アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

31 / 53
ふと思いついたネタの続きです。暫くの間は閑話が続きます。


フィーリアスの学校生活①

フィーリアス・アズナブル……ミンファ博士が造り出したシャア・アズナブルのクローンである。ニュータイプ兵士として製造された彼は類稀な戦闘技術を持ち、ネオ・ジオンの中でも突出した戦果を上げて「深緑の彗星」という渾名で呼ばれる程に活躍した。その後彼はシャア総帥の弟と扱われるようになり、姓をワンからアズナブル姓に変更されたのであった。

 

「ここが士官学校か、人が多いなぁ」

 

そして現在フィーリアスはサイド3にあるジオン軍の士官学校に入学する事になった。その士官学校はジオン公国時代から存在する由緒ある施設であり、サイド3が正式に独立し新生ジオン公国が建国される事に伴い制度の見直しが取られていた。

 

「でも僕より年上の人ばかりだ」

「それはそうですよ、新入生の中で貴方が一番若いんですから」

 

周囲を見回したフィーリアスは不思議そうな表情を浮かべていたが、隣の少年が苦笑しつつ説明する。

 

「本来12歳の子供が士官学校に入るなんて異例中の異例なんですよ。普通は15歳にならないと入学を認められませんからね……あの少尉殿、後でサインをお願いできますか?」

「うん、いいよ」

 

尊敬の眼差しを向けつつサインをねだる少年の頼みをフィーリアスは快く受け入れた。深緑の彗星として地球圏で有名になったフィーリアスは周囲から好奇の目で見られており、眉目秀麗な容姿に熱い視線を向ける女子候補生達もいた。

 

「度胸あるなアイツ、あの深緑の彗星にサインをお願いするなんて。まるでアイドル扱いだ……でもここは士官学校だ。あんなミーハーな気分でやっていけるのか?」

 

その様子を見ていたとある新入生は呆れた表情を浮かべる。

 

「……まあいい、俺は俺で頑張るだけだ。実験体のモルモットが士官学校に行けるなんて幸運だし、折角のチャンスを無駄にするわけにはいかないからな」

 

その後部屋の割り当てが行われ、フィーリアスは新入生の一人と顔を合わせていた。

 

「あ、君がルームメイトになるんだ。僕はフィーリアス・アズナブル。よろしくね」

「ああ、こちらこそよろしく頼む。俺はギュネイ・ガスだ」

 

これがフィーリアス・アズナブルとギュネイ・ガスの長年の付き合いの始まりであった。

 

 

 

フィーリアスはクローン兵士である。外見こそ12歳に見えるが実年齢は3歳にも満たず社会経験についてはお世辞にも豊富とは言えない子供であった。人工子宮にいる時に睡眠学習で必要最低限の一般常識は刷り込まれていたものの、製造者であるミンファ博士の元を離れて士官学校で集団生活を送る事になり問題なく過ごせるか周囲から不安の声が出ていた。

 

そんな彼だが親元を離れて初めて一人で集団生活を始めた結果……

 

「座学も実習もトップとは流石深緑の彗星だ」

「お母さんの子供だからね」

「なんだよその理屈は。でもすごい自信だな」

 

特に問題なく士官学校生活を満喫していたのであった。クローン元であるシャア総帥の能力を引き継いだフィーリアスにとって初めての士官学校は別に難しくなかったようである。

 

「でもお前復習とか全くしてないがどうなってるんだ?」

「え、一度教えてもらえば全部頭に入るよね?」

「いや俺や他の奴等はそんな簡単にできないぞ」

「シャア総帥も出来たらしいよ?」

「マジかよスゴイな総帥」

 

士官学校に入って数ヶ月が経過した頃、食堂にてフィーリアスとギュネイは何時ものように並んで食事を取っていた。ルームメイトとなった二人は気軽に雑談をする仲になっていた。

 

「相変わらず食堂は混んでるね」

「ああ、2つのグループに分かれているけどな。平和だったサイド3から入学した奴等と、ネオ・ジオンから入学した連中にな」

 

ギュネイの言う通り今の士官学校では大きく2つのグループに分かれており、両者は険悪とまではいかないもののどこかぎこちない関係であった。

 

「ぬるま湯につかっていた共和国の子供と、ジオン独立を諦めず暗礁宙域で潜伏していたネオ・ジオンの子供じゃこうなるだろうさ」

「仲良くすればいいのに」

「無茶言うなよ、ニュータイプじゃあるまいしそんな簡単に仲良く出来るわけない……ま、これに関しては時間が解決するだろ。俺達が士官学校に在籍している間は難しくても、10年か20年も経てば過去の話になるだろうさ」

「そうだといいね」

 

その後も二人はマイペースな様子で会話を続けるのであった。

 

「でも僕達なんだか距離を取られているよね」

「まあ原因はお前だけどな、シャア総帥の弟で深緑の彗星として活躍したスーパーエースの12歳なんてどう対応すればいいかわかんないんだろ。教官達も困った顔してる時があるし」

「別に怖がらなくてもいいのになぁ」

 

 

 

「へぇー、お前の姉と妹は普通の学校に行ってるのか」

「うん、エルピーお姉ちゃんとツヴァイはニュータイプ兵士としてじゃなくて一般人として過ごしてる。偶にサイコミュの実験を手伝う事があるくらいかな」

「それ俺が聞いていいやつなのか?」

「ギュネイなら大丈夫だよ」

「……そうかよ」

 

 

 

「そういえば週に一度士官学校を離れているけど何やってるんだ?」

「お母さんに会いに行ってる」

「え、お母さんって。お前マザコンなのか?」

「そうだよ?」

「えぇ……?こんな堂々とマザコンと認める奴初めて見たぞ」

 

 

 

「なぁ、これから乗るMSのマニュアルそんな流し読みで大丈夫なのか?」

「大体覚えておけば大丈夫。後は実際に乗って確かめればいいよ」

「大丈夫じゃないだろ、教官殿が凄い顔して見てるぞ」

「あっ」

「まあこれに関してはお前が悪い。諦めて叱られろ」

「はぁ……」

 

 

 

「え、マザコンを隠せ?」

「そうだよ、お前は堂々としてるが一般的にマザコンは恥ずかしい事なんだぞ」

「別に僕は恥ずかしくないけど」

「そういう問題じゃない。客観的に見てマザコンはマズいんだ、シャア総帥やお前の母親にも迷惑がかかるぞ」

「むっ……わかったよ」

 

 

 

「こういう生活も悪くないね。地球で戦っていた頃と比べたらノンビリしていて気楽だよ」

「士官学校を気楽と言えるのはお前くらいじゃないか?まあ実戦に比べれば気楽だろうけどさ」

 

士官学校に入って半年が経過した。フィーリアスはギュネイと一緒に行動する事が多く学校生活を大いに楽しんでいた。

 

「週末にお母さん達に呼び出されたけどギュネイも一緒なんだね」

「ああ、一体何の用事なんだろうな?」

 

どうして自分達が呼ばれるのか不思議に思いつつ二人は研究所に向かうのであった。

 

 

 

「へぇ、あれがお母さんが開発した新型サイコミュ装置か~」

「オ、オールドタイプが簡単にニュータイプになれるなんて……!?」

 

 

 

「お前のお母さん、スゴイ人なんだな」

「うん、僕のお母さんだからね」

「なんだその理屈は」

 

新型サイコミュ装置……シュッツラーダーのテストで模擬戦の相手を務めた二人は帰り道にてシュッツラーダーについて会話していた。

 

「オールドタイプでもあそこまで強くなれるんだね」

「いやお前は楽勝だったじゃないか。俺はギリギリだったぞ……アレが量産されたらもう強化人間は必要ないだろうな」

 

無邪気に感心するフィーリアスとは対照的にギュネイは形容し難い表情を浮かべていた。

 

(フィーリアスと何度もシミュレーターで訓練している俺は以前より遥かに腕が上がっているはずだ。だがそれでもギリギリの勝利だった……相手が一年戦争からずっと戦ってきたエースパイロットだとしてもオールドタイプがニュータイプに対抗できるようになるとは)

 

自分のような強化人間が必要となくなりつつある状況にギュネイは少しだけ危機感を覚える。

 

「大丈夫だよギュネイ。今の君は士官候補生だから用済みになる事はないよ」

「あ、ああ、そうだな」

 

(確かにそうだ。今の俺は強化人間のモルモットじゃない、士官候補生として研鑽している。ただの道具扱いされる事は絶対にない……本当に俺は幸運なんだな)

 

フィーリアスに慰められ落ち着いたギュネイは、自分が恵まれているのを自覚して現状に感謝しつつ士官候補生として研鑽を積む事を決意するのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●シャアのクローン(フィーリアス・アズナブル)

→士官学校に入って学生生活を満喫している。精神的に幼い部分はあるが素体となったシャア総帥譲りの才覚で上手くやっているようだ。シャア総帥にそっくりな眉目秀麗な容姿なのでモテるが本人は色恋沙汰には興味がない模様。

 

 マザコンについては相変わらずだがギュネイの説得により周囲に公言する事はなくなった。

 

 

 

●ギュネイ・ガス

→逆シャアで登場した強化人間。この世界ではシャア総帥の指示でフィーリアスと共に士官学校に入る事になった。フィーリアスとはルームメイトで親友であり、よくツッコミ役になっている。

 

 フィーリアスとシミュレーターで訓練を続けた結果ニュータイプ能力と操縦技術が磨かれ0.75シャアくらいに成長している。今後まだまだ成長するだろう。

 

 

 

●士官学校

→新入生達はサイド3の子弟と、ネオ・ジオンや地球からの帰還兵の子弟達とで大きく二つのグループに分かれており、教官達を悩ませている。

 

 ちなみに教官の中にはシャアと同期の者がいて「うわ、シャア総帥にそっくりだ。これは確かに弟だな……涼しい顔して成績トップとかシャア総帥にそっくりだなぁ。あの人もこんな感じだったよ」としみじみとした表情を浮かべていたとか。でもマニュアルを流し読みしていた件については真顔になって叱っていた。

 

 

 

●エルピー・プルとプルシリーズ達

→人間として扱われるようになり一般人として暮らす事にした。立場としては予備役扱いであり偶にサイコミュの試験を手伝う事があるようだ。プルシリーズ達は全員カミーユに感謝している。

 

 エルピー・プルは将来パティシエになる事を目指し、ツヴァイ(プルツー)は特に決めてはないが何だかんだ普通の学校生活を楽しんでいるようだ。

 

 

 

●シュッツラーダー

→オールドタイプがニュータイプ擬きになれる新型サイコミュ装置。特にデメリットはなく命の危険もない安全なサイコミュ装置だと軍からは高く評価されているが、ベテランやエースパイロットでもないと十全に使いこなせない模様。

 

 

 

●強化人間

→シュッツラーダーの登場によりオールドタイプでもニュータイプに対抗できるようになり、強化人間へ求められるハードルが爆上がりしている。合格基準は0.8シャア以上であり、ギュネイはギリギリ合格ラインである。




Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。



今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。