――放課後、天命学園。
「……おい、聞いたか? 久我が負けたらしいぞ」
「は? あの久我が? 誰に?」
「桜井コウ……ってあの“底辺”の奴だよ……!」
廊下、教室、購買、屋上――
全ての空間に、“桜井コウ”という名前がざわついていた。
その目は好奇でも賞賛でもない。恐れと、警戒。
なぜなら、彼が使ったのは誰も知らない“クラス”と“戦術”。
「“黒い獣見たいなクラス”? 見たことも聞いたことないぞ」
「しかも……黒い聖女のカード、あれ……なんだったんだ……?」
生徒たちの間で、コウのデッキは**《異端者のデッキ》**などと呼ばれ始めていた。
そして彼自身も、かつて虐げられていた存在から、一転して“得体の知れない存在”へと変わりつつある。
だが――本人は至って、無関心。
「……面倒くさ」
教室で静かにデッキを調整するコウ。
その傍らには、少し不安そうな顔をする真陽の姿があった。
「……コウ、何かされたらすぐ言ってよ。私が……守るから」
「いや、今はお前が守られる側だろ、普通」
「私だって自分を守る力くらい持ってるわよ!」
真陽と他愛もない話をする。
そして、またカードを触り始める。
「そういえば真陽、お前のデッキクラスてなんなんだ?」
ふと気になり聞いてみた
「あなたね……幼なじみのデッキ位覚えておきなさいよ」
「ごめんごめん」
「私のデッキはランサーよ。」
呆れながらも説明をしてくれる真陽。
ランサーは攻撃力、守備力が低めに設定されているモンスターが多い。
その代わり展開力が凄まじく、あっとゆう間に数多くのモンスターがフィールドに出てくる。
数の暴力で相手を圧倒するデッキだ。
更にはランサーには“速攻”つまり出たターンでも攻撃出来るモンスターが多い。
「へぇ、結構積極的な」
その瞬間。
「……桜井コウ」
ガラリ、と教室の扉が開き、重い空気が流れ込む。
現れたのは――学園2年生、カード部所属の実力者。
久我の兄貴分にして、“天命の十傑”のひとり、獅堂 蓮(しどう れん)。
漆黒の制服に身を包み、眼光は鋭く、クラス中の空気が凍りつく。
「……お前が久我を倒したらしいな。面白い」
「で?」
「次は――俺が遊んでやる。明日放課後、中庭デュエルフィールドだ」
ポケットから取り出されたカードは、光り輝く《ランサークラス》のモンスター。
「“異端者”がどこまで通用するか、試させてもらう」
そう言い残し、蓮は去っていく。
教室は静まり返り、全員がコウを見つめていた。
それに対しコウは―
「……面倒くさ。だが、面白い。」
ニヤリと笑い、デッキをシャッフルし続けるのだった。
――To be continued.