アクシズで頑張るシャアのクローン   作:すも

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ふと思いついたネタの続きです。


シャア・アズナブルとの対面

シャア・アズナブル……赤い彗星と呼ばれるジオン軍を代表するスーパーエースであり、地球圏にて非常に高い知名度を持つ傑物である。彼はMSパイロットとして超一流の腕を持つが、彼は指揮官として、指導者としても類まれな才能を持っており、しかも本名はキャスバル・レム・ダイクンでジオン・ズム・ダイクンの遺児であった。

 

ダイクンの遺児である彼に人々は指導者として振る舞う事を求めた。幸か不幸かカリスマがあり指導者としての才能もある彼は求められる役割を果たそうとする善性もあった……まあ途中で放り投げて遁走したりする事もあるが人間なので仕方ないだろう。

 

そんな彼はグリプス戦役での最終決戦にてアクシズの捕虜となり、現在はネオ・ジオンの総帥となっていた。彼としては非常に不本意であったが、ハマーン・カーンからアーガマのクルーとカミーユを人質に取られてしまい従うしかなかったのだ。

 

彼は来たるべき逆襲に向けてハマーンに隠れつつ色々と準備を始めていたが、決戦にて自分を下した相手であり、自分のクローンであるフィーリアス・ワンと一度話してみたいとスケジュールを調整し対面の場を設けたのであった。

 

シャアとしては自分のクローンについては少し忌避感があったものの、フィーリアス本人に罪はない事は理解しており自分のクローンがどのような人間なのか確認しようとしていた。

 

 

 

(なるほど、私の子供の頃に瓜二つだ。いや、クローンなのだから当然か)

 

目の前に立つ自分のクローンを見てシャアは注意深く観察する。

 

(しかしあの頃の私とは明確に違う部分がある。澄んだ目をしている、私がこのくらいの年齢の時は既にザビ家への復讐を決意していて、こんな無邪気な目をしていなかった。アルテイシアはそんな私を見て心配していたな……思い返せば昔から妹に迷惑を掛けてばかりだ)

 

フィーリアス曹長を見つつシャアは自分の幼い頃を思い返していた。

 

「フィーリアス君、君は何の為に戦っているのかね?」

「はい総帥、頑張ったらお母さんが褒めてくれるからです!」

「……君は母親の為ならば幾らでも戦えると?」

「はい!お母さんは僕の大切な人です!それとお姉ちゃんと妹も大事です!」

 

フィーリアスと会話したシャアは彼の歪みについて察する。

 

(無邪気ではあるが歪んでいるな。深緑の彗星として活躍している彼は既に大勢の人間を殺しているがまったく動じていないとは。いや、彼は戦う為に造られたニュータイプ兵士で戦う以外の生き方を知らないのだ。彼が悪いわけではない、彼を造った隣の女やネオ・ジオンのせいか……しかし姉と妹については初耳なのだがどういう事だ?)

 

「ミンファ博士、君が私のDNAを使って独断でフィーリアス君を造りだしたというのは事実なのかね?」

 

シャアはフィーリアス曹長の隣にいるフィーリアスの創造者であり母親役のミンファ・ワンに尋ねる。ミンファ博士についてはこれが初対面であるが、勝手に自分のクローンを造った女として警戒していた。

 

「はい総帥、私は最強のニュータイプ兵士を造る為に総帥のDNAをお借りしこの子を造りました。この子は私の自慢の子です!」

「そ、そうか」

 

キラキラした目で即答するミンファ博士を見てシャアは思わず困惑する。

 

(即答か。しかしこの女迷いのない澄んだ目をしているな。彼に似ているが親子だからか?……氏より育ちというが本当なのだな)

 

そしてスイッチが入ったミンファ博士はシャアの前で臆する事なく熱弁を振るい始めるのであった。

 

 

 

「総帥はジオンが誇る最強のエースパイロットです!そして総帥のクローンであるこの子はまだ未熟ですがネオ・ジオンで、いや地球圏で最強のパイロットになれると確信しています!」

「う、うむ」

 

 

 

「総帥はニュータイプ能力とパイロット技能が非常に高いレベルで纏まっておられます!ニュータイプ兵士の素体として総帥程最適な御方は存在しません!」

「褒めているのかねそれは?それと私のパイロットとしての技量については否定しないが、ニュータイプの素養については乏しいと思うのだが……ニュータイプの成り損ないと呼ばれていたくらいだ」

「は?総帥、それはひょっとしてギャグで言っておられるのですか?」

「えっ」

 

 

 

「総帥はあのア・バオア・クー戦で初めて乗るニュータイプ専用機のジオングを乗りこなしてみせたじゃないですか!そして初めて乗る機体で連邦の白い悪魔と相討ちになった……これでニュータイプの成り損ないだというのは無理があります!それを言った奴は同じ状況で白い悪魔と戦ってみればいいんですよ、確実に死にますから!」

「いや、あの男なら、シロッコなら生き残りそうではあるが……カミーユと戦って死んだようだが実力は本物ではあったし」

「まあそんな馬鹿はどうでもいいじゃないですか。偉そうな事を言ってたくせに死んだようですし、死んだ馬鹿の事はお忘れになって、総帥はもっとMSパイロットとして自信をお持ちください」

「そ、そうか?」

「そうです!総帥が一番輝くのはMSパイロットとして戦場で活躍する事です!指揮官とか政治家なんて影武者にでもやらせておけばいいんですよ!どうせ民衆は自分を導いてくれるなら影武者でも別にいいんですから!」

「そこまで言うか」

 

 

 

「というわけで!総帥のクローン兵士……シャアシリーズ量産計画の御許可をいただきたいのですが!」

「ダメに決まっているだろう」

「やっぱりダメですか……」

「よしよし、お母さん残念だったね」

 

 

 

「……クッ、ハハハハハ。なんというか、うむ、君は研究者として純粋なのだな。並々ならぬ熱意がある事は理解したよ」

「ありがとうございます!」

 

ミンファ博士の熱弁を聞き終えたシャアは思わず笑っていたが、周囲の護衛達は「こいつマジか……?」と啞然とした顔を浮かべてミンファ博士を見ていた。

 

(面白い女だ。本当に私の事をMSパイロットとしか見ていないとは。ここまでくると清々しくすら思える……外道ではあるがハマーンに比べたら遥かにマシだな)

 

楽し気な様子で話を続けようとしたシャアだが不意に謎のプレッシャーを感じる。

 

「あ、あれ?すみません、なんだか悪寒が」

「お母さん大丈夫?」

 

(む、これは……彼も感じ取っているが、このプレッシャーはハマーンか。この会話を聞いていたのだな)

 

 

 

「うわぁ、あの人がアイツが言ったお母さんって人なのか。なんか、こう、色々とスゴイ人だな……碌でもない大人だけど子供みたいに純粋というか」

 

別室にてシャアたちの会話を偶々聞いていたジュドーはミンファ博士の言動にドン引きしていた。

 

(でもすっごい歪んでいるけどアイツに対して愛情があるのは確かみたいだ。アイツが懐くわけだ……でもクローンだなんて滅茶苦茶だ、前から思ってたけど確信した。ここは、ネオ・ジオンは狂ってる、こんな事が許されるはずがない)

 

ネオ・ジオンの異常さを再確認したジュドーであったが、近くから立ち昇るプレッシャーに気付く。

 

「あの女ァ……好き勝手な事をペチャクチャと」

 

そこにはミンファ博士に対して殺意を向けるハマーンがいた。

 

(うひゃあぁ~~~すんごいプレッシャー。周りの先輩達も引いてるじゃん……ちょっと落ち着いてもらわないとダメだよなぁ。よぉし!)

 

「あのハマーン様。落ち着いてください!」

「何を言うジュドー、私は冷静だが?」

「先程からすごいプレッシャーが出ています。ミネバ様が感じ取ったら怖がっちゃいますよ!」

「む……」

 

ジュドーの説得を受けたハマーンはプレッシャーを抑える。周囲の親衛隊はジュドーに対しよくやったと感謝の眼差しを向けるのであった。

 

 

 

「君の母親の体調も悪いようだし今日はここまでにしよう」

「申し訳ございません総帥」

「いや構わないとも。ゆっくり休みたまえ」

 

ハマーンの干渉でミンファ博士の体調が悪くなったのでシャアは対面を切り上げる事にした。フィーリアス曹長は母親を支えつつ部屋を退出し、そして入れ替わりに不機嫌な様子のハマーンが入ってきた。

 

「あの馬鹿女め、貴様に対してあの物言いといい礼儀を知らないようだ。放置しても碌な事はしないだろう、何か理由を付けて処刑すべきだ」

「その必要はない、勝手にクローンを造った事は許せんが彼女は研究者として優秀だ。今後もネオ・ジオンの為に働いてもらうさ」

「フン、そうか。ところでシャア、貴様の為に用意させている専用機だが、もしかしてMSの方がよかったのか?」

「そうだな、私はMAよりMSに乗る方が性に合っているよ」

「……後で現在開発中のMSのリストを持ってこさせよう。気に入った機体があれば言うがいい」

「うむ、よろしく頼む」

 

ハマーンの提案に少し驚きつつもシャアは笑顔で受け入れるのであった。

 

 

 

 

<人物紹介>

●シャア・アズナブル

→フィーリアス君と話すつもりがミンファ博士の熱弁を聞いて引いていた。フィーリアス君については「この子純粋だな……こんな子がクローン兵士として戦う事を強制されるとか間違ってる」と境遇に同情し、逆襲ポイント+1000000となった。

 

 ミンファ博士については彼女がMSパイロットのシャア・アズナブルしか求めていないのがわかり、おもしれー女だと評価する。

 

 

 

●シャアのクローン(フィーリアス・ワン)

→「へぇーこの人が僕のオリジナルなんだ。お母さんがすごく楽しそうに話してて僕も嬉しい!」と吞気に考えている。体調を崩した女科学者を心配し傍で支えてあげる孝行息子である。

 

 

 

●ミンファ博士

→総帥と対面できたので赤い彗星のファンとして自分の思いを熱弁し満足する。周囲からドン引きされたがまったく気にしない心のつえぇ女である。

 

 ハマーンから凄まじいプレッシャーを向けられ体調を崩すが、3時間後にはケロッとした様子を見せてフィーリアス君を安心させた。

 

 

 

●シロッコ

→宇宙世紀を代表するスーパー天才。故人。シャアの事をニュータイプの成り損ないと評価したが、ミンファ博士からすれば偉そうな事を言ったくせに戦場で死んだ馬鹿である。ミンファ博士からすれば赤い彗星は生き残っているからシャア>>>シロッコなのは確定事項なのだ。

 

 もしシロッコがいきていたらフィーリアス君の事を称賛しつつミンファ博士の事はある程度評価していただろう。

 

 

 

●ジュドー・アーシタ

→ハマーンの親衛隊見習いとして頑張っている。ネオ・ジオンの闇を見てこんなの絶対おかしいよ!と思う正義の心を持った少年である。ハマーンについては怖いものの主人として敬っている。

 

 

 

●ハマーン様

→シャアの厄介ファン。好き勝手言うミンファ博士に殺意を覚えプレッシャーを出すもジュドーに説得され落ち着く。ジュドーの事は好ましく感じているようだ。

 

 シャアへ専用MSを用意させるなどシャアへの思いは本物で献身的な女性ではある。プライドが高く手段を選ばず強情なのが問題なのだ。




Gジェネエターナルとまどドラが楽しいので前作のような更新速度は難しいですが頑張って書いていこうと思います。


今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。
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