転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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エンジニア部とメダロット(フィギュア)

「……待ってましたよモルフォ!」

「やあ、コトリ。どうしたの?急に来てくれって」

 

ある日のこと。コトリからモモトークで呼ばれ、エンジニア部の部室にやってきたモルフォが室内を見渡すと、ケイと何かを話しているウタハとヒビキの姿があった。

 

「ええ、実は……ケイのためのボディを作れないかという話で」

「あ、目処が立ったの?」

「いえ、全く」

「全く……」

 

もしやケイのボディが?と思いきやそういうわけではないらしい。コトリと共に適当な椅子に座ったモルフォが続きを促す。

 

「ケイのボディを作れない最大の問題は飲食を始めとした人と同じ生活を送れないということなんです。つまりはアリスと同じように生活できるボディが作れないというわけですが、それだけでなく他の代用品のようなボディでは耐久性などに難がどうしても出てきてしまいます。アリスが一時的に入っていたAMASのボディがそれですね」

 

そう言いながら、部屋の隅に置かれた沈黙しているモニター付きのAMASを指差す。そのAMASは無傷ではあったが、それはあの戦いでアリスだけが唯一被弾してなかったからだ。一方、ケイの入っていたアリスの体の方はスーパーノヴァの一撃を受けてケイが意識を失いはしても体の方は致命的なダメージを負っていたわけではない。しかし、この攻撃をAMASが受けていたら粉々になるか、そうでなくとも貫通したり大破してもおかしくないだろう、そういう意味では、日常的な生活を送るケイのボディというのは今だ難易度が高いと言わざるを得ないのだろう。

 

「それ故に一つの体を二人で使っているという状態になっているわけですが、今回はアリスとケイからある頼みがありまして。それで新しいボディを作ることになったんです」

「今無理だって言ってなかった?」

「はい。日常生活を送るのは無理です、ですが今回作るのは違います!そう……ケイがゲームをするためのボディです!」

「……うん?」

 

風向きが変わってきた、そんな予感を感じながらモルフォがコトリの顔を見る。その様子を見て楽しそうに笑顔を浮かべながらコトリが話を続けていく。

 

「というのも、現在二人がゲームをするにあたって最大の問題がありました。それは、ボディという一つのコントローラーを二人で共有しているということです。これにより、どちらかしかゲームをプレイできない、という現状がありました。特に以前あったことでそれを痛感したようで……」

「あー……」

 

おそらく、橘姉妹とマリコカートをした時の事なのだろう。双子のコンビネーションでレースを走る橘姉妹に対し、フォーメーション走行で対応したモルフォとユズ、そしてなんちゃって走行を試そうとして失敗していたモモイとミドリとは違い、どうしてもアリスはカートとしては孤立してしまっていたのだ。アリスの中からケイがその様子を見聞きしたりはしていたのだが、あそこでケイも参戦できていたら……と考えてしまったのもある意味仕方のないことだったのかもしれない。

 

「なので新しいボディを作ろうとしているわけですが……デザインをどうするかということになりまして」

「デザイン?私に聞くの?」

「見た目だけでもアリスに近づけようとか、女の子っぽい見た目にしようとか色々話していたんですが……それをゲーム開発部の部室に置いて、何も知らない人が来て追及されたらどうなるんだとケイに言われましてね……そこからなんやかんやありまして、モルフォならいい感じのデザインとかも知ってるんじゃないかということになったんです。モルフォが勧めるならケイも納得してくれそうですし!」

 

成程、そういうことかと頷くモルフォ。確かに、こういうのは事情を知っている人の意見があったほうがいいだろう。であれば、後でミドリなどにも来てもらって確認してもらった方がいいかと考え始めていると。

 

「……おっと、モルフォ、来ていたのか」

「やあ、話は聞いた?」

 

ここでウタハとヒビキもモルフォの存在に気付き、手を振る。コトリから一通りの事情を丁度聞き終えていたモルフォが頷くと、コトリと共に移動してケイの隣に座り込む。

 

「すみませんモルフォ、わざわざ来てもらって」

「別にいいよ、近所みたいなものだし」

「さて……折角来てくれたことだし、今我々が考えているデザインを見てもらおうじゃないか」

 

そう言いながら、ウタハが数枚の画像を見せる。中には本当に人間にしか見えない女の子のようなデザインやアリスそのものの顔もあったり、ロボットのような顔もあったりしていたが、

 

「……なんですかこれは」

「……アバンギャルド君だ」

「アバ……ん?」

 

その中に謎の顔があった。それをアバンギャルド君と言うウタハだったが、問題はそれどころではない。アバンギャルド君と言えば頭部をもぎ取られたあの兵器ではなかったか。

 

「……その頭部だけは受け入れません」

「……まあ、こういう理由でもぎ取られたらしい」

「おぉ……うん……」

 

顔は一見すると愛嬌があってダサいという感想をモルフォは抱いてしまうが、ボディとかを考えれば多少はマシになるのではないだろうかと好意的に解釈することにする。ともかく、今回の一件に関してはケイが否定したこともあって採用されることはないだろうが。

 

「ちなみにリオはまたアバンギャルド君の頭部がもぎ取られた時のためにエリドゥに頭の予備を作り置きしているようだ」

「うわあ……」

 

頭部のデザインをどうにかする方が先では?と声を大にして言いたくなるのを抑えながらも、それでも隠し切れない悲鳴を漏らすケイ。その様子を見て、話題を変えるようにモルフォは慌てて口を開く。

 

「で、ケイはどれがいいの?」

「……どれと言われても……」

『むむむ……』

 

ケイとしても悩んではいるようだ。ゲームをするためのゲーミングボディとは言え、折角作ってもらうならちゃんとした見た目で自分が納得するのを選びたい、ということなのだろう。

 

「……ふむ、ここは割り切る必要もあるんじゃないかな?」

「というと?」

「あくまで最終目的はアリスの体の複製だ。これはまぁ、今後アリスの体に何かがあった時のためを考えれば必要な事でもあるからね」

「そうなりますね」

「つまり、あくまでここで作るボディはそれとは違い不完全なもの。本当にゲームをするための手のようなものだと考えた方がいいんじゃないかな?それに、ここで得た情報をフィードバックすることもできるだろうし、実験用の端末と割り切った方がいいかもしれない」

 

要するに、変な愛着を持たない方がいいのではないかと。そう進言されたケイは改めて考えなおし、そして言われてみれば自分も理想が高すぎたと受け入れたように頷いてみせる。

 

「わかりました。確かに機能美については高望みしていたでしょう。とはいえ見た目に関しては……割り切ったとしても多少は気になります。この見た目で皆さんと遊んだりするわけですから……」

「……で、あれば女の子っぽくてロボットっぽいのを用意するとか?」

「ふむ……それも悪くない。何かいいのはあるのかな?」

「……まあ、一応は……?どれくらい参考になるかはわかりませんが、持ってきましょうか?」

「ああ、頼むよ。ケイが納得するものを選びたいからね」

 

で、あればどういうデザインがいいのか。ある程度目星をつけながら、モルフォは立ち上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、一旦寮に戻ったモルフォはあるケースを持って再びエンジニア部に戻ってくる。モルフォがいない間にも色々話をしていたであろう面々もモルフォが入ってきたことに気付き、彼女の持つケースに視線を向ける。

 

「これは?」

「個人的にこれとかいい感じに影響でないかなと思って持ってきました。メダロットです」

「メダロット?」

 

メダロットとは、ゲーム、漫画、アニメなど様々な媒体に広げられている作品である。作中においてメダロットとはメダルと呼ばれる物体によって起動するロボットのことであり、それらを戦わせるロボトルと呼ばれる競技が流行している世界を舞台としている。メダロット自体はティンペットと呼ばれる骨格に頭部、両腕、脚の四つのパーツを取り付け、思考や人格を司るメダルを取り付けることで成り立っている。他にも様々な設定などがあり、アニメや漫画、ゲームによって異なっていくのだが、今回モルフォが持ってきてケースから取り出したのは、超可動1/12 メダロットプレミアムBOXと呼ばれる、所謂メダロットのグッズである。

 

「……結構良いデザインしてる」

 

取り出されていくメダロットたちを見て、ヒビキが感心したように呟く。今回は目的が目的なのでメタルビートルやヘッドシザースといった、作中の主人公機体は持ってきておらず、女性型メダロットを中心に持ってきている。セーラーマルチ、セントナース、ペッパーキャット、ブレザーメイツの四機のメダロットが机の上に並べられ、それぞれ手に取ってそれらを見始める。

 

「……ふーむ?」

 

ウタハが手に取ったのはセーラーマルチ。青と白を基調とした、セーラー服のようなボディを持つ可愛らしいメダロットである。頭部と胸には桃色のリボン型の装甲が付いており、桃色の可愛らしい目も相まって愛らしいデザインとなっている。

 

「成程……こういう方向性もあるのか……それにこれは、銃口か?」

 

セーラーマルチの手首からは銃口が一門ずつ見えており、ゲームではそこからライフルやガトリングを発射することが可能になっている。

 

「……成程、これを使って戦うのか……しかし、ティンペットを使って骨格に当たる基本フレームを統一するのは確かに効率的だな。これなら後からパーツを取り替えたい、と言う時にもある程度規格を流用できるわけだし……」

「どうですか?」

「悪くないと思うね。セーラー服に似たデザインというのも面白いし、これを参考に、ミレニアムの制服に似た感じに調整してみるのはどうかな?ついでに何かあった時に攻撃もできるように……それにこの脚部も使って戦闘もこなせるようにすれば」

「ゲームをするための仮ボディなんですよね?」

 

ウタハの思考に思わずケイが口を挟む。戦闘を考慮する必要はないはずなのに変な機能を色々つけられてはたまったものではない、という彼女の意見もまた真っ当なものではあるのだろう。

 

「ナースか……」

 

ヒビキが見ていたのはセントナース。桃と白を基調とした機体で、文字通りナースをモチーフとしたメダロットである。その両手はカプセル状になったパーツが追加されており、いかにも医療用といった風貌になっている。

 

「……ナース服もあるけど、ケイは興味ある?」

「ありませんよ」

「可愛いのに……アリスやモルフォがナース服を着ている様子は興味ない?」

「…………今は関係ありません!」

『け、ケイ?』

 

ナース服のコスプレもあることを問われ、どこか長い間を置いて気まずそうに視線を逸らすケイ。思わずケイの中でアリスが戸惑うも、その戸惑いはケイにしか伝わらない。

 

「どうして私が着せ替えされて……?」

「男装とバニーガールをこなしてるんだから今更じゃない?」

「男装はともかくバニーガールはコユキのせいなので」

「そっか……」

 

少し残念そうな雰囲気を見せるヒビキから視線を外し、ペッパーキャットと呼ばれる猫をモチーフとした赤、白、藍の三色のトリコロールカラーで彩られたメダロットを観察していたコトリを見る。ペッパーキャットの特徴は尻尾や両脚がプラグになっていることであり、腰部にもプラグ型の装甲が取り付けられている。それだけでなく、両手も、四本のプラグになっていることが挙げられる。そういった特徴から、ペッパーキャットは電撃攻撃を得意としており、作中でも素早く動ける脚部の特性を活かし、サンダー攻撃で相手メダロットの動きを封じたりするなどの動きを得意としている。

 

「こういう動物系も悪くないのでは?」

「ペッパーキャットも結構可愛いよね、ケイはどう思う?」

「……猫が駄目というわけではないのですが……この手はどうなんですか?コントローラーも握れそうには思えませんが」

「まあこれでぶん殴って電撃を叩き込むメダロットだからね……」

 

ケイの指摘にうんうんと頷くモルフォ。この手でも物を持てないということはないだろうが、コントローラーをもって操作して……といったような細かい動きは難しいと言わざるを得ないだろう。

 

「手だけ普通の五本指にしますか?」

「そうですね……とはいえ……猫耳に尻尾、ですか……」

「あー、モモイとミドリと被る?」

 

ケイはどうやらペッパーキャットに既視感を覚えているようだ。それはおそらく、モモイとミドリのことだろう。あの二人も猫耳のヘッドフォンと尻尾のアクセサリーをつけているため、それがペッパーキャットと被っているのだろう。モルフォの指摘は正しかったようで、ケイは頷く。

 

「……とはいえ、別にこういうのでも……」

「まあ、まだもう一機いるからそっち見てからにしようか」

 

続けて、最後の一機であるブレザーメイツを全員で見ていく。青と白を基調としたメダロットで頭部がツインテール状のパーツになっているのがわかる。その名の通り、ブレザー学生服をイメージした格好になっており、とても可愛らしいものになっている。目もエメラルド色になっており、これまでの三機と比べると根本的にデザイン自体が異なっており、細身でスタイリッシュな印象も感じさせる。

 

「これは……ブレザーメイツか」

「ふむ。ブレザーっぽいな」

「ツインテールですか……そういえば、仮に体の複製ができたとして、見た目の違いはどこかしらでつけないと見分けがわからなくなりますね……確認のために毎回目を見るわけにもいきませんし」

 

ブレザーメイツのツインテールを見て、ある懸念を口にするコトリ。モモイとミドリが双子でも見た目としてはわかりやすいのは、二人が付けているアクセサリーがそれぞれ桃と緑を基調としているからである。そしてノゾミとヒカリも、髪型という一番の違いがある。そういえば彼女もツインテールでしたね……とブレザーメイツを見ながらケイが思い出していると、

 

「……あの、一ついいでしょうか?」

 

ケイの目の色が青く染まり、アリスに切り替わる。全員の視線がアリスへと向けられる中、アリスは一度四機のメダロットを見つめる。どれも可愛らしく、そして愛らしいデザインをしている。特徴的なデザインはそれぞれの長所もはっきりと魅せており、ゲームやアニメの内容などがわからずとも魅力的なキャラクターなのだとはっきり伝わってくる。しかし、こういうのを見たからこそ、アリスにはある考えが思い浮かんでいた。

 

「確かに、皆さんの言ってることはわかります。でも……ケイはもう一人のアリスです。ケイも、アリスと同じ体を使って慣れているはずですし、ゲームをするだけであっても、アリスと同じ体を用意してほしいんです」

『アリス……』

「ケイと一緒に、楽しんだり怒ったり、笑ったりしながら色んなゲームをやったりして遊びたいです!それでは駄目……でしょうか?」

 

それは、自分とそっくりな体を作ってほしい、ということだった。無論、それがまだ困難なことはわかるが、もしこの機械の体ができたとして、それにケイが入って一緒にプレイしても、彼女の感情の変化は顔からはわからない。声などを聞けばそのトーンからわかることはできるだろうが、やはり顔を見て直感的に喜怒哀楽が分かる関係の方が楽しく過ごせるのも事実だ。

 

無論、それだけでなくアリスの体に一番慣れているケイのことを考えればこれが一番好ましいという思いもある。これは、アリス自身が他の端末に意識を移していた経験もあってのことだろう。

 

「……そうだね。色々考えてたりはしていたが……やはり大事なのは二人の気持ちだな。まあ、諸々の話はきっと何とかなるだろうさ」

「本当ですか!?」

「知らない人が見た時にどうする?」

「そのためにケイがアリスの中にいる時は知らない人が見えないところに置くしかないのでは?それに、充電などの必要もありますし……」

「じゃあ、そういう設備も必要だな……」

 

アリスの言葉を聞いて、顔を見合わせたエンジニア部が、あーしたらいい、こーしたらいいと話を始めていく。これ以上はエンジニア部の領分だろう、今後も打ち合わせなどでまたアリスとケイが呼ばれることもあるかもしれないが、これでこの問題も進展を見せるのかもしれない。

 

「……そういえば、モルフォが持ってきてくれたメダロットも無駄になってしまいましたね……結局アリスの考えとは全然違いますし……」

「まあ、ウタハ先輩も言っていたけど結局大事なのはアリスとケイの気持ちだし……ケイはどう?」

「……わ、私もそれができるなら……」

 

アリスの意思を尊重してのことだろうが、おそらくはケイ自身の気持ちもあるのだろう。二人の発言を受けて方向性が決まったところで、モルフォも気を取り直してあるものを追加で取り出していく。

 

「さて……それじゃあ時間は多少かかるかもしれないが完成を待っていてもらおう」

「……じゃあ、もうこれは大丈夫ですかね?」

「……む?これは……」

「一緒に持ってきた別のメダロットですね。こっちはメタルビートルとクロトジル、グランビートルで……」

「ほう……!」

 

もういいかと言わんばかりに机の上に並べられたのは、オレンジと白を基調とした三体の機体。頭部がカブトムシの角のような形の反応弾発射口となっており、右腕にはライフルの発射口が一門、左腕にはガトリングを撃つ二門の銃口が取り付けられているメタビー。メタビーよりも濃いオレンジと黒、白のトリコロールカラーを基調とした、メタビーよりも角ばっており、スタイリッシュな印象を見受けられるクロトジル、そしてそれらとは異なり黄色と白を基調とした、マッシブで重装甲なデザインをしており、メタビー、クロトジルと同様のものでありつつも巨大化した銃口と、何より胸部から上に向かって伸びている板状の角パーツが特徴的なグランビートル。そのどれもが、メダロットのゲームやアニメでそれぞれの主人公の相棒ともいえる機体となっている。

 

「ふふ、やっぱりこういうのもあるじゃないか……!」

「カブトムシと銃をこういう形で落とし込むのは素晴らしいですね……!」

「同系統の機体っていうのが設計上の繋がりを感じさせていい……モルフォはどれがいいと思ってるの?」

「この中だとまあメタルビートルですかね」

「アリスはこのグランビートルが恰好いいと思います!」

 

新たなメダロットを前にしたエンジニア部と、目をキラキラさせながら食いつくアリス。その様子を見ながら、こちらも持ってきて正解だったかと思いつつ、アリスやケイが好きそうなメダロットは他にどれくらいいたかとモルフォは考え始めるのだった。

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