アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。前後編の後編になります。


カイ・シデンのレポート~火星の現状・後編~

『我々は真の地球連邦軍である!腐敗した地球連邦政府を見限り正義の為に立ち上がった!我々は地球連邦政府の決定を絶対に認めない!政府はジオンの独立を容認していたが、それは一年戦争で死んでいった戦友達を侮辱しているからだ!我々は卑劣なジオンと堕落した地球連邦に徹底抗戦する!』

 

 

 

『我等火星独立ジオン軍はキシリア様の御意思を受け継ぎ戦っている!この火星に新たなジオン公国を建国し、火星を地球連邦の支配から解放する為に我等は戦い続けるのだ!ジーク・ジオンッ!』

 

 

 

『私達レジオンは選ばれし新人類である!ジオン・ズム・ダイクンが提唱した新人類……ニュータイプである私達だけが火星を解放し理想郷に生まれ変わらせる事が出来るのだ!入植者達よ、オールドタイプ達よ、私達を恐れる必要はない!アリシア・ザビ様をどうか信じてほしい!』

 

 

 

「これはひどい。好き勝手な事を言っているが火星の入植者達にとっては全部傍迷惑なテロ組織でしかないだろうに」

「まあそうだわな、火星人共からしたら知った事じゃねえってのは俺達もわかってるぜ」

 

ティターンズやエゥーゴに所属していた元軍人達が集う酒場にて、モニターから流れる各組織の演説を眺めていたカイ・シデンは冷めた表情を浮かべて彼等の事を酷評していた。カイの隣で酒を飲んでいた元ティターンズの中年男性……ベルナルド・モンシア元中尉はカイの言葉を肯定する。

 

「わかっているなら何故抵抗を続けるんですか。しかも火星の入植者達を虐げながら戦い続けるなんて……地球圏でやればいいだろうに」

「ジオン残党共の真似事さ。地球連邦政府が火星に手を出す余裕がない事はアンタもわかってるだろ?俺達は力を蓄えて、いずれ時が来れば決起し地球圏に帰還する……ってのが俺達や上層部の考えだ」

「そんな無茶な、夢物語だ」

「そうかい?暗礁宙域に引き籠っていたネオ・ジオンの奴等は上手くやってみせたじゃねえか。ジオン共にできて俺達ができないわけがねえだろう?」

 

モンシア元中尉の言葉を聞いたカイは夢物語だと断じるが、モンシア元中尉と酒場にいた元軍人達は自分達ならできると信じているようであった。

 

「ネオ・ジオンの勝利は彼等の努力の結果でもあるが様々な幸運があった事が大きい。ティターンズとエゥーゴが争った結果地球圏は疲弊しネオ・ジオンはその隙を突いた……同じような幸運が何度もあるとは」

「んな事はわかってる、可能性は限りなく低いってのはな。でも可能性は0じゃねえんだ、その時が来るまで俺達は耐え忍ぶさ。ここにいるのは他に行く宛てもない死にぞこないばかりだ。ジオンの独立を認めたクソッたれな連邦政府に従うつもりはねえよ」

 

モンシア元中尉達は真剣な表情を浮かべておりカイは彼等が最後まで徹底抗戦するつもりである事を理解する。

 

「アンタだって正直認められねえだろ?一年戦争の戦いを無意味にした政府の決定を。あんなあっさりジオン共の独立を認めるなんてよ……あの戦いは一体何だったんだ!?政府の連中はジオンがスペースノイドを虐殺してコロニーを地球に落とした事をもう忘れちまったのか!?」

「それは」

「こんな状況になった理由はわかってる。俺達ティターンズとエゥーゴが殴り合っていたのをネオ・ジオン共が漁夫の利を得たってな……でも認めねぇ、こんな結末認められねぇ!俺達は第三者であるクソジオン共に勝利をお膳立てしていたなんて納得できるかよ!」

「……だから貴方達は戦い続けると?」

 

カイの問いかけにモンシア元中尉や周囲の元軍人達は揃って頷く。

 

「ああそうだ、政府の決定を認められないのは俺達以外にも大勢いる。そいつ等の助けもあって俺達は火星で戦い続けられるんだ」

「なるほど地球圏の協力者ですか。地球圏の宇宙海賊や貴方達が物資を気にせず戦い続けられるくらいには潤沢な支援があるようだ」

「それだけ認められねえ奴等が多いんだよ。物資を横流ししたり、俺達の活動を黙認する人間は地球圏に幾らでもいるんだぜ。まあアンタは部外者だからこれ以上は話せねえけどな」

「それはわかってますよ」

 

地球圏でも少なくない数の人間が地球連邦政府に反発している事をカイは悟る。

 

(これでは火星の安定化は難しいだろうな。地球圏から支援がある内は目の前の彼等も抵抗を続けるだろう)

 

少し考え込んでいたカイは、ふと火星のジオン残党達はどうなっているのか気になりモンシア元中尉に尋ねる事にした。

 

「そういえば火星のジオン残党達はどうなっているのですか?」

「おっ、アンタも気になるのかい」

「自分としては彼等に直接インタビューしてみたいですがね」

「やめとけやめとけ!あのホワイトベースにいた有名人のアンタが行ったら袋叩きにされて吊るされちまうよ。火星のジオン共は血の気が多いからな……俺等でわかる範囲で教えてやるよ」

「ええ、ありがとうございます」

 

そうしてカイはモンシア元中尉達から火星のジオン残党について教えてもらうのであった。

 

 

 

「まずはジオンマーズだな。キシリア派の連中が一年戦争後に火星に渡ってたらしい。奴等は俺達火星の残党達の中では一番の古株だな」

「勢力も一番数が多いと聞いてますが」

「おう、数も多いが質もそこそこある。だが最近になってレジオンや俺達に押されている。いずれ奴等は壊滅するだろうぜ」

 

その後も火星独立ジオン軍ことジオンマーズについて色々と聞いていたカイは一番に気になっていた事を尋ねる事にした。

 

「彼等はキシリア・ザビの遺児を擁立しているようですが本当なのですか?」

「一応連中はそう主張しているな。俺等が調査した結果正体はキシリア・ザビのクローンらしいけどよ」

「えっ」

 

ジオンマーズが擁立しているキシリア・ザビの遺児について尋ねたカイはモンシア元中尉の言葉に困惑する。

 

「なに驚いてんだよ。ジオンのクソ共がクローン兵士を造っていた事はアンタだって知ってるだろうに」

「い、いやしかし、組織の象徴をクローンとして製造するとは」

「ネオ・ジオンだって同じような事やってるだろうが。深緑の彗星はあの赤い糞野郎のクローンらしいじゃねえか。ジオンマーズ共がザビ家のクローンを造っても別におかしくはねえだろ?」

「そ、そうですか?……そうかもしれませんね」

 

モンシア元中尉の言葉にカイは反論できず沈黙する。

 

「まあジオンマーズ共はどうでもいい。問題はレジオンだ。ギレン派の残党共だが最近奴等はカルト化して厄介な事になってやがる」

「カルト化、ですか?」

「ああ、アンタもさっきの演説聞いてただろ?レジオンの連中は自分達を新人類と自称してカルト教団化してやがる。数は一番少ないがジオンマーズより遥かに厄介だ……奴等はニュータイプ兵士を量産してやがる」

 

モンシア元中尉が取り出した写真を見たカイは、写真に写っている少女の正体を察する。

 

「これは……まさか、プルシリーズ?」

「お、アンタも知ってたか。流石敏腕ジャーナリスト様だぜ……レジオンのトップであるアリシア・ザビってお嬢ちゃんはプルシリーズによく似てやがんだ。まあ何らかの関係はあるだろうよ。んで自分のクローンを製造して侍らせてるらしい」

「自分のクローンを侍らせるって、滅茶苦茶だな」

「おう、テロリストの俺達が言うのも何だが、クローン侍らせたフェミニストのお嬢ちゃんが指導者とかイカレてるよなぁ」

 

レジオンの内情を知ったカイは内心引いており、モンシア元中尉がレジオンをカルト集団と断言するのも無理はないと納得する。

 

「でも性質が悪い事にお嬢ちゃん共はジオンマーズより強い。プルシリーズといったニュータイプ兵士を量産して対抗してきて厄介極まりないぜ……それにレジオンにはソロモンの亡霊がいやがるんだ」

「え、ソロモンの亡霊?」

「ああ、アンタも知ってるだろ?一年戦争のソロモンで「ラ、ラ」という声が聞こえたら殺されるって話をよ。その声が火星でも聴こえるようになりやがった。俺達やジオンマーズもソロモンの亡霊に手を焼いてんだよ」

「ラ、ラ……空港で聴こえたあの声は幻聴じゃなかったのか。しかし、ソロモンの亡霊は、ララァ・スンは一年戦争で戦死していたはずだ」

 

ソロモンの亡霊がいると聞いたカイは彼女が既に戦死している事を指摘するが、モンシア元中尉はその指摘を聞いても鼻で笑っていた。

 

「へっ、別に本人だとは俺達も思ってないぜ。どう考えてもレジオンがソロモンの亡霊のクローンを造ったんだろうよ。自分のクローン侍らせてるフェミニストのお嬢ちゃんが躊躇すると思うか?」

「……」

 

カイはモンシア元中尉の言葉を否定できず沈黙するのであった。

 

 

 

「……まっ、火星のジオン残党についてはこんな所だな。アンタもとりあえず満足したかい?」

「ええ、感謝しますよ」

 

その後も色々と情報を聞いたカイはモンシア元中尉に感謝していた。

 

「おう、それはよかったぜ。じゃあお代としてちょっと伝言を伝えてくれねえか?地球連邦軍に残ったアデルに俺は元気にやってるって伝えておいてくれ」

「別に構いませんよ。それくらいお安い御用です。他の方達も伝言を伝えたい方はいますか?」

 

伝言を頼まれたカイは周囲の元軍人達を見回し伝言がないか尋ねる事にした。

 

「おお、じゃあお願いするよ。地球圏に残した妻にメッセージを……」

「自分もお願いします。火星で朽ち果てる覚悟はしていますが、家族にメッセージを送れるならお願いしたいです」

「俺はカムナの兄貴に伝言を頼みやす。兄貴達エゥーゴに投降してたけど、そのエゥーゴは壊滅しちまったし心配なんですよ……まあ兄貴達なら上手くやってるとは思うけど」

 

元軍人達から色々と伝言を頼まれたカイは次々と来る依頼に対処する事になる。そして最終的にビデオメッセージ等を録音したカイは元軍人達と別れて地球へと帰還する事にしたのであった。

 

 

 

 

 

「……色々と取材をして確信した。火星を安定させるには地球圏から精鋭を送り込むしかないな。だが今の地球連邦軍では火星の武装組織達の対処は難しいだろう……新生ジオン公国しかないか。ダメ元でシャア総帥に直訴してみるか?」

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●カイ・シデン

→モンシア達元軍人達の気持ちはわからなくもないが、火星で暴れたらダメだろと思っている。地球圏に帰還後は調査結果をシャア総帥達に見せて火星の安定化を訴える。

 

 

 

●ベルナルド・モンシア

→自分達ティターンズとエゥーゴを出し抜いて独立を果たしたジオンと、一年戦争の結果を否定した地球連邦政府を認められず火星で徹底抗戦する事にした。ジオン残党、特にレジオンの異常性に引きつつ、火星人共からすれば元地球連邦軍人である自分達も消えてほしいだろうなぁと理解している。しているが抵抗を止めるつもりはない模様。

 

 火星で元気にやってる事を知った元同僚のアデルは、モンシア元中尉が元気にしている事を喜びつつもテロ活動については渋い顔をしていた。

 

 

 

●元軍人達

→自称真の地球連邦軍であり、いずれ来るだろう再起の時まで耐え忍ぶ事にした元ティターンズや元エゥーゴの軍人達。地球圏では彼等に同情する者がそこそこおり補給については問題ない。ちなみに火星にいる構成メンバーは最低でも20代からであり、10代の若者達は地球圏に置いてくるだけの理性はある。

 

 とある黒人パイロットは袂を分かつ事になった兄貴達について投降先のエゥーゴが壊滅してたけど大丈夫だろうかと心配しているようだ。

 

 

 

●ジオンマーズ

→火星のテロ組織としては最大勢力。キシリア・ザビの遺児を擁立しているが、遺児はキシリア・ザビに瓜二つでありクローンだと推測されている。最近は他の2つの組織に押されているようだ。

 

 

 

●レジオン

→ギレン派のジオン残党だが現在はカルト化している。ニュータイプ兵士を量産しジオンマーズやモンシア達に対抗している。え?ニュータイプ兵士はスペシャルじゃないのかって?それは新生ジオン公国のシャア総帥が勝手に言っているだけだから!私達は今後もニュータイプと呼ぶから!

 

 組織の指導者はアリシア・ザビであり自分のクローンを侍らせているが、最近褐色美少女の事を寵愛しているようだ。

 

 

 

●ソロモンの亡霊(仮)

→一体誰ラァ・スンのクローンなんだ……何処か達観した性格でオリジナルに匹敵する戦闘能力を持ちジオンマーズや元地球連邦軍兵士達に無双しており、「ソロモンの亡霊の再来」と恐れられているが、彼女曰く「彼に比べれば全然大した事じゃないわ」と謙遜している。アリシア・ザビから寵愛されており、親衛隊からは「お姉様」と慕われているとか。

 

 

 

 なおカイから報告を聞いたシャア総帥は無表情になった模様。




前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。



現在別のWARHAMMER二次小説も書いたりしておりますが、今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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