転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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美甘ネル達とポケットモンスターブラック

 

「だああああああ!?」

「ふっ……私の勝ちです」

 

ネルの絶叫が響くゲーム開発部の部室。そこで、ピクピクと震えるネルの横で、トキがドヤ顔を浮かべながら自身の勝利を宣言する。

 

この日、行われていたのはポケモンバトルだった。トキが以前やったポケットモンスタールビーと、モルフォが別でやっていたサファイアの通信対戦。とはいえ、この時期は努力値といった概念などはデータとして存在はしていても作中ではまだまだ曖昧な状態。育成面では後続の作品と比べて不便な所も踏まえてある程度雑にやっているぐらいでちょうどよく対戦していたのだが、そこにネルが来訪。話を聞く内にポケモンに興味を持ってもらえたことで、初心者同士の対戦ということでモモイらとやって大体の感じを掴んでもらってからトキとポケモンバトルをしたのだが。

 

「……ネル先輩、フルアタ構成のポケモンしか選んでいませんね……積み技とかでステータス上げるのは大事ですよ」

「でもよ……その分殴った方がダメージでかいだろ?」

「そう思ってるから負けたのでは?」

「ぐぬぬ……リベンジだ!負けっぱなしでいられるか!!」

「……でも、今のままじゃネル先輩に勝ち目はありません!レベルに差がありすぎます!」

「え、えっと……いきなり対戦をしても、経験者と初心者では……一回プレイしてからの方がいいような……」

 

このまま負けたままでいられるかと闘志を燃やすネルだったが、それをアリスやユズが宥めていく。ネルもイライラはしてはいたが、確かに殆ど知らないまま戦っても足を掬われるだけだと渋々納得したようだ。

 

「じゃあ……ダイヤモンド……パール……プラチナ……ブラック……ホワイト……うーん……」

「なんか恰好良さそうだしそのブラックってのでいいぞ」

「あっはい」

 

世代二つぐらい飛んだな……と内心呟きながら、それを用意することに決めるモルフォ。とはいえ、第四世代に当たるダイヤモンドパールプラチナ、通称DPptとブラックホワイトの間にはそこまで大きな仕様変更もないはずなので、第四世代を飛ばすことによる不都合は多分ないはずだと考えながら、

 

「……モルフォ」

「トキはホワイトだよね?」

「!はい」

「!アリスもやりたいです!」

「私もー!」

「わ、わかったわかった」

 

ついでに皆の分も用意することに決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だああああ!ほんと腹立つ!!」

「それで八つ当たりされるおじさんの身にもなってよ。もう体ボロボロだよ~」

「さっきまでやってたの格ゲーだろ……お前はピンピンしてんじゃねーか」

 

数日後。D.U.地区の公園に制服姿のネルとホシノの姿があった。すっかりゲーム友達になり、オンライン対戦もそこそこに都合が合えばこうして会うことも珍しくなくなってきた二人は先ほどまで格ゲーに興じていたが、次第に近況について語り合う中でトキにポケモンでボロボロにされたことを思い出していた。それで格ゲーをやる気分じゃなくなってしまったこともあってこうして公園で一休みしていたのだが。

 

「で、今はトキちゃんがやってるのとは別のやってるんだ」

「まだ途中だけどな……なんか話してたらやりたくなってきたな。シャーレの方行くか」

「外じゃやれないの?」

「変に見られてなんかあったら面倒くさいだろ。そんときゃボコればいいけど」

「まあそれはそう」

 

ポケモンに興味を持ち始めたホシノと共にシャーレに行き、先生に事情を話してビルの一室を借りることにし、DSLiteを取り出して電源を点ける。

 

ポケットモンスターブラックホワイト。第五世代と言われる作品であり、イッシュ地方を舞台とした物語を展開していく。前世代より引き継いだ、わざのタイプ毎に分かれていた物理、特殊の区分がわざ毎に分かれるようになった仕様だけでなく、今作から使い捨てであったわざマシンが何度でも使えるようになったのを始め、バトルに奥深さが生まれたり、対戦や攻略に便利な要素が増えていたりしているのも特徴と言えるだろう。

 

そして、今作最大の特徴は、エンディングを迎えるまではイッシュ地方のポケモンしか捕まえられない、という点にあるだろう。とはいえ、ちょっとホウエン図鑑のポケモンだけ触っていただけのネルにとってはあまり関係ない話ではあるのだが。

 

「へ~結構可愛いのが多いんだねぇ」

「愛嬌はあるよな」

 

ネルのデータは既に終盤の方に差し掛かっており、手持ちも大体完成されてきていた。ドリュウズと呼ばれる頭部や腕がドリルになっているモグラみたいなポケモンを始めとし、ヒヒダルマと呼ばれるダルマのように丸まった身体とヒヒのような四肢を持つポケモン、シャンデラと呼ばれるシャンデリアのようなポケモンにエンブオーと呼ばれる豚のような鼻が特徴的な大柄な体を持つポケモンなどを取りそろえている。

 

「……あれ?なんかほのおタイプの子が多くなーい?」

「次いくぞ」

「うへ、次はワルビアルって言うんだーなんかイカツイねぇ」

 

ワルビアルは二足歩行するワニのようなポケモンで恐竜と呼ばれても違和感のない姿をしている。何より特徴的なのはサングラスをかけているかのような悪い目つきだろう。とはいえ、実際のワルビアルの目そのものは可愛いものなのだが。

 

「そしてこいつがオノノクスだ!」

「うわーお、恰好いいねぇ」

 

そしてネルが紹介したのは、赤い斧のような牙を持つ、黄土色のうろこを持つドラゴンポケモン、オノノクスであった。その格好良さは、キバゴという進化前のポケモンを手に入れた時にモルフォから最終進化がオノノクスになると姿を見せられて一瞬で惚れこむほどである。

 

「……で、これどういう話なの?」

「ん?ああ、そういやまだ言ってなかったか?」

 

BWのストーリーは、主人公、チェレン、ベルという幼馴染の三人が相棒となるポケモンを受け取るところから始まる。旅に出た主人公達はプラズマ団というポケモンをトレーナーの手から解放しようとする集団を知ることになる。また、モンスターボールを使わず、ポケモンと心を通わせる少年Nとも出会い、三人は各地に存在するジムを巡りながら、ポケモンを無理矢理奪う等の問題を起こしていくプラズマ団と戦っていくことになる。そんな中、Nとプラズマ団に繋がりがあることが明らかとなり、そしてNはプラズマ団と共にリュウラセンの塔へと赴き、主人公たちも追いかけていくことになったところで、ネルは中断していた。

 

「なんか宗教っぽいね~胡散臭い嫌な大人の臭いがプンプンするよ」

「だろうな……胡散臭いにも程があるって……うお!?」

 

リュウラセンの塔の最上階へと辿り着くと、そこには黄緑色の長髪に白いシャツを纏った人物と、巨大な漆黒のボディを持つ伝説のポケモン、ゼクロムの姿があった。

 

「この子がそのNって子?」

「おう、一応ライバル……ライバルなのかこれ……?まあ、何度か戦っちゃいるが」

 

Nはポケモンだけの世界を実現するため、自分を認めてくれた英雄の証であるゼクロムと共に立つ。主人公に、ゼクロムと対を成すポケモン、レシラムに認められ、互角になればと自分を止められると言う。共に歩むポケモンに認められる君ならばきっと。そう言い残し、Nはゼクロムと共に去ってしまう。人とポケモンの絆を守るため、レシラムが封印されたライトストーンを探すことになる主人公達。

 

「……やっぱ伝説のやっべえポケモン持ってるならこいつがライバルかもしれねえ」

「伝説ってどれくらい強いの?」

「……なんかこう……グラードンってやつがクソ強かった」

 

ゼクロムの復活を受け、そこにイッシュリーグのチャンピオンのアデクが現れると、伝説のポケモンを従えたNが頂点に立ち、ポケモンを手放せというと、恐れか憧れか、人々はポケモンを手放し、離れ離れになってしまうと言う。ゼクロムに対抗するには言う通りレシラムを探すしかない。アデクは古代の城と呼ばれる場所に向かおうと言い出す。

 

「それよりそのレシラムってのはいいの?」

「あ?そりゃ見つけるに決まってんだろ。伝説だぞ伝説」

 

そして古代の城へ向かった主人公達は途中、プラズマ団のトレーナーとポケモンバトルをするのだが、そこで繰り出されたポケモンたちのドットはまるで生きているかのように動いていた。これもBWの特徴であり、より生き物感が増しているのだ。

 

「こうして動いてるのを見ると中々可愛いねえ~」

「まあ確かに……」

 

そこでプラズマ団の七賢人と呼ばれる重要な立場に存在する男、ゲーチスと出会う。ゲーチスはここにライトストーンはないと言い、社交辞令のようにレシラムを探し、Nと戦えという。それができないなら、プラズマ団は全てのポケモンを奪い、解き放つと。それを聞き、アデクが異議を唱えるも、

 

『長年のパートナーだったポケモンを病で失った数年前より、真剣勝負をせず四天王にポケモンリーグを守るよう命じた後、自分はイッシュ地方をふらふらしている……そのようなチャンピオンでも人々とポケモンが共に暮らす今の世界を守りたいと?』

 

と、ゲーチスは逆に煽り返す。その上で、ポケモンを縛り付けるようなチャンピオンよりもNは強いことをイッシュの人々に示し、命令を下すのだと宣言する。悪人の素振りを隠そうともせず、余裕綽々といった様子でその場から去るゲーチス。アデクはポケモンリーグに戻るしかないと決意し、主人公たちはその後に通信で得た情報を元にライトストーンのある場所へと向かうことになるのだが。

 

「……おいおい、数年間ふらふらしてたってこいつ大丈夫かよ。完全に世捨て人になりかけてんぞ」

「まあやってられなくなる気持ちもあるんじゃない?任せられる人がいるから全部任せて出れたんだろうし」

「……お前……はぁ、悪かったな」

「おや?なんかおじさん好感度あげちゃったかな?」

「うるせえよ」

 

そう吐き捨てつつも若干ホシノに体を寄せながら、ネルは操作を進めていき、ライトストーンがあるという街の博物館へと向かう。そこで、遂にライトストーンを手に入れることになる。アデクがNに負けたとき、このライトストーンを持つ主人公が戦うことになる、その覚悟があるのかと問われ、迷いなくその選択肢を選ぶのだが、

 

「……なんか負けそう」

「さすがに……いやこれは負けそうだな……話の流れ的に……」

 

明らかにフラグとしか思えない台詞に二人ともつい微妙な表情を浮かべてしまう。そんなこんなでライトストーンを手に入れるも、どうすれば復活できるかがわからず、その答えを求めてドラゴンジムリーダーのシャガがいるソウリュウシティへ向かうことになる。そしてそこに向かうまでの道中でもトレーナーとポケモンバトルをすることになるのだが、

 

「……思ったんだけどさ、なんかレベル高くない?」

「……いや、弱点突かれるやつが出てくるとそっから手持ちがどんどんやられるから……」

 

ここまでくると間違いなく意図的に上げてるようにしか思えず、つい指摘してしまう。そう、相手が平均レベル40近くの中、ネルの手持ちは一回り上なのだ。ちなみにどうしてこうなったかというと、オノノクス以外全員みずタイプのわざが弱点で一貫しているという悲しき欠陥があるのだ。それを解決するためのレベルによるごり押しだった。

 

「でもよ……格好いい奴使いたいだろ……」

「よしよし、そうだねぇ。そういえば……このレシラム?っていうのも手持ちに入るんだよね?その場合って……」

「…………そ、そんときに決める……」

 

ソウリュウシティまで行くと、プラズマ団の演説はエスカレートしていた。口では小綺麗な言葉を並べつつも、その直前のイベントでN自身がゲーチスを始めとするプラズマ団の大人達によって英雄にさせるために育てられたことが示唆されているのを見ているせいで言葉通りの意味として受け入れることができなくなっていた。演説が終わり、プラズマ団が去ると、アデクは主人公をシャガと彼と一緒にいた少女、アイリスに託しポケモンリーグへと戻る。そして主人公はシャガ達から伝説のドラゴンポケモンについて知っていることを教えてもらう。

 

レシラムとゼクロムが元は一つであったこと、だが双子の英雄の下にそれぞれの姿で分かれ、争ったことを告げる。一時はその双子は争いを止めたものの、息子たちが再び争ったことを受け、レシラムとゼクロムはイッシュを稲妻と炎で一瞬で焼き尽くしたのだという。その話をしたうえで、人とポケモンの関係性を改めてシャガとアイリスは説くのだった。

 

「……なんか壮大だねえ……」

「だよな……正直宗教とかいまいちピンとこねーけど。トリニティの奴だったら違うのか?」

「さあ?」

 

そして、最後のジムバッジを手に入れるためにジムに挑む。そこはドラゴンポケモンが出てくるジムであり、この時代にはまだ弱点をドラゴンとこおりしか突けないという高い耐性が脅威となっている。そこを等倍のわざで攻めて突破していくネル。何人かのジムトレーナーを蹴散らしながらシャガの下に辿り着き、遂にジムリーダーとのバトルを開始。ここで温存していたオノノクスを初手で投入し、りゅうのまいという強化技を使用して一気にドラゴンクローで三タテを狙おうとする、のだが、

 

「……はあああ!?」

「え、どうしたの」

「レベル43のオノノクスってなんだよ!こいつは48で進化してたってのに……!?」

 

相手がエースとして投入してきた、同じポケモンであるオノノクスがまさかの脱法進化をしていたことに驚いていた。とはいえ驚いたのはそれぐらいで、舞を積んだネルのオノノクスの敵ではなく、シャガ手持ちを引き倒してレジェンドバッジを遂に入手する。

 

「……今思ったけど、お前見てるだけで楽しいのかよ?」

「楽しいよー?そもそも前までゲームと縁がなかったし」

「……まああたしもあんま縁がなかったのは似たようなもんか……」

 

八つのバッジを携え、遂にチャンピオンロードに突入する。中は洞窟となっており強いトレーナーや野生ポケモンとのバトルを潜り抜けてポケモンリーグを目指していく。ソウリュウジムよりはレベル差の暴力も詰められてきてはいるものの、それでもまだまだ差はありそこを突破してポケモンリーグへと足を踏み入れることになる。

 

「ここがポケモンリーグかー、立派な建物」

「へっ、四天王だか何だか知らねーけど、こいつらの敵じゃねえって」

 

四天王はそれぞれエスパー、ゴースト、あく、かくとうの四タイプをエキスパートとする猛者たちだ。しかし、ネルの手持ちには相性のいいポケモンがいる場合も多く、多少の地力の差はオノノクスで強引に蹴散らしたりと、純然たる暴力と言ってもいいバトル内容で四天王を撃破。そして遂にチャンピオンであるアデクが待つところへ向かうことになるのだが、そこにいたのは、Nに敗北していたアデクの姿であった。

 

「「……」」

 

ある意味予想できていた展開に言葉が出てこなくなってしまう。アデクに勝利したNは、これでもうポケモンを傷つけることも縛り付けることもなくなる。これも友達であるゼクロムのおかげだと声を上げ、チャンピオンよりも遥かに強いトレーナーとして、イッシュのトレーナーにポケモンを解き放てと号令をかけると言う。敗北者となっても尚、やめてくれと縋るアデクを一蹴すると、Nの声と共にポケモンリーグを取り囲むようにNの、即ちプラズマ団の城が出現する。

 

「お、おお……なんかとんでもないの出てきちゃったけど」

「……はは、いよいよ最終決戦って感じだな?」

 

人とポケモンは分かれるべきか、一緒にいるべきか。最後の戦いをするために、主人公もまた城へと向かう。そこで、ゲーチスを除くプラズマ団の七賢人が立ちはだかるも、さらにその場に他のジムリーダーたちが出現。プラズマ団の野望を止めるために七賢人と戦い、主人公を先へと行かせることになる。

 

「はっ、いいねえこういう展開!悪くないぜ!」

「おじさんがほとんど知らない人だぁ」

「まあホシノが見始めたのすっげぇ終盤だったみたいだしな……バッジ七個手に入れてたし」

 

改めて考えるとホシノからすれば誰だこいつら状態である。これでは盛り上がってたネルも少しだけ寂しくなりつつも城の中を進んでいく。城の中にはプラズマ団の表向きの目的に共感して入ったのはいいが、そのせいで善性を捨てられずにいる者がいたり、ゲーチスの、プラズマ団の真の野望であるイッシュ征服を目的に参加しているプラズマ団がいたりと様々な人間がいた。そしてNのマインドコントロールにも近い教育実態が明らかになる中、遂に主人公とNは対面を果たす。Nがゼクロムを呼び出した、その時。まるで呼応するようにライトストーンからレシラムが炎と共に目覚める。

 

「これが……レシラム……!」

「ゼクロムと比べるとなんか綺麗だねぇ」

 

白を基調としたドラゴンポケモン、レシラム。ゼクロムと対を成すポケモンを従えると、ここで手持ちを一体外すことになってしまう。

 

「だあああああ手持ちが……!」

「やっぱり決めてなかったんだね、何選ぶの?」

「ぐ、ぬぬ……ワルビアルだ!こいつが一番レベルが低いから……とりあえず置いておくしかねえ……」

 

ここまで戦い抜いたワルビアルを泣く泣くリストラし、レシラムを手持ちに入れる。そして手持ちのポケモンたちを全回復してもらい、遂にNとの最終決戦を開始する。お互いの初手はいきなりレシラムとゼクロム。伝説ポケモン同士の対面にテンションが上がりつつも戦いが始まる。

 

「なんで向こうの方がレベル高いんだよ!?」

「……というか、これソフトがブラックって言ってたよね?なのに凄そうな伝説のポケモンが白なの?」

「そういや確かに……って、そんなことはどうでもいいんだよ……うわ、このクロスフレイムっての絶対格好良さそうだから撃ちてえ……でも効果今一つだろうし、りゅうのいぶきで攻めるしかねえか……」

 

しかし、何故かゼクロムの方がレベルが高かったり、そもそもブラックで手に入るのが白い伝説でいいのかなどを話し合いながらバトルを進めていく。伝説同士のバトルは、りゅうのいぶきでごり押ししたレシラムに軍配が上がり、その後のアバゴーラを相手にオノノクスがまいを積んでそこから一気にごぼう抜きするというなんとも味気ない終わり方になるのだった。

 

「……」

「まあ、こういうことだってあるだろ?そもそも積めば強いんだからさ……」

 

バトルの内容に思わず待ったをかけたくなる気持ちを抑えながら、その後のイベントを見ていく。Nは自らの敗北を悟り、主人公達の考えを受け入れる姿勢を見せていた。しかしそこに現れたゲーチスが邪悪な本性を露わとする。Nの事を歪で不完全なトレーナーと吐き捨てると、世界を、ポケモンを支配し、人々を統べるために、事実を知る主人公を葬り去ろうとする。プラズマ団だけがポケモンを使えればいいと邪悪な本性を露わとするゲーチスは、その場に合流してきたアデクらから激昂されるも涼しい顔で流し、主人公へと襲い掛かる。

 

「うわあ……ここまで邪悪だとは思わなかったよぉ」

「でもよ、伝説も持ってないんだぞ?消化試合だろこっからは」

 

ゲーチスとの戦闘はまぁNよりは楽だろうと高を括ったネル。まず現れたデスカーンからどくどくを受けつつもレシラムで撃破する。ここまでは良かった。よかったのだ。

 

「ああああああああ!?」

「サザンドラ強すぎて草」

「伝説ポケモンを倒すんじゃねえよ!!」

 

ゲーチスのサザンドラというあく・ドラゴンポケモンが放つりゅうのはどうにレシラムが真っ先に蹂躙。他のポケモンたちもなみのりでまとめて弱点を突かれて一蹴、あっという間に最後のオノノクスだけになってしまう。

 

「ちょっとこの人強くなーい?さっきのNより強いじゃん」

「おかしい、おかしいだろこいつ……!そりゃちょっとレベル上げ最後の方サボってきたけど……い、嫌だ、こうなったら、道具でも何でも使って勝ってやる……!」

「ちょっとネルちゃん何しようとしてるの?」

「げんきのかけらを使ってやるよ……そっちのPP枯らしてやる……!」

 

そしてネルが取った最後の手段。それは倒れた傍からげんきのかけらという瀕死状態から回復するアイテムを使ってサザンドラのPPを枯らすという身も蓋もない方法。まさかのゾンビアタックにホシノが軽く引いてる中、過去に金に物を言わせてげんきのかけらをまとめ買いしていたのが功を奏して、遂にサザンドラのなみのりが枯れたタイミングでようやくほのおタイプのポケモンたちが耐えることが可能になり、そこで手持ちを全員復活。そのままエンブオーのかわらわりで遂にサザンドラを撃破する。

 

「……うわー」

「そんな目で見るんじゃねえ、こいつ化け物だったんだぞ!?」

「はいはい、次来るよー」

「なんでガマゲロゲなんて持ってんだよこいつ……!」

 

だがガマゲロゲが相手ならオノノクスが刺さるはず。今度こそりゅうのまいを積んで仕掛けようとしたその時だった。あまごいを使っていたガマゲロゲが特性で素早さを倍にしてオノノクスの上から殴ってきたのだ。

 

「おい待てなんで上から……は!?毒!?」

「うわお」

「お、おかしいだろ……!で、でも積めたんだ、それなら後はごり押すだけだ!」

 

ヘドロウェーブで毒状態にされつつもガマゲロゲをドラゴンクローで撃破する。その後の手持ちはバッフロン、キリキザン、シビルドンだったが、オノノクスの技構成にかわらわりがあったことが幸いし、遂にゲーチスを倒してみせる。

 

「ははははは!やった!勝った!勝ったぞ!!」

「うへぇ~プラズマ団のこと言えないぐらいポケモン酷使してるよ~」

「勝ったからいいんだよ勝ったから!」

 

あまりに嬉しいのかホシノに抱き着き背中をバンバンと叩くネル。当のホシノは一周回って完全に正気に戻りながら、そういえばこの部屋防音とかしっかりしてるけど本当に大丈夫かなとぼんやり考え始めていた。

 

そんな中、倒されたゲーチスは狼狽し、完全に戦意を喪失してしまう。それを見届けたアデクは、Nに優しく語り掛けると、ゲーチスを連行して戦いの場から出ていく。残されたNは、アデクのその言葉に思うところがあったのか、主人公と共に伸びる通路の奥へと向かう。そこで、彼から初めて会った時の話をされる。人とずっと一緒に居たいと、人を好きだと思うポケモンがいると理解できなかったことを。旅を続けるうち、心を通い合わせ助け合う人とポケモンばかりいることを知り、次第に自分の気持ちは揺らいでいったこと。だからこそ、自分が信じていたものが何か確かめるために主人公と、同じ英雄として向き合い、戦いたいと願ったことを語る。そして、ポケモンのことすら理解していなかった自分が、多くのポケモンと仲間に囲まれた主人公に勝てるわけがなかったのだと悟る。そして、自分の道を決めるためにもNはゼクロムと共に城を飛び出す。主人公に夢を叶えろ、それを真実としろ。そう言い、

 

『それじゃ……サヨナラ……!』

 

その言葉と共に、ポケットモンスターブラックの物語は幕を閉じてエンディングに入る。

 

「あー、終わった……ゲーチスやべーな」

「うんやばかったねぇ……ほんと酷い奴だった」

「酷い奴だった……サザンドラ」

「あっそっちなんだ」

「あんなん普通出していいわけねえだろ……!」

 

残念ながらネルの中の印象は完全に最終戦のゲーチスのサザンドラに食われてしまったようだ。まあそう言いたくなるのもわかるほどの強さではあっただろう。その点についてはホシノも否定はしない。

 

「……まあそれはおいといて。見てるだけでも面白かったねぇ」

「ま、それは楽しかったけどよ。トキの奴が夢中になるのもわかるぜ……ま、この手持ちならあいつらだってボッコボコだぜ!」

 

 

話ももちろん面白いし楽しめたが、それ以上に大事なのはこの先。あのサザンドラを倒したのだ。これでゲーム開発部やトキにだって負けないはずだ。そうネルは意気揚々と笑うのだが。

 

『ねえねえモルフォ、このムラっけって強い?』

『モルフォちゃん、このエルフーンっていう子……ストーリーだとアタッカーだったけど、いたずらごころってやどりぎとみがわりも反応するの?』

『……レパルダスのねこのてといたずらごころで何かできないかな……?』

『天候で何か組みたいですね……何がいいでしょうか?ケイはどう思います?』

『あられとすなあらしはどうでしょう?』

『夢特性も面白いですね。これを使ってみるのも一興でしょう。モルフォは何を?』

『……せっかくだし頑張って受けループ作ろうかなって……グライオンとラッキーとナットレイはある程度妥協して作ったけど他はどこまで詰めれるかな……』

 

ゲーム開発部ではモルフォと一足早く対戦の沼に足を踏み入れ始めていたトキを始めとして既に対戦用ポケモンが開拓され始めていることをまだ知らないのだった。

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