アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。第一部完となります。


ネオ・ジオンの帰還②

『諸君!我々の悲願であるジオン独立は達成された!だが、これで終わりではない。これから始まるのだ!輝かしい未来を作る為に、これからも諸君らの力を私に貸していただきたい……』

 

「ケッ、恥知らずのクソヤローめ。エゥーゴを裏切っておいて何を言ってやがる!」

 

モニターから流れる演説を聞いて、ティターンズの残党の一人である元中尉はそう毒づいていた。

 

ネオ・ジオンがサイド3に帰還し、首都ズムシティにてシャア総帥が演説を行っていた。演説は地球圏に中継されており、世間から隠れ潜んでいる者達も演説を見ていた。

 

「どんな気持ちで言ってるんだコイツはよぉ?まったく図々しい野郎だぜ」

「ええ、そうですね。赤い彗星の面の皮は通常の3倍厚いようです」

「いや3倍か?少なくとも100倍はあるだろコレ。コロニー落としにも耐えられそうな面の皮だ、俺でもここまで恥知らずにはなれねーな」

 

同僚の元少尉とモニターを眺めつつ元中尉は赤い彗星ことシャア総帥を罵倒していた。

 

「クソッタレが、なんだよこの結末は!俺達とエゥーゴはジオン共が独立する為のお膳立てをしてたってわけかぁ!?」

「非常に腹立たしいですが、結果的にはそうなります。第三勢力のネオ・ジオンが漁夫の利を得てサイド3の独立を達成した……我々とエゥーゴは彼等に出し抜かれた愚か者と後世では記録されますね」

「そんなん納得できるわねーだろ!ったく政府もどうかしてるぜ、ジオンの連中をここまで甘やかすなんてよ!」

「恐らく連邦政府はジオンに譲歩してでも荒廃した地球圏の復興を優先したいのでしょう」

「譲歩にしたって限度があるだろうが!……こんな状況俺は絶対認めねぇぞ。俺達はジオンに美味しい思いをさせる為にエゥーゴと戦ったわけじゃねえ!」

 

自分達の戦いが結果的にジオンの利益になった事に元中尉は怒り狂っていた。

 

「だから火星に逃げ延び再起する為に力を蓄えると?」

「おうよ、ジオンの真似事をするのは気に食わねーが、このまま地球圏に残ってもな。エゥーゴの奴等も一緒に行く事になってるぜ」

「呉越同舟という事ですか。まさか敵対していたエゥーゴと協力関係になるとは。しかし信用できるのですか?」

「問題ねぇ、エゥーゴにいた元ジオンの連中はあの赤いクソッタレに付いてったそうだぜ。残ってるのは元地球連邦軍の人間だけだ……なあ、お前は本当に行かないのかよ?」

 

先程まで怒り狂っていた元中尉は、一転して同僚を心配する素振りを見せる。

 

「ええ、私は火星には行きません。地球連邦軍に投降しようと思います。大人しく裁きを受ける事にしますよ」

「いや、お前はティターンズでも真面目だったから俺より助かる可能性は高いけどよぉ、奴等がそれを考慮するとは思えないぞ?噂を聞くだけでもクソ不公平な裁判らしいし、問答無用で銃殺刑にされるかもしれねぇ」

「それでもです。家族を置いて行く事はできません。妻と子供達が待っているんです」

「……そうかよ。まあ家族がいるなら仕方ねぇよなぁ。じゃあここでお別れだな」

 

同僚の決意を知った元中尉は納得し別れる事になった。

 

「じゃあなアデル、達者でな。裁判で負けんなよ」

「ええ、モンシア中尉。貴方もお元気で」

 

同僚と別れた元中尉は戦い続ける事を選び火星に向かう事にしたのであった。

 

 

 

「ジオンが独立し、地球圏に平和が訪れる事は喜ばしい事だ……上手くいってくれるといいのだがな」

「キャプテン、何か心配事があるのですか?」

「いや、何でもない」

 

サイド3にてシャア総帥の演説を聞いていたスベロア・ジンネマン大尉は部下達が自分を心配している事に気づき迂闊だったと己を恥じていた。

 

(口に出すとは情けない。ジオン独立で気が緩んでいたようだ。だが楽観的な考えではいられんのだ)

 

ジンネマンは新生ジオン公国に待ち受けるのが薔薇色の未来ではない事を察していた。

 

(ティターンズとエゥーゴは壊滅したが残党は少なからず存在している。彼等は敗北を受け入れずに我々がそうしていたように戦い続けるだろう……しかし、こうして立場が逆転するとは皮肉なものだ)

 

第三勢力であるネオ・ジオンに勝利を掠め取られた形で戦争が終わるなど残党達が納得する訳がないとジンネマンは確信していた。

 

(それに問題はジオンにもある。帰還兵達の存在だ。大量にいる帰還兵達を全員原隊復帰させる余裕など今のジオンにはない。一年戦争は総力戦だからあれ程の軍勢を維持できたが、平時では無理だ。そんな事をすれば財政が破綻するのは俺でもわかるが、しかし兵士達は納得できないだろうな)

 

兵士達の社会復帰についてジンネマンは考えていたが、ふと自分達の今後について思いを馳せる。

 

(我々は幸運な事にミネバ様の親衛隊として軍に残る事が決まっている。それはいいのだが……一国の軍人として所属するという事は今までのように自由には動けんという事だ。ましてやミネバ様の親衛隊となればジオン公国から離れる事はまずないといっていい)

 

これまで残党活動の合間に行っていたグローブビデオの撲滅ができなくなる事に黒い感情が湧き上がるが、ジンネマンはそれを理性で抑える。

 

(よせ、これからは正式な軍人として活動する事になるのだ。俺個人の我儘を優先するわけにはいかん)

 

ドス黒い恨みを抱えているジンネマンだったが、彼は理性的な大人であり、個人の私情を優先してはならないと理解していた。

 

(いつまでも過去に囚われたままなのは不味いとわかっているのだがな……この憎しみを忘れて前を向いて生きていけるようになるのは一体何時になるだろうか?)

 

「まったく情けない男だな、俺は」

「キャプテン?」

「すまん、ただの独り言だ」

 

どうしても恨みを忘れられない自分に、我ながら女々しい男だとジンネマンは自嘲するのであった。

 

 

 

……その後ジオン公国は宇宙世紀0093年をもって地球連邦から独立すると正式に発表。新生ジオン公国の建国の為に準備を行うジオンと、地球圏の復興を優先したい地球連邦政府は両者共に内政に注力した事で地球圏は暫くの間平穏が訪れる事になる。

 

「軍学校かぁ、どんな所なのかな?」

「私も行ったことないからわかんないな〜。まあフィーリアスなら大丈夫だよ!お姉ちゃんが保証してあげる!」

「お前は図太いからすぐ適応するだろうさ。私も保証するよ」

「うん、ありがとう二人とも」

 

そしてフィーリアス・アズナブルはその間平和で穏やかな日常を楽しむ事になるのであった。

 

「そういえばこれからエゥーゴの捕虜の治療に行くんだっけ?」

「総帥直々の命令なんだ。捕虜の人は廃人らしいけど感応すれば治ると思うよ。多分」

「いい加減だなぁ、というかそれを治療と言っていいのか……?」

 

 

 

 

 

第一部「アクシズで頑張るシャアのクローン」完

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●ティターンズ残党の元中尉

→一体誰ナルド・モンシアなんだ……この世界ではティターンズとエゥーゴ残党連合の同僚達と一緒に火星で頑張る事にした。ジオンマーズとレジオン相手に戦っている。

 

 ジオン残党は気に入らないから死ね!でも俺達が言う資格ないけど、ジオンが独立したのに火星で何やってんだコイツら……?(モンシアと同僚並感)

 

 ちなみに元少尉の方は投降後に裁判を受けるも素行が真面目だったので銃殺刑になる事はなく、地球連邦軍で閑職行きとなった。本人は素直に受け入れて無事家族と再会できた事を喜んだ。

 

 

 

●ジンネマン

→バナージとマリーダのお父さん。でもこの世界では二人と遭うことはないのだ。地球連邦に恨みはあれど、私情を優先する事はなく新生ジオン公国の為に働くと決めた人間の鑑である。

 

 

 

●新生ジオン公国(仮)

→正式に独立する事を発表した。前途多難だがダイクンの遺児なら何とかしてくれるはず。

 

 他のサイドに比べたら裕福だが、地球連邦と比較すれば経済規模は貧弱。一年戦争の時のような軍備は維持できないので軍縮するのは確定事項である。

 

 

 

●地球連邦

→とりあえず復興作業を優先する事に。まずは北米大陸の穀倉地帯の復活を目指す模様。時間はかかるがやらないといけない事である。

 

 

 

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)とプルシリーズ達

→当分の間暇をもて余す事になるが本人達はノンビリ楽しく過ごす事だろう。

 

 

 

●エゥーゴの捕虜

→ネタバレになるが次回で無事復活する。そして情けない奴と再会し自分達を護ってくれた事に感謝するも、誰も得をしない逆襲を計画している事を察して盛大に溜息をつくのであった。




新生ジオン建国後となる第二部に続きます。でもその前に閑話を幾つか書く予定です。


Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。



今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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