アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。


火星遠征に向けて ~地球連邦~

―ここで速報です。地球連邦政府は火星の治安維持活動として連邦軍艦隊を火星へ派遣する事を正式に決定したと情報が入りました。連邦政府は声明にて……―

 

「火星への軍の派遣か、地球圏は平和だけど向こうは酷い状況らしいし、これで火星の人達が助かればいいけどな」

 

地球連邦政府が火星への艦隊派遣を行うという情報は瞬時に地球圏に拡散された。買い出しの帰り道で携帯端末からニュース速報を眺めていたハサウェイ・ノアはこれで火星が落ち着いてほしいなとぼんやりと考えていた。

 

「ふーん、地球連邦軍の精鋭が火星に行くのね。たしか特殊部隊の名前は……エコーズ、だったっけ?」

「うん、父さんが言うには各地に潜伏するテロリストの掃討を目的として創設された部隊らしいけど」

「テロリスト、かあ」

 

ハサウェイの端末を覗き込んでいた新米ジャーナリストのキッカ・コバヤシはテロリストの掃討を目的とするエコーズについて難しい表情を浮かべる。ちなみにキッカの顔がすぐそばまで迫ったハサウェイはいい匂いがするなぁと少しドギマギしていた。

 

「どうしたのキッカさん?」

「いえ、そのね。そのテロリストってエゥーゴやカラバの人達も対象なんでしょう?戦争が終わっても抵抗を続けるのはよくないし、他人に迷惑をかけるのは論外だけど……テロリストとなった彼等の気持ちも少しだけわかるのよ。父さんやカツ兄さんの戦いは一体なんだったのって」

「ああ……」

 

キッカの言葉にハサウェイは理解を示す。地球圏の人間、特にグリプス戦役で戦っていたティターンズとエゥーゴやその関係者達の多くは第三者であるネオ・ジオンに出し抜かれたグリプス戦役の結果を受け入れられずにいたのだ。

 

「でも平和になったのはいい事だわ。カツ兄さんの件は残念だけどブライトさんはレストランを開いたし父さんも博物館の館長に復職できた。監視が鬱陶しいけど命があるだけ幸せなのでしょうね。私も新米ジャーナリストとして頑張らないと」

「うん、それがいいと思う。キッカさんはこの後父さんへ取材するんでしょ?時間があれば一年戦争の時の話を聞かせてほしいな」

「あら、それは別にいいけど一年戦争の話ならブライトさんから聞いた方がいいんじゃない?あの時の私って幼児だから大した話はできないわ。精々ジャブローでMSに仕掛けられた時限爆弾を発見して回収したりしたくらいよ?」

「いやそれは十分スゴイ内容じゃないかな……?」

 

ハサウェイとキッカはその後も楽し気に雑談しており平穏な日常を送るのであった。そしてその後二人はいい関係となり周囲から祝福されたりするのであったが、それはまた別の話である。

 

「それはそれとして、ブライトさんの料理の腕は上がったのかしら?」

「え、うーーーん……まあ、前よりはマシになったかな?」

「ブライトさんって料理の腕は微妙なのよね。知名度のお陰でレストランは繁盛してるけど、このままだと閑古鳥が鳴く事になるかもしれないわよ?」

「ア、アハハ。父さんも日々練習してるし、そんな事にはならないと思いたいな」

 

 

 

 

「クェス、心配したんだぞ!わざわざインドまで行くなんて何を考えているんだ!テロリストに誘拐されたのかと思ったじゃないか!」

「パパは五月蠅いなぁ、別に大丈夫だったよ」

 

父親のアデナウアー・パラヤ参謀次長から叱責されているクェス・パラヤは不満気な表情を浮かべていた。思春期の気難しい少女であるクェスは父親に反発してインドまで家出していたが、偶々夫婦で旅行していた元カラバの指導者に見つかり父親の元へ送り返されていたのであった。

 

「ジオン残党がいなくなった事で地球の治安は改善傾向にあるが元エゥーゴやカラバの連中がテロリストとして各地に潜伏しているんだ。政府高官の娘であるお前はテロリストにとって格好の獲物なんだぞ!もしテロリストに拉致されたらどんな目に遭うか考えなかったのか!?」

「あー、うん、ごめんなさいパパ」

「やっとわかってくれたか!いいかいクェス、私がこんな話をしてるのはお前の事を心配しているからであってな……」

 

父親が自分の事を心配しているのを察したクェスはよく考えれば軽率だったと思い直し謝罪する。娘が謝罪した事で少しだけ落ち着いたアデナウアーだが引き続き説教を続けてクェスをウンザリさせるのであった。

 

「あ、それとパパ。私ニュータイプの素質があるみたいでニュータイプ研究所の人からスカウトされそうになったんだ。断って逃げたけど」

「なんだと!?……なんて幸運だ、もし付いて行けばテロリストに拉致されるより悲惨な事になっていただろうな」

「えっ、ニュータイプ研究所っていい噂を聞かないけどそんなに酷いの?」

「ああ、私は政府高官として奴等の所業をある程度知っているよ。私でも目を背けたくなるおぞましい人の業をな。もしクェスが奴等に拉致されていたらと思うとゾッとする……クェス、これからはお前の要求に出来る限り応えるから二度と家出なんてしないでくれ」

「う、うんわかったパパ」

 

 

 

「やれやれ、火星への出張とはな。反地球連邦運動を取り締まるのが我々の仕事だが、あんな僻地まで行く羽目になるとは」

 

地球連邦軍の精鋭特殊部隊であるエコーズ、その指揮官の一人であるダグザ・マックール大佐は火星という僻地に行く事へ少しだけ辟易していたが、地球連邦軍人として手を抜くつもりは一切なくテロリスト達を容赦なく鎮圧するつもりであった。

 

「ムラサメ研究所から派遣された強化人間の調子はどうだ?」

「ニュー少尉は絶好調ですよ。研究所の連中は既にオリジナルの白い悪魔を超えていると太鼓判を押していました」

「そうか、大した自信だな。だがニュー少尉の実力は凄まじい。本当にオリジナルを超えているかもしれん。宇宙海賊の掃討では多大な戦果を上げているし味方としては実に頼もしい存在だ」

 

ダグザ大佐は白い悪魔ことアムロ・レイのクローンであるニュー・ムラサメ少尉の実力を評価しつつ、敵となる火星のテロリスト達を警戒していた。

 

(だが火星のテロリスト達の一部はスペシャル達を量産しているようだし一筋縄ではいかないだろう。しかしどこもかしこもクローンだらけだ、地球連邦では白い悪魔のクローン、新生ジオン公国では赤い彗星のクローン、そして火星にはソロモンの亡霊のクローンか)

 

「新生ジオン公国も精鋭部隊を派遣する事を決定した。それも深緑の彗星や白い悪魔が参加しているというし火星のテロリスト達も終わりだな」

「まさかレイ大尉がジオンに行くとは」

「……無理もない。地球連邦政府に警戒され軟禁状態となり、グリプス戦役でエゥーゴに所属したら最終的にエゥーゴの上層部に生贄としてネオ・ジオンに差し出された。連邦を見限るのも当然だ」

 

ダグザ大佐はアムロに同情していた。サイド7で戦闘に巻き込まれ生き残る為に戦い続けた結果戦後軟禁され、グリプス戦役ではエゥーゴ上層部に切り捨てられたのを知る大佐はアムロが連邦を見限るのは当然だと理解していた。

 

「アムロ・レイだけではない。グリプス戦役で地球連邦が失った物はあまりにも大きい……今回の火星遠征が上手くいくよう最善を尽くすとしよう」

 

ダグザ大佐達は地球連邦軍人として最善を尽くす事を誓うのであった。

 

 

 

 

 

「地球圏の同志達から連絡があった。連邦政府と新生ジオン共は精鋭部隊を派遣するようだ」

「おーおー、まさか地球連邦が誇る白い悪魔のクローンとはねぇ。ジオンの真似事とは情けない話だなオイ。しかも新生ジオンは深緑の彗星が参加するのが予想されてるのか……これは中々キツいぜ。まともに戦いたくはねぇな」

 

「ウチの上層部も同じ考えだ。連中が火星に来ている間は潜伏する事が決定した。火星から戦力を順次移動させる事になった……我々はいずれ腐敗した地球連邦を改革する事を目指しているが、それは今ではない。今はまだ動く時ではないのだ」

「嵐が通り過ぎるのを待つってわけかい。まあそれが一番だわな。連中だっていつまでも火星に戦力を派遣し続ける事なんてできねえだろうしよ」

 

「ああ、我々の希望であるTR-6ならばスペシャル達にも対抗できるだろうが、余計な消耗をするなど愚か者のやる事だ。ジオンマーズやレジオン共は我々が尻尾を巻いて逃げたと嘲笑うだろうが好きに言わせておけばいい。モンシア中尉も理解しているな?」

「おうよ、最終的に勝てばいいんだから馬鹿正直に戦うなんてしないぜ」

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●ハサウェイ・ノア

→この世界では逆シャアが起きないのでマフティーには決してならず閃光にもならない。予備役となってレストランを開いた父親の手伝いをしている。年上で金髪美少女な新米ジャーナリストと仲がいいようだ。え、クェス?誰ですかそれ?

 

 父親の事は尊敬しているが料理の腕は微妙だと思っている。ハサウェイはこのまま平穏に過ごしていずれ結婚して家庭を持ち、父親に孫を見せて喜ばせるだろう。

 

 

 

●キッカ・コバヤシ

→カツ、レツ、キッカの三人組の一人。今は新米ジャーナリストとして頑張っている。カツ兄さんの件は残念だが父親が無事帰って来てくれてホッとした。ハサウェイの事が気になるようだ。ハサウェイは魔性の少年だからね、仕方ないね。

 

 

 

●ブライト

→もう軍人生活はコリゴリなので妻の実家の力を借りて予備役となり、その後は念願のレストランを開いた。当初は料理の腕は微妙だったが研鑽した結果100点中45点程までに上達した。アムロのクローンであるニュー少尉の事は把握しているが、もう自分には関係のない事だと考えないようにした。

 

 この世界では息子が究極の親不孝をする事なく孫を見せてくれる事が決まっているためハッピーエンドである。

 

 

 

●ハヤト

→解放された後戦争博物館の館長に復職。政府からの監視はあるがこの程度で済んでよかったと思っており不満はない。妻と久々に旅行したらとある家出少女と遭遇し、あまりの無鉄砲ぶりに宇宙猫となった後叱り飛ばした。その後家出少女の父親からとても感謝された模様。

 

 

 

●アデナウアー・パラヤ

→逆シャアが起きないので宇宙に上がる事もなく政府官僚として仕事に励んでいる。娘とはギクシャクしていたが娘が後一歩でニュータイプ研究所のモルモットになっていたかもしれないとわかって大いに動揺し、これからは娘の要求に出来る限り応えるようにしたのであった。

 

 

 

●クェス・パラヤ

→行動力の化身で電波系美少女。父親に反発していたが自分の事を心配してくれているのを察してある程度落ち着く。その後成長して精神的に余裕ができたが、ニュータイプ研究所の所業を知ってドン引きし無事に家に帰れた自分が幸運だった事を理解したようだ。ハサウェイ?誰それ?

 

 

 

●ダグザ・マックール大佐

→特殊部隊エコーズの指揮官として火星に派遣される事になった。ニュー少尉の実力は評価しつつも、クローン兵士が活躍している今の現状に軍人としては受け入れているが、個人としてはおかしいだろうと何とも言えない気持ちを抱いている。

 

 

 

●エコーズ

→ロンド・ベル?そんな物ウチにはないよ……この世界の地球圏は比較的安定しており、そしてエゥーゴやカラバに所属していた人間は退役するかテロリストになっているのでロンド・ベルは結成されてないのだ。そしてロンド・ベルの代わりとしてエコーズが結成された。

 

 苛烈な手段を取る事も厭わず民衆からマンハンターと恐れられつつも、地球連邦軍の精鋭という誇りを持って職務に励んでいる。

 

 

 

●火星の元軍人達

→自称真の地球連邦軍。地球圏からヤベー奴等が送られると同志から報告を受けて「じゃあ暫く隠れるか……」と判断する。深緑の彗星の活躍を実際に見た元ティターンズ兵も多く、上層部の判断を批判する者は少なかった。少し前からTR計画の集大成が完成し少数だが量産されつつある。

 

 ちなみにジオンマーズやレジオンは地球圏からの刺客については数も少ないし大した事ないだろ!とそこまで警戒していない模様。実際に戦ってないから慢心するのも仕方ないね。

 

 

 

●モンシア(元)中尉

→TR計画の集大成である機体を受領し「うおスゲエな、グリプス戦役でこの機体があればエゥーゴとネオ・ジオンなんて瞬殺できただろうになぁ」と感心しつつも慢心せず潜伏する事を受け入れた。

 

 TR計画の集大成は驚異的な性能であり地球圏の新型MSにも余裕で対抗できる代物である。




前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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