転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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火と灰

 

一瞬、意識が飛んでいた気がする。目を覚ましたモルフォが背中から感じたのは、柔らかい肉体と服の感触。視界がぼんやりとしている上に、灰のようなもので覆われていることを少しずつ認識し始めていると、

 

「う、うぅ……」

「あっ、ユズごめん!」

 

背中で地面に押し潰していたユズの声に気付き、慌てて体を起こす。その時に左腕が痺れていることに気付き、そちらを見る。左腕はずっと力を入れっぱなしだったようで、左手は固くシールドを握りしめていた。おそらくはこれが原因だろう。

 

(そうだ……あの時。アリスがミサイルが来るって言って、慌ててシールドを出して、近くにいたユズを庇ったんだ……)

 

徐々に、何が起こったのかを思い出し始める。古聖堂へ向かって放たれたミサイル。それは、古聖堂を一撃で破壊し、その周囲にあった街並みも跡形もなく吹き飛ばしていったのだろう。モルフォ達が陣取っていた場所は、不幸にも古聖堂に近い所。ギリギリミサイルの威力の範囲内に存在する場所だったのだ。

 

「ユズ、大丈夫!?」

「背中が痛いけど……でも、モルフォが守ってくれたから大丈夫……それより皆は……?」

 

最初にユズの容態を確認する。だが、ユズの方は軽傷らしく、痛みに顔を顰めつつも体をゆっくりと起こしてくれた。モルフォが庇い、シールドでミサイルの余波を防いだことで叩きつけられただけで済んだのは幸運と言えるだろう。しかし、

 

「他の皆は!?」

「ど、どうしよう……吹き飛んじゃったのかな……!?」

「モモイ!ミドリ!アリス!ケイ!」

「皆、返事をして……!」

 

周囲に他の四人はいない。モルフォとユズが必死に声を張り上げ、皆に呼びかける。すると、瓦礫の一部が吹き飛び、その下からケイが現れる。

 

「ケイ!」

「大丈夫!?」

「……はい、私は。しかし、アリスが今の衝撃で意識を失ってしまって……あのミサイルは一体」

 

ケイに駆け寄り、モルフォとユズに体は大丈夫かどうか、腕やお腹などを触られたりしながら、自分とアリスについて話す。体の方は問題なく、アリスも気絶しているだけで重傷を負ったというわけではないようだ。

 

「よし、二人も大丈夫……後はモモイとミドリ」

「ケイは二人を見た?」

「確か、あの方角にモモイがミドリを庇って吹き飛んだような……」

 

ケイがミサイルの着弾直後の記憶を思い出す。そして三人はその方角にある瓦礫を頑張ってひっくり返したりしながら呼びかけていく。すると、

 

「う……」

 

ミドリの呻き声が聞こえてくる。全員でその場に向かうと、そこには大きめの瓦礫が何個も積まれているような場所になっており、その下にミドリが埋まっているようだった。

 

「ミドリ、待ってて!」

 

銃を瓦礫の下に差し込み、勢いよく銃を倒すことでテコの原理で瓦礫を持ち上げる。それをケイが放り投げていくと、ミドリとミドリの上にかぶさった状態のまま意識を失っているモモイの姿が露わとなる。

 

「ミドリ!」

「モモイ!」

「!モルフォちゃん、ユズちゃん、ケイちゃん……!お姉ちゃんが……!!」

 

三人の姿を見たミドリが悲痛な表情を浮かべながらその手に抱くモモイの姿を見せる。どうやら、モルフォがユズを庇ったようにミドリもまたモモイに庇われていたようで、その甲斐もあってかミドリは叩きつけられる程度の衝撃で済んでいたようだ。しかし、モモイはそうはいかない。

 

「……とりあえずモモイが怪我してないか調べよう。ぱっと見はそこまで傷は見えないけど……こんなのまともに喰らったら大変なことになる」

 

何せあの衝撃は、攻撃を庇ったモルフォのシールドを大きく歪ませていた。改めてシールドを確認してみると、そこにはミサイルの衝撃でどこかから吹き飛んできたであろう鋭い鋼鉄の杭のようなものまで突き刺さっており、そこを中心としてひび割れが全体に広がっていた。咄嗟にユズを庇わなかったら、今頃はこれがユズに突き刺さっていたかと思うとゾッとする。それを除いても、ミサイルの威力は体の頑丈さで耐えきったアリスとケイはともかく、余波とはいえ直撃を喰らったモモイは一たまりもない。

 

「えっと、えっと……こういう時どうすれば!?心臓マッサージ!?人工呼吸!?」

「いや脱がすのは早い!まず動いてるかどうか調べて!?」

 

どうにか平らで寝かせられそうな場所にモルフォが運び、モモイを寝かせると、容態を確認する。目立った痣や打った痕などは確認できず、呼吸なども安定している。こちらもアリスと同じくミサイル着弾の衝撃をまともに喰らったことで意識を失っているだけのようだ。と、

 

「……う、あれ私何して……」

「「「モモイ!」」」

「お姉ちゃん!!」

 

ここでモモイが目を覚まし、四人は安堵する。モモイは痛そうに体を起こしながら辺りを見渡していたが、変わり果てたトリニティの惨状に血の気が引いたような表情となる。

 

「え、な、これどうなってるの!?」

「わかんない……ミサイルが飛んできて、そしたらこうなって……」

「モモイ、体は?」

「う……すっごく全身痛い!……でも、ミドリは!?ミドリはどこ?」

「ここだよお姉ちゃん!……よかった、お姉ちゃんも無事で」

「ミドリ……」

 

痛みに呻きながら体を起こす。その様子を見た限りでは全身に痛みを感じてはいるようだがモモイは幸運にも比較的軽傷であるようだ。どうやらすぐ近くの壁が吹き飛んだ際にそれに命中してミドリと共に吹き飛んだようだが、そのおかげで直接余波を受けたわけではなかったのが不幸中の幸いか。だが、

 

「っ!」

「ミドリ!?」

「あ、足が……」

 

ミドリはそうはいかなかったようだ。立ち上がろうとしてすぐに姿勢を崩してしまい、倒れ込んでしまう。慌てて全員で駆け寄ると、ミドリは痛そうに右足を抑える。見れば、赤く腫れ上がってしまっており、捻ってしまったようだ。

 

「大丈夫?」

「う、うん……っ」

「動いちゃダメだって!」

「私が背負っていくよ。ここに居続けるわけにはいかないし」

「モルフォちゃん……ごめんね」

 

どうにか動こうとするも、また痛みに顔を顰めてしまう。しかし、この場にずっといるわけにもいかない。首にかけていたヘッドフォンを触りながらミドリの前でしゃがみ、背中を向ける。ミドリを左右からモモイとケイが持ち上げながらモルフォの背中に移動させると、ミドリは申し訳なさそうに腕を回す。

 

「……あれ……電波が全く立たない。スマホが壊れてるわけじゃなさそうだけど……」

「あのミサイルのせいでしょうね。理由はよくわかりませんが通信が取れなくなっているようです。信号などを発信することだけはできるようですが……内側がこれでは、外側から連絡を取ることも不可能でしょうね」

「……じゃあ自力でどうにかするしかないか。こっから移動して病院に……いや、トリニティの方に行った方がいいか。こんな状況だし、電話とかも使わせてもらえるはずだろうし、そもそもスマホも使えるようになるかもしれないし」

「とりあえずミレニアムに戻れるようにセミナーに電話しよう!ユウカに迎えに来てもらおう!それと先生にも来てもらって……」

「まあそれが良いね……って、ん?先生って確か古聖堂の方に」

 

これからの行動を決めていく。ひとまずの目的地はトリニティの校舎。そこまで行けば手当だって受けられるだろうし、落ち着くことだって救助を求めることもできる。そもそも何が起こっているかどうかもわからないのだ。それを知るためにもこの場に居続ける選択肢はない、はずだったのだが。モモイの言葉を聞いたモルフォが、先生がいる場所を口にしたことで風向きが変わることになる。

 

「……先生、大丈夫かな」

 

ミドリが呟く。先生がいたのはミサイルが落ちた場所だ。銃弾一発で致命傷を負う先生の体だ、ミサイルの直撃となればどうなるかなんてわからない。現地には多くの生徒達もいたため、ミサイルが来ていることに気付いて先生を守るために何か行動をしてくれてる可能性もあるが、ミサイルの余波だけでゲーム開発部がこの有様なのだ。仮に先生が無事であったとしても、生徒達の方は自分達よりも酷い怪我をしていてもおかしくない。

 

「……確かに。だけど……ミドリも怪我しているし。ここは一旦ここから逃げよう?」

「いや、古聖堂の方に行った方がいいと思う。私なんて言ってみればただの捻挫だよ?あっちにいる人達の方がやばいだろうし……先生が怪我していたら大変だよ」

 

モモイも悩みながらも、しかし妹の怪我の事も考えてまずは自分達の方を優先しようと言う。しかし、ミドリの言葉にモモイも思わず黙ってしまう。

 

「……ミサイルを撃った奴らの狙いは、間違いなく古聖堂でしょう。その狙いが先生なのか、トリニティなのかゲヘナなのか、或いはその全部か……そこまではわかりませんが、このような事をした以上、命を狙っていると見て間違いないでしょう。ミドリの言う通り、先生の無事を確かめに古聖堂へ行くのだとすれば、そいつらと鉢合わせする可能性だってあるでしょう。リスクが高すぎます」

「でも、裏を返せば今、古聖堂にいる人たちはまともに戦えないって事でしょ?確かに私達だってそんな強くないけど……それでも、もし先生が無事なら先生を連れて逃げられるかもしれないし……そうすればこの状況だって、どうにか巻き返せるかもしれない」

「ユズまで……」

 

四人の視線が自ずとモルフォへ向けられる。ここから去ろうと言うモモイとケイ。対して古聖堂へ向かおうというミドリとユズ。進むか戻るか、その選択はモルフォに委ねられる。

 

(確かに、ここから安全な所に逃げるべきではある。でも、先生達の事は気になる。けど、先生の所に向かえば敵と遭遇する可能性もある。敵は一体?以前、セイアさんから聞いたアリウス?それとも別の奴ら?いや、トリニティにミサイルが迫るなんて、セイアさんは一言も言っていなかった。まさか……セイアさんの予知も大きく乱れている?)

 

出来得る限り、冷静に状況を分析していく。その上で、どう行動するべきかを考える。そして下した決断は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒナは大怪我を負いながらも、先生を伴って走っていた。調印式に打ち込まれた巡航ミサイル。それは、アリウス分校の仕業だろう。彼女達にそこまでの技術力が果たしてあるのかなど、色々な疑問は浮かぶものの、ミサイルが着弾し吹き飛ばされた直後、ヒナは襲撃を受けていた。生き残った者達を始末するかのように現れたガスマスクを身に着け顔を隠した白い服装の少女達と、浅葱色の髪のスナイパー。それを見て、アリウスだと確信したヒナは襲撃を退けて古聖堂へと向かう。そこでヒナが目撃したのは、ツルギやハスミが大怪我を負いながらも黒いマスクを付けた黒髪の少女が率いるアリウスと戦っている光景。しかし、その戦闘は二人に不利に進んでいた。その理由は簡単。数百規模に渡る、ガスマスクを付けた、青白い肌を持つシスターのような存在であった。

 

シスターフッドに所属する黒髪の少女、ヒナタがユスティナ聖徒会と呼んだ、数百年前に消えたはずの戒律の守護者達が復活し、彼女たちはアリウスの味方をしたのだ。倒しても倒しても湧いてくるユスティナ聖徒会によってツルギとハスミ、ヒナタは追い詰められてしまうのだが、そこにヒナが現れたことで先生を逃がすことに成功。ハスミ達がその場でアリウスを食い止める間に先生はヒナと共に脱出したのだ。だが―――

 

「はぁ、はぁ……!」

 

遂にヒナは倒れてしまう。そこには、一度退けたはずのスナイパー、古聖堂にいたはずの黒髪の少女。仮面をつけた、薄紫色の髪の少女。そして、紺色の髪をした、マスクを付けた少女がユスティナ聖徒会を従えて立っていた。何故、古聖堂にいたはずの少女や、ヒナが倒したはずの少女がこの場にいるのか。それは単純な話だ。執拗に追い続けるユスティナ聖徒会を前に、ヒナは全て殲滅してから前に進む、という非効率な戦い方をせざるを得なくなっていたからだ。というのも、先生の身を守るはずのアイテムであるシッテムの箱がミサイルの直撃から先生を守るために沈黙してしまったことが原因だ。それ故、あまりにも遅い行軍となり、そこにいた四人の少女達、アリウススクワッドからすれば、分かれていた仲間達と合流してもなお、追いつくには十分すぎる時間を確保できていたのだ。

 

「君達が、アリウススクワッド……?」

「そうだ。ようやく会えたな先生」

 

先生の言葉に、彼女達のリーダー格と思われる紺色の長髪の少女、錠前サオリが口を開く。アリウススクワッド、そういった存在がいることはアズサがアリウスから来たということが判明した後、彼女自身の口から聞かされていた。その中で、アリウススクワッドと呼ばれる部隊を構成する面々についても知っていたのだ。

 

黒髪の、ロケットランチャーを構える少女、戒野ミサキ。マスクで顔を完全に隠したサブマシンガンを持つ少女、秤アツコ。スナイパーの槌永ヒヨリ、そして錠前サオリ。四人によって構成される、アリウスでも屈指の実力者たち。彼女たちが、明確な殺意を以て先生へと迫ろうとしていた。

 

「アズサが世話になったらしいな。あいつにはこれから会いに行く予定だ」

「……」

 

サオリから世間話をするかのように、だが冷たい言葉を投げかけられる。当然彼女達も、ナギサの襲撃失敗がミカとアズサの裏切りによるものだとわかっているのだろう。だが、そこで手を引いたのは、今の事態を踏まえれば失敗しようが懐が痛くなることではなかったからなのだろう。

 

「何をしたの?」

「我々はトリニティに代わり、この通功の古聖堂で条約に調印した。故に、我らアリウススクワッドが楽園の名の下に条約を守護する新たな武力、エデン条約機構になった……本来、第一回公会議の時点で私達が行使すべき当然の権利を行使したまでだがな」

「……!」

「かつてはトリニティに踏みにじられたそれを、今度は我々が定義し直す。鎮圧対象はアリウスではない―――ゲヘナ、そしてトリニティだ」

「!」

 

それを聞き、先生は理解した。何故ユスティナ聖徒会が現れ、同じトリニティであるはずの正義実現委員会を襲ったのか。そして、調印式に参加していたヒナを襲ったのか。それは、アリウスによって敵を指定されたからだったのだ。

 

「この両校こそエデン条約に反する紛争要素。排除すべき鎮圧対象だ。よって、このキヴォトスから消し去る……文字通りに。この条約の戒律、その守護者と共に」

「そんなことをしたら戦争になるよ。完全に滅ぼすってことはそういうことだ」

「そうだな、戦争になる。だが、それが我らアリウスの、マダムの望みだ」

「っ」

 

マダム。その言葉を聞いて先生の表情が険しくなる。生徒が、子供が自分の事をわざわざマダム、だなんて呼ばせない。もしそう呼ばせている者がいるとしたら、それはおそらく子供ではない可能性が高い。そのマダムという人物が、こうなることをわかって、戦争が起こるとわかってこの事態を引き起こした。それだけでも、怒りが湧いてくる。だが、その怒りを閉じ込めながら、先生は生徒へと語り掛ける。

 

「戦争になったら色んな人達が被害を受ける。それはトリニティとゲヘナだけじゃない。君達アリウスだって同じだ。戦争に関わる人全てが不幸になる」

「これ以上悪くはならないさ」

 

しかし、サオリから飛び出したことは、底などないという言葉。それは、昔、アリウスがトリニティから否定され弾圧されたことに起因しているのか、それとも。

 

「そろそろ終わりにしよう。貴様が計画の一番の支障になりそうだと、マダムも言っていたからな」

 

そう言い、サオリが持っているアサルトライフルの銃口を向ける。

 

「あああああ!!」

「!?まだ動けるのか、空崎ヒナ!!」

 

そして、サオリが引き金を引こうとした直後。ヒナの意識が覚醒し、無理矢理体を起こすとそのままサオリの射線に入り、全ての銃弾を受け止める。さらに、

 

「セナッ!!」

 

ヒナの呼びかけに応えるように、救急車が現れる。そう、ヒナは移動しながらも、セナという人物が救急車を伴って近づいてくるであろうルートを探していたのだ。そして、彼女がすぐ近くまで来ていた。それを察知し、死力を尽くして再び動いてみせた。まさかの底力に驚くミサキ達。しかし、サオリは一瞬こそ驚くもすぐに落ち着いてホルスターから拳銃を取り出す。後方の扉を開いたまま突進する救急車に、ヒナは先生を掴んだまま飛び込もうとする。そこを狙い、先生の心臓に狙いを付けて―――

 

「っ!?」

「「「!?」」」

 

背後から飛んできた銃弾が、拳銃を吹き飛ばしてしまう。その間に、先生を乗せた救急車は走り去ってしまう。だが、突然の銃弾が飛んできた先を見ようと振り向いたアリウススクワッドと、それを行った犯人達の横を通り過ぎて行った救急車の中にいた先生、セナ、ヒナは見た。

 

「……よ、よかった……」

 

サオリの拳銃を吹き飛ばしたライフルを構えるミドリと、彼女を背負うモルフォ。そして、他のゲーム開発部の面々を。

 

(……なんで、ミレニアムの子達が……)

 

思わず声をかけようとするも、限界が来てしまったのかヒナは意識を手放してしまう。そして、救急車も止まることができず走り去ってしまう中、アリウススクワッドは険しい表情でミドリを降ろしたモルフォ達を見つめる。

 

「その制服……トリニティでもゲヘナでもないな」

「へ、へん!それがどうかした!?」

「……」

 

サオリの言葉にモモイが強がるように声を上げる。そんなサオリの服をアツコが軽く引っ張ると、サオリもアツコの言いたいことを理解し頷いてみせる。

 

(ユスティナ聖徒会が反応しない……そればかりか消滅している。あくまで条約の締結によって出現している以上、トリニティとゲヘナという敵しか攻撃できない……目標を上書きするには、姫がそこに再び向かう必要がある、か)

 

ユスティナ聖徒会は目の前の相手を攻撃してくれない。そればかりか姿を消している以上、奴らの相手は自分達でしなければならない。とすれば、この五人だけは決して逃してはいけない。

 

「……奴らをここで始末する」

「「「……」」」

 

サオリの言葉に三人とも頷く。ユスティナ聖徒会の穴、それを見せてしまった相手をここで始末しなければ、その情報は彼女たちの所属する学園に伝わってしまう。それだけは避けるために。

 

「……ヤバそうな奴らだね」

「……戦闘は避けることができませんね」

「でも……先生を助けることはできた!」

「うん……後はここを切り抜けるだけ!皆、気合いれてこ!」

「「「「おー!!」」」」

 

ボロボロのシールドとショットガンハンマーを構えながら、士気を高めるようにモルフォが声を張り上げる。それに呼応するように、ゲーム開発部も気合を入れる。

 

「……」

 

だがそれを、特にモルフォの様子を、サオリは無言のまま見つめていた。狙うべき指揮官を見定めたかのように。

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