超次元ゲイムネプテューヌ Origins Transition 作:シモツキ
身体が火照っていくような、じわりと汗が滲み出るような、暑い気候。短時間ならともかく、腰を据えて本格的に活動するなら、とても普段の装いのままではいられない空間。それが、この次元。これから私達が過ごす場所。
そんな場所で行動する為に、私達は装いを変えた。皆、思い思いの水着姿となった。だけど、水着姿となるのなら、当然普段以上に気を付けなくちゃいけない事がある。女の子として(いや、男性もやった方がいいと思うけど)、欠かせない事がある。
「って訳で、番外編一発目は、長くなりそうだからって事で飛ばされてた日焼け止め回だよー」
「うんまあそうなんだけども!」
開口一番、メタ発言。らしいといえばらしい、ネプテューヌの発言。それに私は突っ込み、肩を落とし…気を取り直す。
「…そういう訳で、塗っていくよ?」
「どういう訳で…?……まあ、お願いするわ」
私の呼び掛けに返ってくるのは、困惑気味の声。その声の主は、ビーチパラソルの下、砂浜に敷いたレジャーシートにうつ伏せで寝転がっているイヴ。
今私達は、砂浜にピーチパラソルとレジャーシートを並べ、二人一組で日焼け止めを塗るところ。日焼け止めに関してはあんまり乗り気じゃなかった、別に要らない…って考えのメンバーもいたけど、日焼けを勘違いした(まるっきり間違いという訳でもないけど)イリスちゃんの駄目駄目攻撃には誰も逆らえず、無事塗るに至った。
「…けど、わざわざ塗ってもらう必要ってある?日焼け止め位、自分で濡れるのに……」
「それはまあね。でもほら、自分じゃ塗り辛い場所だってあるし、誰かにやってもらう方がしっかり濡れるでしょ?…っと、そうだ。トップスのホック外してもらえる?」
「えぇ……えっ、なんで?…ま、まさか胸まで…」
「ち、違うよ?そうじゃなくて、背中を塗り辛いからだからね?…あーでも、よりしっかり日焼け止め対策したいなら、水着の下も塗った方が良いし、後で私は自分でそこまで塗るつもりだけど……」
「私はそこまで徹底するつもりなんてないからいいわ…」
身の危険を感じたような目をするイヴに、私は若干狼狽えながら否定を返す。幾ら何でも、人にそこまではしないって…。
と、いう訳で、まずは私からイヴに塗る。チューブに入った日焼け止めジェルを手に出して、その手でイヴの背中に触れ──
「ひゃぅ…っ!」
「あっ、ごめん。触れる、って言った方が良かったよね…」
「い、いや、大丈夫……」
びっくりさせてしまった。冷たかったからか、イヴは肩をびくっとさせていた。
「え、えーと…もう触れてるけど、最初は背中からやるね?その後は腕やって、脚やって…って感じかな」
「あぁうん、順番は任せるわ…」
もう一度気を取り直し、私はイヴが身構えられるように予め伝えておく。ついでにちゃんと声掛けもしようと内心決める。そしてそこから、私は両手で塗り始めたんだけど……
「んっ…ぁく……ふぁっ……」
(な、なんか微妙に吐息が艶かしい…!イヴって結構敏感なの……!?)
時折イヴの口から漏れる、色っぽい吐息。はっきり聞こえる訳じゃない、微かに漏れ出てる感じなのが、むしろ余計に艶かしい。ついでにイヴも自覚があるのか、少し頬を赤くしていて…な、なんかちょっとドキドキする…。普段こういうのに無縁そうなイヴだから、その分ギャップ的な破壊力が凄い……!
「…こ、こほん。他の皆もそうだけど、イヴも結構綺麗な肌してるよね。折角の綺麗な肌なんだから、スキンケアは意識した方が良いと思うよ」
「…そう、かしら。色々あったし、綺麗だとは思わないけど……」
「肌質の話だよ。そういうのに興味ないのかもしれないけど…やっぱり、綺麗である事は嫌じゃないでしょ?」
「……考えておくわ」
気を紛らわせる気持ち半分、純粋な思い半分で、日焼け止めを塗りつつ私は言う。イヴの反応はあまり意欲的じゃなかった…けど、アイやビッキィなら、こういう話をしても適当に流すだけだったと思うし、それに比べれば多少なりとも考えるつもりはある…って事なのかな。
「じゃ、もう一つ。今話す事じゃないかもだけど…前みたいにちょっと見る、軽く触れるってレベルじゃなくて、本格的に神生オデッセフィアの政治を見たり、信次元の技術を学んだりするつもりはない?」
「…それは、代わりに私の知る技術を提供してほしい…って事?」
「まあ、実のところは…ね。でも、悪くない話でしょ?」
背中から肩、腕へと移り、更に塗る。それと共に、イヴに問う。イヴからすれば、本当に何故今?…と思うかもしれないけど…前と違って、今の私達は出会ったばかりの仲じゃない。前の交流を経て仲良くなれたと思っているからこそ、二人で話している今、訊いてみようと思った。
悪くないでしょ?…そう訊いた私に、イヴは少しの間黙る。黙って…それから、言う。
「…確かに、悪くない話ね。でも…今はまだ、遠慮しておくわ」
「…そう?」
「だって、私はまだ、本格的に別次元にまで手を出せる程、自分が成熟してると思えないもの。前みたいに見識を広げるのと、しっかり学ぶのとでは、また変わってくるだろうし…それよりまだ、私にはやるべき事があると思うの。…多分だけどね」
「そっか、それなら仕方ないね」
ぴくりと竦めるようにイヴは肩を揺らし、私も同じように肩を竦める。遠慮されちゃったのは残念だけど、イヴなりの展望があるのなら、それはそれで良い事。だから私は食い下がったりせず、気を取り直して脚の方に……
「だからまあ、イリゼの話はまたいつか…ひゃん……っ!」
「……やっぱイヴ、かなり敏感なタイプでしょ」
「た、偶々よ偶々……!」
……この日焼け止め塗りを通じて、イヴの新たな一面(?)を知れた気がする私だった。
「全くもう…ほら、今度は私が塗るわ。イリゼも横になって頂戴」
「ん、お願いね」
自分じゃ塗り辛い場所を一通り終えたところで、私達は交代。今度は私がうつ伏せになり、トップスの紐も解いておく。そうして少し待っていると…イヴの手が、日焼け止めジェルと共に触れる。
「ひゃっ…た、確かにこれ、最初はびっくりするね……」
「でしょ?断じて私が変なんじゃないの。これが普通なのよ」
(だとしても、あんな艶かしい吐息までは出ないと思うけどなぁ……)
これは言わぬが華かなと、私は返答をぐっと飲み込む。結果、一度会話は途切れ…また少ししたところで、再びイヴが口を開く。
「…さっき、私は肌が綺麗って言ってくれたけど、やっぱりイリゼも凄く綺麗ね」
「ありがと。まあ、結構気を使ってるからね。やっぱり綺麗でありたいし、信仰してくれる人達からしても、女神には理想的な姿であってほしいものだと思うから」
「立派ね。私も基本気にしてなかったから偉そうな事は言えないけど…誰かさんにも見習ってほしいものだわ」
「あはは……」
多分口を尖らせてるんだろうなぁと思わせる声音に、私は苦笑。でも同時にその声音には柔らかさがあって、イヴの深い思いが伝わってくる。そして、背中が終わったかな、という辺りで、私はイヴにある事を訊く。
「ところでイヴ…さっきからずっと、片手でしかやってないよね?何か理由があるの?」
「あぁ、その事なら……」
片手じゃ困る訳じゃないけど、何故なのかの理由は知りたい。そう思って私が問うと、数拍の間を置いてイヴは使っていなかった方の手を肩に触れさせ……
「あっつぅ!?」
「ね?」
…そうだった。イヴは片手が義手…つまり、熱を溜め込み易い金属製になっている。その手で触れようものなら、そりゃ今みたいになるってものだよね……。
*
日焼け止めの必要性は分かっている。日焼けは後からじゃどうしようもない、後悔しても遅いものなんだから。
でも、自分で塗る経験はあっても、誰かに塗る、塗ってもらうというのは初めての経験。だから少し、ほんの少しだけど…緊張する。
「イリス、塗っていくわよ。いい?」
「いい」
端的な返答を受けて、私は日焼け止めを付けた手をイリスの背中へと触れさせる。そこから伸ばすように、ワンピース型水着から露出した部位へ塗っていく。
「んん…ん……」
「…大丈夫?」
「大丈夫。でも、ひんやりする。この感覚は、初めて」
微かに声を漏らしていたイリスへ問い掛ければ、朴訥な答えが返ってくる。この子の特徴的な言動にも、少しは慣れてきた。と、いうか…ここにいるのは皆、特命隊の仲間と負けず劣らずで個性的な人達だから、そういう意味でも自然と慣れる。
「…………」
「…………」
と、思っていたのも束の間、急に無言の時間が訪れる。好奇心旺盛らしいイリスだけど、お喋りという訳でもないみたいで、今はひたすらじっとしている。私も饒舌なタイプではないと思うけど、この無言は少し居心地が悪くて…一つ、問う。
「…グリモアシスター様達じゃなくてもよかったの?」
「……?」
「…ええ、と…質問の意味が分からない?」
「そう」
顔を上げ、無表情で見てくるイリス。状況から何とか意図を予想する事が出来たけど…無言無表情で見つめられるのは、謎の圧が凄いわね……。
「こほん。貴女はグリモアシスター様達と仲が良いでしょう?だから、日焼け止めもお二人に塗ってほしかったんじゃないかと思ったの」
「それは、特にない。エリナの塗り方、優しい。だから、問題ない」
「そう…なのね。だったら良かったわ」
本当に問題ないのかしら…と若干不安になる程抑揚のない言い方だけど、それも彼女の個性というもの(多分)。元々背中の大部分が隠れている水着だから、今のやり取りをしている内に背中は塗り終わって、今度は腕と脚に塗っていく。
小さく柔らかな、イリスの身体。正に子供って感じで、可愛らしい。グリモアシスター様達は勿論、他にも…というより全員から気に掛けられているイリスだけども、彼女を見ていればその理由はよく分かる。こう…興味本位で危ない事をしそうってのも含めて、擽られるのよね。庇護欲が。
「…これでよし、っと。終わったわよ、イリス」
「ありがとう、エリナ。今度はイリス…頑張る」
語尾にぞい、が付いていそうなポーズを見せるイリスに苦笑しつつ、私は横になる。日焼けも知らなかったイリスだから、当然日焼け止めを塗るのも初めてだと思うけど…特別技術が必要な事でもないし、大丈夫よね。
「それでは早速……あ」
「え?」
「エリナ、エリナ。日焼け止め、どの位出せばいい?」
「あぁ…取り敢えず、この位でやってみて。それから足りないと思ったら、その都度出す感じでね」
一度起き上がり、手に日焼け止めジェルを出してあげて、もう一度うつ伏せに。すると今度はちゃんと塗り始めて、私はジェルのひんやり感を背中に感じる。
「どう?イリス、やり方、間違えていない?」
「大丈夫よ。イリスはやり方が丁寧ね」
丁寧というか、規則的な感じだけど…と内心で付け加える。まあ規則的であれなんであれ、ちゃんと塗ってくれるならやり方に拘るつもりはなくて…ぼーっと塗り終わるのを待っていたところ、またイリスが口を開いた。
「…エリナも、ネプテューヌに塗ってほしかった訳ではない?」
「へ?ぱ、パープルハート様に?」
「そう、ネプテューヌに。エリナは、ネプテューヌが好き。そうでしょう?」
「あ、えぇ、それはまあ……」
イリスの問いに、肯定しつつも私は曖昧な答えを返す。実際には、好きなんて程度のものじゃない。好きなんて二文字じゃとても表し切れない程の思いが、好きなんて言葉ではとても収まり切らない程の敬意こそが、私のパープルハート様への気持ちで…ただ、流石にそれをイリスに語っても、困惑させてしまうだけだと思う。だから私は、我慢した。…如何にパープルハート様が素晴らしいのか、伝えたかったけど。
「なら、イリスでよかった?」
「(あ、元はそれが質問だったわね)イリスじゃ嫌だ、なんて事ないわよ。イリスも私でいい、って思ってくれたでしょ?それに……」
「それに?」
「……パープルハート様に塗ってもらうなんてしたら、そのまま溶けそうな気がするし…」
「えっ?」
ぼそり、と呟いた瞬間、イリスの手が止まる。…別にふざけた訳じゃない。実際、溶けてもおかしくないと思う。物理的にじゃなくて、精神的に。
でも…パープルハート様でなくとも、女神様に日焼け止めを塗ってもらうだなんて、畏れ多い。女神様といえば国のリーダーな訳で、塗ってもらうどころか、塗らせてもらう事すら私程度では失礼な気がする。
「…イリスは、女神様がどういう存在なのか知ってる?」
「知ってる。女神は凄い存在。飛べる。女神化する時、光る。ルウィーがそんなに寒くないのは、ブランのおかげ。つまり、ブランはルウィーを抱き締めているのかもしれない」
「だ、抱き締める?……ふふっ」
「…エリナ、面白かった?」
「そうじゃないわ。でも…うん。イリスは、そのままで良いと思うわ」
「……?」
ここには女神様に対してフランクに接する人が多い。イリスもその一人で、イリスに関してはものを知らないだけだと思ったけど…多分それは、正確じゃない。そういう面もあるんだろうけど、それを抜きにしてもイリスは女神と親しいのだと、何となく分かった。そしてイリスが成長し、礼儀礼節を学んだとしても、イリスの知るホワイトハート様達や、ここにいるグリモアシスター様達は、それを向けられる事を望まない…そんな気もした。…にしても、抱き締めているから寒くないとは…なんだかどこかで似たような事を聞いた覚えがあるわね。
「エリナ、終わった。…前も、塗る?」
「前はいいわ、自分で塗るもの。…ありがとう、イリス」
「イリスも、ありがとう。これでイリス、火傷しない。……エリナも本当に、火傷しない?」
「心配しなくても、イリスがしっかり塗ってくれたから大丈夫よ」
起き上がった私は、念の為もう一度、と言い出しそうなイリスへと肩を竦め、頭を撫でる。深い理由はない。ただ、そうしたくなっただけ。やっぱりイリスには、庇護欲を擽られるものがある。
(…けど、女神様に塗ってもらう、ね…もし本当にそうなったとしたら……)
手を離し、首周りや手足の塗られていない場所へと自分で塗る。そんな中、何気なく私はパープルハート様や他の女神様達に塗ってもらったら、というのを想像してしまって……危なかった。何が危なかったかって、私の中で変なテンションになる私と、不敬よ!…と言って断罪しようとする私が同時に発生して大騒ぎになる位には危なかった。……自分でも何の話をしているのかよく分からない。
…とまあ、軽く混乱していた私は、冷静になるべく意識を外に向ける。そしてそこで、イリスが手に付いた日焼け止めをじっと見つめている事に気付く。
「…イリス?」
「日焼け止めには、クリームもあると聞いた。これとクリームは、似たようなもの?」
「うーん、まあそうね。私も詳しくはないけど、日焼け止めとしての機能はそこまで変わらない筈よ」
「似たようなもの…。…生クリーム…ソフトクリーム…クリームパン…エリナ、もしかしてこれは食べられ──」
「や、止めた方がいいと思うわ」
そもそも肌に塗るものだし、有毒だとは思わないけど、大概は口をゆすぐとか、牛乳を飲むとかの対応が推奨されるもの。そうでなくとも、間違いなく食べ物ではない訳で……何だかこのまま本当に舐めてしまいそうなイリスを見て、私は慌てて止めるのだった。
*
さぁ、イリゼとイヴ、エリナちゃんとイリスちゃんに続いて、今度はねぷ子さんとピィー子のターンだよ!日焼け止め、塗っちゃうよー!
「ネプテューヌさん、日焼け止めってそんなハイテンションで塗るものじゃないですよね?」
「うん、違うね」
レジャーシートの上に立って両腕を突き上げていた自分は、ピィー子に言われてぬるーっと座る。…あ、別に『塗る』とか日焼け止めジェルがぬるっとしてるとかと掛けた訳じゃないよ?流石に自分だって、いつもいつでも狙った発言をしてる訳じゃないからね。
「まあまあ細かい事は気にしない…ううん、ちっちゃい事は気にするな、の精神でいこうよ」
「わざわざ言い直す程の事じゃないと思うんですけど……」
常に狙ってる訳じゃないけど、狙える時はいつでも狙っていきたいのがねぷねぷスタイル。そして自分は、ぺたーんとレジャーシートに横になる。
「あ、自分から塗る訳じゃないんだ…まあ別にいいですけど…。…ネプテューヌさんって、いつでもマイペースですよね」
「ふっ、それは褒め言葉として受け取っておこうかな」
「…実際、褒めてますよ。マイペースっていうのは、つまり『自分』を持っているって事ですし。そんな『自分』をいつでも見失わないっていられるのは、凄い事だと思います」
「ぴ、ピィー子……」
「まあ、私からすれば、真似したくないタイプの凄さですけどね」
「ピィー子ぉ!?」
持ち上げてくれたと思いきやあっさり落としていくピィー子の非道に、自分は愕然とする。ひ、酷い…ピィー子がこんな事するなんて、夢にも思わなかった……って程じゃないけど、とにかく酷いよ!
とかなんとか思っていたら、いつの間にかピィー子は手に日焼け止めジェルを付けていた。塗りますよ、と声を掛けられた事で自分は返事をし…日焼け止め塗りがスタート。
「あっ、ひゃっ、ふぁあぁん…!」
「変な声出さないで下さい、ふざけてるのバレバレですよ?」
「変な声とは失礼だなー。じゃあ、イヴのアレはどうなるのさ」
「アレは…変じゃなくて、マジな声じゃないですか……」
「それは、まぁ…うん……」
薄っすら聞こえていたイヴの吐息。…うん、これはアレだね…自分で振った訳だけど、触れないであげた方がいいやつだね……。
「けど、なんか不思議な感覚だなぁ。オイルマッサージとかも、こんな感じなのかな?」
「さぁ?……ところで、その…痛くはありませんか?」
「……?塗られてるだけだし、別に痛くは……」
痛くはない。そう答えようとして、自分は気が付いた。ピィー子が言っているのは、塗り方とか力加減とかじゃなくて…ピィー子から見た自分の身体が、きっと痛そうに見えているからだって。
「…大丈夫だよ、ピィー子。全部ただの『痕』だから、ちゃんと治ってるし、日焼け止めが染みたりもしないし。それに…これも、勲章みたいなものだよ。その数だけ、誰かを、何かを守ってきたんだって勲章…なんて言ったら、ちょっと格好付け過ぎかな?」
「…そんな事、ないと思います」
「そっか、ありがと。…ってこらこら、今はこんなしっとりした空気感になるパートじゃないって!もっと明るくいこうよ、明るく!」
「えぇ……?…じゃあ…しっかり塗ったフリして、意図的にまばらな塗り具合にするとかやっていいですか?」
「良くないよ!?そんな取り返しの付かないタイプのボケはやろうとしないで!?」
思ってたのと全然違う方向の盛り上げ方をしようとしたピィー子を、自分は慌てて制止する。あ、あっぶなぁ…危うく自分の身体でとんでもないボケをかまされるところだったよ…恐るべしピィー子、えげつない……。
「前言撤回、ピィー子は普通にやって…なんかちょっと気持ち良いし……」
「変な事を言い出さなければ、私は最初からそうするつもりだったんですけどね…」
「…………」
「…………」
「……えっ、ほんとに普通にやるだけなの?」
「ならどうしろと…!?」
本人にそのつもりはないんだろうけど、まあまあ突っ込み気質なピィー子だから、ついついふざけたくなっちゃうというもの。…え、ピィー子じゃなくてもボケ倒してる?ふふん、そうですそれが自分です!
って事で、その後も暫くボケながら自分は塗ってもらった。根が真面目なピィー子は文句を言いながらもちゃんと最後までやってくれて…今度は、自分が塗ってあげる番。
「ねっぷっぷ、覚悟するんだねピィー子…!」
「…ちゃんと塗って下さいね?私はちゃんとやったんですから、これで適当な事したら、流石にキレますからね?」
「んもう、心配しないでよ。やられたらきっちりやり返すのが自分なんだから」
「プラスの意味合いでその言い回し使う人、私初めて見ましたよ……」
ピィー子はうつ伏せになって、重ねた両手の上に顎を置く。…やっぱりピィー子、自分よりスタイル良いなぁ…女神化すれば自分もないすばでーになるけど、ピィー子はピィー子でかなりダイナマイトな感じになるし、羨ましくなっちゃうなぁ……。
「さ、やるよー」
「あ、はい。……本当にちゃんと塗ってくれるんですね…」
「いやうん、さっきも言ったけどちゃんとやらないと後が大変だからね」
ボケっていうのは笑えるから、笑って許せるからいいのであって、そうじゃなくなったら何も面白くないし、楽しくない。だから、塗るのは本当にちゃんとやる。……塗るのは、ね。
「お客さーん、凝ってますねぇ」
「お客じゃないですしマッサージも受けてないです」
「凝りは?」
「仕事は多いし部下は個性的だし、訳の分からない事態に見舞われたりするしで色々……」
「…なんだかんだ突っ込んでくれるしノリも良いしで、ピィー子ってイリゼと似てるよね」
「え、やだ。凄くやだ」
手で伸ばすように日焼け止めを塗りながら、ピィー子とお喋り。最後のボケなのかそうじゃないのかよく分からない発言には、「なんで!?」という声が聞こえてきた。
「あ、そうそうピィー子。この際だし、今の流れで質問いい?」
「今の流れで〜…という発言はむしろ、流れを断ち切る気がするんですが…なんです?」
「うちの弟との関係は、最近どう?上手くいってる?」
「ぶ……ッ!?」
「わっ、大丈夫!?日焼け止め飲んじゃった!?」
「の、飲んでませんよ!飲むものでもないでしょうが!」
いきなり咽せ込んだピィー子の反応に、流石に少しびっくり。い、いやぁ…面白い反応をしてくれるかなぁとは思ってたけど、こうもあからさまとは……。
「いきなり変な事言わないで下さい…!しかもこんな、近くに他の人達もいる場所で…!」
「えー、だから小声で訊いたんじゃん。で、どうなのどうなの?場合によっては複数の意味を持つ事になるお姉さんに話してごらん?」
「どうもこうもありません、余計なお世話です…!」
「…余計なお世Wi-Fi?」
「そんな事は誰も言ってません!」
顔を赤くして抗議と突っ込みを返してくるピィー子。その反応が可愛いし面白いしで、ついつい自分はからかっちゃう。こういうところもイリゼと似てると思うんだけど…言ったら今度は殴ってきそうだし、この辺りで自重かなー。
「まあでも、何かあったら相談に乗るよ?この聞き上手にして心の機微に聡い系女神の自分がね!」
「どっちも絶対違うでしょう…二重に嘘吐くの止めて下さい…。…と、いうか……」
「……?」
「…人の事どうこう言える程、自分はそういうの上手くいってるんです?」
「うぇっ!?あ、そ、それは…せ、施術中はお静かに!」
「だからマッサージじゃないって…いや散々話し掛けてきたネプテューヌさんがそれ言います!?」
軽く上体を起こしてこっちを振り向いてきたピィー子の肩を、自分はぐっと押さえ付ける。今のピィー子のノリ突っ込み的なのはかなり良い感じだったしまあその通りな気もするけど…今はそれより日焼け止めだよ日焼け止め!とりゃあっ!
「ああっ、なんか無駄にパワーを感じる…!…にしても…自分が訊かれる側になった途端それって、ネプテューヌさんも結構初心ですよね」
「うっさいよピィー子!黙らないとアレだよ!日焼け止めの代わりに、アレ塗っちゃうよ!凄い事になるんだからね!?」
「どれですか!?何を塗って、どうなると!?」
それからの自分は、とにかく塗った。塗って塗って、塗りまくった。…からかう時は、引き際を見極めなきゃいけない。引き際もそうだし、その後も言葉には気を付けなきゃいけない。そういうものだよね……。
*
人の感情が揺れる瞬間は、色んなところにある。些細な事から大きな事まで、一日の間でも数えきれない程にある。わたしは、そんな感情を見るのが、感じるのが好き。
だけど、大きな感情、強い感情となると、そんな頻繁には発生しない。それは仕方のない事ではあるけども、わたしとしてはやっぱり心踊るような感情に触れたい、感じたい。そんなわたしにとって、スキンシップはうってつけのもの。スキンシップをされて全く動じない人はあまりいないし、それが女神たるわたしとなれば、尚更そのパワーはばっちり。悪感情も好きだけど、だからってそういう感情を意図的に抱かせるのは違うし…そういう意味でも、スキンシップは良い。凄く良い。そして、これからやるのは合法且つ皆も現在進行形でやっているスキンシップで…いやぁ、ほんと最高の行為よね、日焼け止め塗りって!
「さてビッキィ、準備はいいかしら?たとえよくなくても、待ってあげないわよ?」
「塗られる準備ってなんですか…というか、待ってくれないなら訊く意味あります?」
「でも、心構えは出来るでしょう?…まあ、不意打ちした方が、びっくりしてくれるものだけど」
「……セイツさん、その内恐怖のサインを探し始めたりとかしませんよね…?」
「失礼な。わたしが好きなのは感情全般よ」
「何がどう失礼なんですか…はぁ、どうしてわたしがセイツさんと……」
溜め息を吐きながら、ビッキィはゆっくりと横になる。こういう呆れの感情も良いのよね。割とよく向けられる感情だから、慣れてるといえば慣れてるけど…それはあくまで大別した場合の、「呆れ」という言葉で括った場合の話。感情は千差万別、一人一人違うのは勿論同じ人の同じ系統の感情でも、前と全く同じ…なんて事はないんだから、見る度、感じる度にわたしの心はドキドキする。
「まあ、落ち着いてビッキィ。日焼け止め自体はちゃんと塗るから」
「わたしは最初から落ち着いてるというか、ローテンションです…。…もうこの際、わたしの感情を楽しむのは良いです。良いですから、黙っていてもらえませんか?」
「え、黙って楽しんでたら、それはそれで怖くない?」
「確かにそれはそうですけども…!くっ、喋られたらこっちの気が滅入りそうだし、黙られたらそれはそれで怖いし、わたしはどうすれば……!」
拳を握り締め震えるビッキィを尻目に、日焼け止めジェルを手に付ける。そうしてまずは、腰の方から順に、登るようにして背中へと塗っていく。
「んん、ん…結構、入念に塗ってますね……」
「それはそうよ。満遍なく塗ったつもりでも、伸ばし過ぎたらちゃんと肌を保護出来ないもの。あぁそれと、身体の関節…特に裏側はしっかり伸ばして塗らなきゃ駄目よ?曲がったままだと塗り残しが生まれ易いのは分かるでしょ?」
「あ、は、はい。…セイツさんって、興奮してる時としてない時の切り替えが恐ろしい位はっきりしてますよね…どういう原理なんです…?」
「それはわたしに訊かれても…だってどっちも、わたしの素だし」
言いたい事は分かるけど、それについては「それがわたしだから」としか言いようがない。そしてそれはビッキィも理解してくれたようで、特に追求はしてこない。……さて、と。
「でも、分かってても塗り残しって起きちゃうものなのよね。って訳で、取り敢えず腋の下はわたしが塗ってあげるわね」
「あー、お願いします……って、腋の下!?ちょっ、そこはしなくて……あははははっ!」
「もう、遠慮なんてしなくていいのよ?ほら、ほらほら〜」
「え、遠慮なんかじゃ…ふひっ、ふふはははは!やめっ、ちょっとぉおおおおくふふふふッ!」
さっきまでと同じトーンでわたしは言い、完全に油断していたビッキィの腋の下へと指を走らせる。気付いたところでビッキィは逃げようとしたけど、もう遅い。一度笑わせ、力が抜けてしまえばこっちのもの。ふっ、掛かったわねビッキィ!真面目なレクチャーをしたのも、この為の布石!さぁ、動揺と羞恥の感情をたっぷりと味わわせてもらうわ!
「はーっ…はーっ…これなら信用しても良さそうだ、と思ったわたしが馬鹿でしたよ……」
「ふふ、ごめんなさいねビッキィ。でも、凄く良い表情をしてたわよ」
「だからなんだって言うんですか…次やったら許しませんからね?」
「えぇ、存分楽しませてもらったから一先ずはもうやらないわ」
にこりとわたしが笑って見せれば、ビッキィは恨めしそうに睨んでくる。はふぅ…ビッキィって、かなり感情の起伏が激しいタイプだから、見ていて本当に楽しい気持ちになれるのよね。
「ふんっ……」
「むぅ、拗ねないでほしいわ。折角貴女と二人で話せる機会なんだから、ピーシェの話で盛り上がろうと思ってたのに」
「全然違う事で弄っておきながら、よくもまあいけしゃあしゃあと……」
「いけしゃあしゃあって、また珍しい言い回しをするわね…。…でも、お互い自分の知ってるピーシェの事を話したり、逆に相手の話を聞いてみたりするのは面白そうだとは思わない?前も似たような話をアイやピーシェ達としたけど、本人がいないからこそ出来る話もあるってものでしょ?」
「…あの、近くにピーシェ様いるんですけど」
「だからこっそり話すのよ。内緒話、楽しそうだと思わないかしら?」
「…………」
「あ、今『もし聞かれたらピーシェに文句を言われるかも…でも話してみたい気持ちもある…心が二つある〜』って思ったわね?」
「読心術!?……はっ…!」
今のは心を読んだ訳じゃなく、試しに言ってみただけ。言い換えるなら、カマをかけただけ。そしてそれに見事に乗ってしまったビッキィは、悔しそうな顔をしていた。していたし、悔しいって感情も抱いていた。うんうん、やっぱりビッキィとの組み合わせになれて大満足だわ♪勿論他の誰かでも、きっと楽しかったと思うけどね。
「で、どうする?わたしだって文句は言われたくないし、話した内容は内緒にしておくわよ?」
「……ちょ、ちょっとだけですからね…?」
逡巡を経て、ビッキィはこくりと頷く。という訳で、ここからわたしは体勢をチェンジ。より入念に塗っているかのように、上体を倒して…そうする事で、これまでよりも小声でビッキィと話す。
「それじゃあ、まずは一個質問なんだけど…やっぱりピーシェって、ちょっと素直じゃない感じ?」
「そういえば、その質問は……。…えぇ、そうです。前にもちょっと言いましたけど、基本は大人ながら時々意地っ張りになったり、プライベートではそこそこ表情豊かなのにそれについて触れられると認めようとしなかったり…でも……」
「…でも?」
「別に、ピーシェ様は子供っぽい訳じゃないんです。きっと、普段は女神として…というより、責任ある立場としての立ち振る舞いを大事にしてるだけで、心は見た目相応なんです」
きっと、と前置きこそしているけど、ビッキィの言葉には説得力がある。ビッキィ自身、本心からそう感じているんだろうな、というのが伝わってくる。…見た目相応、ね…そう思うと、これまでよりピーシェが可愛く思えるわね。別に今までは可愛くないと思ってた訳じゃないけども。
「じゃあ、次はわたしから。小さい頃のピーシェ様ってどんな感じだったんですか?ひょっとして、女神化してる時みたいな感じだったりするんです?」
「そうよ。あ、でも勿論スタイルは違うけど」
「それはそうでしょう…内面の話です、内面の」
「あはは、分かってるわ。小さい頃のピーシェは、元気一杯で天真爛漫、無邪気で好奇心旺盛な、ほんと絵に描いたような『小さい子』だったわ。それからとにかくネプテューヌが好きで、よく遊んでもらったり、ボディに重い一撃を叩き込んでいたわね」
「へぇ、やっぱりそうなんですね。……え、ボディに重い一撃…?」
「ほら、小さい子って基本遠慮がないでしょ?で、そこに女神のパワーが加わるものだから……」
「あー……」
ご愁傷様よね、とわたしはビッキィと苦笑を交わす。…あ、でも確か、ピーシェとネプテューヌ達の出会いって、ピーシェが女神になるやりも前だって話だったわね…。その頃は流石に年相応だったのかしら…それともまさか、女神関係なしに元から重かったり……?
「まあ、そんなピーシェも今は成長して、素直じゃないけどしっかり者の女の子になった訳だけど…やっぱり、相変わらずネプテューヌの事は大好きなのよね。素直じゃないから、頑なに認めようとしないけど」
「多分それ、こっちのピーシェ様も同じです。…そういう意味では、ピーシェ様って単に素直じゃないというより、恥ずかしがり屋な一面もあるのでは?」
「あ、それあるかも。今だって、そこそこのスタイルなのにワンピースタイプの水着着てるし」
「いやそれは好みとか機能性の要素もあるでしょう…それを言ったら、エリナちゃんだってそうですし」
「それは確かにね、けど恥ずかしがり屋だからこそ自然と布地の多い格好が好きになる…って事もあるんじゃない?…まあ、それはそれとして…やっぱり、違う次元でもピーシェはピーシェよね」
「えぇ。ピーシェ様は、ピーシェ様ですね」
さっきは苦笑を交わしたわたし達が、今度はうんうんと頷き合う。またお互い、一つしか質問をしてないけど…もう既に、会話としての充実感がある。ビッキィもこのやり取りを楽しんでくれてるみたいだし、それならば嬉しい。
そして勿論、これだけで終わったりはしない。ここから連鎖するように、わたしもビッキィも思い付いた側から訊いて、訊かれた事にはきっちり答える。そうやって、お互いの知るピーシェの事を伝えていき…気付けばわたしは、ビッキィの身体の色んなところに日焼け止めを二度塗りしていた。
「ふぅ…流石にこれ以上塗ったらべたべたして気持ち悪いわよね。ビッキィ、終わりにしましょ」
「っと、そうですね。…あの、セイツさん」
「うん?何かしら?」
「ごめんなさい。わたし、セイツさんの事を真面目っぽいだけで内面は変な女神だと思ってました。けど、それだけじゃなかったんですね」
「ビッキィ……え、誤ってる割には攻撃力高くない…?わたし、謝られてる筈なのにダメージの方が大きいんだけど……」
「それはまあ…仕方のない事かと」
「し、仕方ないで片付けないで…!?」
雰囲気的にはちゃんと謝ってくれてるんだけど、その分尚更鋭さが凄い。そうじゃなかった、ではなくそれじゃなかった、って言い方なのも何気に酷い。うぅ…まさかここにきてお返しをされるとは……。
「こ、こほん。…こうやって日焼け止めを塗り合うのも、いいものよね」
「セイツさんみたいな楽しみ方をする人は他にいないと思いますよ?」
「いやそうじゃなくて…皆も各々、気の緩んだようなお喋りをしてるっぽいでしょ?例えばディールちゃんとエストちゃんはエストちゃんの方が悪戯しつつもとにかく仲良しな雰囲気が漂ってるし、アイとルナもルナがテンション上がってたりアイに逆襲されてたりで賑やかな感じなのがぱっと見でも伝わってくるし…裸の付き合いじゃないけど、身軽な格好でスキンシップをするのって、心の距離を自然と近付けるものなのよ。多分だけど」
「うーん…まあ、そうかもしれませんね。……なんか茜さんだけはいつの間にかいなくなってたと思ったら、影さんを岩陰に引き摺り込んでましたけど…あの後どうなったんでしょう…?」
「さ、さぁ…それについては、触れない方がいい気がするわ……」
「で、ですよね……」
まあ夫婦だし、そういう意味での問題はないのかもしれないけど…と思いつつ、わたし達は互いにゆっくりと頷く。
なんであれ、皆多かれ少なかれ楽しそうな雰囲気。こういう雰囲気が、感情があちらこちらから感じられる環境は、わたしの心を幸福感で満たしてくれる。いやほんと、日焼け止め塗りっていいものよね。スキンシップって素敵よね。もう満足満足、大満足よ。
「さてと。じゃ、遅くなりましたけど今度はわたしが塗りますよ」
「お願いするわ。…あぁ、変な事しちゃ駄目だからね?」
「いいですよセイツさん。わたしは変な事をしない、善良で良識的な人間である事を示してあげますから」
「あ、まさかそっち方面で来るとは…ビッキィの事だから、一瞬で終わる超高速日焼け止め塗りでもするかと思ったのに……」
「そんな事する訳ないじゃないですか。そんな事したら…摩擦熱でジェルが塗った側から消え去りますよ?」
「うん、それだと絶対わたしの肌もただじゃ済まないわよね。そのつもりがなくて本当に良かったわ……」
ただやり返すのではなく、やり返さない事で高潔さを見せ付けるというビッキィの選択。そこはかとなく悔しいような、でも別にショックとかはないような…という、何とも微妙な気持ちになるわたし。ただまあ、変な事をされないのなら、それに越した事はない。だからわたしはもう暫くビッキィとの会話を楽しもうと思いつつ、レジャーシートへうつ伏せになって……
「…あ、ところでセイツさん。セイツさんって前に天然温泉でねぷ姉さんにがっつりスキンシップをされた時、物凄い反応してましたよね?」
「……あ"」
「あれって…もしやセイツさん、スキンシップするのは良くても、されるのにはとんでもなく弱かったりするんです?」
「そ、それは……あっ、そうだわたしやらなきゃいけない事があったんだわ!ビッキィ、ちょっとわたしは失礼──」
「ふっ……それじゃあ最初は、腰から塗っていきましょうね?」
「ぴゃうっ!?ぅあ、ま、待って…まってぇええぇぇぇぇ……っ!」
良い気分だったせいで、塗ったんだから塗ってもらうのは当然の事過ぎて、完全に失念していた自分の弱点。咄嗟に逃げようとしたわたしだけど、時既に遅し。ビッキィに容赦なく、遠慮なく、両手で腰を触られ…後はもう、されるがままだった。じっくり、しっかり、これでもかとばかりに塗って塗って、日焼け止めジェル越しに触られまくって……たーっぷりと、スキンシップを『される』というのはどういう事か教えられるわたしだった。
今回のパロディ解説
・語尾にぞい、が付いていそうなポーズ
NEW GAME!の主人公、涼風青葉の代名詞的なポーズの事。でもこの語尾やポーズって、原作ではあまりやってないらしいですね。逆にいえば、一度でも印象に残る場面だったという事でしょう。
・「…余計なお世Wi-Fi?」
呪術廻戦に登場するキャラの一人、高羽史彦の代名詞的な台詞…というかギャグの事。ネプテューヌなら彼の術式にも即座に適応出来る…かもしれません。
・「〜〜恐怖のサイン〜〜」
ジョジョの奇妙な冒険 ダイアモンドは砕けないに登場する用語の一つの事。エニグマ関連の用語ですね。勿論セイツは見つけたところで、本当にただ楽しむだけですけども。
・「〜〜かも…でも〜〜心が二つある〜〜」
ちいかわにおける、台詞の一つのパロディ。多分ですけど、この台詞を言っているキャラには名前ってないんですよね。使える場面が割とありそうで、実際にはそうでもない台詞かな、とも思います。