な生活だが、どこか単調で、同じことの繰り返しに感じていた。それでも、彼女は笑顔で言う。

「人生、楽しめればそれで満足よね。」

だが、心のどこかで、何かがズレている気がしていた。

「と、取り敢えず中でお茶でも飲んで話しましょう。ね?」

蜜が紅茶のポットを手に、二人を招き入れる。

「うん!」

ヒメが元気に頷く。

蜜がティーカップを手に、ふと呟く。

「うぅ…体が怠い…倦怠感が…。」

彼女の顔に、普段の明るさとは裏腹な疲れが浮かぶ。

ヒナが心配そうに近づく。

「大丈夫ですか!? 蜜先生、ゆっくり寝ないと…。」

「最近眠れないのよ。」

蜜が苦笑いする。

「動画撮影したり、水着グラビア撮影の仕事したり…頑張ってるけど…体が重い…。」

ヒメが真剣な顔で言う。

「病院に行った方が!」

「そうね…明日行くわ。」

蜜が微笑み、二人を安心させる。だが、彼女の心には、忙しさと体調不良、そして「S〇X講座」のプレッシャーが重くのしかかっていた。

リビングのモニターには、ENTUMの新企画の予告映像が映る。「次回! 花野蜜のアフィリエイト講座…からの!?」と、謎のティーザーが流れる。蜜の新たな挑戦と、カルテの引退騒動が、ENTUMの配信コンテンツにどんな波乱を巻き起こすのか、リビングの紅茶の香りとヒメ・ヒナの笑い声に答えは隠されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年2月26日 名取診療所 診察室

名取診療所の診察室は、消毒液の匂いと柔らかな日差しで満たされていた。白いカーテンが揺れ、壁には「健康第一!」と書かれたポスターや、名取さなのナースキャラを模した可愛いイラストが飾られている。デスクにはカルテと聴診器が整然と並び、さなの優しい笑顔が患者を安心させる――はずだった。だが、今日の患者は花野蜜。ENTUMの激務と「S〇X講座」の衝撃、薬袋カルテの引退騒動で心身ともに疲弊した彼女が、しぶしぶ訪れた診療所だった。

蜜が診察椅子に座り、気まずそうに呟く。

「最近、ずっと怠くて…風邪だと思うんですけど…。」

彼女の声には、いつもの優しさが薄れ、疲れと焦りが滲む。動画撮影、水着グラビア、企画会議――終わりないスケジュールが、彼女の体を蝕んでいた。

名取さながカルテを手に、ナースキャラ全開の笑顔で言う。

「ふむふむ、これは鬱病ですね~。」

彼女の声は、まるで「風邪ですね」と言うような軽さで、診察室に響く。

「鬱病じゃないですよ! 風邪か何かです!」

蜜が即座に反発し、目を丸くする。彼女の脳裏には、ミライアカリの「時間泥棒ちゃん」ツッコミや、ベイレーン過激なVTuber講座、ヒメの「性教育教えて!」がチラつき、鬱病なんて認めたくない気持ちが溢れる。

さながメガネをクイッと上げ、自信たっぷりに続ける。

「いえ、これは完全に鬱病の症状です。倦怠感、睡眠不足、気力の低下…バッチリ当てはまってますよ~。」

彼女がカルテにサラサラとペンを走らせる。

蜜が焦って身を乗り出し、訴える。

「動画撮影は? 水着グラビア撮影は?」

さなが優しく、だがキッパリと言う。

「治るまではお休みですね~。ナースのさなちゃん、患者さんの健康が第一ですから!」

「……どれくらいですか?」

蜜が小さな声で尋ねる。彼女の瞳には、ENTUMのスケジュールと、休むことへの不安が揺れる。

「長くて1週間です!」

さながピースサインを出し、ニッコリ。彼女のナースキャラらしい明るさが、診察室の重い空気を少しだけ和らげる。

「……。」

蜜が無言で診察椅子に沈み込む。鬱病という言葉が、彼女の心に重く響く。忙しい日々の中で、楽しめば満足だと思っていた人生が、どこかズレていたのかもしれない。

その後

診察を終え、蜜は自宅に戻った。リビングのテーブルには、ノートパソコンと紅茶のカップがそのまま。彼女はソファにドサッと座り、ため息をつく。

「…はぁ 。」

さなの診断を信じたくなかった蜜だが、念のためパソコンを開き、医療機関のサイトやまとめサイトを虱潰しに調べ始める。「鬱病 症状」「ストレス 対処法」「休息 重要性」――画面に映る情報が、彼女の疲れを少しずつ言語化していく。YouTube動画のコメント欄、グラビア撮影のフラッシュ、エイレーン突飛な「S〇X講座」企画――全てが、彼女の心をすり減らしていたのかもしれない。

蜜はノートにメモを取りながら、呟く。

「…休息か。1週間、ちゃんと休んでみるか…。」

彼女がスマホを手に、ENTUMのグループチャットにメッセージを打つ。

「しばらくお休みします。ごめんね。」

ピロン! すぐにミライアカリから返信。

「蜜ちゃん! 大丈夫!? 休むの大事だよ~! 復帰したら一緒にバズる企画やろうね!」 続けて、ヒメとヒナからも「蜜先生! ゆっくりしてね!」「お大事に!」とスタンプが飛び交う。

蜜が小さく微笑む。

「…みんな、ありがと。」

彼女はパソコンを閉じ、ソファに寝転がる。窓から差し込む午後の光が、彼女の疲れた心を優しく包む。

その後、蜜はさなのアドバイス通り休息を取り、ストレス管理の方法を少しずつ学んだ。医療サイトの情報を参考に、軽い散歩や深呼吸を試し、まとめサイトの「簡単リラックス術」を実践。1週間後、彼女の顔には少しだけ明るさが戻っていた。ENTUMの新たな企画は待っているが、今は自分のペースで進む決意が、彼女の心に芽生えていた。

 

 

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