超次元ゲイムネプテューヌ Origins Transition 作:シモツキ
陸上調査組と、水上調査組。その二つに俺達は分かれ、陸上調査組は森へと出発した。面子からして、向こうはまあ大丈夫だろう。多少の荒事なら何とかなる、捩じ伏せられるであろう面子が揃っているからな。
だから特に、向こうを気にする必要はない。向こうの事は頭の片隅へ置いておくに留めて、こっちはこっちの調査に集中するべきだろう。そう思いながら、俺は茜や他の面々と共に、砂浜へと移動した。
「よーし!それじゃあ皆、出発するよー!」
『おー』
明るく掛け声を上げた茜の言葉に、ビッキィとイリス、それに愛月が反応する。ビッキィとイリスは茜程テンションが上がってる訳じゃない(というかイリスは安定の一本調子)ようだが、愛月については割としっかり拳を上げていた事と、六人中三人が反応してくれた事で茜はご満悦な様子。
「…しかしまた、張り切った格好に着替えてきましたね」
「別に張り切ってる訳じゃないんだけどな」
ぐるりと周囲を見回した後、こちらに視線を向けてきたピーシェへそうではないと俺は返す。
つい先程、茜の圧に抗えなかった俺は渋々就職を…もとい、着替えを決意した。だが、水着というのはどうにも性に合わない。だから俺は茜を何とか説得し、黒と灰色のダイバースーツを着るに至った。…暑さ?そんなものは二の次だ。
「ところで茜さんはどうしてラッシュガードを?着替えた時点では用意してませんでしたよね?」
「あ、これ?えー君がね、『軽い気持ちで大胆に素肌を晒すな、はしたない』って言って選んでくれたんだ〜」
『へー』
「軽い気持ち…?気持ちに重さはある…?」
…とか思っていたら、ビッキィとピーシェからまぁまぁ棘のある視線を向けられた。はしたなくて悪かったですねぇ、とばかりの視線だった。まあだが気にしない。これは予想の範疇なのだから。
「はは…では、行くとしようか。影君、操作については……」
「さっきの説明で十分だ。もう全部頭に入っている」
「流石だね。とはいえ最初は低速で慣らし運転をしてくれるかな」
「……?えー君、何の話?」
「アレの話だ」
首を傾げた白のラッシュガード姿の茜(とても良い)に、俺は目の動きで指し示す。俺が視線を送ったもの…それは、ワイトの機体である局地戦仕様機のコンテナに搭載されていた、そして今は水際に設置されている、水上バイク。
「アレって…もしかしてえー君、運転するの!?じゃあじゃあえー君、私後ろに……」
「わっ、凄い!…乗ってみたいなぁ……」
「…こほん。えー君、あい君を後ろに乗せてあげて?いいでしょ?」
ぱぁっと表情を輝かせた茜だったが、直後に愛月も目を輝かせ…それを見た茜は、柔らかな表情を浮かべて言う。…茜がそうしたいのであれば、異論はない。だから俺は水上バイクに跨り、愛月に後ろへ乗るように言う。そして俺達は、どんなルートで食料確保を兼ねた調査をするか確認をし…出発する。
(実際動かしてみると、思った以上に波を感じるな…けど、この風は悪くない)
先行するのは、ホバー状態で水上を駆けるワイトのアームズ・シェル。その後を追う形で、水上バイクを走らせる。慣れるまでは低速で、慣れてきたら少しずつ速度を上げて、波を掻き分けながら進む。…うん、ほんとにこの風と水飛沫の当たる感覚は気分が良いな…。
「愛月、問題なければもう少しスピードを上げてみるが、どうだ?」
「あ…え、えーっと…スピードは、問題ないんだけど……」
「…だけど?」
「…か、髪が…わぷっ……」
「…すまん、それは本当に失念していた……」
水上バイクを一旦止め、一先ずの対応としてタオルをヘアゴム代わりにする事で髪を纏める。正直かなり雑な纏め方になっていると思うが、特に気にする事ではない。
「…そういえば、愛月も前に比べて髪を伸ばしていたな」
「うん。ずっと同じ髪型だと飽きちゃうんだー。影さんはどうして伸ばしてるんですか?」
「俺は伸ばしているというか、興味がないだけだな。…じゃ、行くぞ」
「うん!あははっ、気持ちー!」
再度発進、スロットルを捻り速度を上げていく。髪の問題が解決した事で愛月は楽しめているらしく、特に怖がる様子はない。同時に加速やカーブがあってもバランスを崩すような気配もなく…常日頃から旅をしてるだけあって、結構逞しいものだな。……あ。
「ところで愛月、フロストの方はいいのか?トレーナー?…がこっちに乗ってたんじゃ、気分を損ねたりするんじゃないのか?」
「え?あー、問題ないよ。だって……」
ふと頭に浮かんだ疑問。場合によっては降りた方が、とも思ったが、愛月はそれを失念していた訳ではないらしく……
「らぷーっ!」
「ひゃっほーっ!水飛沫と風がきもちいーねっ!」
「ん、確かに気持ち良い。ひゃっほー」
「わっ、前後で揃って手を離さないで下さい…!」
ちらりと後ろを見てみれば、茜、ピーシェ、イリスを背中の甲羅に乗せたフロストが、結構なスピードで追い掛けてきていた。…まぁ、うん…フロストもこっちに対抗意識を燃やしているというか、競争感覚っぽいから別にいいが…穏やかそうな見た目の割に、結構アクティブだな…。
「そうですよ、茜さん、イリス。この速度で落ちたら危ないんですから、ちゃんと掴まっているべきです」
『…………』
「…なんですか?」
「いやー、なんていうか…多分この場で一番シュールなのは、きぃちゃんだよねぇ」
「……?」
「…ぴぃちゃん、きぃちゃんって……」
「えぇ、ご覧の通り実はまあまあ天然です」
「らぷぷ?らぷーぅ!」
「おお、フロストがビッキィにも負けないと言っている。フロスト、頑張れ」
先頭のイリスはフロストの首から、最後尾の茜はピーシェの胴から手を離すという状況(ピーシェが胴に手を回しているイリスはともかく、茜は脚力だけで留まってるな…)に、ピーシェに続いてビッキィも注意喚起。だがその発言によって流れるのは、微妙な空気。まあ、それはそうだ。そりゃそうなるさ。そりゃ、誰だって…大真面目にまともな事を言っている人間が、某骸骨演奏家や美食人間国宝ばりにさも当然のように水面を走っていたら、何とも言えない気持ちになるに決まってる。
「というか皆さん、私達の今の目的忘れてません?」
「んもう、だいじょーぶだよぴぃちゃん。こう見えても私、ずっと水中を見てたし…あっ、丁度良いところに大きそうな貝あったよ!」
「あ、そうなんですか?じゃあちょっと採ってきますね」
見ていた、というのは当然
「ふっ、どうですか?ご覧の通り大量です」
「凄いよビッキィ!それ全部食べられるの?」
「それは…え、えぇと……」
「んー…ごめんね、それは私にも分からないかなぁ。私は『視える』だけで、分析出来る訳じゃないし」
「まあ、食べられるかどうかは後で確認すれば良いんじゃないかな?ビッキィさん、まだありそうかい?」
「結構まだあります。…因みに、今のはひょっとして『ありそう貝?』…という駄洒落だったり…?」
「いやいやいや……」
それは私の管轄外、と茜は肩を竦める。その言葉通り、茜の能力は何でも見える、見通せる訳だが、それがどういうものなのか、どんな性質を持っているかについての理解は茜の知識に依存する。今の例でいえば、貝がある事やその貝が持つ栄養素については分かっても、それが有害かどうかは茜が知っていなきゃ判別なんてしようがない。
だから、一先ず判断は後にしようというワイトの判断は妥当なもの。そして一旦この周辺に留まり、食料の調達に俺達は勤しむ。
「私もちょっと潜ってみよっかな〜。行ってくるね、えー君!」
「では、私も。……別に泳ぎたかった訳じゃないですよ?人手は大いに越した事はないというだけですよ?」
「誰に言い訳してるんだ…。…俺は残るとするか」
「私もそうするとしよう、周辺の警戒も必要だしね。愛月君は泳いできて大丈夫だよ?」
「ううん、僕はこれ!」
そう言って愛月が取り出したのは、何やら凄そうな釣り竿。因みに愛月は他にも良い感じの釣り竿やボロい釣り竿も持っていた。良い感じの方はともかく、ボロい方は釣り竿っていうか、棒に糸を付けただけにしか見えなかった。
「フロスト、今は休憩してていい。…あ…イリスが乗ったままでも、休憩出来る?」
「らーぷらーぷ!」
「それは良かった。フロスト、良い子良い子」
「あはは、やっぱりイリスちゃんはすぐに仲良くなれるんだね」
長い首を撫でるイリスを見て、愛月はのんびりとした声で笑う。それから愛月は勢い良くキャストし…あ、結構飛んでるな…。
「ぷはぁ!ピーシェ様、そっちはどうです?」
「見ての通り、こっちも中々。後はどこに置いておくかだけど……」
「それならこっちにスペースがある。取り敢えずここに入れておけばいいだろう」
「えー君えー君!私は海藻を採ってきたよ!」
「海藻…イリス、気になる事がある。海藻は料理の出汁?…になると本に書いてあった。でも、今は水から良い匂いがしてこない。これは何故?」
『それは…なんでだろ〜ね』
「えっ?」
イリスからの素朴な疑問に、女性陣三人は揃ってなんでだろうと返す。その反応に驚いた様子のイリスはこちらを見てきて、俺は答えようとした…が、三人からの「分かってるよね?」という妙に抗い辛い視線に押され、「な…なんでだろ〜な…」…と返す事しか出来なかった。続いてイリスからの視線を受けたワイトも、同じような状態だった。
そんなこんなで、貝類と海藻類が集まっていく。種類は豊富…というより雑多な感じで、大して広範囲から探している訳でもないのに雑多という点は気になるが、食料調達としては悪くない調子。調査としては…今のところ目立つ点はないし、ワイトの機体のログと、俺の方で集めてるデータを合わせて後で分析してみるとするか。
「愛月君、釣れそうかい?」
「うーん、どうかなぁ…でも僕、こうやってじっくり待つのも嫌いじゃないんです」
「はは、君は結構大人かもしれないね」
「……?」
大したものだ、と機体のスピーカー越しにワイトは褒めるが、愛月はきょとんとした様子。だが確かに茜達が素潜りで色々採ってきている中、自分は今のところボウズ状態という普通なら焦ったくなるような状況でも、動じず続けられるというのは大したもので、俺も試しに釣り竿を一本借りてやってみようか…ふとそんな事を思い始めた、その時だった。
「あっ、引いてる引いてる!」
「漸くか。良い魚が釣れるといいな…って、うん…?」
しなる釣り竿、伸びていく釣り糸。愛月はここまで焦らずヒットを待ち続けていたのだから、一匹位は釣れてほしいものだ、とこの時俺は少々呑気に考えていたが…すぐに気付く。釣り竿のしなりが、明らかに尋常じゃない事に。薄っすらと見え始めた魚影も…そのサイズが、異常な事に。
「こ、これ…凄い大物かも…!」
「いや愛月、これは大物なんてレベルじゃない…!というかまず、釣り上げられるようなサイズじゃ──」
「へっ?…うわぁあぁあぁああああッ!?」
『な……ッ!?』
これは見送った方が良いかもしれない。そう思った直後に愛月の驚いた声が聞こえ…次の瞬間、愛月は凄まじい勢いで水中へと引き込まれる。
油断していた訳じゃない。だがあまりの急展開に、一瞬反応が遅れ…全員が愕然とする中、愛月は水中から姿を現す。巨大な魚影に引っ張られる形で、釣り竿を両手で持ったまま水面すれすれを振り回される。
「あ、あい君!釣り竿を放して!」
「駄目だ茜!今の状態で下手に手を離せば、そのまま吹っ飛んで水面に叩き付けられる…!ワイト、魚の方を撃ち抜けないか!?」
「それも駄目だ、影君…!当たるにしても外れるにしても、愛月君が危険過ぎる…!」
ここから撃つか、強襲するか、或いは水中から仕掛けるか。幾つも策は思い付くが、やはりどれも愛月の危険が伴う。助けようとしても、そのままでも、今自分にある手札じゃどうやっても同じ結果に…そう思う中、二つの影が大きく動く。
「ビッキィ!」
「はい!」
一度フロストの背に戻った状態から、再び水中へ飛び込むピーシェと、その声に応じて駆けるビッキィ。動き回る魚影をピーシェは後ろから追い、逆にビッキィは回り込む軌道で接近していく。
「これなら…すーちゃん、フロストの事をお願いしてもいいかな?」
「らぷーっ!らーぷーっ!」
「分かった。フロスト、落ち着いて。大丈夫、大丈夫」
更に軽くパニック状態のフロストを、イリスが撫でて落ち着かせる。それは言葉の通じるイリスだからこそ、愛月を除けば一番の効果を望める人選。…よし、これなら…!
「支援します!」
「そこだ…ッ!」
逃げる魚影と追う二人、それぞれの位置とそこからの動きを予測し、抜いたシューターで置いておくようにして射撃を放つ。恐らく同じ事を考えたのであろうワイトもまた、機体のライフルで弾丸を撃ち込む。放った攻撃は、魚影の上を飛び越え…その進路の大きく先で、水面に着弾し水柱を上げる。直後、魚影は驚いたようにその軌道を大きく変える。
今のは外れた訳じゃない。魚影の軌道変更、その誘導…それこそが、俺やワイトの狙い。直撃狙いじゃ愛月が危険だが、だからといって狙う位置を遠くし過ぎると牽制の意味はなくなるが…今は違う。大きく左へ曲がった魚影…そこには駆け込んだビッキィの姿がある。
「茜さん!タイミングを!」
「おっけー!……今だよッ!」
「ふんッ!」
魚影が見えているとはいえ、水中の相手の位置を正確に把握するのは、波や水飛沫の存在もあって通常一筋縄ではいかない。されどそれも、茜からすれば朝飯前。そして神生オデッセフィアでの交流が活き、茜からの指示を受ける形でビッキィが風遁らしき攻撃を水中へ向けて叩き込む。烈風が水を吹き飛ばし……魚影が、飛び跳ねる形でその姿を現す。
『こ、これは……』
「おお、ひょっとしてこれは…サメ?」
ほんの数秒間のジャンプを経て、再び水中に潜る巨大な魚。実はここまでにも、ちらちらと水面から何かが飛び出てるように見えていたが…まさか、巨大鮫の背びれだったとは。
ともかく巨大な魚影改め巨大鮫は、一度飛び上がり、水中へ戻った。だがその衝撃で、引っ掛かっていた釣り針…ではなくボール?…は外れ、愛月は宙に投げ出される。大きく山なりに飛ばされ、落ち……そして、受け止められる。飛ばされる先を読んで、その地点へと先回りしていた、今は立ち泳ぎ状態のピーシェによって。
「愛月、大丈夫!?」
「はらほろひれはれ〜…」
「…良かった、一応は大丈夫みたいだね」
完全に目を回してしまっている愛月を、ほっとした顔でピーシェはフロストの下へと連れていく。背中の甲羅へと寝かせ、頭をゆっくりと撫で…それからピーシェは、巨大鮫を見据える。
「…さて、どうしますか?あの動きからして、逃げそうな感じはありませんよ」
「なら、仕留めるしかないな。まぁこれだけの面子が揃っていれば、水上や水中戦だろうと何とかなるだろう」
「…ま、待って…食料、確保……」
「わっ、もう目を覚ましたの?あい君。…けど、食料確保って……」
「…その為にずっと離さずにいたんだとしたら、中々のガッツだね。愛月」
ふっ、と笑うビッキィの言葉に、茜達は頷く。…あぁ、確かに大したものだ。グレイブもだが、最近の子供は凄いな。
「…あの鮫をヒットさせたのは、愛月君だ。その愛月君が食料として確保する事を望むなら、それを尊重するべきだと私は思うよ」
「別に俺も、反対はしないさ。…ところでワイト、そのライフルで巨大ザメを撃ったらどうなる?」
「鮫のタフさにもよるだろうけど…まぁ恐らく、食料としては大分駄目になるだろうね。下手すると調理する前からミンチになってしまう。…すまない、尊重とか言っておきながらあまり戦力になれそうになくて…」
「うんまぁだろうな…。だったら……茜、乗れ!」
「待ってたよ、えー君!」
水上バイクのスロットルを強く捻り、ドリフトの軌道でフロストへと近付ける。そして飛び移ってきた茜を後ろに乗せて、俺は巨大鮫へ向けて突っ込む。
「鼻先が弱点とはよく言われている鮫だが、ひっくり返されるのにも弱いらしい。鮮度の面を考慮して、この場では生け取りを狙うぞ…!」
「りょーかい!それと、一ついいかな?」
「なんだ?」
「水上バイクの二人乗りって、なんだかときめいちゃうね!」
「…それは良かった。巨大な鮫を追い掛けながら言う事ではないと思うがな…!」
本当にいつもいつでも変わらない、多分今後も余程の事がない限り変わらないんだろう茜と共に、鮫の背後から距離を詰める。
とはいえ、ひっくり返すのも楽じゃない。はっきり言って、普通に仕留める方がずっと楽。踏ん張る事も出来なければ、ひっくり返すのに有効な下からの攻撃をする為には潜る必要のある水上及び水中というのは、戦場としてかなり厄介。せめてどこか、ほんの少しでも足場があれば、大分状況は変わるものだが……
(…いや、無いものを求めたところで意味はない。あるものと、出来る事で、最善を尽くす…それだけだ…!)
こちらに気付いたのか、勢い良く旋回し喰らい付いてくる巨大鮫。それを俺はエンジンフルスロットルで躱し、そのまま鮫の前に出る。
追う側から、追われる側へ。意図的に狙われる事で、鮫の注意を引き付ける。
「一つ作戦がある!ワイトにはこっちの援護を、四人には準備と実行を頼みたい!」
「影、フロストを忘れてる。フロストも、仲間」
「…前言撤回、四人とフロストに頼みたい」
「らぷぅ?」
茜の指示で巨大鮫の追撃を躱しながら、作戦を伝える。敢えて距離は離さず、ギリギリの回避に努める事で、鮫の意識を更にこちらへ向けさせる。初乗りの水上バイクでこれをやるのはリスキー過ぎるが…俺には茜の目がある。それ以上に頼れるものはない。
「んもー、えー君ったら〜。言うまでもないと思うけど言うね、大好き!」
「こんな時に心を読むな!」
「え、違うよ?読んだのは心じゃなくて地の文だよ?地の文だって、私の目にかかれば丸裸…あ、別に変な意味じゃないからね?」
「そんな事分かって…いやそれより回避の指示をくれ回避の指示を!うぉぉッ!?」
「惚気は程々にね、ご両人…!」
危うく水上バイク諸共噛み砕かれそうになり、間一髪回避。流石にちょっとひやりとしつつも、ワイトからの援護射撃を受けて立て直す。
そこからは、ひたすら避けて耐える時間。倒そうと思えば倒せる、そっちの方が楽だと分かっているからこそ、余計にギリギリの回避は心へ焦ったさを蓄積させていく。
「フロスト、いい?ビッキィと一緒にやるんだよ?」
「イリスさん、今の説明分かった?私と同時に出来そう?」
「難しく考える必要はないよ、イリス。真っ直ぐ行ってぶっとばす…それさえ覚えていれば、きっと大丈夫っ!」
「分かった。真っ直ぐ行ってぶっとばす、真っ直ぐ行ってぶっとばす……」
向こうも準備は進行中の様子。後半のやり取りは若干不安だが…まあ大丈夫だろう。多分、恐らく、ひょっとしたら。
「影君、まだいけそうかい?もし厳しければ、囮は私が……」
「いいや、大丈夫だ。随分時間が掛かったが…こいつの使い方が、やっと分かった…!」
「私からすれば、どう考えても早いと思うけどね…!」
ベテランだからこそ成せる技と言うべきか、ワイトの援護は常に絶妙。撃ち過ぎず、巨大鮫の警戒を必要以上に引き出さず、必要な時、必要なだけの射撃を無駄なく的確に撃ち込んでくれる。おかげで色々試せた。頭に入れた情報と、身体に伝わる感覚…漸くそれを完全に合致させるに至った。
焦ったさを理性で捩じ伏せ、水上バイクを出力全開のまま振り回す。今まで以上にギリギリまで引き付け、その上で躱す事により、少しずつ鮫を疲労させる。避け、躱し、巨大鮫の意識を徹底的に俺達へと向け……機は、熟す。
「茜さん、影さん、ワイトさん!いけます!」
「おっけー!それじゃあえー君、欲しいのは…ここ、だよねっ!」
「ばっちりだ茜!飛ぶぞッ!」
ピーシェからの合図を受け、俺はそちらへと方向転換。限界まで水上バイクの速度を上げ…ここだと思ったタイミングで、茜が正面に擬似魔力の坂を作る。そこに水上バイクを突っ込ませ…俺達は、飛ぶ。大きく大きく、ピーシェ達を飛び越える形で宙を舞う。
直後にワイトが擬似魔力の坂を撃ち、破壊する。それにより巨大鮫は俺達へ意識が向いたまま、ピーシェ達の方へ突っ込む。
「来たよ、愛月!」
「うん!フロスト、冷凍ビーム!」
下方で聞こえる二つの声。それに続いて、フロストの鳴き声が聞こえ…直後、ピーシェ達と巨大鮫の間の水が凍っていく。印を結んだビッキィの周囲からは吹雪を伴う強烈な冷気が、甲高く鳴いたフロストの口からは青白い光線が放たれ、水場を氷へ…液体を個体へと変えていく。流石に水底まで完全に凍らせている訳ではないらしく、その巨体と勢いもあってか巨大鮫は氷を割りながら進んでくるが、速度の減衰は一目瞭然。そして流体から変化し、凍結により生成された『足場』を蹴って、ピーシェとイリスが鮫へと肉薄。ピーシェは女神の身体能力を駆使した姿勢制御で、イリスは上手い具合に滑っていく事で、転ぶ事なく巨大鮫の顎の下へと潜り込み……
「はぁああああぁぁッ!」
「えい」
振り上げられるピーシェの拳と、振り抜かれるイリスのハンマー…状に変化させた腕。二人の打撃は同時に巨大鮫の顎を打ち、食い込み……再び鮫は宙を浮く。それも今度は、背後へ回る形で大きく吹っ飛び…背中側から、水中に沈む。
宙でも、水面に落ちてからも、激しくもがいていた巨大鮫。だが沈んで少ししたところで、その動きは鈍くなり…浮き上がってきた時にはもう、痙攣以外の動きはなくなっていた。
「よし、やった!」
「あ、断言…ひょっとしてそれは、フラグ回避とかそういう…?」
「勿論です!」
「茜、これでいい?それとももっとやった方がいい?」
「んーん、これでだいじょーぶ!…こほん、それじゃあ皆、せーの!」
ひっくり返った巨大鮫の方へ駆けて行ったビッキィは、ピーシェの言葉に胸を張りつつ返す。俺達もそちらへ向かい、茜を降ろすと、茜は鮫の状態を確認した後、イリスへ向けてサムズアップ。そして茜の掛け声に、女性陣は応じて……
『とったどー!』
空へ向けて、ある意味ぴったりな宣言を上げる茜達四人。それを見ていた俺は、同じく近くまで来ていた愛月やコックピットハッチを開いていたワイトと顔を見合わせ…軽く肩を竦めるのだった。
*
前回までのあらすじ!なんやかんやで巨大猪を倒す事が出来た冥ネプ一行は、発見したバナナと共に食料として持ち帰るのだった!…って、あれ?もしかしてこれ、第五話の冒頭じゃなくて結構後の方?そっか、まあいいよね。前話のおさらいなんて、あって困るものでもないし。
「お疲れ様です、皆さん」
「どっちも大物を獲ってきたわねー」
仕留めた巨大猪を女神の皆でえっほえっほと運んできた自分達は、ディールちゃんとエストちゃんに出迎えられる。丁度そのタイミングで、水上チームも戻ってきていて…ワイトさんのロボットが、巨大な鮫を運んできていた。あ、ズルい…あっちばっかり大荷物も余裕で運べてズルい…。
「わぁ、大きい猪…もしかして皆は、それを倒したの?」
「そのとーり!…まぁ、結構大変だったんだけどね。…いや、ほんと……」
愛月へ答える自分の言葉に、イリゼ、セイツ、それにイヴが頷く。本当に、仕留めるまでに一体どれだけ全力疾走をしたものか。…どれ位なのかは、あまり考えたくないかな…。
「それだけじゃないよ?じゃん!」
「ルナが持ってるのはバナナ…だよね?バナナの木があったって事?」
「ちっちっち、違うッスよピーシェ。これはただのバナナじゃなくて、スベールバナナッス」
「それはまた、コミカルな名前ですね…。…ひょっとして、既に誰かそのバナナの皮で転倒を?」
次なる質問に、今度はルナちゃん、シノちゃん、エリナちゃんの三人が目を逸らす。その反応に、海上組の皆は首を傾げて…それから向こうも、沢山の貝や海藻を見せてくれる。
「へぇ、正に大漁って感じね。そっちは何か大変だったりしなかった?」
「いえ、こちらは特には。わたし達…というか、愛月は散々な目に遭ってましたが……」
「愛月、釣り竿を持って水上を飛んでいた」
『……?』
飛んでた?釣り竿を持って?…と、イリスちゃんの説明に訊いたセイツは勿論、自分達も揃ってきょとーんとなる。そして当の本人、愛月君はといえば…あはは、と恥ずかしそうに笑っていた。…本当に何があったんだろう…。
「調査の方はどうだ?何か気になる事でもあったか?」
「そっちの方はさっぱり、かなぁ。少なくとも、ぱっと見でも気になる事と言えば、それこそこの猪がやたら大きい事位だろうし」
「ぜーちゃん達もそーなんだ…うーん、そうなると調査の方は進展なしかなぁ」
「食料は手に入って、無駄足にはなっていないんだから、一先ずはそれでも良いんじゃないかしら。それに食料の心配がなくなれば、以降は調査に専念出来るでしょ?」
「エリナ君の言う通りだね。一度にこれだけの食料を確保出来たのなら、首尾としては上々であると私は思うよ」
そうそう、と自分はエリナちゃんやお店の中から出てきたズェピアさんに同意をする。そしてズェピアさんやディールちゃん、エストちゃんの方を見たイヴが口を開く。
「そういえば、貴方達は何をしていたの?」
「それは…いや、説明するより実際に見てもらった方が良いだろうね」
「確かにそうね。皆、ちょっと着いてきてもらえる?」
こくんと一つ頷いて、エストちゃんは歩き出す。それにディールちゃんとズェピアさんが続いて、自分達も「なんだろーね」と言いながら後に続く。そうして移動した先は、ここの厨房で……って、え?
『…何故厨房に……?』
「まぁ、そうですよね…あ、丁度完成しそうです」
ちらりと厨房に設置されているある窯を見て、それからミトンを手に嵌めて窯の扉を開くディールちゃん。え、もしかして料理してたの?と思った自分だけど、窯の中から出てきたのは……爆弾。
『ええぇ!?何故爆弾が!?』
「どう?出来立てほやほやよ?」
『そんな事訊いてないんですけど!?』
いきなり出てきた、厨房でお披露目された導火線付きの丸い爆弾に、自分達はぎょっとする。エストちゃんだけならまだ冗談で仕込んだ…って事も考えられなくはないけど、ディールちゃんとズェピアさんもなんと真面目な顔。だから余計に訳が分からない。っていうか…シンプルに怖い!ご飯作る場所で爆弾が出てくるってどういう事ぉ!?
「えっとですね、これはわたし達が素材から作ったものなんです。これは謂わば、作る為の装置なんです。勿論最初からそうだった訳じゃなくて、魔法の術式を色々組み込んで改造したんですけど」
「つ、作った…?ちょっと待てディール、さっきからずっと訳が分からない…このタイプの爆弾の制作工程に、『後は時間を置けば完成』なんてものはなかった筈だぞ……?」
「でしょうね。だからわたし達は、普通に作ったんじゃないの。作ったんじゃなくて──調合、したのよ。この、練金窯でね」
調合。錬金。予想外のその言葉に自分達が目を丸くする中、エストちゃんはディールちゃんにアイコンタクト。そしてエストちゃんは自信満々に、ディールちゃんはちょっぴり恥ずかしそうな顔をしながら、ばっと窯を披露するように両手を広げて…言う。
「ふふん!たった今から、リディール&エスートのアトリエ、オープンよ!」
更に予想外の宣言に、自分達は完全にぽかーんとなる。ただ一人、ズェピアさんだけは無言で頷いていて……数秒後、静寂の中でイリゼが呟く。
「…それ、ピザ窯だよね…?」
「うっさいわねおねーさん。今作ったばかりの爆弾ぶつけられたいの?」
「理不尽!」
そう。色々気になるけど、一番謎なのはピザ窯から出てきた事。それが練金の装置になってるっぽい事。…焼き物をする為の設備で爆弾とか作って大丈夫なのかな…作ってる最中に爆発して、この施設が丸ごと吹っ飛ぶとかにならないのかな……。
「はへー、錬金ッスかぁ…しっかしどうしてまた錬金を?二人の次元のルウィーは、錬金の魔法でもあるんッスか?」
「それについては、私から説明しよう。と言っても、単に私が二人へ錬金術を試してみないかと提案しただけなんだけどね」
『あー』
「うん、今の反応で私が『あぁ、この吸血鬼ならそういう事も企みそうだ』と思われている事を痛感したよ。実際その通りだから否定のしようがないのだが」
エリナちゃんを除く全員から上がる、納得の声。ほんとに実際、前に信次元に行った時…特に仮想空間の中では、ズェピアさん色々やってたもんね。戦いじゃそれが自分達を助けてくれた場面もあったし、頼りにはなると思うけど。
「話を戻すとしよう。ここには錚々たる顔ぶれが揃っているとはいえ、基本的に孤立無援状態。となれば食料を始めとする資源を『集める』だけでなく、そこから有用なものを『作る』事も必要になる。そして私は多少なりとも錬金術の心得があるのだが、実のところ私は私でやりたい事があるのでね。だから代わりに錬金術師足り得る者を…という事で、ディール君とエスト君に声を掛けたのだよ」
「…つまり、錬金術…を、ズェピアが教えた?ズェピアはディールとエストの師匠になった?」
『えぇ……』
「ははは、私は基礎の基礎ですらない部分、錬金術という『発想』とこの施設内にあるもので軽く行った『実演』を二人に提供しただけだよ。確かに私は切っ掛けを担ったが、本当にただそれだけの事。錬金術の為の術式も、その為のピザ窯の改造も、錬金に必要な理論の構築も、全て二人のオリジナルさ」
目をぱちくりさせた後のイリスちゃんの質問で、二人が割と本当に嫌そうな反応をする中、ズェピアさんは笑って答える。うーんと、だから要はズェピアさんが誘った事だし、どんなものか説明したのもズェピアさんだけど、そっからは全部二人が自分達で考えて、我流の錬金術を編み出した…って事だよね?…え、それを自分達が出ている間に爆弾を作れるレベルまで進めたの?それって滅茶苦茶凄くない?
「ディールちゃん、エストちゃん、やはり……天才か」
「そうよ?双子の女神の中で、天才と最強の二つが似合うといえば、このわたしとディーちゃんなんだから」
「いや、そもそも双子の女神なんてそんないないでしょ…。…というか、この錬金術自体、この不安定な次元だからやれてるだけで、ちゃんとした他の次元じゃ多分出来ないと思います」
「それでも凄い事よ。ものを作るっていうのは、どんな分野でも難しい事なんだから。…このピザ窯、中を覗いても大丈夫?」
「錬金窯ね。イヴはメカニックとして気になる感じ?」
「俺も少し気になるな…ピザ錬金窯、見せてもらってもいいか?」
「私も私もー!えすちゃん、私にも錬金ピザ見ーせてっ!」
「だから錬金窯ね!ピザ限定じゃないし、ピザを錬金する為の窯でもないわよ!」
全然錬金窯と呼んでくれない事に憤慨するエストちゃんの様子に、皆は苦笑。けど、自分は悔しい。悔しさを隠しきれない。だって、自分のボケはほぼスルーされたのに、三人のどこまで冗談なのか分からない発言はしっかり突っ込まれてるんだから…!
「錬金かぁ…僕、錬金って全然知らないけど、どうやって作るの?」
「全くもう…だったら何か作ってみる?」
「あ…それならさ、ホットケーキミックスなんて作れないかな?それがあれば採ってきたバナナを使ったケーキが作れるよねって帰りの道中でエリナと話してたところなんだ」
「ああ、ホットケーキミックスって結構使い勝手がいいというか、ちょっとしたお菓子作りなら色んなレシピで役に立ちますもんね。さっきはイリゼさん達に任せてしまったので、もし作るつもりなら私も手伝いますよ」
「…そうなの?」
「そうよ。ホットケーキミックスって、砂糖とか小麦粉とかが色々混ざってるから、それ単体で生地のベースになるの。勿論各材料の分量を細かく調整したい…ってなると、最初から混ざっちゃってるホットケーキミックスは逆に向かなくなるけど」
首を傾げたルナちゃんと同じ疑問を待った自分は、エリナちゃんの回答を聞いて「へ〜」となる。確かにそれならあると便利かも、とこの時自分はぼんやり思って…でもそこでワイトさんが声を発する。
「…そういう事であれば、ホットケーキミックスを作るというより、ホットケーキミックスを構成する材料を作り、そこから配合する…という形になるのでは?」
「いえ、大丈夫ですよ。さっきも言った通り、わたし達の錬金はこの次元の不安定さを利用した、謂わば『普通ならあり得ない行程』でものを作る…って術なので。…あ、いや、勿論だからって成功するとは限らないというか、変なものが出来ちゃうかもしれませんけど……」
「だとしても、やるだけやってみてもらえるとわたしは嬉しいわ。それでホットケーキミックスが出来上がれば、イリゼ達がケーキを作ってくれる訳だし」
「ま、取り敢えずやってみましょ。んー…その場合調合に必要な材料は、小麦粉、お砂糖、ベーキングパウダー辺りかしら…」
「食塩や香料、他にも幾つか必要だね。倉庫にも何種類かはあった筈だよ」
「それならお願いしたのは私だし、持ってくるのは任せて…って、それじゃあただ材料を混ぜ合わせるだけじゃないの!?え、ほんとに錬金なんだよね!?」
そんなこんなでホットケーキミックスを作ってみる事が決まって、ディールちゃんとエストちゃんが錬金レシピとなる術式を考えている間に、必要そうな材料を倉庫の中から取ってくる。どれ位の量が必要がは分からなかったから、取り敢えず袋ごと持ってきて、それを二人に言われた通りの量でピザ窯の鉄板へとそれぞれ配置。
「ありがと。じゃ、スベールバナナだっけ?あれも一本置いてもらえる?後、錬金窯だからねネプテューヌちゃん」
「おおぅ、拘るねエストちゃん…ホットケーキミックスって、バナナも使うの?」
「普通は使わないと思うわよ?でもこれはディーちゃんの言った通り、普通じゃない方法で作るホットケーキミックスだから、一応…ね?」
「…因みにですけど、バナナの毒味とかって……」
「さっきわたしがやって大丈夫でした。後、うっかりスベールバナナの皮が手から滑って床に落ちたら、イリゼさんもセイツさんもそれですっ転んでました」
「さっきイリゼ、吸い寄せられるように踏んで転んでたよね…セイツに至っては、イリゼが滑ったのを見てるのにバナナの皮踏んじゃってたよね…あの時の二人には一体何があったの…?」
「う…何かこう、バナナの皮が落ちてると、踏まずにはいられないのよ……」
((何その芸人魂……))
なんでそんな…という雰囲気が皆を包む中、イリゼだけはセイツの発言にうんうんと頷く。…何かこう、信次元の女神って独特な部分があるよね…。
と、いうのはさておき、材料の準備が完了した事で、ディールちゃんとエストちゃんは鉄板をピ…こほん、窯の中へと入れる。それから二人は魔法陣を展開して、詠唱をした後、二人で扉を掴んでバターン!…と結構強めに扉を閉める。なんでも魔力を込めながら力強く、けど強過ぎずの微妙な力加減でやるのが重要なんだとか。そして更に杖を装備した二人がぐるぐるとそれを動かすと、窯の中から光が漏れ出して……
「ふぅ、ホットケーキミックス完成よ!」
「…うん、これなら大丈夫な筈です」
『おぉー!』
再び窯の扉を開いた時、そこにあったのは見覚えのある白い粉末。本当に錬金された事に、自分達は思わず拍手をして…これにはエストちゃんは勿論、ディールちゃんもほんのり得意気だった。
「ふふ、流石だね二人共。それじゃエリナ、早速作ろっか。ピーシェも手伝ってもらっていい?」
「だからさっき手伝うと言ったでしょうに…エリナさん、作り方は分かります?」
「大丈夫…だと思います。……多分」
「ふっ。まあ急ぐ必要がある訳でもなし、皆で確認しながら作ればいいんじゃないかな?差し支えなければ、私も手伝わせてもらうよ」
さぁ作ろう。自然とそんな流れになって、四人は準備に入る。他の皆も一息吐いたり、各々の見てきたものを確認し合ったりをし始めている。うーん、自分はどうしようかな。
「…あっ、そーだ。ねぇ、自分もちょっとスベールバナナ使っていい?」
「……?まあ、いいんじゃないッスか?ウチ等が見つけた場所には、まだまだ沢山実っていたッスし」
ある事を思い付いた自分は、スベールバナナを一房貰ってぐるりと見回す。これから何をやるのかって?ふっ、それは勿論、自分も錬金&料理だよ!世の中にはレンチンで錬金する技術もあるし、なんなら自分のいる世界には錬金術師だっていたと思うからね!普段は中々上手くいかない料理も、この不完全な次元なら案外上手くいく可能性はきっとある筈!だからやる、やってみせる!…そんな思いで、意気込みで、自分は電子レンジへバナナを入れて……
──数十分後、厨房では美味しそうなバナナケーキと、ゲル状になったスベールバナナが完成するのだった。…ぐすん……。
今回のパロディ解説
・「〜〜茜の圧に〜〜渋々就職を〜〜」
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。のパロディ。ダイバースーツですが、多分それなりに格好良いやつだと思います。ガンダムのアカハナみたいなやつではないと思います。
・〜〜某骸骨演奏家〜〜
ONE PIECEに登場するキャラの一人、ブルックの事。水上を走る…というと色んな作品のキャラがやっていますが、作品の知名度的に、彼をまず連想する人が多いのではないでしょうか。
・〜〜美食人間国宝〜〜
トリコに登場するキャラの一人、節乃の事。彼女の場合、水上を走れるどころか、その場で立っている(ように見える)事も出来るんですよね。因みに私は水上走りでまず彼女を連想しました。
・『〜〜なんでだろ〜ね』、「〜〜なんでだろ〜な…」
お笑いコンビ、テツandトモの代名詞的なネタのフレーズの事。お分かりになる方も多いと思いますが、海藻が云々…の部分も、元ネタのパロディとなっております。
・「〜〜真っ直ぐ行ってぶっとばす〜〜」
幽☆遊☆白書の主人公、浦飯幽助の名台詞(心の声)の一つの事。避けられない攻撃や防御不能な攻撃をする、は読心能力や未来視(所謂先読み)への代表的な対策の一つですね。
・「〜〜こいつの使い方が、やっと分かった…!」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズの主人公・三日月・オーガスの台詞の一つのパロディ。でも影が理解したのは、太刀ではなく水上バイクの使い方です。
・『とったどー!』
お笑いコンビ、よゐこの濱口優さんの代名詞的な台詞の一つの事。或いは黄金伝説における展開のパロディでも良いかもですね。元ネタを意識して、巨大鮫ではなく巨大ウツボとかにするのも考えました。
・「〜〜リディール&エスートのアトリエ〜〜」
リディ&スールのアトリエ 不思議な絵画の錬金術士のパロディ。リディではなくリディール、スールではなくエスートです。今回の合同コラボの構想初期から入れたいなと思っていたパロネタです。
・「〜〜やはり……天才か」
NARUTOに登場するキャラの一人、自来也の台詞…ではなく、テニスの王子様における台詞の一つ。ただ、公式がLINEスタンプの一つとしてこれを作っちゃってるので、ある意味NARUTOネタでもあります。
・〜〜レンチンで錬金する技術
ANGELICA ASTERにおけるシステムの一つ、RENCHIN-RENKINの事。完全に駄洒落ですねで。でも別に、ここからピザ窯で錬金…という展開を思い付いた訳ではありません。
・〜〜ゲル状になったスベールバナナ〜〜
Steins;Gateにおける要素の一つ、ゲルバナの事。電子レンジとバナナ、それに冥ネプという事でこのネタが出てきました。MAGES.やプルルート、ノワールがいたら更にパロとしての完成度は高かったですね。