アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。連休最後の投稿になると思います。


連邦の白い悪魔 ②

「連邦の白い悪魔は?」

「まっすぐ向かってきてるのを感じる。向こうもこちらに気付いているみたいだ」

「チッ、奇襲は無理か」

 

エゥーゴの基地に向かっているフィーリアス准尉達はニュータイプ兵士としての勘で、連邦の白い悪魔であるアムロ・レイがこちらに気付いている事を察していた。

 

「プルツー、あの白い悪魔に奇襲なんて無理だよ」

「そんなのわかってる。フィーリアス!作戦通りお前が前に出ろ」

「うん、わかった。二人とも援護よろしくね」

 

プルツーから促されたフィーリアス准尉はZガンダムを急加速させアムロの乗るZZガンダムへ接近するのであった。

 

「アイツいつも通りだな。白い悪魔相手でも全然緊張してない……それだけ自信があるのか?」

「よーし!弟の為にお姉ちゃん頑張るよ!ファンネル!」

 

 

 

「深緑色のZガンダム、彼がシャアのクローンか。戦場には不釣り合いなくらい無邪気な気配だ。それに彼だけじゃない、彼以外の気配も子供のように純粋だ……いや、子供なのか。ニュータイプ兵士、戦う為に造られた子供達だなんてネオ・ジオンは間違っている」

 

アムロは事前に知っていたとはいえ、ネオ・ジオンが本当にクローンの子供達をニュータイプ兵士として戦場に出している事に憤りを覚えていた。

 

「落ち着け、今はとにかくこの場を乗り切らないと。まずはあのZガンダムを無力化すれば」

 

こちらに接近するZガンダムを見つつアムロは周囲の気配を探る。

 

「む、この殺気はファンネルか。しかしこの気配は後ろの2機だけじゃない、他の子供達も援護してるのか。まったく俺一人にここまでやるとは。ネオ・ジオンめ、俺の事を怖がり過ぎだろう」

 

どう考えても過剰としか思えない戦力の投入にアムロは思わず苦笑いする……ネオ・ジオンとしてはこれでも十分ではないと考えていた。一年戦争から散々暴れてくれた連邦の白い悪魔がZZガンダムに乗ると聞けば警戒するのは当然であった。

 

「そこまでして俺に死んでほしいのか。いや、死んでほしいだろうなネオ・ジオンも、地球連邦政府も……はぁ、シャアをぶん殴る為にも、まずはこの場を生き延びなければな!」

 

 

 

「フィーリアス准尉が乗るZガンダムが白い悪魔と交戦を開始しました!」

「うむ、プルシリーズ達は作戦通り援護に徹している……だがあのファンネルの集中砲火を完全に捌き切るとは、白い悪魔恐るべしだな。オールドタイプでは相手にならん」

 

 

 

「もぉ、どうして当たらないの!?」

「やっぱりお兄ちゃん並みだったよぉ」

「泣き言言わないで意識を集中して!」

 

プルトゥエルブ達プルシリーズは後方からファンネルを展開しZZに集中攻撃していた。しかしアムロが乗るZZは必要最低限の動きで躱し、逆にファンネルをダブルビームライフルで纏めて撃墜していた。

 

「なにあのビームライフル!MSの火力じゃない、MAに搭載されていてもおかしくないよ!?」

「ピーピー泣くな、五月蠅いよ!」

「ご、ごめんなさい」

 

連邦の白い悪魔の強さに驚愕しつつもプルシリーズ達は自らに命じられた役目を果たすべく全力を尽くしていた。

 

「でも白い悪魔しかいないけど、他のエゥーゴのMSはどうしたのかな?」

「周囲に潜んでいる気配はないし、逃げたんじゃない?」

「そうだといいけど」

 

 

 

「周囲の援護があるとはいえ、ZガンダムでアムロさんのZZと互角か!クワトロ大尉のクローン、驚異的な強さだな。最悪の場合彼が量産されていたのか……アムロさん、貴方なら大丈夫だと信じていますが、どうかご無事で」

「ボッシュ、準備は出来ているぞ。だが本当にやるのか?」

「ああ、これでアムロさんが死なずにすむなら、裏切り者の誹りを受けるくらいどうという事はないさ」

 

 

 

「この人、早いっ、いやそれよりも巧い!」

 

フィーリアス准尉はその短い人生の中で初めて苦戦していた。たとえプルシリーズ達の援護があったとしても、アムロの乗るZZは脅威であり、Zガンダムとの性能差もあって押し切る事ができなかった。

 

(すごく冷静だな、あの金ぴかMSも上手かったけど、何故か動揺してたから勝てた……でもこの人は違う。すごく戦いに慣れているんだ)

 

そしてフィーリアス准尉は敵であるアムロ・レイに対して称賛の念を抱いた。

 

「この人は完璧な兵士だ。お母さんが彼とオリジナルを最強のニュータイプ兵士だと言ってたのは本当だったんだ!……アムロ・レイ、貴方を倒してみせる。そしてお母さんに褒めてもらうんだ!」

 

興奮したフィーリアス准尉はZZから放たれる弾幕を回避しつつ加速して接近戦を挑もうとしていた。

 

「お母さんに褒めてもらう、か。本当に子供なんだな」

 

フィーリアス准尉の思念を感じ取ったアムロは苦い表情を浮かべる。

 

「しかしこれは厄介だ。戦い方はシャアに似ているが反応速度が凄まじいな。それにさっきから飛んでくるファンネルが鬱陶しい……長期戦は不利だな。ボッシュ、急いでくれよ」

 

そして覚悟を決めたアムロはビームサーベルを抜いて構えるのであった。

 

 

 

「マシュマー様、エゥーゴのスパイから連絡が。白い悪魔が戦っている隙に我々は行動を起こすと」

「ああ、例の件か。了解したと伝えろ。これでフィーリアス准尉達が敗北しても我々エンドラ隊の勝利が確実となった。チェックメイトだ白い悪魔よ……何も知らずに戦うとは敵ながら憐れだな」

 

 

 

「そこぉ!」

 

MA形態で急接近したZガンダムが変形し、ビームサーベルを抜刀して斬りかかる。完全に決まったとフィーリアス准尉は勝利を確信し……

 

「えっ?」

「やはりまだ未熟だ。行動を誘導されている事に気付かなかったか……シャアなら騙せなかっただろうな」

 

それを予想していたアムロはビームサーベルを手放し、必殺の一撃を紙一重で回避した後Zガンダムの腕を掴む。Zガンダムは離れようと藻掻くも、ZZのパワーはZガンダムを凌駕しているため不可能であった。

 

(や、やられる!?)

 

そしてZZのハイメガキャノンが発光するのを見たフィーリアス准尉は自分が初めて後れを取った事に気付き、そして生まれて初めて死の恐怖を覚えていた。

 

 

 

「こちらボッシュ・ウェラー少尉、エゥーゴの基地司令部は我々が制圧した!我々はネオ・ジオンに投降する。アムロ・レイ、貴様は孤立無援だ。武装を解除しMSから降りろ!」

 

 

 

「え?エゥーゴの基地が降伏?」

 

エゥーゴの基地から突然の降伏連絡を受けてエルピー・プルやプルシリーズ達が混乱する。

 

「で、でもフィーリアスがまだ戦ってて」

「落ち着けオリジナル。見ろ、白い悪魔がZガンダムを離した……コックピットを開いてパイロットが出てきた」

「え、えぇ……?なんか、あっけなくない?フィーリアスが死ななくてすごく嬉しいけどさ」

 

「こ、これで終わりなの?」

「よかったぁ。お兄ちゃんが掴まれたのを見た時はもう終わりだと思ったよ」

「お兄ちゃんだから勝負になってたけど、私達じゃ皆殺しにされてたよね……」

 

彼女達は困惑しつつも誰も死なずに白い悪魔に勝てた事を素直に喜ぶのであった。

 

 

 

「協力者達が上手くやったようだ。しかし白い悪魔め随分と素直だな。話が分かるのは助かるが、もっと抵抗するものだと思っていたのだが」

「白い悪魔の判断は当然でしょう。基地司令部が制圧され孤立無援となった状況では、如何に白い悪魔でも戦意喪失するかと」

 

エンドラ隊ではエゥーゴの基地の降伏を受けて俄かに慌ただしくなっていた。

 

「しかしフィーリアス准尉が不覚を取るとは」

「今回の敗因は経験の差でしょう。フィーリアス准尉はまだ製造されて2年も経っておりません。歴戦の戦士である白い悪魔に後れを取るのは致し方ありません」

「ううむ確かに、いかにニュータイプ兵士の最高傑作とはいえ経験の差が大きいか……しかし彼はまだ幼い、この敗北を糧として成長してほしいものだ」

 

 

 

「僕は、負けたんですか?」

「ああ、俺が勝った。だが薄氷の勝利だったよ……君はスゴイな、まだ小さいのにここまで強いとは。成長したらどこまで強くなるのか末恐ろしいな。でも君や彼女達は戦い以外の道があるはずだ」

「戦う以外の道?そんなのないですよ。僕や妹達は戦う為に造られたんですから」

「いや、そんな事はないさ。今はわからないかもしれないが、いずれきっとわかるさ。ニュータイプは戦いの道具ではないとな」

 

 

 

「マシュマー様、白い悪魔、アムロ・レイを拘束しました。それとZZガンダムについても格納庫に移動させております」

「うむ、捕虜については丁重に扱うように。それと勝利した事をハマーン様へご報告するので準備を頼む」

「はっ!」

 

エゥーゴの基地を制圧したエンドラ隊は忙しく作業していた。

 

「ボッシュ・ウェラー少尉か。元々ネオ・ジオンに繋がっていたが、ジオンへの忠誠の為敢えてエゥーゴに残っていたとは」

「裏切り者ですが信用できるのでしょうか?」

「大丈夫だろう。キシリア様の親衛隊出身という事だし、彼のお陰で犠牲者を出す事なく白い悪魔を捕まえる事ができたのだ。疑うのはよせ」

「わかりました」

 

マシュマーと会話するグレミーは今後について考えていた。

 

(白い悪魔が捕虜となった。これでエゥーゴは完全に終わりだ。そしてネオ・ジオンの地球降下作戦を邪魔する者はもういない……地球にはカラバが残っているが奴等になにができようか)

 

ネオ・ジオンを止められる勢力が無くなった事を確信したグレミーはシャアが秘密裡に進めている計画について思いをはせる。

 

(そしてネオ・ジオンが勝利した後、総帥がハマーンを排除する……ネオ・ジオンは多少混乱するだろうが組織が揺らぐ程ではないだろう。あの女がいなくなってもシャア総帥がいればネオ・ジオンは盤石なのだから)

 

そして考えるうちにふと自分がかつて抱いていた野望を思い出し苦笑する。

 

(反乱を起こしてハマーン・カーンを排除しネオ・ジオンのトップとなるか……ハマーンだけなら成功する可能性はあったが、今では絶対に不可能だな。人望のないあの女ならともかく、キャスバル・レム・ダイクンがトップにいる以上、反乱を起こしたところで兵士達が付いて来るわけがない)

 

シャア総帥……キャスバル・レム・ダイクンは赤い彗星として、ジオン・ズム・ダイクンの遺児として凄まじい求心力があった。自分のような若造では決して敵わないとグレミーは理解していた。

 

(馬鹿げた計画については忘れよう。それよりもキャスバル殿の下で戦功を上げる事が重要だ)

 

そしてかつての野望を忘れる事にしたグレミーは来たるべき時に向けて準備を進めるのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)

→経験の差で敗北する。迷いのない1.3シャアだがまだ未熟なのだ。初めて負けた事に結構ショックを受けていたが、お母さんが慰めてくれたのですぐに復活した心のつえぇ奴である。

 

 ミンファ博士としては「あーやっぱり今の段階では白い悪魔に勝てなかったかー……まあ、この子はまだまだ幼いし、これから成長すればいいから大丈夫でしょ!」と呑気に考えている。

 

 

 

●エルピー・プルとプルシリーズ達

→え、これで終わり?と困惑するも全員生き延びた事を喜んだ。

 

 

 

●アムロ・レイ

→連邦の白い悪魔は伊達じゃないのだ。経験の差でフィーリアス准尉に勝利する。生贄として死ぬなんて冗談ではないのでボッシュと一芝居を打って投降する。

 

 ちなみに戦闘記録を見たネオ・ジオン総帥は「私のクローンに勝つとは流石だアムロ!それでこそ私のライバル!」とテンションを上げ、「でもアムロは勝ったのに私は負けたのか……」と少し悔しかった模様。

 

 

 

●ボッシュ

→元ジオン親衛隊出身という経歴を活かし一芝居を打つ。裏切り者の名を受けて全てを捨てて戦う漢である。

 

 

 

●マシュマー・セロ

→なんかあっけないなぁと思いつつもアムロを捕虜として丁重に扱い、フィーリアス准尉はこれからなのだから挫けず成長してほしいものだと考える人間の鑑である。

 

 

 

●グレミー・トト

→この世界では反乱しない。ハマーンならともかく、赤い彗星でジオン・ズム・ダイクンの遺児であるシャアに反逆しても兵士達が付いてこず勝てるわけないと理解しているからだ。

 

 男として出世したいという欲望はあるので、シャア総帥の下で頑張るつもりのようだ。

 

 

 

●ネオ・ジオン

→犠牲者ゼロで白い悪魔に勝ったと報告を受けて困惑する。その後地球圏へ大々的に宣伝し、兵士達の士気が上がった。

 

 もう宇宙ではネオ・ジオンを止める勢力は存在しないので、いよいよ地球降下作戦を決行する予定である。

 

 

 

●エゥーゴ

→元々詰んでいたのがアムロが捕虜になった事で完全に終わった模様。地球にカラバが残っているがもうどうしようもないだろう。




連休も終わりますので次回の投稿は時間が空きますがご了承ください。Gジェネエターナルとまどドラが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。


今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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