うちは 転生伝 作:織田
……多分
ルールを守れない奴は忍びでクズ呼ばわりされる
だけど仲間を守れない奴はそれ以上のクズだ
親友の言葉を胸に刻んで生きてきた
けれど現実は残酷で、親友から託されたリンをこの手で殺すことになり
先生であったミナト先生までも無くしてしまい 正直現実が地獄だと思った
それでも前を向いて生きようとしたのは
他でもない親友から託された言葉と写輪眼と意志のおかげだ
火の意志を称える英雄に刻まれた石碑の前で毎日のように 自分を戒めてきた
馬鹿だったころの自分を戒める為に
けれど
その死んだはずの友人が目の前にいるのは
何故なのだろう…
写輪眼!!
はたけカカシは瞬時に左目にある写輪眼を発動させて、目の前のオビトが変化でないか見分けようとする。けれど、グルグルの使ったチャクラを吸収した変化は持ち主のチャクラすらも擬態する。その為ナルトの悪意感知ぐらいしか、判別はつかない。
結果、オビト本人であると断定するのに十分だった。
「……やっぱり、オビトなのか。どうして生きているのを隠していた」
「先輩?この変態と知り合いなんですか?」
テンゾウは、痴漢の容疑者らしき男がカカシと知り合いであることに驚く。類は友を呼ぶというし、これからは距離をとるべきかとテンゾウが不謹慎な事を考えていた事は秘密である。
「そんなのどうでもいいよ。君達に聞きたい事があるんだ」
「…オビト?」
「聞きたい事?」
カカシは親友の様子が以前と違う様子である事を察するが不審に思う。数年前に消えたと思った友人が聞きたいことなのだ、重要な事であるはずだ。と、そこまで思考が浮かんだところで解に至った。
間違いない、リンのことだ。
自分が守れとオビトに託されたのに、この手で殺してしまった少女のことだ。責められて当然だ。いっそ、罵倒されれば楽かもしれない。それでも約束を守れなかった事を後悔で埋め尽くされた心は楽になる事を拒んでいる。
カカシは、予想された答えに対して怯えながら尋ねる。
「り、リンのことか」
心が締め尽される様なストレスに耐えながら、カカシはオビトの返答を待つ。
自然に呼吸が荒れていく。
そんなカカシの様子を気にする事もなく偽オビト(グルグル)は、気軽な声で尋ねる。
「ねえ、ねえ、うん〇する気分ってどんな感じなの?」
その場の空気が凍ったことは、聞くまでも無いだろう。
カカシの思考も理解不能の言葉で埋め尽くされた。
「だーかーら、うん〇する気分ってどんな感じなの?教えてよー」
そんな場の空気を察する事も無く偽オビト(グルグル)は、質問を重ねていく。
その空気から立ち直ったのは、奇しくも事情を把握していないテンゾウの方だった。
「こ、この変態は。女性の方だけでなく、男にもセクハラするくちか…。ってことは、その知り合いである先輩って」
テンゾウは変態に対して、引く反応を見せると同時に横に並ぶカカシに対しても2,3歩距離を空ける。
「先輩、何を呆けているかはしれませんが直ぐ捕えますよ。木遁の術」
テンゾウは木遁の術を使い偽オビト(グルグル)を捕えることに成功する。
偽オビト(グルグル)は捕えられたことに興味をいだくわけでもなく、テンゾウが木遁の術に興味を持ったようだった。
「へぇ、君は木遁が使えるんだ。うん、君なら僕の中に入れてもいいかな」
「!!!」
テンゾウは、偽オビト(グルグル)の獲物を見るような視線に対して後ずさりする。
(この変態、僕を狙っている!!)
中に入れる、という発言から変態の標的にされたことを知ったテンゾウは、ドサクサに紛れてこの変態を始末できないか考える。そして、
「あークナイが勝手に飛んで行っちゃう(棒読み)」
「テンゾウ!!」
テンゾウは有無を言わさず、クナイを変態に向けて投げつける。確実に命を絶ちに行ってる所が彼の必死な心境を表しているだろう。カカシは、茫然自失していたがクナイで偽オビト(グルグル)が死ぬかもしれないという危機に、意識を戻す。
そして、飛んで行ったクナイは突然現れた仮面の男によって弾かれた。
「あーマダラ。来てくれたんだね」
「…………」
仮面の男は、偽オビト(グルグル)の呑気そうな声を苛立ち気に見る。
「……マダラ、だと」
カカシは、マダラと呼ばれた仮面の男を凝視する。そして確信する。この男が只者ではないことに。
(今、コイツはどうやって現れた?何もないところから現れたはずだ。マーキングなしの時空間忍術だと。四代目以上じゃないか)
カカシが仮面の男の実力に警戒する一方で、テンゾウは
(また変態チックな仮面が現れた。まとめて殺しても問題ないよね。うん、そうしよ)
まだテンゾウの忍び知識が十分でない為マダラの名前に反応しなかったことと、貞操?の危機に錯乱し必要以上に変態への殺意が上がっていることが重なり殺戮モードへと変わっていた。
そして、仮面の男は偽オビト(グルグル)を眼の中に吸い込む。
「オビト!!」
カカシは、消えていった親友?に対して声を張り上げる。短い邂逅であったが、話したいことはまだあったのだ。
テンゾウは歯噛みする。あの変態は今この場で始末しようとしたのに。
仮面の男は、偽オビト(グルグル)を回収するとカカシやテンゾウの方に視線を向ける。
「写輪眼のカカシに木遁使いか。ウチのものが迷惑をかけたな」
「……オビトに何をした?」
「何?協力者さ。この世には希望が無い、その事を知ってうちはオビトは真の平和を目指した。それだけのことだ」
仮面の男は言いたいことを言ったとでも言いたげにこの場を去る。
「待て!」
カカシの叫びがこの場に響くも、あとは静寂だけが残る。
こうして再会は短くも終わった。
外道魔像が安置している地下に仮面の男であるオビトは戻っていく。
(…フン、うちはオビトは真の平和を目指した、か。俺の生存が知られたとはいえ喋りすぎたな)
親友との再会での自分の言葉を自嘲する。仮面に隠された自分の素顔を探り当てて欲しかったのかもしれない。これは未練だろう。火影になりたかった、という道への。
けれど戻る道は許されない。
「『うちはマダラ』の生存も知られた以上、多少強引な手段を取る必要が有るか。霧隠れの里を使い、木の葉の里を弱体化させるか」
うちはオビトは真の平和を目指していく。自分のかつての在り方に背を向けながら
「……以上。私はたけカカシが目撃したことです」
「そうか……」
火影邸での深夜、カカシは火影に対して目撃したことを証言していた。
うちはオビトが正気でない状態で木の葉に居たこと。
そしてうちはオビトの正気を奪ったであろう存在であるうちはマダラが存在することを。
「カカシ。実際本当のマダラである可能性はどのくらいじゃ」
「オビトは写輪眼持ちの忍びのはずです。恐らく正気を無くさせるほどの瞳力を持った忍びといえばやはりマダラかと」
「分かった。して、カカシよ。お主はどうしたいのじゃ。オビトは友じゃろ。木の葉に仇なすと分かっても……討てるのか」
「それは…」
言葉に詰まる。親友だった人物なのだ。生きていたそれだけで、嬉しい。
けれど、木の葉に仇名す際には討たなくてはならないのか。
その回答は、
「俺は嘗てオビトから教えられました。
ルールを守れない奴は忍びでクズ呼ばわりされる
だけど仲間を守れない奴はそれ以上のクズだ
って、オビトは今マダラに操られているのかもしれない。
なら
俺は命を懸けて仲間である、オビトを正気に戻したいです!!
甘い考えかもしれないけれど、それが俺の正直な気持ちです。三代目」
「フッ、そうか」
火影はカカシの目が死んだ目から、生きた目に変わった様子を察する。三代目火影も甘い考えの人物なのだ。カカシの甘い考えを否定するわけでもなく、頷くに留めたことからも察せられる。
(うちはマダラか……九尾襲来の犯人は奴であるならば話は通るな。これからの時代、奴めを越える忍びを育てなくてはならん)
三代目は火の意志を心に燃やしこれからの騒動を懸案する。
それからはたけカカシは、うちはオビトが生きていることを知り遅刻癖が改善されたと言う。
はたけカカシは嘗ての友の忍道を目指していく。
ちなみに、またまた出番がないコタローはというと。
(流石カカシさん。カッコイイぜ。これは主人公の貫録を感じるぜ。これはもうKAKASHIだな)
透遁の術で、火影邸に忍び込みカカシと三代目の会話を盗み聞いていた。カカシの目の生きた光に主人公の貫録を感じて感動している。
……ちなみに三代目とカカシから気づかれないレベルまで透遁の術を身に付いているのはチートとしか言いようが無いだろう。
隣のお墓の前で~泣かないでください、其処に私はいません
眠ってなんか いません~
って、それ別人のお墓!!