「ガールフレンドを作ろうと思うんだ」
「はぁ?」
士官候補生として充実した生活を送っていたフィーリアスはある日彼女を作ると宣言してギュネイを困惑させていた。
「いきなり何を言ってるんだお前」
「学生生活での思い出作りだよ。士官学校を卒業したら軍人生活が始まるし、その前に何かやろうかと考えたんだ」
「それでガールフレンド作りと?」
「うん」
吞気な様子で言うフィーリアスを見てギュネイは思わず溜息をついていた。
「はぁ、まあお前は顔がいいから彼女を作るのは簡単だろうけどよ……で、誰にするつもりなんだ?」
「とりあえず候補の子は決めてるんだ」
「へぇ、お前が気に入った子か。どんな子なのか気になるな」
誰をガールフレンドにするのか興味が湧いたギュネイはフィーリアスに付いて行く事にしたのであった。
「いらっしゃいませ~」
「ほら、あの子だよ」
「……………お前見た目で選んだだろ」
「うん」
休日に街を散策していた二人はフィーリアスが見定めた少女……ズムシティのとある花屋の娘を見て、ギュネイはフィーリアスが彼女を選んだ理由を瞬時に察していた。
「お母さんによく似た三つ編みの瓶底眼鏡が気に入ったんだ」
「お前ホントブレないな。どんだけ母親が好きなんだ」
「お母さんの事はこの世で一番好きだよ」
「マザコンかよ!……マザコンだったな」
キリッとした表情で情けない事を言うフィーリアスにギュネイは呆れる。
「でも性格は全然似てないように見えるぞ。心を覗かなくてもわかる。立ち振る舞いが鈍くさいというか、危なっかしいというか」
「いいよね、ああいう世話が焼ける子って。方向性が違えどお母さんみたいで」
「えぇ……?」
フィーリアスの変わった嗜好に困惑しつつもギュネイは興味深そうに花屋の娘を見ていた。
「彼女とは面識があるのか?」
「いや、一目見て気に入っただけで一度も話した事はないんだけど、とりあえず声を掛けてみるよ」
「えっ」
ギュネイが戸惑うのも気にせず、フィーリアスはノンビリした様子で花屋の娘に向かって行くのであった。
「行き当たりばったりだなオイ。いきなり話し掛けられて彼女慌ててるじゃないか……こんなんで上手くいくのかよ?」
「よし、まずは友達から始める事になったよ」
「よく上手くいったな。まあお前は顔がいいからなぁ」
その後ナンパが上手くいったフィーリアスは上機嫌な様子を見せていた。
「たまたまお母さん似の子がいてよかったよ」
「そんなに母親の事が好きなら母親と付きあえばいいんじゃないか?血の繋がりはないし、あの人もお前が求めるならノリノリで応じてくれるだろ」
「ギュネイ、僕はお母さんの事は大好きだし、お母さんに似た子がタイプだけどお母さんを彼女にしたいわけじゃないんだよ」
「なんだそれ。わかるような……わからないような」
フィーリアスの言葉にギュネイは何とも言えない表情を浮かべる。
「これでガールフレンド作りは成功だね。結果はどうなるかわからないけど、思い出作りにはなるでしょ」
「まあお前の好きにすればいいと思うけどさ」
マイペースなフィーリアスに呆れつつも、ギュネイはもし振られたら慰めてやるかと考えるのであった。
「へぇ、文通とは古風だなぁ」
「まずは本に書かれている通りに始めてみようと思ってね」
「……これ宇宙世紀以前の本じゃないか。西暦に書かれた恋愛小説の本とかよく残ってたな」
「とりあえず参考にしてるけどダメかな?」
「ダメとは言わないが、古すぎると思うぞ。文通は悪くないけど電話してもいいだろ」
「それもそうだね」
「お姉ちゃんがガールフレンドと上手くいってるかってしつこく聞いてきたんだ。誰にも言ってないはずなんだけど」
「俺は言ってないぞ。同期の連中から漏れたんじゃないか?」
「えっ、隠していたのに」
「お前有名人だからなぁ、恋愛事情とかすっぱ抜かれてもおかしくないな」
「この前の休日で彼女とデートしたよ。楽しかったなぁ。レイナったらドジっ子で世話が焼けるけどそこが可愛いんだ」
「それはよかったな」
「まあ監視の人が遠くから眺めていたのはちょっと気に入らなかったけどね」
「お前は特殊な事情があるし仕方ないだろ」
「レイナの両親と会ったけど、交際が認められたよ」
「よかったじゃないか。彼女の両親を説得するなんてやるなぁ」
「いや、レイナの両親ったら凄く緊張していてさ。落ち着かせるのに大変だったよ」
「ああ、お前シャア総帥の弟だもんな。国の指導者の弟が娘のボーイフレンドとか緊張して当然だよな」
「レイナも僕が総帥の弟だと知ってあわあわしてたよ。可愛かったなぁ」
「いや教えてなかったのかよ!?……まあ、なんだ、上手くいってるようでよかったよ。結構入れ込んでいるようだな」
「うん、レイナの事は見た目で選んだけど愛着が湧いたみたいだ」
「え、彼女をミンファ博士のところへ連れて行く?母親に紹介するのはわかるけど機密とか大丈夫なのか?」
「うーん、そういうわけじゃないんだ。彼女がニュータイプだとわかったんだけど、ちょっと能力が変わっててね」
「はぁ?」
「……………なるほど、彼女がフィーリアスのガールフレンドか」
「ええ、あの子がレイナちゃんです」
その後ニュータイプ研究施設にてシャア総帥はとある実験を見物していた。シャア総帥の隣ではミンファ博士が実験の説明をしていた。フィーリアスが交際している件についてシャア総帥は邪魔する事なく微笑ましいものだと見守るつもりであったが、とある報告を受けて急遽実験を見物する事にしたのであった。
「彼がガールフレンドを作るのは別に構わない。彼女の身辺を調査したが怪しい部分は一切なかったし、二人の事は祝福するつもりだ」
「ええ、フィーリアスが私から離れるのは寂しいですが精神的に成長しているのは喜ばしい事ですよ」
「ああ、一人の人間として成長しているのは素晴らしい事だが……しかし、その、うむ」
「フィ、フィーリアスさん!上手くできましたぁ!この人の怪我を治す事が出来ました!」
「おお、本当だね。こんな事が出来るなんてレイナはスゴイよ」
「そ、そうですか?エ、エヘへェ……こんなに褒められるなんて初めてですぅ」
「いやこれおかしくないか?ニュータイプの能力なのかこれ?」
「ギュネイ、ニュータイプは読心術や催眠が出来るんだよ?怪我を治す事だって出来るでしょ」
「そ、そうなのか?……そうかもな」
「いやー、本当に怪我を治しちゃいましたよ!ニュータイプって何でもアリですねぇ!」
「いやおかしいだろう!?」
フィーリアスの彼女でありレイナが謎の力で怪我を治療したのを見てミンファ博士達ニュータイプ研究者は大いに興奮し、シャア総帥は思わず呆然とするのであった。
「私の父が提唱したニュータイプは宇宙に適応した人類であって、超能力が使える人間ではないはずなのだが……?」
「別物だと割り切ればよろしいかと!総帥、私達は彼女の超能力を解明する為に全身全霊で取り組む所存でございます!ですのでどうか追加予算のご検討をお願いします!」
「……そうだなミンファ博士、父の提唱したニュータイプと巷で言われるニュータイプは別物か。彼等を見て確信したよ。予算については検討しておこう」
「ありがとうございます総帥!」
<人物紹介>
●シャアのクローン(フィーリアス・アズナブル)
→思い出作りの一環としてガールフレンドを作った。見た目で選んだが接している内に愛着が湧いて結構入れ込んでいる模様。ポ〇モンで言うと最初に捕まえた子を最後まで連れて行き殿堂入りするタイプである。
ちなみにマザコンなので母親のような子が好みだが母親と付き合いたいわけではない。母親キャラが好きだからといっても実の母親に興奮するわけではないのだ。
●ギュネイ・ガス
→フィーリアスが振られたら何か奢ってやるかと考えていた人間の鑑。フィーリアスの彼女であるレイナの超能力を見て困惑するも、自分だって読心術が出来るし彼女もニュータイプの一種なんだろうなと思う事にした。
●レイナ
→ズムシティにある花屋の娘。三つ編みで瓶底眼鏡という容姿がフィーリアスの目に留まった。性格は鈍くさいドジっ子なので中身はミンファ博士とは全然似ていない。ちなみにフィーリアスより1歳年上。
この世界では宇宙世紀で初めて確認されたサイキッカーである。元々は店で販売する花を無意識にサイキッカー能力で新品同様に戻しており、それを見ていたフィーリアスが何かがおかしいと気付き発覚した。サイキッカー能力については0.8マリアであり、今後練習していけば更に強化されるだろう。
●レイナの両親
→ドジな一人娘を心配しつつ可愛がっている。両親ともに庶民であり娘にボーイフレンドが出来たと知ってどんな男か警戒していたらシャア総帥の弟だと判明し宇宙猫になった。
●ミンファ博士
→フィーリアスにガールフレンドが出来たと報告され、子供が成長していく事に少しだけ寂しく思いつつも祝福するつもりであったが、ガールフレンドのサイキッカー能力を見てハイテンションになる。
現在ミンファ博士達はレイナを丁重に扱いつつ、サイキッカー能力の解明に取り組んでいる。そして半年後偶然の産物とはいえサイキッカー能力を再現した猿が誕生し「これ上手くいけばシュッツラーダーみたいに機械で再現できるんじゃね?」と更にテンションを上げて研究に没頭するのであった。
●シャア・アズナブル
→「フィーリアスに彼女が出来たのか、まあ彼も思春期だし好きにさせればいいか」と呑気に考えていたらサイキッカーの存在が発覚し宇宙猫になった。父であるジオン・ズム・ダイクンが提唱したニュータイプと巷で言われるニュータイプは別物だと確信した模様。
●サイキッカー
→Vガンダムの時代より遥か前にフライング登場した。まあ半世紀程早く登場しても問題ないだろう。現時点ではレイナ以外にも地球圏を探せば極少数だが存在する。精神感応波による治療能力を見てニュータイプ研究者達は「ニュータイプって何でもアリだなぁ」と無邪気に感心し、サイキッカー能力を科学的に解明しようと全力で研究に取り組んでいる。
その後研究が進みサイキッカー能力についてある程度解明された。そして数十年後木星船団もとい木星帝国の総統の妻を新生ジオン公国から派遣されていたサイキッカーが治療し完治させたりしたのだがそれはまた別の話である。
Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。
今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。