「士官学校生活も今年で終わりかぁ」
「長かったようであっという間に過ぎたよな」
フィーリアス達が士官学校に入って3年目となった。今年で士官学校を卒業するという事でフィーリアスとギュネイは士官学校に入ってから今までの出来事を振り返っていた。
「ギュネイと出会ってから色々あったな。共和国出身の子とアクシズの子達の橋渡ししたり、ギュネイと一緒にニュータイプ能力を鍛えたり、レイナと出会ったり、レイナとデートしたり、レイナの超能力が判明したり」
「おい、後半ガールフレンドの事ばかりじゃないか。お前どれだけ彼女の事が好きなんだよ」
「んー、そうだな、お母さんの次くらいには大事な存在だよ」
「ったく、このマザコンがよぉ」
相変わらずマイペースなフィーリアスの様子を見てギュネイは呆れていた。
「なんでこんな奴が2年連続座学、実習共に成績トップなんだろうなぁ。世の中不公平だぜ」
「フフン、オリジナル譲りのハイスペックなのだよ」
「シャア総帥スゴ過ぎるだろ……」
フィーリアスが殆ど予習復習せずに成績トップを維持している事を知っているギュネイは、フィーリアスのオリジナルであるシャア総帥に畏敬の念を覚えていた。
「今年も成績トップになって首席として卒業する事にするよ。別に成績に拘りがあるわけじゃないけど、ここまで来たら3年連続成績トップの記録を取っておこうと思ってね」
「余裕綽々だなぁ、まあお前からすれば全然難しい事じゃないからそんな態度になるよな」
フィーリアスは雑談しつつ今年最後となる士官学校生活を楽しむ事にしたのであった。
「卒業したらシャア総帥の親衛隊に入る事になるのか、ギュネイも一緒だな」
「そうだな、親衛隊のエリート様として高給取りになるのは悪くないぜ。今の地球圏は復興を優先しているし俺達が卒業した後も当分の間は平和だろうさ」
「そうだといいけど」
「僕達に配備される予定の機体だけど、あのザクⅣって新型は悪くないな」
「ああ、見た目は小さいがザクⅢより性能は上だし、操作性も素直で問題ない。だが少しじゃじゃ馬じゃないか?」
「リミッターが外されているから仕方ないさ。そのおかげで一般パイロット向けのザクⅣよりも遥かに高機動だし僕は気に入っているよ」
「強化人間である俺達だからこそ出来る改造だよな。まあシュッツラーダーのお陰でオールドタイプでもサイコミュが使えるようになったし、差別化を図るにはリミッター解除くらいしかないか」
「……ふぅ、これで3年生になって5回目の告白か。女性に好意を向けられるのは悪い気分ではないけど、僕にはもうレイナがいる」
「おうお疲れさん。しかしお前に彼女がいるって話は周知の事実なのに諦めず告白するとは勇敢というか、無謀というか」
「告白を断って泣かれるのは申し訳ないけど、僕はレイナ一筋なんだ。愛人でも大丈夫と言われても困るんだよ」
「全然大丈夫じゃないよなそれ」
「演習の結果はフィーリアスが率いる1班の勝利か。まあ予想されていたとはいえ他の連中も不甲斐ないな」
「うん、今回は上手くいったが僕の器量では前線指揮官が限界だ。性に合わないというか、一パイロットとして活動する方が気楽だよ。出世なんてゴメンだ」
「我儘な奴だなぁ。それなら卒業後は俺の部下として扱き使ってやろうか?」
「そうだな、ギュネイなら任せられるよ。よろしく」
「……ったく、相変わらず吞気な奴だ」
「僕達が卒業した後は新生ジオン公国の建国に立ち会う事になるのか。まさか式典に参加する事になるとは」
「いやお前はシャア総帥の弟という事になっているし、式典に参加するのは当然だろ。俺も参加する事になるとは思わなかったけどな」
「エリートとして式典に参加できるなんて名誉な事じゃないか」
「まあな、実験体のモルモット扱いから随分出世したと我ながら思うぜ」
「……………」
フィーリアス達が最後の学生生活を楽しんでいる頃、サイド3の首都ズムシティにある政府官邸では新生ジオン公国の指導者となる事が決まっているシャア総帥が何とも言えない表情を浮かべていた。
「今回の地球連邦政府からの申し出は我々にとっても願ってもない事です。私だけでなく父や官僚達も賛成しております」
「ううむ、いや、それはわかっている。わかっているのだが」
部下の一人であるモナハン・バハロの話を聞くシャア総帥は、モナハンの言葉に理解を示しつつも首を縦に振る事を躊躇していた。
「この結婚が成立すれば地球連邦と新生ジオン公国は平和を求めていると地球圏にアピールできます。それに相手方の素性を調査しましたが、貞淑で素晴らしい女性だという事が判明しました。どうやら地球連邦政府は本気で我々と融和を図る為に色々と準備したようですな」
モナハンの言葉を聞きつつもシャアは地球連邦政府から提案された政略結婚に素直に喜べずにいた。
「その、私は結婚するつもりはないのだが」
「お言葉ですが総帥、ジオン・ズム・ダイクンの遺児である貴方には血を残す義務があるのです」
「フィ、フィーリアスはどうだ?」
「……恐れながら申し上げますが彼は特殊な事情を抱えています。地球連邦政府も彼の素性を把握しているでしょうし、今回のような政略結婚に利用するのは難しいかと。そもそも彼はまだ士官候補生ですし既に交際相手がいると聞いておりますが」
「ぬ、ぬぅ」
「スペースノイドである総帥とアースノイドのお相手で子供を作れば、生まれてくる子供はアースノイドとスペースノイドの融和の象徴となるでしょう……総帥、どうかご決断を」
モナハンの言葉を聞いたシャア総帥は悩みつつも周囲にいる側近達を見る。
「……………」
そこには能面のような表情を浮かべて沈黙するハマーンがいた。
(ええい、案の定ハマーンが反対しそうではないか!……いや、よく見れば不満があるが口には出さず沈黙しているな。今回の政略結婚は新生ジオン公国にとってもメリットがあると理解しているのか。いやしかし、相手が暗殺されそうでまったく安心できないのだが)
悩んでいたシャア総帥はハマーンの部下である少年の事を思い出す。
(そうだ、ジュドー君に任せよう。彼はハマーンの事を素直に慕っているようだし、ハマーンもジュドー君を可愛がっている。彼から説得させればハマーンも馬鹿な真似をしないだろう……二人がいい仲になれば私も歓迎するのだが。というか是非なってくれ、頼んだぞジュドー君)
シャア総帥はハマーンについてはジュドーに任せようと決意し、国の為に今回の申し出を受け入れる事にしたのであった。
<人物紹介>
●シャアのクローン(フィーリアス・アズナブル)
→相変わらずマイペースに生きている。図太い精神は母親であるミンファ博士譲りのものである。士官学校を卒業したらシャア総帥の親衛隊として活動する事が決まっている。レイナの事がかなり気に入っている。ちなみにミンファ博士公認であり、フィーリアスとレイナの子供はどんなエスパーが生まれるかとミンファ博士は今から楽しみにしているようだ。
士官学校生活を送った結果、自分はMSパイロットとして活動するのが一番性に合っていると自覚する。ギュネイの下で働けばいいやと呑気に考えている模様。
●ギュネイ・ガス
→フィーリアスの相方として士官学校生活を満喫している。フィーリアスのハイスペックぶりを身近でずっと見ていた結果、フィーリアスのオリジナルであるシャア総帥に畏敬の念を覚えたようだ。
●ザクⅣ(強化人間用)
→フィーリアス達用に調整された専用のザクⅣ。フィーリアスの機体については深緑色に塗られる事になっている。
一般パイロット用の機体とは違いリミッターが解除されており、一般機とは比較にならないレベルの高機動が可能となった。多分機動力だけなら30年後も通用するが、パイロットへの負担が大幅に増しており実質強化人間専用機となっている。でもトールギスよりは遥かにマシである。
●士官学校の女子生徒達
→フィーリアスに交際相手がいると知っていても諦めずにアタックして玉砕する。告白を断られて悲しくなったが、暫くして気分を切り替え新しい恋を探す事にした心のつえぇ女子達である。
●地球連邦政府
→地球圏の復興に集中しており、そして地球圏の安定の為に政略結婚を用意した。地球連邦政府は本気で上手くいくように色々と準備した模様。
●モナハン・バハロ
→新生ジオン公国の一員として父ダルシア首相の補佐を頑張っている。今回の地球連邦政府からの申し出についてはダルシア達政府関係者は悪くないと感じており乗り気なようだ。
●シャア・アズナブル
→政略結婚に抵抗感があるが、モナハンの言う通りダイクンの血を残す必要があるのは理解している。でもハマーンが何をするかわからないのでジュドーに何とかしてもらう事にした。
●政略結婚のお相手
→地球連邦政府が頑張って用意した名家の女性。モナハンが素性を調査し素晴らしい女性だと称賛するレベルの淑女である。ダナエ・ブリエット並の人格者であり、シャアも結婚すれば気に入るだろう。
●ハマーン様
→政略結婚の重要性は理解しているものの、女としては到底受け入れられないと内心ぐちゃぐちゃになっている面倒くさい女傑である。まあジュドーが何とかしてくれるだろう。
●ジュドー・アーシタ
→シャア総帥から何とかしてくれと依頼されたので頑張ってハマーンを説得する事にした人間の鑑である。頑張れジュドー!ハマーン様を説得できるのはジュドーだけだ!
Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。
現在別のWARHAMMER二次小説も書いたりしておりますが、今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。