アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。

04/21 書き忘れがあったので修正しました。


シャングリラコロニーにて

宇宙世紀88年2月末、グリプス戦役はティターンズの敗北で終わった。勝利者となったエゥーゴは疲弊しており、それを好機と見たアクシズは自らをネオ・ジオンと名乗り各サイドのコロニーへ侵攻を開始する。グリプス戦役にて疲弊した地球連邦軍とエゥーゴはネオ・ジオンの進撃を止める事ができなかった。

 

宇宙世紀88年3月1日、エゥーゴの精鋭部隊であるアーガマはサイド1のシャングリラコロニーに寄港していたが、アーガマを恐れたネオ・ジオンはハマーン・カーンの腹心であるマシュマー・セロが率いるエンドラ隊を派遣する。

 

本来の歴史ではシャングリラコロニーに住む少年ジュドー・アーシタによってエンドラ隊は撃退されたが……この世界では異なる結果となるのであった。

 

 

 

「お兄さん、危ないよ?早くMSから降りなよ」

 

どうしてこうなった、とジュドー・アーシタは中破し無力化されたZガンダムのコックピットの中で酷く動揺していた。目の前のMSから再三降りるように促されるがそれどころではなかった。野性味あふれる男に唆されてZガンダムを奪い、その後男と決別して戦いネオ・ジオンの襲撃を迎撃するまではよかったのだが……

 

「俺は、俺はリィナを山の手の学校に送りたかっただけなのに!」

「動揺してるの?危ないから早く降りてくれないかなぁ」

「うっさい!」

 

目の前のMSに乗るパイロットは呑気な様子を見せていたが、彼によってZガンダムは無力化されたのであった。マシンガンによって武器と関節を撃ち抜かれたZガンダムは擱座しており到底戦える状態ではなかった。戦いについてはZガンダムが終始圧倒され一蹴されてしまったのであった。

 

「リィナと同じくらいの年齢の見た目で偉そうにすんなよ!……あれ、なんで相手の顔がわかるんだ?」

「あ、やっぱりそうだ。僕と同じニュータイプなんだ」

 

MSの姿しか見えないのにパイロットの顔がわかる事にジュドーは混乱するが、高機動型ゲルググのパイロットであるシャアのクローン……フィーリアス・ワンは相手がニュータイプだと察する。

 

「お兄さんは成り行きで戦っただけでエゥーゴの兵士じゃないんでしょ?じゃあ僕の敵じゃないよ、民間人は保護しなくちゃ」

「え、そんな事までわかるのかよ」

 

相手から自分を保護すると言われたジュドーは言葉に詰まる。ニュータイプとしての勘で相手に敵意はないのは理解できたが、ネオ・ジオンの事を信用できないジュドーは素直に降りる決心ができなかった。

 

「なあ、お前リィナと同じくらいなのになんで兵士なんかやってるんだ?」

「なんでって、頑張ったらお母さんが褒めてくれるからだよ?」

「はぁ?」

 

きょとんとした表情を浮かべながら答えるパイロットに、どうやら相手が想像以上に幼い精神である事を察したジュドーは困惑した表情を浮かべた。

 

(お母さんってマザコンかよ?……いや、この感じは、まるで赤ん坊みたいだ。どういう事なんだ?)

 

「えっと、降りてくれないならそのまま運ぶよ?」

「何処に?」

「エンドラに」

「……見逃してくれないかな?」

「流石にダメだよ。大丈夫、心配しなくてもマシュマー様はいい人だよ。ちょっと鬱陶しくて苦手だけど」

 

ダメもとで見逃してくれないか頼むが相手は困った顔を浮かべて断り、打つ手が無くなった事をジュドーは理解した。

 

「クソ、ダメか……なぁ、そのマシュマーって人は鬱陶しいらしいけど、どういう人なんだよ?」

「いつも薔薇を咥えているよ。それとハマーン様の事を慕ってて偶に悶絶してる。悶絶する時に思念が飛んできて少し嫌かな」

「えぇ……?俺の知ってる軍人と違うんだけど、本当に軍人なのかよマシュマーさんって」

「一応軍人らしいよ?」

「いや一応って」

 

妙に気の抜けた会話をしつつジュドーの乗るZガンダムはフィーリアスが乗る高機動型ゲルググによってエンドラに運ばれていった。

 

ちなみにその様子を見ていたアーガマは心が折れてエンドラ隊に投降する事にしたのであった。

 

 

 

「マシュマー様、アーガマから返信がありました。勧告に応じ武装解除して投降するという事です」

「うむ、よかった。エゥーゴの精鋭であるアーガマを無傷で制圧できるとは僥倖だ」

 

エンドラ隊旗艦エンドラにて、エンドラ隊に指揮官であるマシュマー・セロは、アクシズのトップであり自分が敬愛するハマーン・カーンから命令されたアーガマの撃破もとい無力化に成功した事に上機嫌な様子を見せていた。

 

「素晴らしい戦果だ!ハマーン様も大いに喜ばれるだろう!」

「えぇ、ハマーン様もきっと満足される事でしょう」

 

マシュマー・セロの言葉に部下であるグレミー・トトも同意する。

 

「深緑の彗星ことフィーリアス・ワンか。噂のニュータイプ兵士のプロトタイプは凄まじい強さだな」

「はい、旧式のMSでガンダムを圧倒し一蹴するとは流石です」

「彼は些か幼い部分があるがMSパイロットとしては驚異的だ。私も模擬戦で戦ったが全く歯が立たなかった。悔しいと思う気にもならん程にな」

 

Zガンダムを一蹴したフィーリアス・ワンについて話題が及ぶ。マシュマーとしてはフィーリアスについて凄腕のパイロットとして評価する一方、幼い部分があれど素直な少年として好ましく感じていた。

 

「しかし彼は私の事が少し苦手なようだが。私が何かしたのだろうか?」

「……ワタシニハワカリカネマス」

「うーむ、まあ彼とは長い付き合いになるだろうし、少しずつ理解を進めて行けばいいか……ああっ、ハマーン様……!私は、マシュマーはやり遂げましたぞ!貴方の騎士がやり遂げたのですッ!」

 

(そういう所だぞ。フィーリアス・ワンは高いニュータイプ能力を持っているせいでお前の妄想をダイレクトに感じ取れるらしいが……冗談ではないな。あの赤子のような精神の彼でも苦手意識を持つのは当然だ。私がフィーリアスと同じ立場なら殴るかもしれん)

 

薔薇を咥えて悶絶するマシュマーをグレミーは白い目で見つつフィーリアスに同情するのであった。

 

 

 

「うわ、またマシュマーさんが悶絶してる」

「へぇ、どんな感じなんだ?」

「こんな感じ」

「……………ああ、うん。これは、ちょっと、いやちょっとどころじゃなく嫌だな。悪い人じゃないんだろうけどやめて欲しいよな……」

 

その頃フィーリアスの感応能力でマシュマーの妄想を感じ取ったジュドーはドン引きしており、これをダイレクトに感じ取ったフィーリアスに同情していたのであった。

 

 

 

「なるほど、君は妹の為に知らない男の誘いに乗ってガンダムを盗もうとしたと」

「は、はい」

 

「そして紆余曲折あって男と決裂しエゥーゴに雇われ、フィーリアス曹長と戦う事になってしまったのだね?」

「ええ、そうですけど」

 

「ううむ、その、家族の為に行動するのは素晴らしい事だが、面識のない男の誘いに乗って軍のMSを盗もうとするのは擁護できないぞジュドー・アーシタ君」

「そ、そんなぁ……」

 

フィーリアスの手によってエンドラ隊の旗艦エンドラに運ばれたジュドーは、エンドラ隊の指揮官であるマシュマー・セロから尋問を受けていた。尋問といってもジュドーはエゥーゴの軍人ではなく民間人として扱われており、マシュマーは丁重な扱いを心掛けていた為に穏やかな雰囲気のまま尋問は進んでいた。

 

「信じられない。そんなふざけた理由でアーガマに潜入するなんて。命知らずにも程がある……見つかったらその場で射殺されても文句は言えないのに」

「ぐ、ぐうぅ」

 

マシュマーの側で聞いていたグレミー・トトはジュドー達の無鉄砲振りに困惑していた。まあ彼の反応は当然ではある。軍人でもないただのジャンク屋の少年がエゥーゴの精鋭であるアーガマに潜入してMSを盗もうとするなど正気の沙汰ではないと思うのも仕方ないだろう。

 

グレミーから「お前マジかよ……?」という困惑した様子の視線を向けられたジュドーは反論できず言葉に詰まっていた。冷静になって考えると軽率だったかもしれないと自覚していたからだ。

 

「ジュドー・アーシタ君。君はガンダムを盗もうしたが、売る宛はあったのかね?」

「え、ええと。同業者のジャンク屋に伝手を頼もうかと」

「……それは難しいと思う。というより無理だろうな」

「えっ」

 

ジュドーの言い分を聞いていたマシュマーは少し困ったような表情を浮かべて理由を説明する。

 

「君が盗もうとしたガンダムはエゥーゴの精鋭が乗っていた機体で、エゥーゴと敵対していたティターンズや我々ネオ・ジオンにも知られていた有名な機体だ。売った所ですぐ足がついて捕まっていただろう」

「えぇっ?」

「そもそもガンダムを売ろうとするのが無茶だ。一年戦争時代の旧式ガンダムならともかく、可変MSという最新技術が使われた新型ガンダムを売り飛ばそうとするなど……そんな新型がジャンク屋の少年から売られるなど怪しすぎるぞ」

 

マシュマーの言葉とグレミーの補足を聞いたジュドーは段々と顔色が悪くなっていく。

 

「……もしかして仮に上手くいってガンダムを盗んでも売れなかった?」

「まあ、そうなるな。少しでも頭が働く人間なら厄介事に巻き込まれないよう断るだろう」

「マシュマー様の言う通りだ。足下を見られて買い叩かれる以前の問題だよ」

「そ、そうかぁ……」

 

マシュマー達から断言されたジュドーは大いに凹むのであった。

 

 

 

「あの、俺達はこの後どうなるんですか?」

 

暫くして落ち着いたジュドーは自分やリィナ達がどうなるのか気になりマシュマーに尋ねる。

 

「君達民間人についてだが、申し訳ないが我々についてきてもらうことになる。残念だが解放する事はできない」

「軍事機密を知った以上そのまま解放など不可能だからな」

「……やっぱりそうなるのか」

 

薄々わかっていたが解放されないとわかったジュドーは落ち込む。

 

「安心してほしい。君達民間人は我々が護る。ハマーン様の騎士として約束しよう」

「はぁ、どうも」

 

納得できなくても自分に選択肢はないことは理解していたジュドーは目の前の男を信じるしかなかったのであった。

 

 

 

 

<人物紹介>

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)

→エンドラ隊の一員としてマシュマー・セロの部下となる。相変わらず乗機は高機動型ゲルググだがジュドーの乗るZガンダムを圧倒し無力化した。

 

 上官であるマシュマー・セロの事は少し変わっているけどいい人だと理解しているが、時々妄想して思念を飛ばしてくるのはやめて欲しいなと思っている。まだ1歳児なので嫌なことがあったら顔に出てしまうのだ。

 

ちなみにエンドラに帰還した後はお母さんに褒めてもらい満足気な様子を見せていた。

 

 

 

●ジュドー・アーシタ

→ネオ・ジオンとの初のMS戦で1.3シャアと戦わされた可哀想な主人公。相手が悪すぎた。フィーリアスについては見た目もそうだが、赤ん坊のような幼い精神に困惑している。一応民間人なのでネオ・ジオンに保護される形になった。妹やシャングリラチルドレン達も一緒である。

 

 

 

●エンドラ隊

→無傷でアーガマを鹵獲し完全勝利した。ちなみにグリプス戦役で生き延びたベテラン達も少数ながら随伴しており元からアーガマは無理ゲーだった模様。

 

 

 

●マシュマー・セロ

→ハマーンの騎士。悪い人ではないが変態。Zガンダムのパイロットが民間人だという報告を聞いて困惑するも、紳士的な対応を心掛ける事にした変態だが人間の鑑である。

 

 その後ハマーンへの報告の際にハマーンから笑顔とお褒めの言葉を頂き、通信が切れた瞬間大いに悶絶する。グレミーはそれを冷たい目で見ていた。

 

 

 

●グレミー・トト

→現段階ではマシュマー・セロの部下である。上官のマシュマーについては能力は評価しているが、性癖についてはドン引きしている模様。それとジュドーの行動力にも引いていた。

 

 

 

●アーガマ

→頼みの綱であったジュドーが一蹴され、諦めて武装解除して投降した。マシュマーは紳士的な対応を心掛けているため今の所は酷い目に遭う事はない。ちなみに廃人状態のとあるニュータイプも保護された模様。グレミーは彼を再利用できないか考えているようだ。




Gジェネエターナルとまどドラが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。


今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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