【】はテレパシーで会話している設定です。
「火星からの撤収作業は完了しましたぜ。殆どの連中は火星から出て暗礁宙域に潜伏して、後は俺のような極少数の物好きが火星に残っているだけだ」
「うむ、わかった。相変わらず手際がいいな」
地球圏から火星へ精鋭部隊が派遣されようとしている頃、火星の元ティターンズ&エゥーゴ連合軍……自称レジスタンス達は火星からの撤収作業を速やかに完了させていた。とある大企業から派遣された現場責任者はレジスタンス達の手際に感心しつつ元ティターンズのレジスタンスであるモンシア元中尉と話し合っていた。
「しかし皆文句を言わず撤収して潜伏するとは。やはり地球圏からの刺客達はそれほど脅威なのか」
「ええ、あの赤いクソのクローンである深緑の彗星は本当に厄介な奴ですからね。奴にはティターンズだけでなくエゥーゴやカラバも痛い目に遭っている。しかも深緑の彗星だけじゃなく白い悪魔とそのクローンまでいるとなれば俺達も大人しく撤収しますよ」
「なるほど」
先の戦いで驚異的な戦果を上げた深緑の彗星ことフィーリアス・ワンを警戒しているモンシア元中尉の言葉に納得しつつ現場責任者は火星に残ったジオン残党について確認する。
「……通信を傍受したところジオンマーズはもうダメだな。末端の兵士達は動揺して士気が下がり戦いどころではなさそうだ」
「そりゃあそうでしょう。なんせ自分達の神輿がクローンだと本国の連中に暴露されちまったらね」
火星へ精鋭部隊を派遣するにあたり新生ジオン公国はジオンマーズが擁立しているザビ家の遺児がクローンである事を暴露しており、その情報は地球圏で大々的に報道され火星にも瞬時に伝わった結果ジオンマーズは大混乱に陥っていた。
「ジオンマーズの上層部は必死に否定しているが新生ジオン公国のトップであるキャスバル・レム・ダイクンが彼等の正当性を否定した事は組織にとって致命傷だ。ジオンマーズはもはや脅威ではない。後はレジオンだが」
「あのカルト共は地球圏からのお客様達に任せればいいでしょうよ。レジオンにはソロモンの亡霊のコピーがいるが深緑の彗星や白い悪魔に勝てるわけがねえ」
「それもそうだな。地球圏の精鋭達なら安心して任せられる」
現場責任者やレジスタンス達は遠征部隊の勝利を疑っていなかった。火星のニュータイプ兵士達は確かに脅威ではあったが、地球圏でも上澄みの強さを持つ白い悪魔達なら問題なく勝てると信じていたのだ。
「お客様達がジオン残党共を片付けて撤収した後、俺達レジスタンスが誰もいなくなった火星を完全に支配する、か。ウチの上層部の目論見通りにいけばいいんですがねぇ」
「些か楽観的だと思うが可能性は十分ある。地球連邦やジオンも精鋭部隊を火星に長期間滞在させる余裕などないのだからな」
遠征隊が長期間火星に展開する余裕はないと予想した彼等は嵐が通り過ぎるのを待つ事を決め、今は臥薪嘗胆の時だと大人しく様子見に徹するのであった。
「ところで話は変わるが、君も我々の理想に賛同してくれるのかな?」
「あー……いやね、スポンサー様の意向には従うつもりですが俺は貴族って柄ではないというか、俺の素行があまりよろしくないのはご存知のはずですが本気ですかい?」
「それは気にしなくていい、歴戦の戦士である君が仲間になるのなら多少の無礼には目を瞑るとも」
【へえ、これがフィーリアス少尉と僕のオリジナルが戦った時の記憶ですか】
【あの時は本当に死ぬかと思った。アルバス大尉が殺すつもりでいたら私は此処にいないだろうな】
【なるほど、確かにスゴイや。MSの性能差もあるけどフィーリアス少尉の攻撃を完全に捌き切ってる……さすが僕のオリジナルだ】
【君も経験を積めばこれくらいは出来るようになるだろうさ。私が見たところ君もアルバス大尉に匹敵するポテンシャルがあるようだしな】
【経験かあ。シミュレーターや格下との戦いだけじゃ足りませんか?】
【ああ、自分と同格の相手と戦うのはとてもいい刺激になる。アルバス大尉や総帥は本当に強くて私も本気を出さないと勝てないくらいだし時折負ける事もあるさ】
【ジオンのニュータイプ兵士の最高傑作である貴方でも負けるんですか?オリジナル達はスゴイなあ、僕達のようなクローン兵士が造られるわけだ……あれ、でも貴方のオリジナルは指導者として忙しいはずなのでは?】
【私のオリジナルであるシャア総帥は多才な人でな。仕事をこなしつつ息抜きで模擬戦をする余裕があるすごい人なのだよ。それとニュー少尉は敬語を使っているが、私も同じ少尉だし別にタメ口でも構わないぞ】
【いえ、大丈夫です。自分より年上の人には敬語を使うのは当然じゃないですか】
【年上と言ってもクローンだから実年齢は10歳にも満たないのだがな】
【それを言うなら僕だってクローンで実年齢5歳未満ですよ】
【ああそうか、確かに私の方が年上だな。ハッハッハ】
【……呑気過ぎるだろうあの二人】
【初見でここまで仲良くなるとは僕も想定外ですよ。でもこれ主任にどう説明すればいいんだろう。黙っていればバレないかな?】
【これがニュータイプ、いやスペシャルの異能なのか!?……でもあの二人ノンビリしてるなあ】
フィーリアス・ワン少尉とニュー・ムラサメ少尉が不思議な空間にて呑気な様子で雑談するのをアルバス大尉達は何とも言えない気持ちで見ていた。
【彼が俺のクローンだというのはわかったが、内面が全然似ていないな。当時の俺はあそこまで図太くなかったぞ。あれもムラサメ研究所の調整の結果なのか?】
【いえ、部外者であるレイ大尉、じゃなくてアルバス大尉には詳しい話はできませんがニュー君は強化人間ですけど精神面は弄ってないですよ。あの図太さは生まれつきです……まあ主任達としては嬉しい誤算みたいですけどね】
【嬉しい誤算だと?】
ニュー少尉の姉役であるムラサメ中尉の言葉にアルバス大尉は怪訝な表情を浮かべる。
【ええ、些細な事で壊れないタフな精神は戦場で戦うスペシャルとしてある意味で一番重要な素質ですからね。どんなに優秀な能力があっても精神が壊れちゃったら廃棄処分するしかないですし、耐久性も求められるのは当然ですよね】
【気に入らないな、人を部品扱いするなんて。地球圏が落ち着いてもムラサメ研究所は相変わらずのようだ】
【当事者として言わせてもらうなら今は大分マシになっていますよ?研究が進んで一部の実験は猿で代用できるようになった結果、昔みたいに被験者がダース単位で廃棄処分される事はなくなりましたし、今では半年で多くて5人程度に抑えられてますから】
【それで改善されてると宣うのか?……いや、確かに以前と比べれば改善されているんだろうな】
【あの中尉、それは俺が聞いてもいい内容なのでしょうか?】
物騒な発言をするムラサメ中尉にアルバス大尉は溜息をついていたが、リディ少尉は自分が聞いてもいい内容なのかと不安を覚えていた。
【リディ少尉は気にしなくていいよ。確かに機密情報だけど重要度は低いし、リディ少尉には教えても大丈夫だと僕が判断したからね】
【は、はあ】
【あ、それとニュー君が君を見定めた件は既に主任に報告済みでさ、今回の遠征が終わった後でムラサメ研究所に出向してもらう事になるかもしれないから覚悟しといて】
【えっ】
さらりと爆弾発言をされリディ少尉は絶句する。
【天然物のスペシャルは貴重だからね、それもニュー君が評価するレベルの逸材をウチの研究所が見逃すわけないよ。あ、でも心配しなくていいよ。正式な地球連邦軍人でマーセナス議員の息子である君に無茶な事はさせないと思うから安心して】
【まったく安心できないのですが】
【その、君も大変だな】
アルバス大尉に同情されたリディ少尉は思わず頭を抱えてしまう。そんなアルバス大尉達を尻目にフィーリアス少尉とニュー少尉は相変わらず吞気な様子で会話を続けていた。
【そういえば火星のレジオンではソロモンの亡霊のクローン……僕達の同類がいるらしいですけど彼女の相手はフィーリアス少尉に任せても大丈夫ですか?】
【ああ、任せてくれ。ジオン本国に従わないジオンマーズとレジオンについては私とアルバス大尉が対応するから君はレジスタンス達の相手を頼んだ】
【わかりました。フィーリアス少尉達ならソロモンの亡霊の再来でも余裕でしょうね。特にアルバス大尉はソロモンの亡霊のオリジナルを撃破した実績もありますし、僕も貴方達が勝つ事を疑っていませんよ】
【あら怖いわね、アムロだけじゃなく大佐の弟さんまで来るなんて。私の事を警戒し過ぎじゃないかしら】
【それにしてもソロモンの亡霊のクローンはどんな人なのでしょうか?】
【アルバス大尉や総帥に聞いてみたがオリジナルのララァ・スンはミステリアスで素敵な女性だったらしい。火星にいるクローンも素敵なレディかもしれないな。まあ敵として出てくる以上は倒すしかないがな】
【そうですね、どんな事情があっても敵として向かってくるなら叩き潰すだけです】
【貴方達は軍人の鑑ね。でも大佐達は私の事を美化し過ぎだと思うわ。当時の私は世間知らずの10代の小娘だったのに】
【……ところでレディ、貴方は誰でしょうか?いや、貴方の正体についてはおおよそ推測できますが】
【へえ、火星から接触してきたんですか。能力はオリジナル並というのは本当みたいだ。あれ、でも雰囲気が僕達とは随分違うなあ】
【二人ともそう警戒しなくてもいいわ。敵対の意思はないもの。私はあるお願いをする為にここまで来たのよ】
【あの、アルバス大尉。僕の見間違いかもしれませんが、フィーリアス少尉達の傍にソロモンの亡霊がいるように見えるのですが】
【……………いや、そんな馬鹿な、この感覚は間違いなくララァだ。クローンなんかじゃない、本物のララァなのか?だがララァは死んだはずだ!何故ここにいるんだ!?】
【うわ、大尉の反応を見るに偽物じゃなさそうだね。こんなの主任にどう説明すればいいのさぁ】
【ど、どうしますかムラサメ中尉?】
【んー、とりあえず僕とリディ少尉は沈黙しておこう。部外者の僕達は関わらないようにしようか】
【わ、わかりました】
突然の乱入者にアルバス大尉が茫然自失となっているのを確認したムラサメ中尉達は余計な事はせず沈黙するのを決意したのであった。
【でも火星からここまでテレパシーを飛ばすって無茶苦茶だよ。いくらソロモンの亡霊のクローンとはいえ無法過ぎるでしょ】
【私個人の力じゃないわ、サイコフレームのお陰よ。それと貴方はそこまで警戒しなくてもいいわよ?】
【げっ、聞こえてたんですか】
<人物紹介>
●謎の貴族主義の現場責任者
→一体何ッホ・コンツェルンから派遣されたんだ……元軍人達が手際よく撤収作業を完了させたのを確認し感心していた。今はまだ雌伏の時だと理解して準備を進めており、勧誘活動も順調な模様。
●モンシア元中尉
→地球圏からの精鋭達がどれだけ強いか自分の目で確認する為に火星に残った。スポンサー様の意向に従うつもりだが「いや貴族主義って何だよ。俺そんな素行よくねえけど参加していいのか……?」と少し困惑しているようだ。その後スポンサー様が設立する予定の私設軍隊に参加する事になった。一体何スボーン・バンガードなんだ……
●火星の元軍人達(レジスタンス)
→元ティターンズ&エゥーゴ連合軍。地球圏からの精鋭部隊を警戒し潜伏する事にした。ちなみに彼等は自分達の事をレジスタンスと自称しているが、火星の入植者達からはルーザーズ(敗北者達)と陰口を叩かれている。
●ジオンマーズ
→新生ジオン公国がキシリア・ザビのクローンの件を暴露した事で大いに動揺しレジオンに押されている。
●レジオン
→レジスタンス達がいなくなりジオンマーズが動揺している今が好機だと攻勢を進めている。地球圏からの刺客など恐るるに足らず!私達にはアリシアお姉様とララァお姉様がいる!うおおおおお!
●アムロのクローン(ニュー・ムラサメ)
→フィーリアス少尉とNT空間で交流した結果意気投合した心のつえぇ奴。オリジナル達のように複雑な事情とかないので特に問題なく仲良くなった。地球連邦政府と軍高官からムラサメ研究所の最高傑作と呼ばれているのが自慢。今後経験を積めばオリジナルを超える事も不可能ではないだろう。フィーリアス少尉の記憶を見て自分のオリジナルであるアルバス大尉の凄さを再確認し尊敬の念を抱いたようだ。
ララァ・スンのクローンが乱入してきたが「へー彼女がソロモンの亡霊のクローンなのか。なんだか僕やフィーリアス少尉とは雰囲気が違うなあ」と呑気に考えているが、敵対の意思を見せれば即対応できる軍人の鑑である。
●シャアのクローン(フィーリアス・アズナブル)
→ニュー少尉と意気投合した心のつえぇ奴。オリジナルであるシャア総帥やアルバス大尉の事は歴戦の戦士として尊敬している。シャア総帥が多忙な生活を送っている事についてはオリジナルも大変だなあと同情しているとか。
ララァのクローンを見て「綺麗な女性だなあ、でも私はレイラがいるし別にどうでもいいな。とりあえず敵意はなさそうだし様子を見るか。でも私やニュー少尉とは何か違う感じだな」と吞気に考えている。
●アルバス・フィーンド(アムロ・レイ)
→NT空間でクローン達が呑気に話しているのを見て少し呆れていたが、予想外の乱入者に宇宙猫となった。
●強化人間の女性(ムラサメ中尉)
→ニュー・ムラサメ少尉の姉役として頑張っている僕っ子アラサー女子。主任に今回の件はどう説明すればいいのか悩んでいたが、いっそ黙っておくべきだろうかと思い始めている。
●リディ・マーセナス少尉
→相変わらず怒涛の展開が続いて宇宙猫となっている。ムラサメ研究所に出向する事になるかもしれないが父親が絶対に認めないだろうから多分大丈夫である。
●火星の褐色美少女
→火星からNT空間に乱入してきたクソつよニュータイプ兵士。一体誰ラァ・スンのクローンなんだ……どこかの全裸のようになっている。レジオンが開発した最新のサイコミュ機器のお陰で接触できた。
フィーリアス少尉達については大佐達にそっくりだが性格は呑気で無邪気な子達だと微笑ましく見ている。
前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。