アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。そろそろ閑話も終わります。


ジュドーとハマーン

「……」

 

宇宙世紀0091年、新生ジオン公国として独立の準備が進むサイド3のズムシティにある私邸の一部屋にて、ネオ・ジオンの指導者の一人であるハマーン・カーンは渋い表情を浮かべていた。

 

「……」

 

ネオ・ジオンがサイド3に凱旋してからはミネバ王女の後見人の立場をシャア総帥に譲り彼の補佐をしつつ充実した生活を送っていたが、今回地球連邦政府から政略結婚の申し出が来てから難しい顔をして考え込む事が多くなっていた。

 

「……気に入らん。気に入らんが、国の事を考えるなら今回の件は受け入れるしかないか」

 

シャア総帥を一人の女として好いていたハマーンとしては到底受け入れがたいものであったが、政治家としての思考は今回の政略結婚は地球圏の今後を考えるならば喜ぶべきであると判断していた。

 

「そうだ、私はくだらん感情はとっくに捨てた。そうであるはずだ…………チッ!」

 

政治家としての思考と女としての感情がぐちゃぐちゃに入り混じったハマーンは苦々しい表情を浮かべてワインを飲んでいた。普段の彼女からは想像できない姿であり、彼女が大いに動揺しているのがよく分かる光景だった。ハマーンは無意識のうちにプレッシャーを発しており、部屋の外で待機している侍女や護衛達は気圧されつつもハマーンを心配していた。

 

「ハマーン様、大丈夫かな?」

「シャア総帥に政略結婚の話が来てからずっとこうだわ」

「私達に出来る事は何かないかしら?」

「無理よ、私達が立ち入っていい話ではないわ」

 

彼女達は主人であるハマーンを恐れつつも慕っており、ハマーンの悩みがどうすれば晴れるか心配していたが、そんな彼女達の前にとある親衛隊の少年が現れ侍女達は明るい顔を浮かべる。

 

「ジュドー君!来てくれたのね!」

「よかったぁ、貴方ならハマーン様も話を聞いてくれるもの」

「そうね、ジュドー君はハマーン様のお気に入りだし」

 

ハマーンの親衛隊として活動しているジュドーは持ち前の明るい性格で周囲と上手くやっており、侍女達もジュドーに心を許していた。

 

「えっと、ハマーン様は」

「部屋にこもっていらっしゃるわ。ずっと難しい顔をしてて、私達じゃ話し掛けづらいのよ」

「わかりました、俺が入ります」

「ありがとう!よろしくお願いするわね!」

 

侍女達から感謝されつつも部屋の外から感じるハマーンのプレッシャーを浴びたジュドーは思わず気圧されるが、気を取り直してハマーンがいる部屋に入るのであった。

 

 

 

「ハマーン様」

「……ああ、ジュドーか。情けない姿を見せてしまったようだな」

 

恐る恐る部屋に入ったジュドーを見てハマーンは自分の情けない有様を自覚しプレッシャーを抑える。

 

「シャアに様子を探れと言われたのか?」

「え、えーっと……やっぱりわかっちゃいます?」

「フフ、やはりそうか。ジュドーは正直な子だな」

 

あっさりと自白したジュドーにハマーンは苦笑しつつ彼の素直な心を好ましく感じていた。

 

「あの、俺はハマーン様やシャア総帥の事情についてはわかりません。でも何か悩みがあるなら」

「ジュドー、相手の心に踏み入るのは感心しないな」

「す、すみません。でも俺心配なんです。こんな事言うのは凄く無礼だとわかってますけど、このままじゃハマーン様が大変な事になるんじゃないかって。俺が何の役に立てるかわかりませんけどとにかくハマーン様を助けたいんです」

「フン、ニュータイプの勘か?……………まあいい、ジュドーに特別に話してやろう。私とシャアの過去についてな」

 

ジュドーの心配しつつも決意した表情を見たハマーンは溜息をつきつつも自分とシャアの事を話し始めた。プライドの高いハマーンがこうも素直に話すのはジュドーの人徳によるものだろう。

 

 

 

「私とシャアは今でこそ捻じれた関係になっているが、シャアがアクシズに来た当初は特に問題はなかったのだ。当時の私は小娘でシャアの事を慕っていて、シャアも私の事を拒絶する事はなかった」

 

 

 

「なんなら一時的に恋人のような振る舞いをした事もあったよ。私は無邪気に浮かれていたが今思えばシャアは形容し難い表情を浮かべていたな。まあシャアの好みはナタリーのような女で、当時の私のような世間知らずの小娘を鬱陶しいと思うのは当然か」

 

 

 

「ナタリーの事が知りたいだと?……当時の私が姉のように慕っていた女だったよ。あの件さえなければな。ナタリーはシャアと恋人関係になっていたのだ。シャアとナタリーが交際しているのを知った私は裏切られたと思い決別した」

 

 

 

「シャアの恋人となったナタリーはやがて妊娠した。ジオン・ズム・ダイクンの遺児であるシャアの子をだ。だがナタリーが所属していた派閥から裏切り者を粛清する為に暗殺者を差し向けられたのだ」

 

 

 

「私はナタリーへ暗殺者が差し向けられたのを知った。ナタリーが暗殺されるのを止められる立場にいたのだが……私は暗殺者を放置した。ナタリーを見殺しにしたのだ。そしてあの女はお腹の子共と一緒に死に、シャアは暗殺を止めなかった私に激怒した。まあ当然だな。その件が決定打となりシャアと決別し、シャアはその後アクシズから離れた」

 

 

 

「何故そんな事をしたのかだと?自分を裏切った女が死んでも別にいいと思っていたからだよ。あの女は卑劣な裏切り者だと今でも考えているが…………だが、どうしてだろうな。今話している中でナタリーの事を思い返してみれば姉妹のように仲良く過ごしていた記憶ばかり思い出す。何故だ」

 

 

 

「ああ、そうか。私はあの女の事を心から嫌っていたわけではないのか。あの時私は死んでしまえとは思っていたが、本当に死んでしまって後悔があったのか……何を言っているのだ私は。やはり酒を飲むと思考が支離滅裂になるな」

 

 

 

「ん?ハンカチを取り出してどうしたジュドー……私が泣いているだと?馬鹿な、そんな下らない感情はとうの昔に捨てたはずだ………んっ、涙を拭うのが下手だな」

 

 

 

「酒は恐ろしいな。情けない過去をベラベラ喋った挙句、こんな無様な姿を見せてしまうとはな……失望したかジュドー?」

「いえ、そんな事ありませんよ」

 

シャアとの過去を話し終えたハマーンは自分が醜態を晒した事に自嘲していたが、ジュドーは笑う事なく真剣な表情で答える。

 

「俺なんかに話してくれてとても嬉しいです……ハマーン様も色々あったんですね」

「ジュドーだから話したが絶対に口外するなよ」

「そんな事しませんって」

 

ハマーンが落ち着いた事にジュドーはホッとしつつ引き続き彼女の話を聞いていた。

 

「下らない感情など捨てたと思っていたが、私もまだまだ小娘だったのだな。ジュドーに話したおかげで納得できたよ。私とシャアが結ばれるのは不可能だとな」

「えっ」

 

シャアに執着していたハマーンがあっさりと諦めた事にジュドーは驚く。

 

「自分の行いを客観的に振り返ったが……まあ、自分の事ながら擁護できないのがわかったからな」

「……ソンナコトアリマセンヨ」

「目を逸らして言っても説得力がないぞジュドー」

 

目を逸らしながらも言うジュドーを見てハマーンは苦笑する。

 

「シャアに嫁ぐ女は中々いい女のようだ。地球連邦政府も本気で融和を望んでいるようだし、私としても今回の政略結婚はジオンにとって有益な事は理解している。シャアの結婚を祝福するとしよう」

「それがいいと思います。ハマーン様も新しい出会いを探すべきですよ!」

「フン、言うではないか……そうだジュドー、酒を飲み過ぎて眠くなってきたからベッドまで運んでくれないか?」

「じゃあ侍女の人達を「私はジュドーに頼んでいるのだが?」え、あっはい」

 

ハマーンから命令されたジュドーはドギマギしつつも彼女をベッドに運ぶ。

 

「私がここまで心を曝け出したのは二度目だな。一度目はカミーユとの戦いで偶然そうなったが、とにかく不愉快な出来事だった」

「ああ、カミーユさんと……じゃあさっき俺に色々と話した事も気に入らないですか?」

「いや、今回は不思議な事に不愉快ではなかった。これからも話を聞いてくれるか?」

「任せてください!ハマーン様の御役に立てるのなら何だってしますよ!」

「ほう、言ったな?……………逃げられると思うなよ?」

「えっ」

 

その後色々とあったジュドーは日付が変わってから部屋を出る事になり、侍女達は何が起きたかを察してきゃあきゃあと騒いでいた。

 

「ふむ、騎士としては複雑な気持ちだが、ハマーン様はとても幸せそうな表情を浮かべておられる。ハマーン様も心を許せる人が出来たのだな……ハマーン様の傍にはジュドー君という素晴らしい騎士がいるが、私は今後もハマーン様にお仕えするとしよう」

 

そしてハマーンの騎士を自称する青年は複雑な思いを抱きつつも主人と少年を祝福する事にしたのであった。

 

 

 

 

 

「ヨシ!」

「シャア、ガッツポーズするほど嬉しかったのか」

「当たり前だろうアムロ」

 

ちなみに報告を聞いたとある総帥はジュドーが無事上手くいった事を喜び、それを見ていた同志の一人は思わず呆れるのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●ジュドー・アーシタ

→シャア総帥から依頼されハマーン様を慰めた結果大人になった。ジュドーは犠牲になったのだ……ハマーン様を安定させる為の犠牲にな。ハマーン様の過去話を聞いて若さ故の過ちとするにはヤバすぎる内容にドン引きしつつもハマーン様が後悔している事を察して精一杯慰めた。偉い人って大変なんだなぁと思いつつ今後もハマーン様を支えようと決意するのであった。

 

 ちなみに持ち前の明るい性格のおかげでよくモテるが、この世界ではハマーン様一筋になったので他の女の子達は諦めてください。

 

 

 

●ハマーン様

→くだらん感情は捨てたと言うが全然捨てられてない御方。お気に入りのジュドーに自分の過去を話したりした結果自分を客観的に見る事になり「あ、シャアと結ばれるなんて無理だわ」と自覚する。

 

 ジュドーへの印象はお気に入りの少年→優しくて頼りになる男になった。もうジュドーは逃げられないのだ。

 

 

 

●ナタリー

→ハマーン様が昔姉のように慕っていた女性。シャアと交際して妊娠していたが暗殺された。ハマーン様はナタリーが死んでせいせいしたと思っていたが、過去を振り返った結果少し後悔した模様。

 

 でもダイクンの遺児の子供を妊娠したとか確実に火種になるだろうし、仮にハマーン様が止めていても別の機会に暗殺者を送られて殺されていたと思われる。

 

 

 

●侍女達

→ハマーン様に仕えている女性達。主人であるハマーン様の事は怖いが慕っている。ジュドーが大人になったのを察してきゃあきゃあ騒ぎ祝福した。

 

 

 

●マシュマー・セロ

→ハマーン様の騎士。「複雑な気分だなぁ、けどハマーン様が幸せそうにされているからヨシ!」と自分の事のように喜び祝福した騎士の鑑にして人間の鑑である。その後もハマーン様の傍で忠実な騎士として仕える事を決意したのであった。

 

 

 

●シャア・アズナブル

→ジュドーに依頼した結果、自分の予想以上に上手くいった事を報告されてガッツポーズを取る。「流石ジュドー君だ!ハマーンの事をよろしく頼んだぞ!」と呑気に喜んでいた。

 

 ちなみにミネバ王女も報告を聞いて「ハマーンとジュドーが付き合いだした。私はとても嬉しい」と無邪気に喜び祝福していた模様。

 

 

 

●ジュドーの周りにいる女の子達

→(勝ち目も出番も)ないです。仮にジュドーに粉をかけようにもハマーン様が許すわけないので諦めてください。




Gジェネエターナルが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。



現在別のWARHAMMER二次小説も書いたりしておりますが、今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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