超次元ゲイムネプテューヌ Origins Transition   作:シモツキ

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 章タイトルから気付いた方もいるかと思いますが、今話及びこの章の話ははOSにおける『仮想が描く物語』と同系統のものとなっています。


仮想が紡ぐ物語
第一話 もしもの世界、その先の日々


 可能性は、どこにでもある。その場その場では、選択肢なんてないように思えても、そもそも選ぶ余地なんてないように感じられても、後から振り返ってみれば、別の道が、別の未来があったかもしれないなんて事は、意外とありふれている。ただそれは、その時は選べなかっただけ。自分の目には、映っていなかっただけ。手が届く場所には、なかっただけ。

 だからこそ、『今』というのは奇跡の様なもの。何の変哲もない、普通にしか思えない瞬間でも、数多の可能性の果て、その積み重ねによって生み出されたものなんだから。自分には分からない、選べない、知る由もない可能性だって沢山あって、そういうものすら紡がれていった先にあるのが、今なんだから。

 故に、もしも…っていうのは、荒唐無稽な想像なんかじゃない。ほんの僅かにでも可能性があったのなら、きっとそのもしもが『今』になっていた未来も、存在する。そして、現実ともしもは決して隔絶されたものではなく、むしろ隣り合わせであるからこそ…ひと時でももしもが形になった瞬間に、あり得たかもしれない可能性に触れられたのなら──そのひと時は、儚くも尊い。

 

 

 

 

 目覚め、ネプギア達と出会い、共に旅をし、皆のお姉ちゃんである守護女神の皆さんを救出して…私達は、犯罪神と犯罪組織の脅威から、信次元を守る事が出来た。けれど私達の戦いはそれで終わりじゃなくて、くろめさん達による災いがまた、信次元を襲った。その戦いは、複数の次元を巻き込んだ、本当に凄まじいものとなった。

 そして私は、その中で出会った。もう一人の自分に。もう一人の、自分の姉と呼ぶべき女神に。関わり、触れ合い、在り方を知り、思いを伝え、共に人を、皆を守り……その果てに、私は選んだ。私の…原初の女神の複製体、オリジンハートとしての道を。

 

「うぅ…疲れたぁー…凄く疲れたぁぁ……」

「お疲れ様、イリゼちゃん。クッキー食べる?」

「食べる…」

 

 ぐでーっとテーブルに突っ伏す私へ差し出されるお菓子。そちらに顔を向ければ、そのままクッキーを持つ手が…ネプギアが食べさせてくれる。

 

「ちょっとイリゼ、行儀が悪いんじゃない?」

「あ…クッキー、わたしもほしいな…(ちらちら)」

「わたしもー!あ、そっちのチョコが入ってる方ちょーだい!」

 

 分かってるよぉ、とユニの言葉に対して思いつつ私がクッキーをもぐもぐしていると、ネプギアはロムとラムにもクッキーを差し出す。それから「あっ」って顔をしたネプギアは、にっこりと笑みを浮かべながらユニにも渡し…ちょっと恥ずかしがりつつ、ユニは食べた。なんで照れたかったいえば、それは勿論ロムとラムも差し出されたクッキーをそのまま食べたから。流れ的に手で受け取るのではなく、食べさせてもらう感じになっていたから。…恥ずかしがってるユニ、可愛いなぁ。

 

「…よいしょ、っと。ごめんね皆。遊びに来てくれたのに、早速私がへろへろになってて」

「ううん、気にしないで。今はイリゼちゃん、お姉ちゃんと同じ守護女神なんだもんね」

「イリゼ、流石に少しは慣れた?」

「少しはね。…慣れても大変なものは大変だけど……」

 

 苦笑と共に、私は肩を竦める。これまで私はどこの国にも属さない女神だったけど、今はここ、神生オデッセフィアの守護女神。自分で望んだ事とはいえ、毎日凄く大変で…しかも守護女神になった以上、立場的にはネプテューヌさん達と対等になる。勿論守護女神としての経験や実績には大きな差があるし、気持ちとしては今も変わらず皆さんへ一目置いてはいるけども、やっぱり立ち振る舞い…特に仕事の上で接する時には、これまでのようにはいかない。今はもう国民を、神生オデッセフィアを背負っている以上、そこは譲っちゃいけない。…とまあ頭ではその意味も必要性も納得しているけれど、やっぱりなんかこう、生意気な事してるような気分になっちゃって、中々大変。特にそれをネプギア達に見られてたりすると、気持ち的に更にキツい。

 

「ねぇねぇイリゼちゃん。どうしてセイツさんじゃなくて、イリゼちゃんが守護女神になったの?」

「イリゼちゃん、守護女神…なりたかったの…?」

「なりたかった、っていうか…いや、そうだね。私は私とオリゼ…『オリジンハート』を思ってくれる人の気持ちに応えたかった。その為に、守護女神になりたかったんだ。…まあ、それだけなら守護女神である必要はないし、お姉ちゃんに頼むって選択肢もあったけど…まだお姉ちゃんは信次元の事を知っていってる途中だし、信次元に住む人達も、お姉ちゃんの事はまだ全然知らないからね。そんなお姉ちゃんが守護女神になるのは、どっちにとっても良くないでしょ?」

「ほぇ〜…なんかイリゼちゃん、ちゃんと守護女神みたいな事言ってるね」

「うん。ちゃんと守護女神、してる…(こくこく)」

「いや、ちゃんとも何も普通にもう守護女神なんだって……」

 

 言いたい事は分かるけど、そこはもうちょっとオブラートに包んでよ…と手を横に振りながら私は突っ込む。あれ、駄目だった?…と二人は首を傾げて、ネプギアとユニは苦笑をする。

 守護女神となった事で、私を取り巻く環境も、私の日常も、大きく変わった。苦労も戸惑いも、悩む事だって沢山ある。だけど、全部が変わった訳じゃない。私の立場は変わったけれど、皆と話すこの時間は…皆との絆は、変わらない。

 

「ま、これまで通り何かあったらアタシ達を頼りなさいよね。勿論今のイリゼは神生オデッセフィアの守護女神で、アタシはラステイションの女神候補生な以上、何でも手伝える訳じゃないけど…それでも、相談に位は乗れると思うから」

「わたしたちも、力になるよ。イリゼちゃんは、友だち…だから(にこにこ)」

「でも、おしごとばっかりじゃタイヘンでしょ?だからこれからもわたしたちが、イリゼちゃんが休めるようにあそびに来てあげるわ!」

「ふふっ、そうだね。だから今日も、沢山遊ぼ?リフレッシュして、これからも頑張れるように」

 

 皆がそれぞれに見せてくれる、皆の笑み。私への、友達への笑顔。これが、私の宝物。こうやって変わらないもの、変わらずにいてくれるものがあるからこそ、新しい事へ踏み出す、変えていく勇気を持つ事が出来る。

 

「それじゃあ…今日はたっぷり付き合ってもらうよ?まずはゲームで、心の疲れを回復させてもらうからね!」

 

 ばっと立ち上がり、皆に向けて私は宣言。それにネプギアとラムがおー!…と拳を突き上げ、ユニとロムが小さく笑って頷いてくれる。

 そんな皆と、大切な友達と、私は夜まで遊びまくった。今日は皆泊まっていってくれるって事だったから、一緒にご飯を食べて、お風呂にも入って…その一つ一つが楽しかった。だって、友達との時間だから。皆と共に過ごす事で、私は宣言通り心の疲れを回復…どころか、ばりばりの絶好調になる事が出来た。

 とはいえ、楽しければ楽しい程、その時間が終わってしまうのが寂しくなる。それが今生の別れなんかじゃないって事は分かっていても、寂しいと感じてしまう。…だけど、寂しくはあっても辛くはない。だって私にいるのは、友達だけじゃないから。私には、姉妹も……家族も、いるから。

 

「でね、その後は某ユニに名前の似てるカードゲームをしたんだけど、驚く事に皆ちょっとずつルールの認識が違うっていうか、それこそ各国毎?…のローカルルールがあってね。というか、今思うと私も初めからルールを把握してたって事は、オリゼも知ってた…って事なのかな?」

「んー…まあ、そうなのかもしれないわね。…ふふっ」

「…何か変だった?」

「いいや、イリゼの凄く楽しかったって気持ちが伝わってきて、こっちまで楽しくなっちゃっただけよ」

「…つまり、いつもの?」

「そういう事」

 

 テーブルを挟んで向かいに座る、私の姉。私と同じ神生オデッセフィアの女神であると共に、神次元の女神でもあるレジストハート、セイツ。今日…というかついさっきまで、セイツ()()()()()は神次元の方へ行っていて…皆と入れ替わるようにして戻ってきたお姉ちゃんに、私は皆と遊んだ時の話をしていた。

 そういう事だと返すお姉ちゃんが浮かべているのは、柔らかな笑み。いつものとはつまり、姉の趣味…趣味?…である、感情に触れて興奮するアレ。今回は割と爽やかというか、普段の…その、凄く良くない感じが特になくて…普段からこうなら良いのになぁ、と思っちゃったのは内緒。

 

「でも、そっか…イリゼがそんなに楽しかったって言うなら、皆も同じように楽しんでたのよね、きっと」

「うーん…うん、そうだね。そうだと良いな」

「わたしもそう思うわ。皆が楽しんでたなら……はぁ、わたしもその場に居たかったわ…あぁっ、きっと素敵な思いを沢山感じる事が出来たのに…!」

 

…前言撤回。やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだった。普通に平常運転だった。…まぁ、そうだよね…。

 

「…だけど、同時に反省でもあるわ」

「反省?」

「だって、イリゼは疲れてたんでしょ?精神的であれなんであれ、それに気付かなかった事はわたしの失態よ」

「失態って、そんな…別に私は思い詰めるレベルで疲れてた訳じゃないし、お姉ちゃんだってそれぞれの次元の女神として忙しいんだから、特に気付けなくたって……」

「ううん、失態よ。だってわたしは貴女のお姉ちゃんだもの。それに国を興し、一から…って言っても、本当に何もないところからのスタートではないけど…神生オデッセフィアを築いていく事がどれだけ大変かなんて、考えるまでもない事。守護女神…国の代表としてより相応しいのはイリゼだし、自分がそうなろうと決意したイリゼの思いも尊重してるとはいえ、同時に共に頑張る女神として、姉として、きっちりイリゼを助けてあげないとって思ってたのに、実際にはこれなんだから、私はこの失態を反省して、これからに活かさなきゃいけないわ。…分かるでしょ?これからだって、大変な事は」

 

 そんなに重く受け止めなくても…と思った私だけど、お姉ちゃんの思いを聞いて、考えを改める。お姉ちゃんが普段から私の事を気にして、助けてくれようとしていた…ううん、もしかするとこれまで気付いていなかっただけで、助けてくれていたんだとしたら、私は嬉しいし、感謝したい。それにお姉ちゃんの言う通り、今は特に大変な時期だけど、今を乗り切った後も全然大変じゃなくなる事なんてまずないんだから、私としても心構えはしっかりしなきゃいけない…と、思う。

 

「…そうだね。ありがと、お姉ちゃん。私も自分の事、もっとちゃんと気を付ける」

「それが良いわ。…って、いう訳で……」

「……?」

「今度の休み、一緒に出掛けない?」

 

 ぴっ、と人差し指を立てて、お出掛けの提案をするお姉ちゃん。私としては別に嫌じゃないし、次の休みは特に予定もなかったから、良いか悪いかでいえば勿論良い。加えて今は、お姉ちゃんからの気遣いである事も分かってる。だから私はお姉ちゃんからの提案に頷き、一緒に出掛ける事にするのだった。

 

 

 

 

「…因みにだけど、他意っていうか、さっきの話で楽しむ私の心に触れたくなったから、みたいなのは……」

「んもう、そんなの……あるに決まってるじゃない」

「…お姉ちゃんって、ほんと常識だよね……」

 

 

 

 

 約束をした、次の休みの当日。前日の夜の内に、しっかり準備を済ませた私達は朝から出掛け…目的地に、到着する。

 

「着いた〜!さーって、今日は遊ぶわよ、イリゼ!」

 

 早くも賑わう人の声が聞こえてくる中で、くるりと振り向いたお姉ちゃんは言う。今日の出先、目的地は、神生オデッセフィアに新しく出来た遊園地。

 

「ふふ、テンション高いねお姉ちゃん」

「当ったり前よ。だってもう今の時点で、色んな人の色んな明るい気持ちが伝わってくるんだもの。正直わたし的には、遊園地の中にいるだけで一日楽しめると言っても過言じゃないわ」

「いや普通に楽しもうよ…そんな独特過ぎる楽しみ方されても困るよ……」

 

 確かにお姉ちゃんからすればそうなのかもしれないけど、それに付き合わされちゃ堪ったものじゃない。私は普通に楽しみたい。…まあ、お姉ちゃんは私の言葉に返答しただけであって、本気でそうしようとしてる訳じゃないと思うけども。

 ともかく私達は、ゲートを潜り遊園地の中へ。こういう所に来るのは初めて…じゃないけど、かなり久し振りだし、だから楽しみ。

 

「じゃあ、まずは何から行く?ジェットコースター?メリーゴーランド?それとも探索系?」

「そうねぇ…カートでグランプリしたりサバイバルしたり、風船バトルしたりしちゃう?」

「それを実際の遊園地でやったら迷惑どころの騒ぎじゃないよね…」

「だけど、普通にアトラクションを経験するんじゃ少し物足りないでしょ?例えばジェットコースターなんて、絶対女神化しての空戦の方が速度も機動も上じゃない」

「うんまあそれはそうかもだけど…それを言ったら悲しくならない…?」

 

 確かにスリルという点で言えば、女神にとってジェットコースターは心を満たす上で厳しいものがあるかもしれない。むしろ自由に動けない点がスリルになるかもしれない。…でも……

 

「…どんなアトラクションでも、お姉ちゃんと体験するのは初めてだし、だからきっと私は楽しいと思うけど、な……」

「イリゼ……じゃあもう、片っ端から回りましょ♪」

「わっ、ちょっ…いきなり引っ張らないでよぉ!?」

 

 がっ、と捕まえるように腕を絡ませ、ぐいぐいと私を引っ張っていくお姉ちゃん。その顔には、もう既に凄く楽しそうな笑みが浮かんでいて…私もなんだかそれだけで、ちょっぴり楽しいような気がした。

 そう。これは初めての、お姉ちゃんとの遊園地。だからきっと楽しめる。きっと…楽しくなる。

 

 

 

 

「ふー…勢い任せに、本当に片っ端から遊びまくったわね…」

「遊びまくったねぇ…勢い任せなもんだから、一回間違って同じアトラクションの列に並びかけた事もあったよね…」

「後…なんかジェットコースターに乗った時、全身黒い格好の男性二人が仲良く最後尾に座ってたわね……」

「そういえばそうだったね…何かのコスプレかな、コスプレだよね多分……」

 

 遊園地に来てから数時間後。女神のタフさにものを言わせてノンストップで遊び続けた(勿論待ち時間とかはあったけど)結果、気付けばお昼過ぎになっていた。

 

「ね、お姉ちゃん。そろそろお昼にする?」

「わたしもそうしたいと思っていたところよ。ふふ、この気の合い具合も姉妹だからかしら」

「それは単に朝食を食べた時間も、それからやってきた事も同じだからじゃないかな…」

「もう、そんな夢のない事言わないの。…で、どうする?屋台で何か買って食べるか、それともちゃんとお店に入るか…」

「んー…折角だし、一番最初に見つけたものにするとかどう?」

 

 今は別に、これが食べたいってものはないし…と私が提案すれば、お姉ちゃんはいいわね、と言って乗ってくれる。勿論これの場合、お昼ご飯にしたいのにデザート系の屋台を最初に見つけちゃったり、美味しいけどあんまりお腹には溜まらない…的なのを見つけちゃう可能性もあるけど、そうなったらそうなったで楽しいというもの。それに、姉妹でお出掛けしてるだけなんだから、後で食べるもの追加したって別にいい訳だしね。

 

「ふんふんふ〜ん♪」

「お姉ちゃん、ほんとに楽しそうだね」

「えぇ、楽しいわ。イリゼはどう?」

「私?私は…私もとっても楽しいよっ」

 

 軽快に数歩先を行き、振り返る形で私は言う。今日こうして出掛ける事で、私は気付いた。これまで私は、お姉ちゃんも出掛ける事こそ色々あったけど、朝から遊びの為だけに出掛ける事はなかったな…って。

 でもそれも、仕方のない事。お姉ちゃんと出会ったのは、くろめさん達との戦いの中で神次元との繋がりが出来てからだし、姉妹だと知ったのは更に後。加えて一連の戦いの後は、すぐに神生オデッセフィアの建国に奔走していたから、お姉ちゃんと普通の姉妹みたいに過ごす事自体があんまりなかった。…もしかして、お姉ちゃんが今回誘ってくれたのは、お姉ちゃんもそれが頭にあったから…っていうのもあるのかな?

 

「…あ、イリゼ。あそこ、カフェじゃない?」

「へ?あ、ほんとだ。じゃあ、あそこにする?」

 

 と、そこでお姉ちゃんがちょっと古そうな雰囲気のある建物を指差す。どういう食事がメインかは外観からじゃよく分からないけど、人の出入り具合からして、それなりに賑わってはいる様子。

 

「激辛料理店だったらどうする?そういう専門店だったら大変な事になっちゃうわよ?」

「遊園地内のお店にそんな尖ったコンセプトを採用したりはしないでしょ……」

 

 一つや二つそういうメニューがある可能性は否定しないけど、全メニュー激辛とかなんてある訳がない。お姉ちゃんは結構冗談を言うし、それに振り回される事も多い私だけど、流石にそれは心配するまでもないような事。実際お姉ちゃんもそれは分かった上で言っていたのか、まあそれはそうよねと言いつつ私と共にお店の正面へ……

 

「…………」

「…………」

「……ねぇ、お姉ちゃん」

「…何かしら、イリゼ」

「あそこの看板、お化け屋敷カフェ、って書いてない…?」

「書いて、あるわね……」

 

…回った結果、やっぱり激辛店ではないようだけど、別方向で凄く私に相性の悪そうなお店だった。お化け…お化け屋敷カフェ…お化け屋敷の、コンセプトカフェ……。

 

「…止めとく……?」

「そ、そうね…いや、ほら…食事がメインのところじゃない可能性があるし、『お昼』にはそぐわないかもしれないものね…!」

 

 それがいい、そうしようと私は首肯。物凄く、ものすっごく首肯する。…べ、別に入りたくない訳じゃないよ?お化け屋敷だからどうこうって事は、全くもってないですよ?だけどお姉ちゃんの言った通り、私達はあくまで食事をする為の場所やお店を探していた訳だからね。そういう意味じゃここはそもそも『最初に見つけたもの』に該当するかどうか微妙なラインだし、食事という当初の目的を十分に待たせないんじゃ本末転倒──

 

「い"ら"っし"ゃい"ま"せぇ"…!い"か"が"ですが"ぁ…?」

『ひぃいいいいぃぃッッ!?』

 

 ゆらり、と血に濡れた格好(勿論そういうコスチュームなだけ)をして現れた、お化け屋敷カフェの店員…らしき人。その店員さんにいきなり声を掛けられた私達は、びっくりして…そう。怖くなったとかではなく、ただただ不意打ちのように声を掛けられた事で超びっくりして、その場から全力で逃走…もとい、疾走してしまうのだった。

 

 

 

 

 紆余曲折を経て、普通に遊園地内のレストランで昼食を食べた私とお姉ちゃんは、それからも大いに遊んだ。お姉ちゃんが言及していたジェットコースターは、自分で飛ぶのとは違う感覚を味わえたって意味で結構悪くなかったし、迷路は突破までの時間をお姉ちゃんと競い合って楽しかったし、ゴーカートでは年甲斐もなく…っていっても、私もお姉ちゃんも女神だけど…スピード勝負をして、お姉ちゃんに私のハンドル捌きを見せつけてみせた。…上手かったかどうかは、自分でもよく分からない。

 

「…なんか、落ち着くね」

「落ち着くわね」

 

 本当に、今日は一日遊びに遊んだ。…遊園地なのに当のアトラクションパートが殆どなかった気もするけど…まあ気にしない、気にしないって事にする。

 そんな私達は今、遊園地の締め括りに…って事で、観覧車に乗っている。静かに、ゆっくりと回る観覧車に乗り、景色を眺めていると、心が落ち着く。

 

「…あっ、そういえばコーヒーカップやってなかったわ…あれで高速回転を試してみたかったのに……」

「多分それはスタッフさんに止められるやつじゃないかな…やってみたい気持ちは分からないでもないけど…」

「…イリゼって、真面目なようで実は結構はしゃぐタイプよね。今日だって、最初はわたしが引っ張ってた筈なのに、いつの間にか『ね、次はあれ乗ろ?絶対楽しいって!』…って言って、むしろわたしを引っ張ってたし」

「うっ…だ、だって…こういう所に来るの、久し振りだったし……」

「別に、悪いって言ってる訳じゃないわ。普段はあんまり見られない姿を見る事が出来て、わたしとしても嬉しかったし」

「…そ、そう…?」

 

 私自身、途中からテンションが上がってるなぁ、っていう自覚はあったけど、実際に指摘されるとやっぱりちょっと恥ずかしい。だけど、一緒にいたお姉ちゃんが嬉しかったと言ってくれるなら…悪い気は、しない。

 

「…え、っと…そ、そうだ。観覧車って、大概刺激的なものか、身体をそれなりに動かすアトラクションが多い遊園地の中じゃ、なんかちょっと浮いてるよね」

「言われてみると、確かにね。それでいて遊園地の定番、っていうのも少し不思議というか…ひょっとして、この高さがスリルに繋がってるのかしら?ゆっくりだから、すぐには終わらないし」

 

 話を逸らすように私が観覧車の話をすれば、お姉ちゃんはすんなりと乗ってくれる。それから私達は二言三言話し…会話が、途切れる。でも、落ち着いた雰囲気なおかげか、静かでも居心地の悪さは感じない。

 

「…お姉ちゃん」

「なにかしら、イリゼ」

「…ありがとね」

 

 一拍置くようにして、私が伝える感謝の言葉。それを聞いたお姉ちゃんは、私の事をじっと見つめて…でも、何も言わない。言わずにただ、待ってくれる。

 

「嬉しかったんだ。お姉ちゃんが誘ってくれた事。その気遣いも勿論嬉しかったけど…家族と一緒に出掛けられる事、姉がそうしたいと思ってくれた事…それが凄く、私には嬉しかった。やっぱり私にとって、家族は大切で、特別な存在だから。こうしていられる事は、幸せだから」

「…だとしたら、別に感謝される事じゃないわね。だって、わたしも同じ気持ちだもの。わたしだって、誘いを受けてくれた事も、こうして遊びに出掛けられた事も…貴女との時間そのものが、幸せで価値あるものだから」

 

 お姉ちゃんの言葉が、心に沁みる。家族との時間なんて、わざわざありがたみを感じる程の事じゃない…そう思う人もいるだろうし、むしろ私はそれで良いと思う…家族と居られる事が当たり前だと思える国を、社会を作りたいと思うけども、そうではなかった私には、これまでも今もかけがえのないもの。だから幸せだし、お姉ちゃんも同じように思ってくれているのなら…もっと、幸せ。

 

「…させてよ、感謝。今、私の中にある気持ちは、伝えたいもん。この気持ちは、必要ないなんて思いたくないもん」

「…えぇ、そうね。そうよね。うん、それじゃあ…目一杯、受け取るわ」

「ほんと?じゃあ、もう一回。……本当にありがとね、お姉ちゃん」

 

 我ながらちょっと子供っぽい言い方になってるな、と思いつつ食い下がれば、お姉ちゃんは肩を竦め、軽く手を開けて受け止めるアピール。いつもなら、わざわざジェスチャーまでされると今度は言うのが少し恥ずかしくなるものだけど、不思議と今は、そういう気持ちにはならなくて…自然と浮かんだ笑みと共に、もう一度私は感謝を、私のありのままのありがとうを伝えた。

 それは丁度、私達の乗るゴンドラが一番高いところへ登ったタイミング。見晴らしの良い景色が左右に広がる中、私は私の気持ちをお姉ちゃんに届け……それから残りの半周の間を、私はあまり見たくないような興奮顔をしたお姉ちゃんと過ごすのだった。…折角の時間が台無しだよ、お姉ちゃん……。

 

 

 

 

 神生オデッセフィアの教会、今の私にとっての家へと帰った私達は、お昼同様遅めとなったご飯を家族で食べた。

 そう。お姉ちゃんと二人でではなく、家族で。私には、私達には…もう一人、姉妹がいるんだから。

 

「イストワール、湯加減は如何?」

「はふぅ…丁度良いです…(*´꒳`*)」

 

 湯船…に浮かべた風呂桶、その中に張られたお湯。そこに入ってくつろぐのは、私とお姉ちゃんにとっての姉、イストワールさん。見た目もサイズも妖精みたいなイストワールさんは、普通のお風呂じゃとても寛げない訳で…いつもこうして、某おじゃるな妖精貴族みたいな入浴スタイルを取っている。

 そう。夕飯を終え、一服(勿論喫煙じゃないよ?)を経た今、私達は姉妹揃って入浴中。

 

「ごめんなさい、イストワールさん。今日は私達二人だけで楽しんじゃって…」

「いえいえ、わたしでは大半の乗り物系アトラクションを楽しむどころか乗る事も叶いませんし、気にしないで下さい。それに、お土産のお菓子も買ってきてくれたじゃないですか(´・∀・`)」

「確かにイストワールの場合、背丈が足りないどころか、安全バーが掠りもしないものね」

「そ、それは本当にそうですけども…(¬_¬)」

 

 わざわざ言わなくてもいいじゃない、とほんのり口を尖らせるイストワールさんの返しに、私はくすりと笑ってしまう。…でも、私としてはやっぱり、イストワールさんとも行きたかった。乗り物系は無理でも、迷路とか射的系はやれただろうし、そうすればイストワールさんとも楽しさを共有する事が出来た。

 だけど逆に、乗り物系の時は待たせてしまう事にもなるし、だからってイストワールさんがやれないアトラクションを避けるようにしていたら、きっとそれはそれでイストワールさんに気を遣わせちゃう。それを思えば、一緒に行かなかったのは間違いじゃないだろうし…でもやっぱり、三人で遊びたかったなぁ……。

 

「…んー…イストワール。今度映画とかどう?」

「そうですね。それならば皆で楽しめますし(^ ^)」

「…へっ?あ、あの…それって……」

「ほんと、イリゼってば分かり易いんだから。ねー、イストワール」

「ふふ、確かにイリゼさんは良くも悪くも顔に出てしまいますからね( ̄∀ ̄)」

「〜〜〜〜っっ!」

 

 声になんて出していない。思っている事を途中から口にしてしまうという、毎度恥をかくミスもしてはいない。なのに私の考えていた事は、セイツとイストワールさんには丸見えの筒抜けで……恥ずかしさから急激に頬が熱くなった私は、それを隠すべく鼻の辺りまで顔を湯船に沈めるのだった。

 

「…あ、ところでイリゼさん。セイツさんは、スタッフの方や他の来園者の方にご迷惑をお掛けしたりしませんでしたか?(・・?)」

「ちょっと?それはどういう事よイストワール。わたしがイリゼの妹且つまだ小さい子供とかなら分かるけど、今の問いは色々おかしいんじゃないかしら?」

「あ…っとはい、大丈夫です。ちょいちょい周りの人の感情…特にアトラクションから出てきたばっかりでまだ気持ちが高揚している人の心に反応してやたらテンションが高くなってたり、そのせいで変な目で見られてたりはしてましたけど、直接的な迷惑は掛けてない…と思います。…多分」

「イリゼまで!?わ、わたしだってTPOは弁えているつもりよ!?」

 

 ちゃぽん、と風呂桶の中で姿勢を変えたイストワールさんが問い、私の返しにざばりと立ち上がりながらお姉ちゃんが抗議。勢い良く立ち上がるものだからお湯は飛んでくるしイストワールさんの風呂桶は揺れるしで、こっちとしては困ったもの。……まあ、途中からちょっと弄るような言い方をしたのは事実だけど…。

 

「ちゃんと弁えているのであればいいんです。人に迷惑を掛けない、これは人も女神も関係なく、当たり前に気を付けなければいけない事ですからね( ̄^ ̄)」

「むぅぅ…その発言自体が、わたしをちょっとそういう目で見てるからこそな気がするわ……」

「それはまぁ、普段の言動が言動なので…(ー ー;)」

「うん。それはほんとにその通りだと思うよ、お姉ちゃん」

「だからなんでイリゼまで…!?うぅ…わたしは感情の尊さに心をときめかせてるだけなのにぃ……!」

 

 とにかく不服そうなお姉ちゃんの姿に、イストワールさんと肩を竦め合う。今日も遊園地へ誘ってくれた時も、お姉ちゃんって感じの姿を見せてくれたセイツお姉ちゃんだけど、こういうところは全然姉って感じがしない。

 でも、それだっていい。私は別に、お姉ちゃんにお姉ちゃんらしさを求めてる訳じゃないし、それを言ったらイストワールさんも、外見はどこからどう見てもお姉ちゃんって感じじゃないんだから。それでも私は、イストワールさんの事を姉として慕っているし、それはセイツお姉ちゃんも同じ事。だから、今のままでいい。今の、お姉ちゃんらしいお姉ちゃんがいい。…そんな思いも抱きながら、三人でゆっくりとお風呂に入って…お風呂上がりの脱衣所で、私とお姉ちゃんは共に、イストワールさんを誘った。今日は、一緒に寝ようって。

 

 

 

 

「あの、その…窮屈ではないですか…?( ;´Д`)」

「全然窮屈じゃないですよ。…というか、イストワールさんは殆ど占有してませんし……」

「そ、そうですか…別にわたしは、もっと端っこでも良いんですよ…?決してこんな、お二人の間などではなくとも……( ̄▽ ̄;)」

「何言ってるのよ。イストワールはわたし達二人の姉なんだから、当然相応しいのも真ん中に決まってるじゃない」

 

 寝巻き姿で、私のベットにごろんと転がる。イストワールさんを挟む形で、私とお姉ちゃんは横になっていて…誘いに応じてくれたイストワールさんだったけど、どうにも落ち着かない様子。

 

「…もしかして、実はあんまり乗り気じゃなかった…?だとしたら、その…無理言ってごめんなさい…」

「の、乗り気でない訳ではないんですよ?全然嫌ではないんです、むしろ嬉しい位ですし…(・□・;)」

「それじゃあ…もしかしてイストワールさん、慣れないところだと寝られないタイプですか…?」

「そうでもなくて、その……(´Д` )」

『その…?』

「…寝返りが、恐ろしいというか……(>_<)」

 

 予想外の…でもある意味納得の理由に、私とお姉ちゃんは顔を見合わせる。確かにそれはそう、物凄くそう。私達とイストワールさんの体格差を考えれば、寝返り一つでぺしゃんこになりかねないんだから、安心して眠れる訳がない。

 という訳で、私達は相談。どうしたものかと意見を出し合い…結果、私とお姉ちゃんは少しだけ枕を足側にずらし、頭側の空間に余裕を持たせて、イストワールさんは枕を挟んで反対向きに寝るという事になった。

 

「これなら大丈夫よね。それからもし、イリゼが寝相でイストワールを落っことしたりしたら、わたしに言って頂戴。その時はわたしが、イリゼをめっ!ってするから」

「…じゃあ、お姉ちゃんがイストワールさんを落っことしたら?」

「その時は…嫌な事件だったわね、と心の中に刻んでおくわ」

(なんかズルい……)

 

 自分に甘い(といっても、めっ!…の時点で冗談だろうけど)お姉ちゃんの返しに私は半眼を向けるも、当のお姉ちゃんはどこ吹く風。それにイストワールさんは苦笑をし…お姉ちゃんは、ふぅ、と一つ吐息を漏らす。

 

「…それじゃあ、お休み二人共」

「うん、お休み」

「はい、お休みなさい(^O^)」

 

 寝る前だからって、特別何か話す訳じゃない。今日の事は夕飯の時にもお風呂でも話したし、守護女神になって忙しくなったとはいえ、家族で過ごす時間はこれまでも決して少ない訳じゃなかったから。

 それに…なんていうか、こういうのも良いと思う。寝る前に色んな話をするのも素敵だけど、一緒に寝るのを特別な事と捉えなくても良いんだって思えるのも、なんだか素敵。仲良しな双子のロムとラムはいつも一緒に寝てるみたいだし、ネプギアもネプテューヌさんと一緒に寝る事はあるみたいだし、そんな皆と同じ…っていうのも、嬉しい気持ちになれる。……ユニに関しては、殆どないみたいだけど…まあ、素直じゃないもんね…。

 

(…そういえば…結局イストワールさんの事は、お姉ちゃんって呼んでないな…なんだか恥ずかしいからって事で、ずっとイストワールさんって呼んでたけど…その内イストワールさんの事も、お姉ちゃんって呼びたいな……)

 

 私は最初から、セイツお姉ちゃんをお姉ちゃんと呼んでいた訳じゃない。そもそも最初は姉と知らずに出会った訳で…だけどネプギア達が、お姉さん達を「お姉ちゃん」と呼んでいて、いつしかそれを羨ましく感じるようになって…ある時セイツお姉ちゃんの事を、思いきってお姉ちゃんと呼んでみた。それが始まり。なんて事ない、何気ない切っ掛け。

 私とセイツお姉ちゃん、イストワールさんは、姉妹だけど、普通の姉妹関係とはかなり離れてると思う。女神である事もそうだし、出会い方もそうだし…何より同じ原初の女神から創り出された存在だから、姉妹の様なもの…ってだけで、厳密な意味での姉妹であるかどうかは微妙なところ。だからこれまでも、今も、私の…私とお姉ちゃん達の在り方について、合っているのかどうか、姉妹らしいかどうか、不安になる事がある。…だけど……

 

「お姉ちゃん、イストワールさん…いつも、ありがとう。二人共…大好き」

 

 心の中にある、私の気持ち。二人への、大好きだって思い。これは、これだけは間違いじゃないって、本物だって、断言出来る。確信してる。だから…これで良い。難しい事なんて考えなくなって、こう思えるお姉ちゃん達がいるだけで…私は幸せ。

 そんな思いを抱きながら、私は目を閉じる。二人のお姉ちゃんとの…家族との日々に、思いを馳せながら。

 

 

 

 

…………。

 

……………。

 

………………。

 

 

 

 

「……ふ、ぅ…んんー…っ」

 

 機材から身体を起こし、ぐっ…と伸びをする。寝ていた訳じゃないのに、寝ていたような…夢を見ていた訳じゃないのに、夢から覚めたような…そんな感覚を、いつも抱く。

 

「お疲れ、イリゼ。ふふふっ、今日のテストはどうだったかしら?」

「どうもこうも、設定の関係で何も覚えてない…って、セイツ?なんか、やけに嬉しそうじゃない…?」

「さぁて、何の事かしらね〜♪」

 

 仮想世界形成装置。その二号機へのデータ蓄積の為に、私は意識を飛ばしていた。これまでにも数多くやっていて、既に十分なデータがあるとは思うけど…こうして定期的にやる事で、常に新しいデータ…最新の情報が装置に蓄積される事もなるから、続ける意味は結構ある。

 そして今回、モニタリングはセイツが行ってくれていた。何故か楽しそうなのは、多分今回形成された仮想空間が見ていて面白いものだったからなんだろうけど…むむ、気になる……。

 

「…そういえば、セイツは仮想空間の出来事についても興奮するんだっけ?」

「いや別に?だって仮想空間の中で発生してるのは、結局のところデータによる再現じゃない」

「まあ、そうだよね…(ならやっぱり、単純に見てて面白い内容だったのか…後でログの確認しよう…)」

 

 私が機材から離れたところで、すぐにセイツは装置の終了動作を進めてくれる。仮想世界形成装置は何も私の為だけの装置じゃないし、オリゼの存在がある以上、セイツもその恩恵を多大に受けているのは事実。でも同時に、今回はセイツが付き合ってくれた形な上、モニタリング中は何か特殊な事が起きなければ基本そんなにやる事はないし、メカオタなネプギアと違って、セイツは暇に感じる時間も多かった筈。それなのに嫌そうな雰囲気を微塵も出さず、てきぱき終了作業をしてくれるセイツは…やっぱり優しい。

 それになんだか今は、普段よりもセイツへの感謝が胸の中にある気がする。セイツの機嫌が良いのは、ひょっとしたらこの、私の中にある気持ちを感じ取っているのかもしれない。まあ何にせよ、感謝はちゃんと伝えるべきもの。セイツはまあ例外的な存在だけど、思いは言葉や行動にしなくちゃ伝わらない。だから私はきちんと言う。言う事にする。

 

「ね、ちょっといいかな?」

「うん?何かしら?」

「別に大した事じゃないんだけどさ…今日は手伝ってくれてありがとね、()()()()()

「へっ?」

「えっ?…………あっ…」

 

 何気なく、いつもと同じ調子で言ったつもりの言葉。だけど実際に出たのは、普段ならば言わない言葉。それに気付いたのは、私よりセイツが先で、驚くセイツの顔と反応を見て、私も気付く。

 なんで『お姉ちゃん』と言ってしまったのかは分からない。分からないけど…恥ずかしい。物凄く恥ずかしい。私は自分の頬が赤くなっていくのを感じ…けれど同時に、不味いとも思った。この流れで、ただでさえセイツの気分が良くなってるところへ、こんな感情を抱くのは非常に不味いと。でも、気付いた時にはもう遅く……

 

「も〜〜、イリゼってば本当に…本当にお姉ちゃんっ子なんだから〜♪」

「あ、ちょっ…その顔止めて!?そのにやにやした顔ほんと嫌だから!興奮してる時の顔もアレだけど、今の顔も凄い見たくない感じだから!…って聞いてる!?聞いてないよね!?ねぇッ!?」

 

 案の定大興奮した…しかも今回はそれだけじゃなく、姉としての感情も大いに刺激された様子のセイツ。そのセイツは、まるで私の話を聞いてくれなくて……やっぱりセイツはセイツだ、色々とアレな姉だ、と思わざるを得ない私だった。




今回のパロディ解説

・「〜〜某ユニと名前が似てるカードゲーム〜〜」
UNOの事。ユニとウノ…片仮名で表記するとそんなに似ていませんが、UNIとUNOだと似ていますね。後、UNOは公式ルールだと思っていたものがローカルルールだったりする事も多いので驚きです。

・「〜〜カートでグランプリ〜〜風船バトル〜〜」
マリオカート ワールドにおける、各種ゲーム内容の事。メインのレースや新要素のサバイバルだけでなく、昔からある風船バトルも健在…っていう事には、少しだけ感慨深さを抱きます。

・「〜〜ジェットコースターに乗った〜〜最後尾に座ってた〜〜」
名探偵コナンにおける、第一話の展開のパロディ。なんかこれだと殺人事件が起きたり高校生が小さくなったりしそうですが、普通にイリゼ達がその後も遊んでいる辺り、多分大丈夫だったのでしょう。

・〜〜某おじゃるな妖精貴族
おじゃる丸の主人公、坂ノ上おじゃる丸の事。しかしイストワールの場合、風呂桶ですらかなり広い湯船になりそうですね。後、実はおじゃる丸が妖精界から来た存在というのは、知らない方も多いかと思います。

・「〜〜嫌な事件だったわね〜〜」
ひぐらしのなく頃にに登場するキャラの一人、富竹ジロウの代名詞的な台詞の一つのパロディ。実際妹に押し潰されて…なんて状況になったら、それは嫌な事件ってものです。
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