転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

107 / 209
ゲーム開発部とアリウススクワッド(後編)

 

「……ぐ、うぅ……!」

「あ、アズサさん……」

 

サオリの前で、アズサが倒れ込む。サオリとアズサの戦いは、サオリに軍配が上がった。だが、それもある意味で当然と言える。サオリとアズサでは得意とする戦法が違う。これが罠を駆使したゲリラ戦であればアズサにも勝機はあったのだろうが、真正面から戦ったとしても、手負いのサオリにも届くことはなかった。

 

「一人だけじゃ……リーダーには勝てませんよ」

「しかも、得意のゲリラ戦でもないんじゃ猶更。まだこいつらの方が厄介だった」

 

その様子を、ヒヨリとミサキも冷めた目で見ていた。アツコは仮面で素顔がわからないものの、おそらくは二人と同様の感情を持っているのだろう。

 

「……」

 

倒れたアズサを見て、手を伸ばしかけたユズがその動きを止めてしまう。まだ、体は動くはずだ。ミサイルの着弾に伴う、余波を受けた程度のダメージしかないし、今回の戦いでそこまで大きなダメージを受けていたわけでもない。なのに、もう一度、立ち上がることができないでいた。理由は頭、そして心で理解していた。

 

モルフォの死だ。物言わぬ体となり、今も後頭部から血を流し続けるモルフォ。その頭部にはヘイローが存在することを示す光はなく、サオリの言う通り、ヘイローを破壊する爆弾によって殺されてしまったのだ。ユズだけではなく、モモイも、ミドリも膝をついたまま、動けずにアズサが倒れる様子を見ている事しかできないでいた。

 

「……」

(ミサイルでアリスが気絶していなければ……リオと連絡が取れれば……!すぐに無名の守護者達を呼び寄せるというのに……!!)

 

ただ一人、ケイだけがアリウススクワッドを睨みつけるも、動く様子がない。他の皆が動けない状況ではケイだけが動いたところで勝ち目がないのだ。

 

「それでも、私は……私は……!!」

「……せめてもの情けだ、アズサ。お前は私の手で葬ってやる……!」

 

痛む体に鞭を打つように体を起こそうとする。しかし、全身は傷だらけでボロボロになっており、これ以上戦えるとは思えない。それでも、その目だけはいまだに死んでいない。その姿を見て、いっそ本当に諦めてくれれば楽だったものを、と言わんばかりにその額に銃口を突きつける。だが同時に、これが白洲アズサという人物なのだと理解もしていた。

 

「……!」

「だ、だめ……」

 

死が目前に迫り、アズサの目が震える。ミドリが震える声を絞りだそうとした、その時だった。

 

「!リーダーしゃがんでください!」

「ッ!」

 

ヒヨリの警告に従うようにその場にしゃがむサオリ。直後、ヒヨリが発砲すると同時に手榴弾が撃ち抜かれ、爆発する。爆風から身を守るように損傷した左腕を盾にするように掲げながら、サオリが手榴弾を投擲した方へと視線を向けると、そこには。

 

「……コ、ハル……?」

「あ、アズサから離れなさい!許さないんだから!!」

「アズサちゃん!大丈夫ですか!?」

「あなた達がこの惨事を引き起こした犯人ですね……なんてことを!」

 

何と、コハル達補習授業部の三人の姿があった。振り向き、呆然となるアズサを守るように、三人が銃弾をサオリへ向かって放つ。しかし、それを冷静に避けながら、他の三人と共に距離を取ったサオリは、アズサの下へ駆け寄り、彼女を守るように立ちふさがる補習授業部の姿を見据える。

 

「大丈夫ですか!?アズサちゃん!」

「って、え!?なんでゲーム開発部の皆もここにいるの!?」

 

呆然となりながら、ヒフミ達を見上げるアズサ。そんな中、コハルが何故かゲーム開発部もここにいることに気付く。それぞれ怪我をしていたり負傷したりしているが、それが戦闘によるものかミサイルの影響かまではわからない。

 

「……なんで、ここに……」

「そんなの当たり前じゃないですか!友達なんですから!」

「そうよ!それに、私は正義実現委員会よ!?こっちにはツルギ先輩達だっているのに、黙っているわけにはいかないわよ!」

「……確かに、本当なら迂闊に動くのではなく、冷静に、学園に戻って情報を集めるべきなのでしょう。ですが……アズサちゃんが飛び出しちゃったのなら、友達を助けに無茶をしにいくのがきっと、感情としては正しい選択ですから」

「でも、私は……私のせいで、皆が怪我をして……」

 

アズサがこの場に一人で現れたのは、同じアリウスの生徒として、ケジメをつけなければならないという使命感に突き動かされたのもあるだろう。だが、ヒフミ達の前では絶対に言えない言葉があった。それは、自分の手で、アリウススクワッドを始末しなければならない。その命を奪わなければ。これだけの事をしてしまった相手を止めるには、もうそれしかないと。当然、ヒフミ達にはアズサがそんな物騒な事を考えていたことなんてわからない。だが、

 

「……アズサちゃんが何に悩んでいるのかは、私達では全部わからないかもしれません。アズサちゃんも言いにくいこと、言えないこともきっとあるんだと思います。だけど……ここでアズサちゃんが一人で動いて、どこか遠くへ行っちゃって、もう二度と私達の前に現れてくれないのは……アズサちゃんがずっと、後悔し続けることになっちゃうのは……嫌です」

「ヒフミ……」

「一人で駄目でも、皆がいます。皆で力を合わせれば、きっと……奇跡は起こせます!だから……掴みましょう、私達の手で!今できることを!」

「……ありが、とう……」

 

ヒフミの言葉に、感極まったような、嬉しそうな呟きを零す。一人では最悪、サオリ達の命を奪うしかないと思っていた。だが、今なら。かつて、ミレニアムで一緒に戦ったこの補習授業部の面々なら、新たな道が見えるかもしれない。ヒフミの言葉に呼応するように、コハルとハナコも、強気な表情で銃を構える。だが、

 

「虚しいな。アズサとお前たちは最初から生きている世界も、立場も何もかも違うというのに」

「そんなことはありません!確かに、アズサちゃんはあなた達と同じアリウスの生徒だったのかもしれません……だけど!だからって一緒にいれない理由なんてないんです!もし、一人で何とかしようとして、周りを突き放して、どこかに行こうとするなら、それを止めます!追いかけます!それが友達です!仲間なんです!!」

「ヒフミ……」

「……成程、アズサが甘い夢を見続けるわけだ。だが……虚しい繋がりが最悪の結果を生み出す」

「?何を―――」

「ユスティナ聖徒会!」

 

サオリの言葉と共に、再びユスティナ聖徒会が出現する。これまで、この場にいたのがトリニティではあっても、アリウスでもあったためにユスティナ聖徒会側から見ても審議状態であったアズサやミレニアムのゲーム開発部だったために反応しなかったが、ヒフミ達は別だ。彼女たちは立派なトリニティ総合学園の生徒達。で、あればユスティナ聖徒会がそれを鎮圧するために再び出現するのは道理と言える。

 

「な、何あれ!?化け物!?」

「ユスティナ!?まさか……ユスティナ聖徒会!?どうしてそんな昔の組織が……!」

 

ユスティナ。その名を聞いて即座に正体に辿り着くハナコ。それと同時に、その頬に冷や汗が流れる。もし本当にこれが、彼女の知るユスティナ聖徒会と言うのなら、アリウスは亡霊を復活させたと言えるのだから。

 

「で、でも!ここでこいつらを倒さないと……今だって、ツルギ先輩やハスミ先輩は戦っているんだから!」

「はい!ここで勝たなきゃ、アズサちゃんだって……!誰一人、死なせるわけにはいきません!」

「!」

 

ヒフミの強い宣言に、アズサの肩が震える。それは、まだ彼女たちが真実を知らないからこそ出てくる言葉なのだろう。だが、アズサだけは真実を知っている。

 

「違う……もう、モルフォは……」

「え……」

「モルフォは……ヘイローを……破壊されて……!」

「「「!?」」」

 

ヒフミたちの体が震える。彼女たちはそこで初めて、倒れているモルフォの姿に気付いた。そして、アズサのヘイローを破壊された言葉を聞き、彼女達も最悪の結果に気付いてしまう。

 

「そん、な……」

「ヘイローを、破壊……!?そ、そんなことが」

「……まだです。まだ、ヘイローを破壊されたって判断されたわけじゃありません!そうでしょう!?アズサちゃんは見たんですか!?モルフォちゃんのヘイローが壊れるところを!」

「……それは、見てない、けど」

 

だが、それでもとヒフミは声を上げ続ける。必死に、最悪の結果を否定するかのように。

 

「救護騎士団が見れば、意識を失っているだけだって言われるかもしれません!まだ、決まってないんです!今すぐにでも助ければ助かるかもしれません!まだ……希望を捨てるには早いんです!そもそも、そのヘイローを破壊したってこと自体、彼女たちが勝手に言ってるだけじゃないですか!」

 

ヒフミのその叫びを聞き、モモイ達の手がピクッ、と震える。先ほどまで戦意を失い、絶望していたその表情に、目に光が戻りつつあったことにサオリ達も気付く。

 

「これ以上お喋りに付き合うのは終わりだ。正義実現委員会の連中と同じところに行かせてやる」

 

これ以上、ヒフミに喋らせるのは危険だ。彼女にはそういう、人を扇動し得る才のようなものがあるかもしれない。現に、一人仕留めて絶望しているのに、少しずつだが立ち直り始めている。まだ、ここから彼女が助かるかもしれないと思ってしまっている。この状況で段々希望というメッキが剥がれていくかと思いきや、むしろ段々強まっていく。自分の判断ミスだったと舌打ちしながら、ユスティナ聖徒会に補習授業部を葬らせ、自分達の手でゲーム開発部を仕留めるためにサオリは手を振り上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……セイアさん?」

 

空中に浮かぶモルフォ。その足首を掴むセイア。その謎の光景にモルフォが困惑していると、何かが消えるような音が背中から聞こえてくる。モルフォが首だけを後ろへと動かしてみると、何故か蝶の羽が光で作られており、それが消滅しようとしていた。そして、

 

「うわあああああ!!」

「うわっ!?」

 

羽が消滅すると同時にモルフォの背中は勢いよく、ティーパーティーのテラスの床に叩きつけられる。モルフォの足首に引っ付いていたセイアも同じく叩きつけられ、その痛みにのたうち回る。モルフォも背中からの痛みに顔を顰めながら起き上がると、そのままのたうち回るセイアに近づく。と、

 

「!モルフォ!!まだ死んではいないはずだ!君はまだ!!」

「落ち着いてください……私は死んでいませんよ。でも、さっきなんで羽が生えて……いや、やっぱり危なかっ……痛」

 

セイアに跳びかかられ、押し倒される。そのまま、こちらの顔を覗き込むセイアの表情は必死なものとなっており、それだけ先ほどまでのモルフォは危険な状態だったということなのだろう。だが、モルフォの顔を見て、一先ずは安心だと悟ったのか、安堵した様子を見せる。

 

「不謹慎な事は言わないでくれ……こんな状況に君を招いてしまって不謹慎も何もないが……」

「こんな状況って……セイアさんの予知した未来が変わったとかじゃないんですか?」

「……そうとも言えるしそうでないとも言える。ただ一つ言えるのは……この未来に導いたのは私にもその一因があるということだ……すまない」

 

セイアがもし、モルフォに調印式の日に起こることを伝えていたら、今回のような目には遭わずに済んだかもしれない。ちゃんと、踏みとどまってくれたのかもしれない。だが結果は、モルフォの事を思って伝えないでいたことで、彼女だけでなくゲーム開発部全員がトリニティに来て巻き込まれてしまい、こうしてモルフォも死にかけているのだ。

 

「……成程。だけど……結局、未来がどうなるかなんて誰にもわからない、ってことじゃないですか?いくら未来が見えたって、どうとでもなるんですから」

「……確かに。しかし……勘違いしないで聞いてもらいたいが、ヘイローを破壊する爆弾、それ自体は実在するものだ。私自身は未遂でその威力を味わったわけではないが……アリウスだって、効果がある、という前提でそれを投入しているはず。何故君は生きている?」

「ああ……それは、エンジニア部のロマン、ですよ」

 

モルフォがシールドを虚空から生み出す。夢の中だからこそできる芸当だ。そして、夢の中だからこそ、ある程度想像でシールドの中の機構は変化しており、自分にとってわかりやすいものとなっている。実際はもっと複雑だったりするんだろうな、と考えながら、中に入っていた、一つの球体を取り出す。見るからに危険そうな、赤いランプのようなものがついたそれはまさしく、

 

「爆……弾……?」

「ええ、自爆装置。シールドが壊れた時に勝手に爆発する仕様なのか、それともあの爆発で誘爆したのか……いずれにせよ、私が生きているとしたら喰らったのはこっちの方だった。それしか考えられませんよ。それに、こっちが爆発した様子も一応私の方からは見れましたし」

 

余波は喰らったかもしれませんけどね。そうぼやきながら、爆弾を消す。多分、その影響であんな状態になっていたのだろう。そうモルフォが推測していると、セイアは呆気に取られた表情を浮かべ、そして遂に笑い始めてしまう。

 

「は、はは……あははははは……なんだ、それは……全く、君という奴は……」

 

嬉しそうに、モルフォの上から降りながら笑うセイア。そしてひとしきり笑うと、

 

「……モルフォ」

「!」

 

モルフォに、ある言葉を伝える。それを聞いたモルフォの目が驚きと共に一瞬見開かれ、そしてすぐに、どこか嬉しそうに、だが希望を顔に浮かべ始める。

 

「……ありがとうございます。なら……頑張らないといけませんね」

「行くんだね」

「はい。向こうで待ってる人はいっぱいいますから」

 

ゆっくりと立ち上がる。モルフォの現実と夢の境目が曖昧になっていく。現実への目覚めが近くなるにつれ、その体が透け始める。そんなモルフォに、セイアは今見えたある事実を伝える。そして、

 

「……モルフォ。君のやりたいようにやるといい。奴らに一発くらわせてやれ」

「……はい!」

 

そして、セイアに見送られるように、モルフォの姿が消える。それを見届けると、セイアもまた目を閉じて、ティーパーティーのテラスから姿を消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サオリの手が止まっていた。そして、視線はサオリだけではなく全員が同じ場所を向いていた。本来、そこからするはずのない音。誰かが立ち上がる音が聞こえてきたからだ。そしてそこには、

 

「……馬鹿な」

 

サオリの呟きが、立ち上がったモルフォを見て零れる。ありえない、そう思っていたことが現実に起こっている。光を取り戻しかけていたゲーム開発部の顔は完全に希望を取り戻しており、補習授業部の面々も、安堵の表情を浮かべている。信じられない様子で見ているのは、アリウススクワッドだけだった。

 

「何故立てる……!?何故、ヘイローが壊されていない……!」

「「「「モルフォ(ちゃん)!!」」」」

 

モルフォの声に、モモイ達が歓喜の声を上げる。しかし、すぐにモルフォは苦しそうに膝を突いてしまい、どうにか銃を杖にするようにして立ち上がる。その様子を見て、驚いていたサオリだったがようやく我に返り、安堵してしまう。何故、敵が生きている事に安堵しているのかと慌てて思考を切り替え、モルフォを睨みつける。

 

「……どうやって生き延びたかはわからない。だが……何故立った?お前自身分かっているはずだ。何があったかはわからないが、ヘイローを破壊する爆弾から生き延びた。しかし、ダメージを受けてないわけじゃない。既にその身は限界だろう」

「……」

「あのまま死んだふりをしていれば、私達も気付かず、お前だけは生き延びることができていたはずだ。何故、わざわざ死ぬために立ち上がった?そんなことをしても、ただ虚しいだけだ。そう……全ては虚しい……」

 

だからこそ、わからなかった。何故モルフォがこれ以上は死ぬとわかっていて立ち上がったのかを。あの爆発を受けたのに何故か生きていること、そして疑問を抱いたせいで、サオリはその手を下すという判断すら忘れてしまう程に動揺していた。だが、それに気付くことがなかった彼女はそのまま質問を優先してしまう。それが、モルフォが望み、セイアが目にした新たな状況だと知らずに。

 

「……私はこの世界は虚しいで片づけられる程単純なものじゃないって思ってるよ」

「何……?」

「……さっきの質問。私は誰かを犠牲にして生き残れるほど図太くはないよ」

「……だったら何故だ。自分を犠牲にして仲間を逃がそうというのか」

「まさか。誰かのために犠牲になれるほど聖人でもない」

「じゃあなんで!」

「……全員で生き残るため」

「!!」

 

後頭部からはいまだに血が流れ続けている。体だってボロボロだし、怠さだって感じる。それでも、モルフォが立ち上がったのはただ一つ。この場にいる全員の生存を目指すためだ。

 

「モルフォ……!」

「友達が死んでまで笑える自信なんてないし、私が死んで皆を悲しませたくもない。そうなったら確かに虚しいかもね。だから……全員が生き残る道を選ぶことにしたよ。そのために、命を懸けることはできる。そうすれば、皆でいるなら虚しい以外にも何かが生まれる」

「っ……だとしてもこの状況で……一人立ち上がったところで何ができる!」

「一人じゃ何もできない。一人で強大な敵に立ち向かってもきっとやられるだけ。何の事態も変えることはできないかもしれない。でも、皆ならできる」

「っ……貴様もそんな甘い夢を……」

「……夢は見るものだよ」

 

モルフォの答えに、サオリは頭を横に振る。全員が生き残る道なんてあるわけがない。そうだ、今の自分達にはユスティナがいる。モルフォが生き返った衝撃にすっかり忘れてしまったが、待機状態のユスティナを動かし、自分達が戦闘を再開すればすぐにでもこの状況に決着が付くのだから。そう思っていた時だった。モルフォの体が揺れ、前方に倒れ込む。

 

「……」

 

やはり限界だったか。当たり前だ、あの状況で立ち上がれるだけの体力があっただけでも奇跡のようなものなのだから。そう、サオリは安心する。サオリだけではない、ミサキもヒヨリも、こうなるのが当然だと思っていた。だからこそ、偶然それを見ていたアツコだけが気付いていた。

 

「サオリ!!」

「姫!?」

 

サオリの不幸は二つ。事情があって言葉を発することを禁止されているアツコがその禁を破ってまで言葉を発したことに一瞬驚いてしまったこと。そして、それが警告だということに気付き、すぐにモルフォの姿を探すも、どこにも姿がなく、一瞬見失ってしまったこと。直後、さらに視線を下げるとそこには、

 

「ああああああああ!!」

「―――ガッ!?」

 

大地をしっかりと踏みしめ、姿勢を低くしてこちらを見据えるモルフォの姿が見えた。その次の瞬間、勢いよく腹部に突き刺さるモルフォのタックル。その衝撃に、肺の中の空気が吐き出され、サオリの体が押し倒される。

 

「なっ!?」

「リーダー!?この―――」

 

ミサキがロケットランチャーをモルフォへ構える。しかし、それよりも早く、残る力を振り絞ってモルフォがサオリから離れるように横へと転がった、次の瞬間。

 

「うらああああああ!!」

「―――!?」

 

上空から落下してきたネルの両脚がサオリの腹部に突き刺さり、地面にクレーターを作りながらサオリの体をVの字に曲げていく。声にすらならない悲鳴を上げ、白目を剥くサオリ。

 

「ネル……先輩……!?」

「上から―――!?」

 

上空からの強襲に、全員が視線を上へと向けようとする。だが、ミサキだけは上空を見上げることができなかった。何故ならその前に、トキの落下の勢いも乗せた全力の踵落としを頭部に叩きこまれ、地面に顔を埋められてしまったからである。

 

「トキちゃん!?」

「……ふん!」

「んご!?」

 

さらに追撃とばかりにアサルトライフルを一マガジン分丸々ミサキに叩き込み、一瞬にしてミサキを沈黙させる。同じ頃、ヒヨリはカリンによって滅多打ちにされた上で口内にスナイパーライフルの先端を突っ込まれており、アツコはアカネが大量に投擲した手榴弾を始めとする大量の爆薬が引き起こした大爆発に呑まれていた。

 

「C&C……!?なんで皆さんが!?」

「まさか、サオリ達がこうも簡単に……」

「ぐ、う……」

 

意識を失ったのも一瞬で、すぐに意識を取り戻したサオリ。その目の前にサブマシンガンを突きつけながら、ネルは不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

「―――よう糞野郎ども。後輩達を痛い目に遭わせた覚悟はできてるんだろうな?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。