アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

16 / 53
ふと思いついたネタの続きです。


ダカール制圧の反応

ネオ・ジオンがダカールを制圧した……そのニュースは一瞬で地球圏に広まった。

 

「ネオ・ジオンめ、こうもあっさりと地球連邦の首都を制圧するとは」

 

サイド3のジオン共和国の首都ズムシティにある首相府にて、ネオ・ジオンのダカール制圧の報告を聞いたダルシア・バハロ首相は複雑な表情を浮かべていた。

 

「どうされましたか父上、事態は予定通りに進んでいます。ネオ・ジオンがダカールを制圧したことで、その後地球連邦政府とネオ・ジオンの間で和平条約が結ばれネオ・ジオンがサイド3を手に入れる。そしてサイド3は、いえジオンは今度こそ完全なる独立を果たすのです……ここまでくればサイド3の独立は確定事項でしょう。父上は一体何が気懸かりなのですか?」

「いや、そういうわけではない。お前の言う通りサイド3の独立は既に叶ったも同然だ。ジオンの人間としては喜ばしい事なのだがな」

 

息子であるモナハン・バハロが心配そうに自分を見つめている事に気付いたダルシア首相は首を振る。

 

「まさか連邦政府がここまで腑抜けていて、そしてこうも簡単にジオンの独立を認めるとは。正直言って困惑しているのだ。一度くらいは矛を交えると思っていたのだが」

「しかし父上、戦わずして勝てるのならばそれが一番よいのでは?そもそも地球連邦が本気を出せばネオ・ジオンでは勝てませんよ」

「いや、うむ、お前の言う通りだモナハン。その通りなのだが、ううむ」

 

モナハンの言葉を否定できずダルシア首相は唸ってしまうのであった。

 

「それはともかく、我々はジオンが独立した後の事を考える必要がありますな。新生ジオン公国ではミネバ様が国の象徴となり、キャスバル・レム・ダイクン殿が指導者として国民を導かれるでしょう。少なくとも今のジオン共和国の政治体制のままではいられませんし、今から準備を始めなければ」

「気が早いなモナハン。だが確かに今後の事を考える必要があるか」

 

 

 

「うおおおおおネオ・ジオン万歳!ジーク・ジオン!」

「「「「「ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!」」」」」

 

「……本当に制圧できたみたいだな。地球連邦の首都」

「ああ、一年戦争の激戦が噓みたいだ。あのジャブローの降下作戦に参加した時は本気で死ぬと思ったよ。まあ誰も死なずにすむのならそれが一番だよな」

「それ初耳なんだが、よく生きてたなお前」

「なんかやたら動きのいいザクのコンビに助けられたのさ。確か双星の……なんだったっけ?」

 

ジオン共和国の住民達はダカール制圧のニュースを聞いて無邪気に喜ぶ者達と、一年戦争の戦いは何だったのかと素直に喜べない者達に分かれていた。

 

「とりあえず今日は墓参りに行くか。あの戦争で死んでいった戦友達に良い報告ができそうだ」

「ああ、そうだな。墓参りの後は一杯やろうぜ。ジオン独立が現実味を帯びてきたんだ。久々に羽目を外しても嫁さんだって許してくれるさ」

 

 

 

「なんだよコレ。酒の飲み過ぎで幻覚を見てるのか?」

「首都がジオンの連中に乗っ取られるなんて。どうなってやがる」

 

地球の北米大陸、ニューヤークにある酒場ではネオ・ジオンのダカール制圧のニュースを聞いたアースノイド達が呆然としていた。

 

「いや連邦軍は何をやってるんだよ!」

「逃げたんだろ。いや、ここまであっさりと制圧されるって事は、多分政府のお偉いさんの指示なんじゃないか?」

 

ネオ・ジオンのMSがダカールを練り歩く映像を見たアースノイド達は啞然とした表情を浮かべる。

 

「なんでそんな事がわかるんだよ」

「いや想像だけどさ、ジオンの制圧スピードが早過ぎるし、映像を見る限り戦闘の痕跡がまったくないぞ。いくら何でもおかしいだろ」

「そういえば確かに……でもなんでそんな事を?軍の面目丸つぶれだろ」

「俺が知るもんか」

 

酒場の客達はどうしてこんな状況になっているのかと困惑するのであった。

 

 

 

「隊長!落ち着いてください隊長!」

「放せ!俺一人で出撃する!」

「やめてください!出撃命令は出ていませんよ!?」

 

そして首都ダカールの近くにある地球連邦軍基地の一つではMS隊の隊長が無断出撃しようとして部下達に止められていた。

 

「ええい、貴様らそれでいいのか!ジオンの連中にダカールを乗っ取られたんだぞ!悔しくないのか!?」

「そりゃ思うところはありますよ!でも上から奴等に手を出すなと厳命されてるじゃないですか!」

「俺達もおかしいとは思いますけど、政府からの指示なんですから軍人の俺達は従うしかありませんよ!」

「一体どうしたんですか隊長!いつもはそんな真面目な人じゃないでしょ!」

 

隊長を抑える部下達は皆困惑していた。隊長は一年戦争から従軍しているベテランであったが勤務態度はお世辞にも真面目とは言えない男であった。そんな隊長が怒りを燃やしながら出撃しようとする姿を見て隊長らしくないと困惑するのは当然だろう。

 

「貴様ら、なんの騒ぎだ!」

 

騒ぎを聞きつけた基地司令が駆けつける。

 

「司令、どうか出撃の許可を!あのクソッたれのネオ・ジオン共を必ず殲滅しますのでどうかご許可を!」

「馬鹿者が!お前達、この馬鹿を営倉に叩き込め!貴様は頭を冷やせ!」

「司令!このままじゃネオ・ジオンが、ジオンが独立するかもしれないのですよ!あの戦いで死んでいった戦友達に顔向けできません!それにこんな、こんな茶番が許されるなら戦友達が死ぬ必要はなかったじゃないですか!」

「黙れ!貴様ら何をしている、さっさとこの馬鹿を連れていけ!」

 

悲痛な表情を浮かべて叫んでいた隊長は憲兵達によって連行された。

 

「馬鹿者め、貴様一人で勝てるものか。残党の旧式MSならともかく、ネオ・ジオンの最新鋭MS相手では無駄死にするだけだ……私だってこんな展開など到底認められるかよ」

「し、司令」

 

基地司令の握りしめた拳から血が滴り落ちるのを見た部下達は何も言えずにいたのであった。

 

「政府がここまで腐っていたとは……!あの馬鹿のように戦うつもりはないが、もう地球連邦政府には何も期待しない。軍を去るか」

 

 

 

「……うーん」

 

ダカールを制圧したネオ・ジオン本隊、そこでは近いうちにダカールで行うパレードの準備が始まっていた。ハマーン・カーンの親衛隊見習いとして準備を手伝っていたジュドー・アーシタは、忙しくしつつも何か考え込んでいる様子を見せていた。

 

「ジュドー、何が気になるのだ」

「あ、ハマーン様」

 

そんなジュドーを見たハマーンは何か気になる事があるのか尋ねる。

 

「いえ、その、戦う事なくダカールを制圧したのはいい事だと思うんですけど。シャア総帥が複雑な表情を浮かべておられましたので気になっちゃって」

「ああ、その件か」

 

新参者であるジュドーが事情を知らないのは当然だと納得したハマーンは、暇つぶしを兼ねて自分のお気に入りであるジュドーの疑問に答える事にした。

 

「そうだな、シャアは、いや一年戦争に参加しジオン独立の為に戦った者達は皆納得できんだろう。この様な形で独立を勝ち取る事にな……だが、こうでなければ我々ネオ・ジオンの勝利は不可能だ。それはシャアも理解している」

「そうなんですか?」

「うむ、今回の地球降下作戦はネオ・ジオンが地上に出せる限りの兵力を投入しているが、地球で合流した戦士達を合わせてもかつてのジオン公国の地球降下作戦に比べたら規模は大きく劣っているのだ。地球連邦軍がその気になれば我々を地球から叩き出すのは難しい事ではない。たとえMSの性能差があろうとも物量は圧倒的に連邦軍が上なのだからな」

「えぇ!?」

 

ハマーンの言葉を聞いてジュドーは驚く。

 

「落ち着けジュドー。地球連邦軍との戦いは起きないさ、政府に戦うつもりがないのだからな。政府の俗物達とは話が付いている。我々ネオ・ジオンがダカールを制圧し、その後連邦とネオ・ジオンの間で和平が結ばれる。我々はサイド3を手に入れ地球に残っていた戦士達を連れて地上から撤退し、地球連邦はジオン残党がいなくなり平和になった地球でようやく復興作業に本腰を入れる事が出来る……誰も困らない素晴らしい世界だな。平和が一番だ、そうだろう?」

「そ、そうかなぁ……?いや、平和になるのはいい事なんですけど」

 

ジュドーは困惑しつつも平和になるならいいのか?と己を納得させようとする。

 

「ジュドー、ネオ・ジオンの目的であるジオンの独立は既に達成されたも同然だ。だが独立した後が問題なのだ。ジオン共和国との合流や政治体制の見直し、そして経済対策やジオン公国軍の再編……課題は山積みなのだ。お前にも働いてもらうぞ、覚悟しておけ」

「わかってます。ハマーン様には色々と恩がありますし、俺に出来る事なら何だって頑張りますよ」

「フフッ、そうか。ジュドーはいい子だな」

 

そう言って微笑んだハマーンは可憐な表情を見せていた。

 

(……いつもこんな笑顔なら皆怖がらないのになぁ。皆この人の素顔を知らないなんて勿体ないよ)

 

ハマーンの笑顔に一瞬見惚れていたジュドーは主人であるハマーンの為に、そしてミネバ王女の傍で頑張る妹リィナの為にも親衛隊として仕事を頑張ろうと気合を入れるのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●ジオン共和国のダルシア首相

→「えぇ……本当にダカールを制圧したよ」と困惑している。困惑しつつも新生ジオン公国の準備を始める事にした。

 

 

 

●モナハン

→ネオ・ジオンに賭けてよかったとウキウキで準備を進めている。密約により新生ジオン公国になっても親子の立場は保証されているので安心である。

 

 

 

●ジオン共和国の民衆

→ジオン独立が目前となり、無邪気に「「「「「うおおおおお!!」」」」」となる者達が多いが、喜びつつも困惑する一年戦争経験者が続出した。

 

 

 

●アースノイド達

→地球連邦軍の不甲斐なさと地球連邦政府のやる気のなさに困惑し宇宙猫になる。

 

 

 

●地球連邦軍人達

→納得できないが政府の命令にはきちんと従う軍人の鑑達。一年戦争に参加した軍人達は多くがブチギレるも理性的であり、命令違反を起こすのは極少数だった。だが軍を抜ける者が少なからずいた模様。

 

 

 

●隊長

→いつもは不真面目な態度で軍人をしているが、一年戦争で多くの戦友を失っており、彼らの死を冒涜するような政府の決定にブチギレて無断出撃しようとする。その後は地球連邦軍を見限り軍を抜けテロリストの一員となった。

 

 

 

●ジュドー・アーシタ

→ハマーンの親衛隊見習いとして地球降下作戦に参加する。ハマーンや親衛隊の先輩達から可愛がられており、ジュドーはネオ・ジオンに思うところはあれど仕事は真面目に頑張っている。

 

 ハマーンについては何だかんだ可愛いところがある人だよなと絆されているようだ。

 

 

 

●ハマーン様

→お気に入りのジュドーを可愛がりつつ仕事に励んでいる。人望はともかく政治的手腕は本物であり、ジオンの独立をほぼ達成した凄い女傑である。

 

 

 

●地球連邦政府

→一年戦争とデラーズ紛争とグリプス戦役のせいで余裕は全くないのだが、本気になればネオ・ジオンなど一蹴できる実力はある眠れる獅子。ネオ・ジオンにエゥーゴとカラバを処分させ、地球に残っていたジオン残党を引き取ってもらった上で地球の復興作業に本腰を入れようと考えている。

 

 

 

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)とプルシリーズ達

→今回は出番なし。パレードにはグレミー隊も参加し、フィーリアス達はMSにのってパレードを行進する事になった。

 

 ちなみにフィーリアス君は表向きはシャア総帥の弟という事になった。




Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。



今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。