アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。


アクシズにて

「アーガマ……まさか奴等を無傷で制圧できるとはな。あっけないものだ」

 

ネオ・ジオン本拠地であるアクシズにて、エンドラ隊からアーガマを無力化し捕虜としたと報告を受けたハマーン・カーンは私室にて上機嫌な様子を見せていた。

 

(エンドラ隊を疑っていたわけではないが、まさかこうも上手くいくとは運が向いてきたようだ。後はこの男を説き伏せれば完璧だな)

 

「エゥーゴはティターンズを撃破したが戦力は枯渇し疲弊している。精鋭のアーガマは我々ネオ・ジオンの捕虜となり、そしてエゥーゴを取り纏める指導者は先の決戦で行方不明となった。組織としては致命傷だな」

「……」

「残された有象無象の人間達では組織を立て直す事はできまい。もうエゥーゴは終わりだ。シャア、貴様もそう思うだろう?」

「……」

 

ハマーンは捕虜として監禁しているエゥーゴの指導者……シャア・アズナブルへ話しかける。

 

「シャア、何度も言っているが貴様はシャア・アズナブル……キャスバル・レム・ダイクンとしてネオ・ジオンを導く義務がある」

「……」

「エゥーゴの指導者など貴様には役不足だ。ジオン・ズム・ダイクンの遺児としてミネバ様と共にネオ・ジオンを、いや、いずれ地球圏のスペースノイドを導く事が貴様の天命なのだ。シャア、いい加減駄々をこねるのはやめて私の手を取れ」

「……チッ」

 

ハマーンの誘いを聞いてシャアは舌打ちし苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。

 

「さあ、私と手を組み、ミネバ様と共にネオ・ジオンを盛り立てていこうではないか」

「冗談ではない」

「相変わらず頑固な男だな」

 

頑なに断るシャアを見てハマーンは溜息をつく。

 

「そんな態度を取っていいのか?貴様の戦友達はネオ・ジオンの捕虜となったのだぞ?貴様がそこまで頑ななら彼らに協力してもらう事になるかもしれん」

「ハマーン、彼等に何をするつもりだ!」

「貴様も知ってるだろうが我々ネオ・ジオンは人手不足で、特にニュータイプの存在は希少だ。そういえばあの少年、カミーユ・ビダンは心神喪失状態で使い物にならないらしいが、部下のグレミーから()()()すべきだと提案があってな」

「貴様ァ……!」

「まあ落ち着けシャア、貴様がネオ・ジオンに戻れば彼を無理矢理使う必要もない。病人として適切な治療を受けさせようではないか」

 

シャアから親の仇のように睨まれるがハマーンは涼しい顔をする。

 

「……………わかった。ハマーン、貴様の提案に乗ろう」

「それはよかった。だがシャア、それが人に物を頼む態度なのか?」

「ッ!……ハマーン、貴様の、君の提案を受け入れる。二人で共にネオ・ジオンを導こう。だから彼らに、カミーユに手を出すのは止めてくれ」

「フ、フフフッ。そうだ、その言葉を待っていたのだシャア!」

 

シャアからネオ・ジオンに協力すると言質を取ったハマーンは花が咲くような笑顔を浮かべるのであった。

 

「ではそのエゥーゴの軍服を脱いでもらおうか。ネオ・ジオン総帥の服を用意してあるからそれに着替えてほしい」

「いつの間に用意していたのだ」

「貴様を確保したと報告を受けて急遽準備させた。それと前線に出る事はないが専用機も用意させよう。MAだが貴様もきっと気に入るだろう」

「そ、そうか」

 

ハマーンの熱意に少し引いたシャアだが一つ聞いておきたい事があった。

 

「ハマーン、一つだけ聞きたい事がある。私のクローンについてだ」

「……ああ、紛い物か」

 

シャアのクローンことフィーリアス・ワンについて尋ねるとハマーンは上機嫌な様子を一転させ苦い顔をする。

 

「あの勝手に造られた不愉快な紛い物がどうした。存在が気に入らないというなら理由を付けて廃棄処分させるが?」

「やめろハマーン、そういうわけではない。彼はニュータイプ兵士のプロトタイプと聞いたが、まさか量産するつもりなのか?」

「そんな事するものか。紛い物は腹立たしいが戦闘能力については優秀だ。だがジオン・ズム・ダイクンの遺児のクローンを量産するなど……政治的に許可できるわけがないだろう。それに貴様のクローンを量産するなど私個人としても絶対に認められるか。信じてくれシャア」

「そうか」

 

ハマーンの言葉を聞いてシャアは少しだけ安心する。

 

「アレを造った女はシャアの事を何もわかっていない!あの女はシャアのMSパイロットの強さだけを見ていてそれ以外には興味がないらしい。フン、馬鹿な女だ」

「……そうだな」

 

(だがハマーン、貴様のように役目を押し付けてこないだけ貴様より遥かにマシだよ)

 

フィーリアス・ワンを造った女科学者を馬鹿にするハマーンをシャアは冷たい目で見るのであった。

 

 

 

「おい聞いたか。エンドラ隊がエゥーゴのアーガマを捕虜にして凱旋するって話!」

「ああ、俺も聞いたよ。しかも深緑の彗星が活躍したおかげで無傷で制圧したんだろう?凄いよなぁ」

 

アクシズで働くネオ・ジオンの兵士達は食堂にて明るい表情を浮かべて雑談をしていた。エンドラ隊がアーガマを制圧したという話は既にアクシズ中に広まっていた。

 

「あの噂本当なのかな?フィーリアス・ワン曹長はあの赤い彗星の弟だって話」

「さあな、でもあの強さは赤い彗星の兄弟だと言われても納得するよ」

 

ちなみに事情を知らない末端の兵士達の間ではフィーリアス曹長はシャア・アズナブルの弟であるという噂が広がっていた。根拠のない噂だがフィーリアス曹長がグリプス戦役で鬼神の如き活躍を見せていたので信じる者も少なからず存在していた。

 

「そういえばお前あの時の決戦で曹長の近くで戦っていたんだろ?どうだったんだ深緑の彗星は?」

「いやあ本当に凄かったぞ!高機動型とはいえ旧式のゲルググであそこまで動けるなんて!敵の攻撃は最小限の動きで避けたうえで、曹長の攻撃は百発百中!ニュータイプの力を特等席で見させてもらったよ。本当に赤い彗星の弟さんなのかもな」

「へぇ、それは羨ましいな」

 

フィーリアス曹長の活躍を間近で見ていた兵士は彼の活躍について熱心に語り、周囲の兵士達は興味深そうに聞いていた。その後戻ってきたエンドラ隊を迎えた兵士達は深緑色のカラーリングをしたガンダムを見て驚愕し、深緑の彗星がガンダムに乗ったと知って喝采を上げるのであった。

 

 

 

「プルプルプルプルプル~♪フィーリアス帰って来るんだ!あの子の事だから大丈夫だとは思ってたけど無事でよかった!」

 

そしてアクシズの研究区域ではとあるニュータイプの少女がフィーリアスの無事を確信し我が事のように喜んでいたのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●ハマーン様

→シャアの厄介ファン。アニメZガンダムを観たらわかるがシャアに対して未練たらたらな恋する乙女であり、ようやくシャアの説得に成功しウッキウキになる。もうちょっとマシな交渉の仕方はなかったのかと思うが、原作アニメを見る限り難しそうである。ちなみにその日は一日中上機嫌であり周囲の人間を困惑させ、ネオ・ジオンの総帥服を着たシャアを見てご満悦な様子を見せていた。

 

 シャアのクローンであるフィーリアス・ワンについては強さは渋々認めているものの「こんなのシャアじゃない!こんなマザコンの甘ったれなどシャアであるものか!」とシャアの厄介ファンとして拒否反応を示しており存在自体が鬱陶しい模様。女研究者については「あ、この女シャアの強さしか見てない。恋愛感情とか一切ないタイプだ」とニュータイプの勘で察したので生かしておく事にした。もし少しでも異性として見ていれば問答無用で処刑していただろう。

 

 

 

●シャア・アズナブル

→グリプス戦役終盤の一大決戦にて自分のクローンに敗北し捕虜となっていた。ネオ・ジオンの捕虜になったアーガマを人質に取られ、カミーユを()()()すると脅されて苦渋の末にハマーンの提案に乗った。逆襲ポイント+50000000000となったので、いずれ逆襲するのは確定事項である。というか逆襲しないシャアなどシャアではない(断言)

 

 自分のクローンについては少し忌避感はあるもののクローン個人に罪はない事は理解していて、女研究者は外道だがハマーンよりはマシだと思っている。機会があれば彼らと一度話してみようと考えているらしい。

 

 

 

●シャアの専用機

→ハマーンの命令によりノイエ・ジールの後継機を急遽製造する事になった。製造現場は「え、この短期間で大型MAを造れと!?」と悲鳴を上げたが組織のトップからの命令なので徹夜で取り組んでいる。

 

 

 

●アクシズの兵士達

→エンドラ隊が無傷でアーガマを捕虜にしたというニュースを聞いてネオ・ジオンの未来は明るいな!と喜ぶ。フィーリアス曹長=赤い彗星の弟という噂が事情を知らない末端の兵士達の間で広まっているようだ。

 

 

 

●とあるニュータイプの少女

→チョコパフェとお風呂が大好きなニュータイプ少女。一体誰ピー・プルなんだ……フィーリアスの事は心が綺麗で可愛い弟だと勝手に思っている。

 

 

 

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)

→今回は出番がない深緑の彗星。グリプス戦役では獅子奮迅の活躍をして知らないうちに兵士達の脳を焼いていた。1.3シャアは伊達ではないのだ。ハマーンについては怖い人だなと少し苦手意識がある模様。一方的に嫌われていたら苦手意識を持つのは当然だろう。一方で誰ピー・プルとは仲がよく、お姉ちゃんってこんな感じなのかな?と考えているようだ。

 

 シャアを知る者達からは「こんなのシャアじゃない」という評価を受けるがそんな事僕に言われても困るんですけど……まあでもお母さんが褒めてくれるから別にいいや!と考えられる心のつえぇ奴である。

 

 

 

●女研究者

→フィーリアス君と同じく今回は出番なし。シャアのファンだが、シャアのMSパイロットの強さだけを見ていてそれ以外は一切興味がないタイプ。恋愛感情?そんなものはない。

 

 フィーリアス君がシャアに似てないと言われたら「は?あの子の強さはオリジナルの赤い彗星に匹敵しますが?いずれオリジナルを超えてくれると私は信じています!え?性格面等について?いやそんな事言われても……というかそれニュータイプ兵士としての評価と関係あります?」と答える心のつえぇ女である。




Gジェネエターナルとまどドラが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。


今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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