アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。暫くの間は閑話が続きます。


旧ジオン軍の置き土産

「……緑色のアーガマは何度見ても違和感があるな」

 

グレミー隊の旗艦であるリベルタス……旧名アーガマに乗ったアルバス・フィーンド特務大尉ことアムロ・レイは仮面の下で何とも言えない表情を浮かべていた。

 

「まさか鹵獲したアーガマを今後も運用し続けるとはな」

「元エゥーゴの旗艦なだけあって優秀ですからね。ザンジバル級より高性能な船を使わない理由はありませんよ。それにジオンは貧乏ですので、船を選り好みしてる余裕はないですし」

 

アルバスの呟きに副官であるボッシュ・ウェラー特務少尉が苦笑しつつ答える。

 

「しかし俺の変装が特に疑われる事なくジオンで受け入れられているとは。自分で言うのも何だがこんな怪しい男を疑わないのはおかしいだろ」

「ハハハ、一年戦争の時代からジオンでは軍服やノーマルスーツの改造などよくある事ですし、仮面については赤い彗星という前例がありますからね。それにアルバス特務大尉はシャア総帥直属の軍人ですから仮に疑っていても問いただす事などできませんよ」

「……ジオンは自由だなぁ」

 

ジオン軍の大らかさにアルバス特務大尉は困惑しつつも、グレミー隊の隊長であるグレミー・トト特務大尉やエンドラ隊指揮官のマシュマー・セロ達の服装を思い返してそういうものなのかと納得する事にしたのであった。

 

 

 

「アルバス・フィーンド、まさか連邦の白い悪魔が味方になるとは。だがあれ程のエースが味方になるのはとても心強いな。彼が素直に投降せずエゥーゴ残党として潜伏しゲリラ活動をしていたらと思うとゾッとする」

 

リベルタスの艦長であるグレミー・トト特務大尉はアムロ・レイが同行する事になり驚きつつも彼が自分達の味方となった事に安堵していた。

 

「総帥からの指令では秘匿された旧ジオン軍のプラント艦の調査という事だが、一筋縄ではいかないだろうな。ただ調査するだけならわざわざ白い悪魔を同行させる必要はない。気を引き締めねばならないか」

 

白い悪魔を同行させるという事態にグレミーはこの調査は一筋縄ではいかないだろうと察していた。

 

「確かプラント艦の名はミナレットだったな。あのキマイラ隊が保有していたというプラント艦、キシリア・ザビ所属のキマイラ隊の遺産か……碌な物ではないのだろうな、少なくとも総帥はそうお考えのようだ」

 

キマイラ隊の上官であるキシリア・ザビが様々な研究を極秘裏に行わせていた事を知るグレミーは、キシリア・ザビが残した置き土産について考え思わず溜息をつくのであった。

 

 

 

「ネオ・ジオンの連中がミナレットを!?」

「ああ、どうやらミナレットの存在を嗅ぎ付けたようだ。ジオン公国の後継者である彼等がミナレットを回収しようとしている。我々F.S.S.は彼等に先立ちミナレットを確保せねばならんのだ」

「ですがサングレ・アスルの航路データなしに宇宙を彷徨うミナレットを発見する事はできないはずですが」

「……ネオ・ジオンの指導者であるシャア・アズナブルは一年戦争末期にキシリア・ザビの腹心としてニュータイプ部隊を率いていた。キシリア・ザビの傍にいた奴ならミナレットの詳細を把握し昔から追跡していてもおかしくはない」

「なるほど、確かにあり得る話ですな。わかりました。至急部隊を向かわせます」

「うむ、よろしく頼んだぞ」

 

 

 

「キマイラ隊の大型プラント艦か。極秘の存在だったようだがボッシュは知っていたのか」

「私はキシリア・ザビの親衛隊出身ですので、キマイラ隊のミナレットについては知っていました。それにキマイラ隊に所属していた元同僚から情報提供されたんです」

「なるほど、ボッシュは顔が広いな」

「おだてないでくださいアルバス特務大尉」

 

その後宇宙を彷徨うミナレットを発見したグレミー隊は出撃前にブリーディングを行っていた。

 

「情報提供によればミナレットには防衛システムが存在しており、防衛システムが作動すると離脱の為加速するという事だ……なので我々はまずミナレットの機関部を破壊し停止させる。アルバス特務大尉、貴方のZZガンダムならば防衛システムをくぐり抜けて破壊できるはずだ」

「ああ、任せてくれ」

 

グレミーからミナレットの機関部破壊を依頼されたアルバスは了承する。力技だがアルバスが乗ったZZガンダムなら余裕であった。

 

「ええ、貴方がやるのなら安心できる。ではアルバス特務大尉が最初に出撃し、ミナレットを停止させた後歩兵部隊を送り込みミナレットを制圧するぞ。各員の奮闘に期待する!」

 

グレミーの激励に隊員達は敬礼し行動を開始するのであった。

 

 

 

「おいおい、あいつらZZガンダムを引っ張り出してるぞ!?まさか、いやそんな無茶な……うわ、なんだあの光」

「ミ、ミナレットが停止しました。あれが、ハイメガキャノンですか」

「滅茶苦茶しやがるなアイツら、というかMS単体の火力じゃないだろアレは。情報では最大出力でコロニーレーザーの2割程の威力があるらしいが、そりゃミナレットも耐えられないよな。でも何を考えてエゥーゴはあんなもん開発したんだ……?」

「そんな事よりネオ・ジオンがミナレットを制圧しようとしています!阻止しなければ!」

「待て、政府からネオ・ジオンの連中とは戦うなと厳命を受けている!迂闊な真似はよせ!」

「そんな、連邦政府は何を考えているんですか!?」

「悔しいのはわかるが俺達は政府の指示に従うしかないのさ、諦めろ」

 

 

 

「……気配が遠ざかっていく。よかった、相手に戦うつもりはないようだ」

 

ミナレットを停止させたアルバスは周囲に潜んでいた正体不明の部隊が離れていくのを感じ取っていた。

 

「リベルタスへ、こちらアルバスだ。ミナレットを停止させた。引き続き防衛システムの無力化を行う」

「こちらリベルタス了解した。流石だな」

 

リベルタスへ報告したアルバスはその後ハイメガキャノンとダブルビームライフルで防衛システムを無力化していく。

 

「しかし本当に大きいな。推進システムだけを上手く破壊できたのはいいが、これほど大きな艦だと制圧に時間がかかるだろうな……でもここまで厳重とは一体何が秘匿されているんだ?」

 

防衛システムから放たれる弾幕を危なげなく回避しつつ、アルバスはミナレットの無力化に成功する。そして防衛システムが沈黙したのを確認したグレミーは歩兵部隊を送り出すのであった。

 

 

 

「ネオ・ジオンがミナレットを!?馬鹿な、早過ぎる!」

「ふうむ、彼等が一枚上手だったようだ。ネオ・ジオンならミナレットの詳細を把握していてもおかしくはないか……まあ旧ジオン軍の大型プラント艦の一つくらい彼等に譲っても問題ないですよ。少なくとも政府上層部はそう考えているでしょうな」

「くっ……!」

「そう悔しがらずとも今回の件で貴方のキャリアに傷は付きませんよ。貴方の選挙活動の支援は引き続き行いますのでご安心くださいオクスナー首相補佐官殿」

 

 

 

―宇宙移民の独立を、意思を、それを体現したザビ家を受け入れぬ世界など消滅するがよい。そして人類は宇宙世紀をもう一度やり直すのだ―

 

「……は?なんだこれは?」

 

モニターに映し出された旧ジオン軍の置き土産を見たグレミーは呆然としていた。ネオ・ジオンのグレミー隊は無事ミナレットを制圧し調査を進めたところ、キマイラ隊員にも秘匿されていた極秘情報を突き止めていた。

 

「これが総帥が発見次第破壊しろと仰っていた代物か。なるほど確かにこれは……傍迷惑過ぎる」

 

それは環境破壊用生物兵器アスタロスを使いスペースコロニーに散布し居住できなくさせるという狂気の産物であった。どう考えてもまともな使い道がない傍迷惑な代物にグレミーは思わず天を仰ぐ。

 

「旧ジオン軍は、キシリア様は一体何を考えてこんな物を造らせたのだ……?百歩譲って地球に散布するのなら理解できるがスペースコロニーに散布するなど。こんな物を開発する情熱を他の事に活かせばよかっただろうに!」

 

頭を抱えつつもグレミーは総帥の命に従い研究データの回収とミナレットの破壊準備を進める。

 

「全ての研究データの回収が完了次第ミナレットを自爆させる。各員急げ!」

「はっ!」

「フン、新生ジオン公国にこんな物は不要だ。ジオン・ズム・ダイクンの遺児である総帥の手によってスペースノイドの、サイド3の独立は達成できたのだからな」

 

グレミーの言う通りサイド3は新生ジオン公国として独立する事が決まっており、余計な事をする必要はまったくなかった。その後ミナレットは自爆し跡形もなく爆発四散したのであった。

 

「やれやれ、傍迷惑な置き土産だったな……まさかこれ以外にも似たような旧ジオン軍の遺産はないだろうな?いや、流石にそれはないか。E計画のような役立つ物があればいいのだが」

 

一息ついたグレミーはアレより傍迷惑な物はないはずだと考えていた。しかしその後幾度か行われた調査任務にて続々と傍迷惑な置き土産を発見したグレミーは旧ジオン軍の節操のなさに思わず頭を抱え、報告を受けたシャア総帥はその度渋い表情を浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●アルバス・フィーンド(アムロ・レイ)

→アムロ・レイが新生ジオン公国軍に転職した姿で、ミナレット攻略RTAの功績者その1。士官学校に通うフィーリアスの代わりにZZガンダムに乗っている。リベルタスとなったアーガマを見て何とも言えない気持ちになった。

 

 仮面を被って正体を隠した事でジオン軍にあっさりと受け入れられて困惑していたが、最近は副官のボッシュの優秀さに感心する事が多いようだ。

 

 

 

●ボッシュ・ウェラー

→アルバス・フィーンド特務大尉の副官でミナレット攻略RTAの功績者その2。元キシリア・ザビの親衛隊の伝手を使いミナレットの存在を把握しており、総帥の命を受けてミナレットの調査に参加する。アルバスの活躍を見てテンションを上げていた。

 

 

 

●グレミー・トト

→シャア総帥の腹心として頑張っている。アルバスの活躍を見て彼が味方で本当に良かったと強く思ったとか。

 

 ミナレットを調査した結果厄ネタを発見し宇宙猫になって頭を抱えていた。しかしその後も別の調査任務にて傍迷惑な置き土産を見つけて頭を抱える模様。

 

 

 

●ミナレット

→RTAの犠牲者。キマイラ隊の大型プラント艦だったがZZガンダムに乗った白い悪魔には勝てなかったよ……グレミー隊によって制圧され研究データが回収された後、ミナレットは自爆する事になり廃棄された。

 

 

 

●ザビ家の復讐装置

→環境破壊用生物兵器アスタロスを使った傍迷惑な置き土産。新生ジオン公国として独立が決定した今では無用の存在であり、研究データ回収後にミナレット共々破壊された。

 

 

 

●地球連邦政府

→「え?ネオ・ジオンが旧ジオン軍のプラント艦を回収しようとしている?ふーん、別にいいんじゃない?」と呑気に考えF.S.S.に余計な事をしないよう厳命していた。ザビ家の復讐装置については知らされていなかったようだ。

 

 

 

●F.S.S.

→ミナレットを確保しようとするとグレミー隊に先回りされて失敗する。ちなみに現場にいたパイロット達はZZガンダムの出鱈目な火力を見てドン引きしていた。

 

 

 

●ジオン上層部

→新生ジオン公国として独立する準備を進めている。そんな中で旧ジオン公国の上層部にいた人物から旧ジオン軍が残した傍迷惑な置き土産を知らされたシャア総帥は一瞬呆然とした後、自分が一番信頼している男を向かわせる事にした。アルバスことアムロが上手くやったと報告を受け「流石は私の同志だ!」と嬉し気な様子を見せたらしい。

 

 今のジオン上層部にとって旧ジオン軍の置き土産は厄介な存在であり黒歴史である。グレミー隊は今後も厄ネタの処理を頑張る事だろう。




Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。



今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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