アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。


地球圏の反応

ネオ・ジオンの演説は地球圏に衝撃を齎した。行方不明になっていたエゥーゴの指導者であるシャア・アズナブルがエゥーゴを捨ててネオ・ジオンの総帥になっていた……民衆が衝撃を受けるのは当然だろう。

 

 

 

「事前にわかっていたとはいえ、実際に目にすると何とも言えん気持ちになるな」

 

アナハイム・エレクトロニクスの会長であるメラニー・ヒュー・カーバインは月のフォン・ブラウン市内にあるアナハイム本社にてネオ・ジオンの演説を聞いていた。

 

「しかしこの男が裏切った理由がわからんな。演説にあったスペースノイドの地位向上の為ならエゥーゴの指導者のままでも問題ないし、ジオン残党に寝返る必要はないはずだ。戦友のアーガマが捕虜となり人質に取られたから?……仮に仲間を人質に取られたとしても、それは自分を信じて付いて来たエゥーゴの人間全てを切り捨てる程重要な物なのか?」

 

メラニー会長はシャアがエゥーゴを裏切った理由を考えていたが、やがて首を振って思考を打ち切る。

 

「そんな事はどうでもいい。確実にわかっているのはエゥーゴは組織として終わりだという事だ。白い悪魔がガンダムに乗ったようだが、既に事態は個人の活躍で挽回できる状況ではない。組織の指導者がエゥーゴを裏切ったという事実はあまりにも致命的だ……社員達の撤収作業が完了しているのは幸いだったな」

 

 

 

「お、おい、これどういう事だよ?何でエゥーゴの赤い彗星がネオ・ジオンにいるんだよ?」

「何でって、俺にわかるわけないだろ」

 

「まさかザビ家とダイクンが協力関係になるとはビックリだな」

「でも赤い彗星ってザビ家への復讐を目的としてたんじゃなかったっけ?」

「いや演説聞いてなかったのか?過去の遺恨を水に流すって言ってただろ」

 

「しかしネオ・ジオンねぇ……名前を変えたところでジオン残党だろ?一年戦争でジオン公国が出来なかった事が残党に出来るのかよ?」

「まあ何とかするんじゃないか?連中だって勝算があるからこんな演説をしてるんだろ。でなきゃただの自殺志願者だぞ」

 

フォン・ブラウン市内にある酒場では演説を聞いていた客達が様々な反応を見せていた。

 

 

 

「ふむ、ネオ・ジオンの切り札がこれか。まさか本当にキャスバル・レム・ダイクンを味方にするとは」

 

サイド3、ジオン共和国の首都ズムシティでは共和国のトップであるダルシア・バハロ首相がネオ・ジオンの演説を聞いていた。

 

「父上、先の内戦によってアースノイド至上主義のティターンズは壊滅し、エゥーゴも大きく疲弊しました。そしてこの演説でエゥーゴは組織を維持できなくなるでしょう……これは天祐です父上。上手く立ち回る事ができればサイド3の自治権の延長、いやジオン共和国の完全なる独立も不可能ではありません!」

「モナハン、そんな事はお前に言われなくてもわかっている」

 

興奮した様子を見せる息子のモナハン・バハロをダルシア首相は窘める。

 

「逸る気持ちはわかるが落ち着け。確かにエゥーゴは瀕死だが地球連邦軍は健在なのだ。ネオ・ジオンは所詮ジオン軍の残党に過ぎん。連邦軍がその気になれば簡単に撃滅できるのはお前とて理解しているはずだ」

「ええ、わかっております。ですがネオ・ジオンも馬鹿正直に戦うつもりはないようです」

 

モナハンが取り出した密書を見たダルシア首相は苦い表情を浮かべる。

 

「モナハン、貴様既にネオ・ジオンと通じていたのか。何と言う事を、もし地球連邦政府に露見したら最悪の場合共和国の自治権が剥奪されるかもしれんのだぞ」

「父上は心配性ですな。ご安心ください。尻尾を掴まれないように対策は行っております。そんな事よりも密書に書かれた内容の方が重要ですよ」

 

したり顔を浮かべる息子を殴りたいと思いつつも密書に目を通したダルシア首相は溜息をつく。

 

「……地球降下作戦だと?一年戦争でジオン軍がそれを行ってどうなったかあの小娘は知らないのか?」

「一年戦争の時とは違います。今度の地球降下作戦はパフォーマンスですよ。ネオ・ジオンはただの弱小テロリストではなく地球連邦政府に対抗できる軍勢であると地球圏に宣伝する為にも必要な事です」

「お前はここに書かれている事が本当に上手くいくと思っているのか?」

「ええ、ハマーン・カーンだけなら信じていませんでしたが、キャスバル・レム・ダイクン殿がネオ・ジオンに参加するならば手を貸す価値があると判断しました」

 

ダルシア首相の問いにモナハンは真剣な表情で答える。

 

「父上、共和国に住む人間は大多数がネオ・ジオンを支持するでしょう。ザビ家とダイクン家が過去の遺恨を水に流しスペースノイド解放の為に手を取り合った……これを聞いて熱狂しないサイド3の、ジオンの人間はいません。我々ジオン共和国は他人事ではいられませんよ」

「ハァ……大衆は呑気なものだ、我々の苦労も知らず庶民達は無邪気にジオンの独立を信じて、ジークジオンと叫ぶわけか」

「大衆が愚かで無責任なのは有史以前からそうでした。人類全てに叡智を授けない限り今後もそれは変わらないでしょうな」

 

民衆の愚かさを嘆くダルシア首相にモナハンは苦笑するのであった。

 

 

 

「おい見たか!赤い彗星が、キャスバル・レム・ダイクンが俺達の為に立ち上がってくれたぞ!」

「ああ、ザビ家とダイクンが手を組んだんだ!今の偽りの自治権じゃない、本当のジオン独立の為に!」

「ミネバ・ザビ王女万歳!キャスバル・レム・ダイクン万歳!」

 

「「「「「ジークジオン!ジークジオン!ジークジオン!!ジークジオン!!ジィークッジオンッ!!!」」」」」

 

演説を聞いていたジオン共和国の民衆はモナハンの言う通り熱狂的な反応を見せていた。無論全ての住民が熱狂しているわけはなかったが、それでも大多数の人間がネオ・ジオンを支持していた。

 

彼等がここまで熱狂的になったのは何と言ってもジオン・ズム・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクンの存在が大きいだろう。これがミネバ・ザビだけならここまで熱狂的な反応は起きなかったのは確実である。

 

「でもハマーン・カーンって誰なんだ?ミネバ・ザビ王女の代わりに指導者やってるけど」

「お前知らないのか?なんでもあのドズル・ザビ中将の妾の妹らしいぞ」

「え……それほぼ他人じゃないのか?」

「うん、俺もそう思う。まあキャスバル・レム・ダイクン殿がネオ・ジオンに参加したから、今後ミネバ・ザビ王女の後見人はキャスバル殿になるんじゃないか?知らんけど」

 

 

 

「……道理でアナハイムがエゥーゴから撤収したわけだ。彼らはシャアがネオ・ジオンに寝返ったのを知っていたのか」

 

地球ではカラバのリーダーであるハヤト・コバヤシが苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべて演説を聞いていた。

 

「エゥーゴの様子は?」

「少し確認しただけでも酷いものですよ。上層部はパニック状態だし、末端の兵士達は次々と脱走しています。脱走した兵士で元ジオン兵の奴等が続々とネオ・ジオンに合流しているようです」

「なんてことだ、ネオ・ジオンと戦う以前の問題じゃないか」

 

部下の報告を聞いてハヤトは思わず天を仰ぐ。

 

「アムロ、こんな状況でもお前はネオ・ジオンと戦うつもりなのか?」

 

 

 

「……………あの鬼子は」

「セ、セイラさん落ち着いてください。スゴイ顔してますよ」

 

フリーのジャーナリストとして活動しているカイ・シデンは冷や汗を流しつつ、取材相手であるセイラ・マスを落ち着かせようとしていた。カイとしてもシャアがエゥーゴを裏切った事については怒りを覚えたものの、セイラの鬼気迫る様子を見て冷静になったのであった。

 

「ほら、彼も多分事情があるんですよ。アーガマのブライトさん達が人質に取られてるとか」

「カイ、どんな事情があれど、あの鬼子は自分を信じてくれた人達を裏切った事実は変わらないわ」

「いやそれはそうですけど」

 

 

 

「ふぅむ、本当に噂通りだったとは。ネオ・ジオンにダイクンの遺児が参加するとはスゴイ事になったね」

 

地球連邦政府議会の一員であるゴップ議員は議会のモニターに映るシャアを見て魂消ていた。彼以外にも連邦議員の多くがエゥーゴの指導者がネオ・ジオンの総帥となっている事に動揺し困惑していた。

 

「しかも彼等ネオ・ジオンは明確な勝利のビジョンを持っている。短期決戦で政治的勝利を収めるという未来図がある……内戦によって疲弊した地球連邦政府、ましてやエゥーゴでは彼らを止める事はできない。だから政府もあの密約を認めたのか」

 

ネオ・ジオンと地球連邦政府の間で既に密約が結ばれているのをゴップ議員は独自の伝手で知っていた。

 

「はあ、まさか政府があんな内容を認めるとはな……反地球連邦政府組織のエゥーゴとカラバはネオ・ジオンが始末し、地球連邦軍は介入せず静観するか。何も知らない兵士達が哀れだな」

 

ゴップ議員は何も知らずに戦場で命を散らす事になる兵士達を憐れむのであった。

 

 

 

「シャア、感謝するぞ。貴様がネオ・ジオンに参加したお陰で随分と楽になった……後は白い悪魔の排除と、そして()()を手に入れれば言う事はないな」

「ハマーン、まさか君はあの与太話を信じているのか?」

「いや、信じてはいないが?あの箱の真実については私としてはどうでもいい。重要なのは箱を手に入れたという事実だ」

 

一方その頃ネオ・ジオンの指導者であるハマーン・カーンはジオンの怨敵である連邦の白い悪魔アムロ・レイの排除と並行してある物を手に入れようと画策していた。

 

「ビスト財団か、アナハイムと盟友関係にある彼らを訪問する事になるとは」

「財団を取り纏める老人、いや妖怪であるサイアム・ビストからの招待だ。ダイクンの遺児という看板は非常に便利だな」

「彼らが素直に引き渡すと思うのか?」

「心配するなシャア、その場合は誠心誠意をもって()()するつもりさ」

「……」

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●メラニー会長

→冷徹なビジネスマン。事前にエゥーゴから撤収作業が完了していてよかったと胸をなでおろす。ネオ・ジオンについては様子見。

 

 

 

●ルナリアン達

→なんだかすごい事になってるなぁ、と吞気に考えている。彼らにとって対岸の火事なのだ。

 

 

 

●ジオン共和国のダルシア首相

→バカ息子がネオ・ジオンと繋がっていたのを知り頭を抱える。そして能天気な共和国の民衆を見てクソデカ溜息をついた。

 

 

 

●モナハン

→ジオン共和国独立のチャンスにテンションを上げている。

 

 

 

●ジオン共和国の民衆

→ザビ家とダイクンが手を組んだのを知り「「「「「うおおおおお!!」」」」」となる者が続出する。キャスバル・レム・ダイクンのネームバリューは伊達じゃないのだ。

 

 

 

●ハヤト・コバヤシ

→カラバのリーダー。エゥーゴがまったく使い物にならないのを確認し頭を抱える。

 

 

 

●カイ・シデン

→フリーのジャーナリスト。セイラさんがブチギレてるのを見て必死に宥めていた。

 

 

 

●セイラ・マス

→鬼子ポイント+50000000000となり「どうして世間に迷惑ばかりかけるんだあの鬼子は……!」と静かにブチギレていた。たとえ事情があったとしても許すつもりはないようだ。

 

 

 

●ゴップ議員

→第一次ネオ・ジオン抗争時はまだ議長にはなっていない。何も知らず現場で戦う事になる兵士達を憐れんでいる。

 

 

 

●箱

→原作より数年早くフライング登場する事になった。ジオン・ズム・ダイクンの遺児がスペースノイド解放の為に立ち上がったようだし箱渡してもいいかな……とビスト財団の老人が血迷った模様。ハマーン様としては箱の中身はどうでもいいが、貰えるものは貰っておくか!と乗り気になっている。

 

 

 

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)とプルシリーズ達

→今回は出番なし。次回エンドラ隊へ白い悪魔討伐命令が出る予定。

 

 プルシリーズ達は初の実戦で白い悪魔と戦う事になるが替えがきくクローン兵士だし大丈夫だ、問題ない。




Gジェネエターナルとまどドラが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。


今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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