超次元ゲイムネプテューヌ Origins Transition   作:シモツキ

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第二十七話 通用せしは

 状況は、何度も通信を受けていた為に知っていた。島全体に渡るような吹雪や、この次元の崩壊が始まった事を示すような亀裂は、自分の目でも見えていた。情報共有のおかげで、先を行く皆様方がどうなっていて、先に何があるのかの把握はある程度ながら出来ていた。

 だがその通信は、『何か』があるという連絡を最後に途絶した。それ自体は驚いたが、嫌な想像もしたが、慌てる事はなかった。それまでの情報共有があったからこそ、どう動くべきかの筋道は見えていた。そして途絶がどういった理由なのかは分からないが、当然皆様が今どんな状況に置かれているのかも不明だが……通信途絶という事実そのものが、危機の可能性を如実に示しているというもの。だからこそ……私は彼女と共に、迷う事なく突入した。

 

「…来たのか」

「おっせぇんだよ!」

「ふっ…待ち侘びていたよ、ワイト君、イヴ君」

 

 足場…になっているのかどうかも分からない空間に、機体を立たせる。ライフルを向けつつ、機体のスピーカーで呼び掛ける。

 それに対して返ってくる、影くん、アイ様、ズェピアさんの言葉。分かっていたとばかりの影くんに、語気こそ強いながら期待して下さっていた事が感じられるアイ様に…二人の発言を受けて、ならば私も…という雰囲気で言ったズェピアさん。各々の反応に、私は肩を竦めて操縦桿を握り直す。

 

「まさかこんなタイミングになるとは思わなかったけど、間に合って良かったわ。…けど、やたら頑丈ねこれ……」

「えぇ、助かったわ。正直、重傷も覚悟しなきゃいけないと思ってたし…これはおねーさんから二つ貸しね」

「うん、ありがとう二人共…って、なんで私から二つなの!?私とエストちゃんとで普通に一つずつ貸しにしようよ!?」

「いえ、それを言うなら既に自分には遅れた分の借りがありますから。…今の状況、ここまでの経緯をお聞きしても?」

 

 目の前に存在しているのは、プールの様な空間。言葉では上手く形容出来ない、レーダーやセンサーが軒並みエラーを吐く空間の中で更に存在している意味不明な光景と、飛来してくる様々な物。それを機体頭部のガトリングポッドで迎撃しつつ、私は問う。イヴさんと共に、ざっくりながら説明を受ける。

 

「核と思しき絵日記帳に、変化する空間に、攻撃も防御も通用しない迎撃……ですか」

「二人がノートっぽい物の前で、コースロープでぐるぐる巻きになってたのはそういう事だったのね。…正直、俄かには信じられないけど……」

「わたしも同じ気持ちです。でも、全部本当の事なんです。物理攻撃も魔法も、力での攻防は全く通じない…筈、だったんですけど……」

 

 話を聞き、理解した。理解はしたが、イヴさん同様私も「そんな馬鹿な」という思いが内心にはある。それに対し、ディール様が重ねて言う…も、その発言は歯切れが悪い。他の方々も、困惑の表情を浮かべており……そんな中で、愛月くんが言う。

 

「…ワイトさんの機体の攻撃、通用してる……よね?」

 

 そう。皆様の説明を疑うつもりはないが、一つ食い違っている事がある。強行突破も撃ち落としも出来ないという話に反して、ライフルもガトリングもモップやらビート板やらを撃墜出来ている。…至極当たり前ではあるのだが。むしろ通用しない方がおかしいのだが。

 とはいえ、嘘を吐いているという訳ではないのは勿論の事、絶対にあり得ないという訳でもない。魔法か何かで強化されている可能性、見た目は普通の物ながら中身は別物である可能性、この異常な空間によって物質が…或いは物理法則がおかしくなっている可能性等、合っているかどうかは別にしても幾つか思い付く理由はある。

 故に、重要なのはそこではない。考えるべきは、皆様の攻撃や防御は通用せず、この機体…ドリフティングスノーリペアの攻撃は通用したのだという事。そして、何故この機体の攻撃は通用したのかという事。

 

「…その機体、特殊な力を無効化する機能があるとか、そういう事は……」

「いいや、それはないよエリナさん。見ての通り、完全な修復は難しいと思って多少の工夫は施されているが、これは至って普通の機体だ」

 

 大破寸前のダメージを負い、当然正規の修理など受けられる筈もないドリフティングスノーをそれでも修復する為に施した工夫は確かにある。だがそれはまともに動かせるようにする為のものであり、それ以上の事は何もしていない。元のドリフティングスノーにしても、魔法による強化こそあるが、それで突破出来るなら尚更ディール様やエスト様達の魔法が通用しない筈がない。

 ならば、何故なのか。偶然などではない。現象には必ず理由がある。それを明らかにする事が出来れば、この窮地を覆す事も出来る。そう考える中、ぽつりと影くんが呟く。

 

「…例えば、だが…もし俺達が、誰も気付かない内に何かしらの妨害術式を受けていたとしたら?そしてワイトとイヴは、別行動だったが故にそれを受けていなかったとしたら?」

「機体云々じゃなくて…って事ね。だとしたら……!」

 

 何かをした、ではなくされた、という可能性。それにイヴさんが反応し、滑るような挙動で本機より前に踊り出る。

 その行動から伝わるのは、先陣を切るという意思。私達が建造物と混ざり合った亀裂へと突入する時、もう次元は酷い状態にまで進んでいた。それを見て、イヴさんは焦りを抱いているようにも見えた。だからこそ、すぐ行動に移したい気持ちは理解出来る。私自身、このままではそう遠くない内に次元が崩れ去る…そう思わざるを得ないような

景色を見た事で、悠長にしていられないとは思っている。

 だが、焦りがプラスに働く事はまずない。だから私は両腕をクロスさせて突っ込むイヴさんを支援すべく、自らも前進を……

 

「あ"ぅッ!?」

 

……イヴさんが、飛んできたビート板に跳ね飛ばされた。軽く叩き落とされるように弾かれ、墜落した。

 

『…………』

「……だ…騙したわね、影…」

「いや、例えばと言っただろう……」

 

 うつ伏せの状態からゆっくりと上体を起こし、イヴさんがぶつける恨み節。何とも微妙な雰囲気になり…だがその直後、追撃の様に飛来した複数のバケツをイヴさんは躱す。バトルスーツの推進器を用いる事で横飛びに躱し、射撃を撃ち込む…が、その射撃もバケツには弾かれる。

 

「ちっ…やっぱり私は皆と同じみたいね。なら、どうしてワイトだけ……」

「分からないわ。…でも、だとしてもワイトの攻撃が通用したのは事実よ。だったら、あらゆる攻撃や防御が通用しないって訳じゃない筈。それなら……」

「他にも試してみれば、通用する攻撃があるかもしれない…って訳ね?」

 

 切り替えるように、セイツ様とネプテューヌ様が言う。それに全員が頷き…交戦再開。各々が飛び回り、駆け、攻撃をばら撒く。それぞれが攻撃を打ち込み、通用するものがないか確かめていく。

 

「自分も動きます。この巨体なら、向こうの注意を引き付けるのには最適でしょう」

「待った、ワイト君。イヴや修復に協力してくれたっていう皆の仕事を疑う気はないけど…大丈夫?」

 

 スラスターの噴射により突撃を仕掛けようとした私を止める、イリゼ様の問い。その問いが発された理由は…考えるまでもない。

 ドリフティングスノーは修復された。だが、完璧に直った訳ではない。例えば装甲はディール様、エスト様のお二人に元と遜色ないレベルにまで直して頂いたが、本体側の装着部位の一部がどうしても修復出来なかった為に、フレームが露出してしまっている箇所がある。フェニセクトへ頭突きを仕掛けた際にゴーグルタイプのセンサーカメラへ亀裂が入ってしまったが、一先ず機能している事と、装甲より遥かに複雑なセンサーを錬金術で上手く修復出来るか分からないという事で、これはそのままになっている。同様に、炎に包まれた事で機体各部のセンサーも一部が駄目になっているが、こちらも修復はしていないまま。

 それに何より、この機体には大きな欠損がある。カムフラージュこそしてあるが、その欠損は近くで見れば一目瞭然であり…イリゼ様以外も、大丈夫なのかと気にしている事だろう。

 

「問題ありません。自分の選択で負ったハンデです、そのカバーも自分でしてみせます」

 

 ならばこそ、私は行動で、結果で示さなければならない。今の状態でも大丈夫であると。足手纏いにはならないと。

 大きく飛ぶのではなく、ホバー走行の様に機体を走らせる。サブスラスターを細かく使う事で機体の位置をずらして、飛来物を躱していく。そうしてある程度の距離まで近付いたところで右腕部に保持したライフル、スレイドⅡの徹甲炸薬焼夷弾を叩き込む。もし絵日記帳本体(?)にもこの機体の攻撃が通用するのなら、絵日記帳程度一発でも当たれば粉微塵になる筈で…されど着弾の寸前、盾の様に展開したビート板が射撃を阻む。ちっ…多くの男子が一度はやった事があるような真似を…。

 

「ルナ、ディールさん、いきます!」

『お願い(します)!』

 

 近付き過ぎれば全てを押し流す水流が発生する。それを踏まえて大きく旋回するように機体を動かしながら、射撃を続ける。絵日記帳の方も、次から次へとビート板を発生させて防御をしてくる。

 その中で、飛来する物体に対しビッキィさんが水遁を使用。ただそれは攻撃というより、広範囲に水をばら撒くような行動で…続けてディール様とルナさんが、別々に冷気と電撃を放つ。どうやら先のビッキィさんの攻撃は、濡らす事が目的だった模様。そして実際、濡れているようには見えたが、どちらの攻撃も通らない。飛来物は減速する事もなく迫り、ディール様達は跳んで躱す。

 

「全力でいくわよ、イリゼ!」

「勿論…ッ!」

 

 ちらりと別の方向へ目を向ければ、その瞬間にイリゼ様とネプテューヌ様の姿が光に包まれる。それぞれ装いが変わり、突っ込んでくるモップに対してお二人は大量の鎖を射出、モップが殆ど見えなくなるレベルで雁字搦めに絡め取り……

 

『いぃッ!?』

 

 しかしそれも、通用しない。たった一本のモップに、むしろお二人が引っ張られて姿勢を崩す。

 それぞれが、それぞれに試す。連携も用いて攻撃を通そうとするが…やはり、誰の攻撃も軽く弾かれる。

 

「くっ…やっぱり駄目…!フロストもファングも、どの技も通用しない……!」

「むむ…これってワイトさんにそのまま突っ込んでもらうのはダメなやかな!?」

「ウチ等全員でワイトにおんぶに抱っこってのは情けねー話だが…最悪そうするしかねーかもな…ッ!」

 

 茜さんが引き付けたバケツにアイ様が急降下からの踵落としを叩き付けるも、その攻撃でもビクともしない。そしてそれに歯噛みするような声音と共に、お二人が声を上げ…自分はその場で切り返す。

 

「それで良いと、言うのなら…!」

「だったらせめて、支援位はしないと…ねッ!」

 

 言うが早いか、エスト様が突進。他の女神様も、自分自身を囮とするように飛んでいく。これまで自分は、攻撃をしつつも陽動を…と考えていたが、ここからは完全に切り替える。遠距離射撃では埒が開かない事など、もう十分に判明しているのだから…踏み込んで、決めに行く。

 

(話の通りであれば、水流の迎撃はどうやっても免れない…ならば先に、一つ試す…!)

 

 前身と共に、ガトリングを用いて飛来物を撃ち落とす。その上で、敢えて一つだけ迎撃はせず…直撃を、受け入れる。

 もしも見立てが外れていたら、最悪機体が貫かれる。だが…判断は、間違っていなかった。機体の右肩部装甲で受けたモップは、あっさりと跳ね返されてその場に落ちる。

 

「……!やっぱり、貴方…というか、ドリフティングスノーリペアだけが特別って事……?」

「分からない。だが…これならば懸念なく近付ける…!」

 

 率直に認識をイヴさんへ伝え、勢いを増してでプールの様な空間の中へ。瞬間、目を疑うような量の水流が発生し…その水の壁へと、私は突っ込む。膨大な水とその勢いに機体は押され、大きく姿勢は崩れる……が、何も出来ない訳ではない。姿勢を制御し、スラスターをフルスロットルにし、更に進む。モップで試した通り、防禦の面でもドリフティングスノーリペアは通用する。

 だが、通用するといっても物理学から解き放たれた訳でもなければ、無敵になった訳でもない。水流の勢いは強く、水中にいては機体がブレる。銃口の角度が定まらない。

 

「──ここだ…!」

 

 水流が延々と続く訳ではない事は聞いていた。一方で、かなり短いスパンで次の水流が放たれる事も伝えられていた。ならば行うべきは、水中からの脱出と速攻。水の勢いが弱まり始めた瞬間を狙い、斜め上へ急上昇。一気に水の中から脱し、機体各部のスラスターをフル活用して姿勢制御。

 直後、またビート板が絵日記帳の周囲に集まる。同時に迎撃も飛んでくる。向こうにどれ程の判断力があるのかは分からないが、その対応は間違っていない。こうなると、スレイドⅡでの突破は難しくなる。──このまま、スレイドⅡを使うのならば。

 

「邪魔だ、退け…!」

 

 狙い撃つ…と見せかけて、スレイドⅡを手放す。続けてコンテナユニットから、特殊徹甲榴弾対応型ショットガン、バスターショットを抜き放つ。早撃ちが如くトリガーを引き、叩き込んだ多数の弾丸で防御を纏めて吹き飛ばす。

 こうなれば後は本体を狙うのみ。通常ならば、リロードからの第二射で仕留めるまで。されど今の私に、その択はない。そもそもそれが出来るのなら、右腕部でスレイドⅡを保持したまま左腕部でバスターショットを抜けば良い話。だが、それは出来ない。それをする為の左腕部が……ドリフティングスノーリペアには、ない。

 

(だが、だとしても…ッ!)

 

 フェニセクトとの戦闘…特に最後の攻防において、最も損傷を負ったのは両腕部。左右どちらも、とても修復出来る状態ではなく…苦肉の策として、左右それぞれからまだ機能しているパーツを寄せ集め、それを右腕部として仕立て直した。所謂ニコイチ修理で辛うじてこの機体は右腕部を取り戻し、同時に隻腕となった。カムフラージュとして左肩部から先は布を被せていたが、当然その程度で隠しきれる筈もなく…だとしても、万全ではない状況で最良を尽くしてこそ軍人。

 バスターショットもすぐさま手放す。先と同様、しかし今度は腰部からアームズ・シェル用大型拳銃、ストライクトルーパーを抜く。取り回しと引き換えに射程距離や装弾数ではライフル型に劣る本武装だが…たった一冊の絵日記帳を撃ち抜くのに、連射などは必要ない。

 引き金は二度引かない。一発が全て。そして取り回しの良さ故に、次なる水流が押し寄せるよりも…こちらの方が、早い。抜き放ったストライクトルーパーの銃口、そこから即座に撃ち込んだ弾丸が狙い違わず絵日記帳を捉え……

 

「……なッ!?」

 

──確信と共に放った一撃は、絵日記帳に触れながらも弾かれた。これまでの、イリゼ様達の攻撃の様に。

 

『ワイト(君・さん)ッ!』

 

 完全に予想外。全くの想定外。確信があったからこそ、それが覆された事に動揺し、動きが鈍る。その隙に水流が押し寄せ、一気に機体が押し流される。

 

「くぅぅ……ッ!」

 

 我に返り、立て直す。一旦追撃は断念し、飛んできた複数のコースロープをガトリングで蹴散らす。こちらの機体にダメージはない。突貫作業の修復になったが、気密性にも問題はない。だが……

 

「ワイトの攻撃、弾かれた…ワイトの攻撃も、通用しなくなった?」

「そうであってほしくないけど、その可能性はあるわね…まさか、一定時間経過すると通用しなくなるとか、そういう事でもあるの…?」

「いいや、その後の迎撃は通用していた。理由は別にあると見るべきだろう」

 

 苦々しげな表情を浮かべながら言うエスト様に、ズェピアさんが返す。攻撃を行ったのは自分自身だが…弾かれた理由が、全く分からない。

 絵日記帳だけは何か別のシステムが働いているのではないか。実は通用しないのではなく、単純に絵日記帳は耐久性が桁違いという事ではないか。話の中で幾つかの可能性が挙げられるが、どれもしっくりとこない。

 

「全く、さっきからずっと謎解きみたいな戦闘ね…!また来るわよ、皆ッ!」

 

 セイツ様の声を合図とするように、全員は散開。自分も装甲でモップやバケツを弾き返しながら機体を走らせ、同時に屈んだ体勢を作る。そのままストライクトルーパーを仕舞った右腕部を伸ばし…バスターショットを回収する。続けてバスターショットもコンテナに戻し、同様に流されていたスレイドⅡを拾い上げる。

 そのスレイドⅡのセミオートで、飛来物と絵日記帳へ一発ずつ射撃。飛来物の撃墜は成功する。絵日記帳も、またビート板を用いて防いでくる。…やはり、完全に通用しなくなった訳ではない。通用する攻撃と、通用しない攻撃がある。

 

(なら、その違いはなんだ。何が通用しない、何故通用しない…!)

 

 接近を掛け、敢えて何度も飛来物を受ける。結果分かったのは、どれであろうと装甲を貫かれはしない…つまり、相手側の物体によって通用するものとしないものがあるという訳ではないという事。イリゼ様達の攻撃は現状一切通用していない事からしても、こちら側に理由がある事は間違いない。

 であれば…その理由は、どこにあるのか。それが分からない限り、再度踏み込む事は出来ない。

 

「そういえば…飛んできた物や水って、その後は一体どこに……?」

「んっとね、なくなってる!どっかいっちゃった!」

「ピーシェ様の言う通り、消えているみたいです。もし残っていれば、目一杯攻撃を打ち込んで本当に壊せないか試したいところでしたけど……」

「あら、同じ事を考えてたみたいね。けど、試さないんじゃ仕方ないし…自分達も自分達なりに、出来る事へ力を尽くすわよ…!」

 

 元の姿に戻っていたネプテューヌ様と、ピーシェ様及びビッキィさんとのやり取り。彼女達だけでなく、全員がそれぞれに挑んでいる。…その姿を見てしまえば、奮い立たない筈がない。自分と違い、攻防の全てが通用しない中でも全員が喰らい付かんとしているのだから…負けていられる筈がない。

 尚も飛んでくる物体。これまでのように自分は撃ち落とそうとし…だがふとある事が気になり、再びスレイドⅡを落とす。代わりに高周波ナイフを掴み、側面から叩き付けるように一閃。

 

「ぐッ……!」

 

 刃渡りの短い小型兵装とはいえ、アームズ・シェルの馬力で打ち付けたナイフは本来戦闘兵器の装甲をも溶断し得る威力を持つ……筈なのだが、飛来物にはまるで通用しない。むしろ反動でこちらの姿勢が崩れ、急いで機体を立て直す。

…ナイフも、通用しなかった。拳銃とナイフ、通用しなかったのは現状予備兵装的な面の強い武装二つで…だが威力が足りないという事ではない。それならば、主に牽制や迎撃で使うガトリングも通用しない筈なのだから。今の段階では、通用しない武装が複数あるという事以上の解釈が出来ず…思考へ意識が偏っていた私は、次なる飛来物の接近に気付くのが遅れる。

 

「……っ!ちッ、弾切れか……!」

 

 咄嗟に再度ストライクトルーパーを抜き放って撃った私が、わざわざ迎撃する必要もない事と、弾切れした事に気付いたのはほぼ同時。そしてまたもこの武装での攻撃は通用せず、結果的には無駄撃ちで弾切れを起こしてしまっただけ。

 ただまあ、それは仕方ない。ダメージを負う事にならなかっただけマシというもの。むしろ考えるべきはリロードの事で…そこで私は、もう一つ気付く。

 

(…ストライクトルーパー用の予備弾がない?……そうか、この装備はここまで使ってなかったから、ディール様とエスト様にも弾薬の生産を頼んでいなかっ──)

 

──その瞬間だった。まだ遠い、輪郭すらも見えていないと思っていた『答え』が、一気に眼前へと現れたのは。通用した装備と通用しなかった装備、成功した防御と失敗した防御…両者を分ける、ある要素に触れた気がしたのは。

 それが突破口になるかは分からない。分かったところでどうしようもないのかもしれない。だとしても、これは前進である。だからこそ私は……声を上げる。

 

 

 

 

 機体の修復を終えたワイトさんがイヴさんと一緒に来てくれた事で、エスちゃんとイリゼさんは間一髪助かった。それは本当に良かったけど、状況が好転…と言える程にはならなくて、正直もう打つ手無しの状態だった。ワイトさんに託すしかないんじゃないかと思い始めていたし、そのワイトさんの攻撃も通用しないものがあると分かった時には、このまま完全に通用しなくなるのかも…と不安にすらなった。

 そんな中で、ワイトさんが機体越しに声を上げた。わたし達全員へ、全体へ向けて。

 

「──漸く、分かったかもしれません。攻撃と防御の…或いは、この空間自体の、性質が」

 

 スラスターを使った跳躍を交えて、大きく旋回しながらワイトさんが言う。基本飛んでくる物は装甲で弾き返せるワイトさんがそういう動きをしているのは、多分目立つ事で、攻撃を引き付けようとしているから。

 

「ワイト、分かった?なら、イリス、教えてほしい」

「ぴぃも!ぴぃもー!」

「あはぁ、ピーシェの興味と攻撃が通用しない事へのフラストレーションが混じり合った感情、刺激的ぃ……!それでワイト、どういう絡繰りなのかしらっ!?」

「わー、すーちゃんがこーふんしたまま真面目に訊いてる……」

 

 何が通用する攻撃があるんじゃないか、とわたし達は今も試していて、それをしながら皆は問う。わたしもこれまで試していなかった魔法の斬撃を飛ばしながら、耳を傾ける。……あ、斬撃も駄目だった…。

 

「えぇ。恐らくですが……自分の、この機体の攻撃や防御が通用するのは、ディール様とエスト様の錬金術のおかげです」

『へ?わたし達の……?』

 

 これから答えが明かされる。そう思っていた中でいきなり自分達の名前が出てきて、わたしはエスちゃんと顔を見合わせる。わたし達の、って……

 

「…もしかしてエスちゃん、わたしに黙って何か仕込んだの?」

「え?ディーちゃんが珍しく悪戯心を発揮して何かやったんじゃないの?」

 

 まさかと思って訊いてみたけど、この反応からして本当に何もしてない様子。…悪戯心って…まあ、わたしも『仕込んだ』なんて表現したけど…。

 

「…二人共、特別何かした訳じゃないって事?それなら、どうして……」

「それは分かりません。ですが、お二人に生産して頂いた弾丸は通用し、装甲も十分に機能しています。一方、元々の弾丸やナイフは皆様と同様、微塵も通用しませんでした。まだ試していない武装もありますが、間違いはないかと思います」

「…と、なると…考えられるのは、ディールとエストが意図しない形で、気付かない内に何かしらの効果を付与していたか、或いは……」

「この次元の中で作り出した物、由来をこの次元とする存在であれば、通用する…というより、本来の性能を発揮出来る…といったところかな」

 

 イリゼさんの言葉にワイトさんが答える。提示された答えから、影さんとズェピアさんが推測を口にする。

 知らない内に特殊効果を付与していたか、『作り出した物』である事そのものに意味があるのか…断言は出来ないけど、どちらかといえば多分後者だと思う。自分達で作り出した錬金術式だからこそ、細かい部分まで把握しているつもりだし、偶然発生していた想定外の効果が、偶然この場における特効になった…なんて、話としては出来過ぎている。それよりは、後者の方がまだあり得る。

 

「どちらかは分からない…じゃ、ないわね。そのどちらかではある、なんて確証はないもの。でも……」

「どっちだろーがどっちも違おうが…要は、ディールとエストの錬金術で作った物なら通用すんだろ?だったら……」

 

 大きく跳び、飛来物を着実に避けるエリナさんに続いて、アイさんが声を上げる。その言葉につられるように、皆の視線もわたし達の方へ向く。

 声から、視線から、期待が伝わってくる。アイさんが言いたい事も予想出来る。でもアイさんは、言葉を発する直前にぴたりと止まる。それから数瞬の間を経て……言う。

 

「…あー…ディール、エスト。二人の錬金術ってのは……」

「…えっと、この場では……」

「出来ないわね。だって錬金窯ないし」

 

 さーっと、期待の熱が冷めていくのを感じる。これもわたし達が得意な氷魔法の一つ…とかでは勿論ない。

 

「ここからの脱出方法も分からないって話だったわよね?って事は、一旦退却して武器を錬金してから再度仕掛けるって事も出来ない訳か…。歯痒い、わね……!」

「ズェピアさん、ズェピアさんの力で錬金窯を作り出すなんて事は……」

「不可能ではないけれど、そうした場合生産物の根底が私の魔術…即ちこの次元由来のものではないという事になって、向こうのフィルターに引っ掛かってしまう可能性があるね。それでも試す価値があるというのなら、やるだけやってみるが…どうかな?」

 

 視線をルナさんからわたし達に向け、ズェピアさんは問い掛けてくる。わたしとエスちゃんは顔を見合わせて、それから首を横に振る。わたしも、そう思うから。恐らくだけど、それで錬金をしても通用しないと思うから。

 

「だとしたら…結局のところ、ワイトさんの攻撃しか通用しないって事よね。だけど、そういう事なら……」

「全力でもう一度ワイトを送り届ける、でしょ?状況ははっきりしたんだもの、これは一歩前進よ」

 

 ネプテューヌさんとセイツさんが頷き合う。確かにワイトさんの気付いた答えの通りなら、わたし達の攻撃は通用しないまま。どう工夫しても無理だって分かっただけ。…それでも、分からない状態と、分かっている状態では、まるで違う。セイツさんが言ったのは…そういう事。

 

「確かに、ね。ワイト君、さっきと同じ事…もう一度出来る?」

「やってみせます。茜さん、機体の状態を見てもらっても?」

「まっかせて!んーと…うん、だいじょーぶ!やっぱりワイトさん、使い方が丁寧だよね!」

「あぁ、それは私も修理してて思ったわ。今も無理矢理直したドリフティングスノーリペアを、機体に無理させる事なく操ってるし…本当に、大したものよ」

「はッ、相変わらずどこぞのIT系配信者ばりにやたら女子ウケがいいなワイトは」

「……こほん。その件に関しては、影くんの協力ありきだよ。彼が今の状態…特に隻腕である事を前提にOSを組み直してくれていなければ、きっとこうはいかなかった」

「あ…あの時僕が来た後、影さんとワイトさんが話してたのって……」

 

 口角を上げ、揶揄うように言ったアイさん。それについてワイトさんは何も言わず、愛月さんがぽんっ、と自分の手を叩く。何か愛月さんには心当たりがあったみたいで……けれどその言葉が言い切られる事はなかった。──空を切る音と、多数の黄色い何かが襲ってきた事で。

 

「……ッ!これは……」

『ミサイルモロコシ…!?』

 

 空爆の様に降り注ぐ攻撃に、わたし達は慌てて退避。その中でビッキィさんが声を上げて…イリゼさん達、陸上調査チームが一斉にその名前を言う。

 飛来する黄色の粒。ついさっきまでプールの空間だった場所に今あるのは、緑豊かな風景。そして落ちたものをよく見れば、確かにそれはとうもろこしの粒。…そういえば、ミサイルモロコシって粒が飛んでくるって話だったけど…こ、こんな感じに飛んできたの……?

 

「どうしてミサイルモロコシが…って、バナナまで飛んできた!?あれ多分、スベールバナナだよね!?」

「バナナ…あっ、そんなバナナ?」

「ピーシェ様ふざけてる場合じゃないです!」

 

 仰天するルナさんの言葉に反応したピーシェさんを、ビッキィさんが一喝。そんな中、飛んできたスベールバナナは皮が剥けて、中身はそのまま突っ込んでくる。皮の方は、ひらひらと落ちる。…確か、スベールバナナって凄く滑るんだよね…?って事は、あの落ちた皮も気を付けないと罠みたいに……

 

『うわぁ!?』

「な、なんでわざわざ着地して皮踏みに行ったんですかお二人は!」

「うっわ、ここでそのボケはないわよおねーさん達…って、言いたいところだけど……ねぇディーちゃん。…施設の中で似たような事があった時も思ったんだけど、スベールバナナの皮…なんかこう、無視しちゃいけないような気がしない……?」

「えぇ…エスちゃんは何を言って……」

 

…………。

 

……恐ろしい事だけど、微かにエスちゃんの言ってる事が分からなくもないような気がした。…イリゼさん…というか信次元との交流を重ねてる内に、いつの間にか地の文が読めるようになってたし、この感覚も似たようなものなの……?…こ、こほんっ。

 

「相変わらず妙な作物なんだから…!…ちっ、これもやっぱり私の魔法じゃ燃やせないし……!」

「でも、今度はどうして変化したのかな…!縁日の空間は、私達が距離を取った事で攻撃が届かなくなったから…だと思うけど…!」

「もしかすると、攻撃を倒せるワイトの存在が大きいのかもしれないな」

「…………」

「あ…だ、だいじょーぶだよゆりちゃん!私はゆりちゃんあっての修復完了だって分かってるから!ワイトさんと違って特に何も影響与えてないんじゃ?…なんて思ってないから!」

「…ねぇ皆。ただ黙ってただけなのに、茜からフォローの形をした言の葉を突き刺されたわ。…ちょっと切ない……」

「あれぇ!?いやその、全然そんなつもりはなかったっていうか…ほんとにごめんね!?」

 

 次々と飛んできて、宙で粒を撒き散らすミサイルモロコシの絨毯爆撃に晒されながら、あっちこっちでやり取りが交わされる。後半の変な会話の方が気になりそうなところだけど…エリナさんやルナさんは、言葉を発しながらミサイルモロコシにも火炎や電撃を放っていた。でもやっぱり、今回も通用していなかった。

 これまでもずっと遠隔攻撃はあったけど、ミサイルモロコシはその攻撃範囲が桁違いに広い。スベールバナナも飛んでくる度に触れれば転倒!…する罠を降らせてくる(一応水なんかと同じで少しすると消えるみたいだけど)訳だから、これまでより格段に攻め込み辛くなっている。

 

「これでは動くに動けない、か…私が道を切り開きます……!」

 

 その中で、ワイトさんが突進を掛ける。機体を浮かせる事でスベールバナナを躱しながら前進し、ある程度進んだところで両脚部を前に。その動きでブレーキを掛けながら、右腕部のライフルと頭部の連射武器で粒を発射する前のミサイルモロコシと、皮が剥がれる前のスベールバナナを片っ端から撃ち落としていく。

 同時にワイトさんが開いた道へ、機体の背中に隠れるようにして、イリゼさん達も前に出る。そこから頃合いを見て、イリゼさん達は背中から前へ。次の迎撃が迫ってくる前に、一気に草原の空間まで突っ込もうとして……

 

『わぷっ!?』

 

 次の瞬間、宙で何かが炸裂。プールの空間の水流…には遠く及ばないけど、それでも巨大な塊が弾けたような赤い液体が撒き散らされて、イリゼさん達は揃って巻き込まれる。

 

「ちぃ、今度はなんだ……!」

「ぺろ…こ、これは…スイカの汁!」

「って事は、ワイトが撃ち落とした物の中にバクダンスイカもあった訳か…いよいよウチ等が見つけてきた物のフルコースだな。その内あの猪まで出てくるんじゃねーか?」

 

 炸裂と赤い液体でひょっとしてとは思っていたけど…ビッキィさんやアイさんの言ったように、バクダンスイカまで飛んできていたらしい。ここまでバクダンスイカは飛んできてなかった辺り、数は少ないか、何か条件があるのかもしれないけれど、撃ち落としちゃいけないものがある…ってなると、更に厄介。

 ただ…そんな中でも、ワイトさんは突き進む。バクダンスイカの炸裂も、ドリフティングスノーリペアは赤くなるだけで姿勢が崩れたりはしない。展開している空間が、状況が変わっても、ワイトさんのアドバンテージは消えないまま。

 

「このまま仕留めに行きます…!」

 

 迎撃は全て装甲で跳ね返して、ドリフティングスノーリペアが草原の様な空間に突入。プールの様な空間と違って、その瞬間に回避不可能な何かが起こったりはしない。縁日の様な空間みたいに、絵日記へ辿り着くまでの障害物が多数あるような事もない。

 駆け抜けるドリフティングスノーリペアは、勢いそのままにライフルを振り上げる。機体と絵日記帳の間には何もない。仮に防がれたとしても、ワイトさんなら次の攻撃の事だって考えている筈。そして次の瞬間には、ライフルから錬金で生産された弾丸が放たれ……

 

「ぐ……っ!?」

『な……ッ!?』

 

 その時、本当にその直後だった。横から巨大な影が……大猪が飛び出してきて、ドリフティングスノーリペアを突き飛ばしたのは。

 

「ワイトさんッ!」

「……っ、大丈夫だ愛月くん…!私にも機体にも、大きなダメージはない……!」

「よ、良かった…けどまさか、本当に巨大猪まで出てくるなんて……」

「…アイがフラグを立てるから……」

「ウチのせいかよ…!」

 

 ルナさんが安堵の声を、イリゼさんがアイさんへの呟きを発する中、撥ねられたドリフティングスノーリペアへ更に巨大猪は突進。着地と同時にライフルを手放す動きを見せたワイトさんは巨大猪を受け止めて、そこから押し合う…けど、その姿勢はすぐに崩れる。

 

「あれは……そうか、さしものワイト君でも機体が片腕状態では左側から押し込まれるか…!」

 

 すぐに立て直したワイトさんは跳躍を掛けて、上から頭部の火器で反撃。だけど巨大猪は止まらない。猛烈な勢いで切り返して、またワイトさんに向けて突っ込む。

 

「これは、どういう事…?ワイトさん…というか、ディールちゃんとエストちゃんの錬金した弾丸なら通用するんじゃなかったの…?」

「いや…恐らくですが、通用はしてるんだと思います。ただ、パープルハート様も覚えていると思いますが、あの巨大猪は中々タフだったので……」

「まだ致命傷にはなっていない、って訳ね。ここまでモップとか食べ物とかばっかりだったから、普通に耐える可能性を失念していたわ…」

 

 錬金で用意した弾丸は本来の性能を発揮出来るだけで、特効効果がある訳じゃない。そういう事ならエリナさんの言う通り何もおかしくないし、最初に突き飛ばされたのも納得出来る。

 だから問題は、ここからの事。ワイトさんは落としたライフルを拾おうとしているけど、巨大猪の突進がそれを阻む。さっきのショットガンを使えば…とも思うけど、あれは見るからに反動が凄そうだし、一撃離脱の動きをしてる巨大猪相手には下手に使えないのかもしれない。今のところワイトさんは、ピンチのようには見えないけど…すぐに仕留められそうな感じもない。

 

「…エスちゃん、どうする?あの巨大猪にもわたし達の攻撃が通用しないか、一度試してみる?」

「試したっていいけど、多分通用しないと思うわよ?っていうかディーちゃんもそう思ってるんじゃないの?」

「それはそうだけど…でもこのままじゃ、本当にわたし達は手をこまねいているだけっていうか、何から何までワイトさん頼りになっちゃうっていうか……」

 

 攻撃が通らないのは仕方のない事。だけど、だからって何もしないのは…嫌だ。何も出来ないのは、仕方ないとしても…凄く、嫌。だから何かしたくて、何か出来るんじゃないかって気持ちがわたしの中にはあって……エスちゃんは、そんなわたしの横で肩を竦める。

 

「ま、そーね。でも…なんかディーちゃん、勘違いしてない?」

「勘違い……?」

「確かにこのままじゃ、ワイトに頼りっ放しよ。わたしだって、そんなの面白くないわ。けど…わたしが本当に、何もしないと思う?」

「え……?それって、一体……」

 

 そう言って、にやりと笑うエスちゃん。何か作戦がある…っていうより、しめしめと思っているような、昔から変わらない笑み。何かエスちゃん的には面白い、或いは気分の良い事を思い付いたみたいなのは間違いないけど、流石に何を考えているかまでは分からない。だからその意味、意図している事を訊こうとした……その時。

 

「……?…あ」

 

 ぽつりと聞こえた、イリスちゃんの声。何かに気付いたような声音。ちょってした事でも興味津々になるイリスちゃんだけど……今は、そういう何気ない事じゃない。そんな気がする。

 

「…イリスちゃん。どうか、したの?」

「あれ」

 

 振り向き呼び掛けると、イリスちゃんはある方向を指差す。それにつられるように、わたしとエスちゃん、それに近くにいた愛月さんが示された方向を見る。

 イリスちゃんが指差したのは、草原の様な空間がある場所…の、遥か上。ずっとずっと上の、見上げなくちゃ視界に映らない場所で…そこには、赤い何かがあった。

 

(…あれは…あれって……)

 

 遠いせいで、初めは本当にただ、赤い何かがあるとしか思えなかった。だけどそれは、よく見てみれば炎。真っ赤な炎で……しかも、ただの炎じゃない。

 見覚えがある。どこかで見たとかじゃなくて、はっきりと覚えている。だってあれは…いつの間にか、そこに現れていたのは……

 

『フェニ、セクト……!?』

 

 真っ黒で、細長い身体。そこから伸びる、腕か脚の様な複数の部位。薄く広がる、炎を纏った羽。間違いなく、それは……あの広大な地下空間で戦った、フェニセクトだった。




今回のパロディ解説

・「…来たのか」、「おっせぇんだよ!」、「ふっ…待ち侘びていたよ、ワイト君、イヴ君」
機動戦士ガンダム00に登場するキャラの一人、ロックオン・ストラトス(ライル・ディランディ)、アレルヤ・ハプティズム、グラハム・エーカーの台詞の一つのパロディ。リペアからのクアンタネタです。

・「〜〜どこぞのIT系配信者〜〜」
Vtuber、社築さんの事。匂わせ(?)をコラボで……という訳ではないですが、そういう感じのネタをやった場合、ワイトが一番無難に、そして女子ウケが良い形で処理してくれそうな気がします。

・「ぺろ…こ、これは…スイカの汁!」
名探偵コナンの主人公、江戸川コナン(工藤新一)の台詞(心の声)の一つのパロディ。割とネタにされる事も多いシーンなので、ご存知の方も多いでしょう。
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