【】はテレパシーで会話している設定です。
「まさか私が遠征隊の指揮官に選ばれるとは。新生ジオン公国の代表として今回の遠征は決して失敗する事はできないし全力を尽くさねばならない」
サイド3から出発した火星遠征隊の指揮官に任命されたグレミー・トト特務大佐は旗艦となるリベルタスにて今回の遠征は絶対に成功させなければならないと気合を入れていた。
「こちらには超一流のスペシャル達である白い悪魔と深緑の彗星がいる。それに友軍となる地球連邦軍のエコーズは白い悪魔のクローンが参加しているようだし負ける気がしないが……油断大敵だ」
白い悪魔ことアムロ・レイ、深緑の彗星のフィーリアス・アズナブルが参加している事は非常に心強いものがあったがグレミーは油断する事なく火星の残党達に挑もうと決意する。
「火星の残党達は油断ならない相手だ。特にレジオンはあのソロモンの亡霊のクローンを製造しているし、万が一の場合がある」
傍から見れば臆病にも見えるがグレミーは真剣だった。なにせ超一流のニュータイプ、いやスペシャル達の凄まじい戦闘能力を実際に何度も見てきたグレミーは敵を侮る事をせず万全を期して対応しようとしていた。
「いざとなればリベルタスが沈むかもしれん。そんな事態が起きなければいいが……しかしこの船とは長い付き合いになったものだ」
かつてエゥーゴの旗艦であったアーガマは、今では新生ジオン公国所属の強襲巡洋艦リベルタスとして活躍していた。第二次ジオン独立紛争でリベルタスを任され、その後も様々な作戦で使用し続けたグレミーはリベルタスに愛着が湧いた事を自覚する。
「今回参加するエコーズの最新鋭艦ラー・カイラムには劣るかもしれないが、リベルタスはいい船だ。今後も新生ジオン公国を支えてくれるだろう。少なくとも後30年は現役かもしれないな」
「グレミー様、間もなく連邦軍との合流地点に到着します」
「もうそんな時間か。わかった、ラー・カイラムに通信を繋げろ」
友軍となる地球連邦軍特殊部隊エコーズとの合流地点に到達した事を報告されたグレミーは気持ちを切り替える事にしたのであった……ちなみにリベルタスはその後も新生ジオン公国の船として運用され、退役する事になるのは半世紀以上先になるのであるがそれはまた別の話である。
「……エゥーゴのアーガマがジオンの船として運用されているのを実際に見るのは不思議な気分だ。そしてジオン公国と共同作戦をする事になるとはな」
エコーズの旗艦であるラー・カイラム、その艦長であるオットー・ミタス大佐は、アーガマが新生ジオン公国のリベルタスとして運用されている事と、新生ジオン公国と共同作戦を行う事に対して何とも言えない気持ちを抱いていた。
「しかしアーガマ、いやリベルタスか。あの船をわざわざ持ち出したのは残党達への挑発の為か?」
「恐らくそうなのでしょう。エゥーゴの旗艦がジオンに使われているのはエゥーゴの残党達にとってこれ以上ない程の屈辱でしょうね……まあそれとは別に鹵獲した船を使い続ける程新生ジオン公国も余裕がないのは確かです」
オットー艦長の疑問に副長であるレイアム・ボーリンネア中佐が答える。
「新生ジオン公国ではシャア・アズナブル総帥が乗る総旗艦のレウルーラや新型のムサカ級軽巡洋艦が建造されたようですが、数は非常に少ないと聞いています。一年戦争で使われたムサイ級やザンジバル級が未だ現役のようですし新生ジオン公国の台所事情は厳しいようですね」
「そうだな、新生ジオン公国も所詮地球圏にある複数あるサイドの一つでしかないからなあ」
レイアム副長の言葉にオットー艦長は同意する。新生ジオン公国は地球圏の各サイド達の中では裕福ではあったが、地球連邦に比べれば貧弱な経済規模なのは事実であった。
「だが彼等は味方としては非常に頼もしい存在だ。白い悪魔に深緑の彗星が味方になるとは心強い。そして我々には白い悪魔の再来ことニュー少尉がいるし、火星の残党達など恐れるに足らずだな……彼等に任せておけば何とかなりそうだし私がいる必要ないのでは?」
「艦長、今の発言は船を預かる立場として問題ですよ」
「す、すまん」
レイアム副長から注意されたオットー艦長は失言した事を謝罪するのであった。
「そ、そういえばニュー少尉の調子はどうなのだ?我々の切り札となる彼の様子が気になってな」
「問題ありません、同伴者であるムラサメ研究所の主任によれば絶好調だという事です」
「俺に、スペシャルの素質があると……!?」
「はい、貴方も僕と同じだ」
「あーそうだね、ニュー君の言う通りだよ。リディ少尉には特別な才能があるみたい」
一方ラー・カイラムのデッキではMSパイロットの一人であるリディ・マーセナス少尉が自分にニュータイプことスペシャルの素質があると言われ大いに動揺していた。
「そ、それは本当なのですか?」
「ええ、僕が保証します。それとリディ少尉、僕は貴方と同じ階級なのだし敬語は必要ないですよ」
「えっ?あ、ああ……君がそう言うのなら普通に話すけど、いいのかい?」
「僕は気にしませんよ」
タメ口で構わないと言われ戸惑いつつもリディ少尉は落ち着きを取り戻す。
「でも俺がスペシャルだなんて、模擬戦ではニュー少尉に全く歯が立たなかったというのに」
「それは仕方ないですよ、リディ少尉はまだ本格的に覚醒してませんからね。まあでも仮に覚醒しても戦闘用クローンである僕に勝つのは無理ですけどね」
「ニュー君、自分の秘密をベラベラ喋るのはマズいと思うよ?」
「大丈夫だよ姉さん。僕の秘密なんてエコーズの人達は皆知っているし今更だよ」
「いやそうだけどさぁ」
「……あの、君は自分がクローンである事を気にしてないのかい?」
呑気な様子で自分の出自を話すニュー少尉にリディ少尉は少し躊躇いつつも質問する。戦う為に造られたクローン兵士である事実をあっさりと受け入れているニュー少尉に困惑していたのだ。
「別に気にしてませんよ。戦闘用クローン兵士なんて僕以外にも大勢いますからね。ジオンでも深緑の彗星やプルシリーズ、そして火星にいるソロモンの亡霊のクローンがいますし地球圏ではよくある話じゃないですか」
「そ、そうかな?……………そうかもしれない、のか?」
あっけらかんとした表情を浮かべるニュー少尉の言葉を聞いてリディ少尉は自分がおかしいのかもしれないと思わず考えてしまう。だが考えても埒が明かないのでリディ少尉は切り替える事にした。
「そ、それはともかく。もうすぐ新生ジオン公国が派遣した精鋭部隊と合流するけど、向こうには深緑の彗星がいるらしいね。ニュー少尉なら深緑の彗星にも勝てると俺は信じてるよ」
「ありがとうございます。僕も赤い彗星のクローンには負けるつもりはありませんよ。新しく受領した新型ガンダムならどんな敵が出てきても勝てますからね……ん?」
雑談をしていたニュー少尉はふと虚空を見回し始める。
「ニュー少尉?」
「……ふぅん、向こうから接触してきたみたいだ。姉さん、リディ少尉、一緒に行こうか」
「あ、ちょっとニュー君勝手な事は」
「ニュー少尉一体何を……!?」
ニュー少尉は姉役のムラサメ中尉とリディ少尉を連れてとある相手の招待に応じる事にした。そして……
【やあこんにちは、君がアルバス大尉のクローンだね?既に知っているだろうが自己紹介させてもらおう。私はフィーリアス・ワン。君と同じく戦闘用クローン兵士だ、仲良くしようじゃないか】
【フィーリアス少尉、勝手な真似はするな。独断専行するのは少尉の悪い癖だぞ。俺も無理矢理参加させるなんて……しかし自分のクローンが目の前にいるのは不思議な感じだ。シャアの気持ちが少しだけわかったかもしれない】
三人が訪れた不思議な空間では赤い彗星のクローンであるフィーリアス少尉が呑気な様子で自己紹介を行っており、隣にいるアルバス・フィーンド大尉ことアムロ・レイは自分のクローンを見て形容し難い表情を浮かべていた。
【はじめましてフィーリアス少尉。僕はニュー・ムラサメと言います。オリジナルもここにいるとは奇遇ですね!】
【うわあ、向こうから招待されるとは想定外だよ。でもこれ主任にバレたら怒られるよニュー君?】
【えっ、えっ?】
そしてNT空間で遭遇した自分と同じクローンであるフィーリアス少尉に対してニュー少尉はリラックスした様子で自己紹介をしており、ムラサメ中尉は傍観しリディ少尉は突然の急展開に茫然自失となるのであった。
<人物紹介>
●グレミー・トト
→今回の遠征隊の責任者。シャア総帥の親衛隊として活動しており特務大佐に出世した。アーガマことリベルタスに対して愛着が湧いた模様。
●リベルタス(アーガマ)
→新生ジオン公国が正式に独立した後も引き続き運用されている。ラー・カイラムには劣るが優秀な船である。エゥーゴ残党への挑発も兼ねて遠征隊に参加したがティターンズ&エゥーゴ連合軍は既に戦力の殆どが火星から撤収し潜伏済みである。
ちなみに新生ジオン公国軍はシャア総帥が乗る総旗艦としてレウルーラを建造したが、国の指導者を前線に出すわけがないので一度も戦場に出る事なくレウルーラは退役したのであった。
●オットー・ミタス大佐
→ラー・カイラムの艦長。副長であるレイアム・ボーリンネア中佐によく主導権を握られるが仕事はしっかりこなす軍人の鑑である。伊達に大佐にまで昇進していないのだ。
●ラー・カイラム
→地球連邦軍の最新鋭艦。エコーズの旗艦として今回の遠征に参加した。ラー・カイラムの同型艦については建造が見送られているが地球連邦軍は軍縮中なので仕方ないね。
●リディ・マーセナス少尉
→政治家の父親に反発して軍人になり努力した結果エコーズ入りとなった優秀な軍人。乗機はエコーズ仕様のヘビーガン。ニュータイプことスペシャルの素質がある事をニュー少尉から指摘され戸惑う中、突如としてNT空間に招待され宇宙猫となった可哀想な人である。
この世界ではニュータイプことスペシャルは新人類ではない事は周知の事実であり、ラプラスの箱はゴミとなって闇に葬られているので、原作UCのように思い詰める事はないのでご安心ください。
●アムロのクローン(ニュー・ムラサメ)
→自分が戦闘用クローンとして製造された事をあっさりと受け入れている心のつえぇ奴。同じクローン仲間であるフィーリアス少尉に招待されNT空間に行く事にした行動力の化身。オリジナルを見て「うわあ僕にそっくりだ」と呑気に考えている。
アムロはニュー・ムラサメを見て「俺の若い頃にそっくりだけど性格はあまり似てないな。ここまで図々しくないぞ俺は」と思ったとか。
●強化人間の女性
→ニュー・ムラサメ少尉の姉役として頑張っている僕っ子アラサー女子。NT空間に連れてこられた事については驚きつつも主任にどう説明しようか頭を悩ませている。
●シャアのクローン(フィーリアス・アズナブル)
→「おっ!この気配はアムロさんによく似てるなあ!じゃあ彼がアムロさんのクローンなのか、気になるから招待しようか!」と呑気に考えNT空間に招待した。独断専行はオリジナル譲りである。
●アルバス・フィーンド(アムロ・レイ)
→フィーリアス少尉に連れられてNT空間で自分のクローンと顔を合わせる事になり溜息をつく。
前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。