地球連邦の首都ダカールはネオ・ジオンによって制圧された。現在ダカールではネオ・ジオンが自らの威容を宣伝する為に盛大なパレードを行っていた。
「すごい人の数だね。でも、余り喜んでる人はいないみたい。ZZを見て困惑してるみたいだ」
「当たり前だ、アースノイド達からすればネオ・ジオンがダカールを制圧している事実は屈辱だろうさ。少し考えればわかるだろフィーリアス」
「あ、そうか。プルツーは賢いなぁ」
「いや、お前が呑気過ぎるんだよ」
フィーリアス少尉(カラバ掃討作戦の功績によって昇進)は深緑色に塗られたZZガンダムに乗ってパレードに参加していた。相変わらずマイペースなフィーリアス少尉にプルツーは溜息をつく。
「あーあ、MSに乗ってお行儀よく歩き続けるだけだなんてつまんなーい。手を振ったりしたらダメかな?」
「ダメに決まってるだろ!やるなよ、オリジナルがやらかしたら私達も連帯責任なんだぞ!絶対にやるなよ!?」
「フリだね?」
「フリじゃない!」
同じくマイペースなエルピー・プル曹長の言葉を聞いたプルツーは思わず頭を抱えるのであった。
「各機、隊列を崩すなよ。このパレードは地球圏に放送されているのだ。ロンメル隊の名を汚さぬよう気を引き締めろ」
「わかっております大佐」
フィーリアス少尉達の後ろではデザート・ロンメル大佐(カラバ掃討作戦の功績によって昇進)率いるロンメル隊のMS達が一糸乱れぬ動きで行進していた。
「しかしパレードの行進の練習をする事になるとは思いませんでしたよ……感無量です。こうやってパレードに参加できる事に。何よりもジオンの独立が現実となる事に。地球に残って戦い続けた甲斐がありました……!」
「大の男が泣くな、みっともない……今日は特別に見逃すが、次はないぞ」
感極まって泣き出した部下をロンメル大佐は苦笑しつつ注意する。
「諸君、これで終わりではない。ジオンが独立した後も我々ロンメル隊の戦いは続く。ジオンの為に、ミネバ様の為に宇宙に戻ってからもロンメル隊は戦い続けるのだ。わかったな?」
「「「「「了解!」」」」」
ロンメル大佐とロンメル隊はこれからもジオンの為に戦い続けると改めて誓うのであった。
「うひゃ~、すんごい人の数だなぁ」
ハマーン・カーンの親衛隊見習いとしてパレードに参加しているジュドー・アーシタは街道を埋め尽くす民衆を見て流石は地球連邦の首都だと感心していた。
(でもあまり歓迎はされてないな。表向きはともかく内心は悔しそうにしてる人が結構いる。まあこの人達からしたら俺達ネオ・ジオンって侵略者だもんな〜。それと戦いにウンザリしている人達も多いみたいだ)
「ハマーン様の言う通り戦争しないですむならそれが一番だけど、このまま素直にジオンの独立を受け入れてくれるのかな?」
ニュータイプとしての勘で民衆の想いをある程度察したジュドーは今後どうなるのか心配する。
「……まっ、俺が考えることじゃないや。いずれ政治について勉強する時があるかもしれないけど、今の俺はただの見習いだし。そんな事よりパレードに集中しないと。俺が何かヘマをしたらリィナにも迷惑がかかるからな。絶対にミスするんじゃないぞ俺」
最愛の妹リィナに迷惑をかけないようジュドーは仕事に集中するのであった。
「……………」
所変わってダカールにある別荘では、ネオ・ジオンのパレードの様子をモニターにて眺めるフリーのジャーナリストがいた。モニターを眺める彼はいつもとは違う様子を見せており、彼らしからぬ剣呑な表情を浮かべていた。
「落ち着きたまえシデン君、怖い顔をしているぞ。今の君はジャーナリストというより戦士だな」
「ッ!」
取材相手であるゴップ連邦議員から諌められたフリーのジャーナリスト……カイ・シデンは我にかえると居住まいを正した。
「すみません、ジャーナリストとして中立の立場で物事を見なければならないのに、情けないな俺は」
「やはり一年戦争に参加した人間としては今の状況は受け入れ難いと?」
「えぇ、そうですね。でもそれは自分だけじゃありません。エゥーゴやカラバの構成員、そしてあの戦争で連邦軍の兵士として従軍した人間なら誰も受け入れられないと思います」
「だろうねぇ」
ゴップ議員はカイの言葉に同意しつつモニターを眺める。モニターにはパレードに参加するZZガンダムの姿があった。ネオ・ジオンが連邦軍の象徴であるガンダムを鹵獲して運用しているのを見て、ゴップ議員は何とも言えない気分になる。
「エゥーゴとティターンズによる内戦ではティターンズが敗北したが、第三勢力であるネオ・ジオンの介入によってエゥーゴは壊滅した。結果だけ見れば漁夫の利を得たネオ・ジオンの完全勝利だね」
「こんな結果、ジオンの人間以外誰も納得できませんよ。それとあの話は本当なのですか?ネオ・ジオンと和平を結ぶ条件としてサイド3をネオ・ジオンに譲渡し、その後サイド3は新生ジオン公国として独立するという話は」
カイの疑問にゴップ議員は頷く。
「ああ、君も知っていたのか……その話は本当だよ。政府や軍の上層部としてはそれでジオンが大人しくなるなら安いものだと考えてるようだ」
「まさか、そんなあっさり独立を認めるなんて」
呆然とするカイにゴップ議員は苦笑する。
「君の気持ちは理解できるよ。あの戦争は一体なんだったのかと私でも思うのだから、前線で戦っていた人間なら絶対に認められないだろうね」
「……これじゃ死んでいった兵士達が浮かばれませんよ」
カイが思わず零した呟きにゴップ議員は何も返さず沈黙するのであった。
「フン、ネオ・ジオンめ子供のようにはしゃぎおって」
「まあまあ、もう少しの辛抱です。あと少し我慢すれば事前の取り決め通り彼等も宇宙に撤退しますよ。地球に残っていた残党達と一緒にね」
その頃、地球連邦政府の要人達と、地球連邦軍の高級将校達はダカールから遠く離れた場所で中継映像を見ていた。
彼等はネオ・ジオンと繋がっており、ネオ・ジオンが地球降下作戦でダカールを制圧する事を事前に把握してたのだ。そのため彼等はダカールを先に脱出し、現在は安全な場所で高みの見物をしていた。
「そしてこの後締結する和平条約でサイド3はネオ・ジオンの物となり、サイド3は新生ジオン公国として独立する、か。随分と思い切った決断をしたな」
「これでジオンの連中が大人しくなるなら悪くないですよ。地球に潜伏していた残党達を纏めて引き取ってくれて、しかも今後は自分達で自立して生きてゆくと言うのですから、むしろ願ったり叶ったりかと」
「ネオ・ジオンが思っていたより理性的で助かりました。我々に決して勝てない事を理解し、虎の尾を踏まないよう慎重に立ち回っていた。あの小娘は中々やり手ですな」
首都であるダカールを制圧されても彼等は平然としていた。ネオ・ジオンが地球連邦に挑んだ所で絶対に勝てないと彼等は理解していたからだ。
実際地球連邦軍とネオ・ジオンの兵力の差は歴然としており、地球連邦軍がその気になれば数の暴力によってネオ・ジオンを叩き潰すのは造作もない事であった。
「しかしここまでジオンに甘い顔をするとは。兵士達や民衆が納得しないのでは?」
「問題ありません。確かに反発はあるでしょうが数年もしたら落ち着きますし、ティターンズのように強硬手段に出る人間は少ないかと。そんな気概のある連中はティターンズやエゥーゴに行って殺し合った結果、殆どが戦死するか逃げ出しましたからね」
彼等にとって兵士達の反発については些事であった。彼等にはそんな事より優先すべき事があったからだ。
「軍を抜けた兵士達がテロリストになったとしても大した事は出来ません。エゥーゴやジオン残党のような脅威にはなりませんよ……これでようやく地球圏の復興に本腰を入れる事ができますな」
政府官僚の言葉に周囲は頷く。
「ええ、今の地球連邦では軍事費が財政を圧迫しています。軍縮を行い軍事費を削減し、経済政策や地球環境の再生等に予算を回すべきなのです」
「財政の健全化が急務なのは理解しているが、軍としては過度な軍縮はやめてほしいのだがな」
「ご心配なく。仮想敵国となる新生ジオン公国のお陰で、軍の予算はある程度確保できますから」
「フフ、そうか。それなら問題ない」
彼等は既にジオンが独立した後の事を考えていた。財政の健全化について話し合っていた彼等は新生ジオン公国について話題が及ぶ。
「ジオンも独立した後が本番でしょう。ネオ・ジオンとジオン共和国の合流、地球から帰還した残党達の社会復帰、軍の統合……課題は山積みです。年単位で対処する事になるかと」
「ジオンは上手くやれると思うか?反地球連邦を口実に暴れる事しか能がない連中ばかりだと個人的には思っているのだが」
「まあ大丈夫でしょう。ダイクンの遺児とザビ家の王女がいますから問題ないかと。赤い彗星の政治手腕は未知数ですが、あの小娘は政治家としては有能なようです。なにはともあれ新生ジオン公国のお手並み拝見ですな」
地球連邦政府と軍の要人達は新生ジオン公国のお手並みを拝見しつつ、地球圏の復興を進めていこうと決めたのであった。
<人物紹介>
●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)とプルシリーズ達
→ZZに乗ってパレードに参加した。相変わらず呑気な心のつえぇ奴である。ちなみにリベルタス(旧名アーガマ)はパレードの警護の為ダカール上空で警戒していた。
ちなみにプルツーは二人のツッコミ役になったようだ。
●デザート・ロンメル大佐達
→カラバ掃討作戦の功績によって大佐に昇進した。旧式MSでパレードに参加したが気後れする事なく胸を張って行進した。
彼等は新生ネオ・ジオンでもロンメル隊として戦い続けるだろう。俺達の戦いはこれからだ!
●ジュドー・アーシタ
→ハマーンの親衛隊見習いとして頑張っている心のつえぇニュータイプである。パレードについては無事ミスする事なくやりきった模様。
●カイ・シデン
→フリーのジャーナリスト。ネオ・ジオンと地球連邦の茶番を見て心穏やかではいられなかった。戦友であるハヤトがネオ・ジオンに投降したのを知っており無事でいてほしいと願っている。
その後サイド3があっさり独立する事になるのを知り、あの一年戦争は、エゥーゴとティターンズの戦いは一体なんだったんだ……と呆然としていた。
●ゴップ議員
→政府の考えはある程度把握しているが随分と思い切った事をしたなぁ、と思っている。
●政府や軍の要人達
→高みの見物をしているが、アニメZZでもこんな感じだったので問題ない。ジオンの独立については「民衆が不満を覚えるだろうけど数年もしたら忘れるだろ!ジオンが自立してくれるなら勝手にしてくれ、それより軍縮して地球圏の復興が最優先だよね!」と呑気に考えている。
ネオ・ジオンについてはアイツら技術や軍事力はあるけど政治とかできるのかな……?と少し疑っている。
●ネオ・ジオン
→次回の話で地球連邦と和平条約を締結し念願のジオン独立を果たす事に。でも独立した後が大変なのだ。
でも大丈夫、俺達にはミネバ王女とジオン・ズム・ダイクンの遺児である赤い彗星殿がついている!故ギレン総帥が仰っていた通り俺達は選ばれし優良人種なんだ!うおおおお!(一般ジオニスト並感)
Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。
今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。