転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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先生とアリウス分校

 

「……ここが、アリウス分校の自治区だ」

 

カタコンベを抜けた先生、モルフォ、そしてアリウススクワッドの三人は四人のアリウスの生徒に連れられてアリウス分校の自治区へと辿り着いていた。そこは荒れ果てた建物が立ち並ぶ中世のような街並みとなっており、荒んだ環境であることが一目で理解できた。

 

「……ここが?」

「……ああ。外と違って荒れているだろう?」

「これでも、雨漏りとかしないようにちゃんと修繕ぐらいはされてるんだけどね。内戦が終わって、建物が壊れる心配がなくなったおかげで」

「……」

 

サオリとミサキの説明に、先生は言葉を失う。確かに、アリウスの生徒達の生活水準の低さは話には聞いていた。それはミカも苦言を呈するレベルだ。しかし、こうして実際に目の当たりにすることで、その戦いの痕跡を嫌でも理解させられてしまう。

 

「でも、遂に戻ってきちゃいましたね……もう戻ることなんてないって思っていたんですけど……」

 

モルフォの右手にはライオットシールドが握られている。そこにはシールが貼り付けられており、ミレニアムの校章とゲーム開発部のシンボルが刻まれている。さらに背中には、何故かヒヨリが背負っていたはずの巨大なリュックを背負っており、そこから数本の銃が伸びているのがわかる。

 

「……」

 

モルフォが自分達を囲むように並ぶ四人のアリウス生を見る。小柄な三人の少女と、モルフォよりはギリギリ背が高い少女。髪すら白いフードとガスマスクのせいで分からないが、四人の中で一際背が高い少女と、小柄な少女の一人は腰回りが窮屈そうに膨らんでいるのが分かる。また、別の一人は背中に何かを背負っており、残る一人も服一枚分は体が膨らんでいるように見える。そんな四人に囲まれ、アリウススクワッドと共に入った先生は遠くの方を見る。

 

「それで、セイアとアツコはどこに?確か……」

「……バシリカだろう。朝には儀式が執り行われてしまう……その前にそこに向かう必要がある。おそらくマダムもそこにいるはずだ。他の奴らに見つかる前に……!?」

 

だが、ゆっくりはしていられない。時間がないと言い、急いで移動しようとするサオリ達。しかしその前に、

 

「お帰りなさい、サオリ。そちらが例の人物ですか?」

「っ……く、待ち構えていたのか……」

「ふふ、出迎えを用意するのは当然ですよ。何せ彼女はお客様ですから。丁重に扱えとマダムにも言われています」

 

スバル達が現れ、立ちふさがってしまう。それを見て、苦々しい表情を浮かべるサオリ達。と、そこにホログラムでベアトリーチェが姿を現し、先生を見る。

 

『……こうして会うのは初めてですね?先生』

「あなたがアリウス分校の生徒会長をやっているマダム……いや、ゲマトリアのベアトリーチェだね」

『その通りです。しかしまあ……随分と姑息な手を使っているようですが、まさかこれがあなたの作戦と?』

「?それはどういう……」

 

ベアトリーチェが先生を嘲笑う。その様子にスバルが一瞬困惑の表情を見せるも、

 

『アリウススクワッドに先生とモルペウスを連れてこさせ、途中で彼女らを監視させる生徒達と合流した……その後は、彼女達に案内された、という体でサオリ達が案内し、バシリカまでたどり着こうとしていたのでしょう?無駄ですよ……既にそちらにいる四人がアリウスの生徒ではないことはわかっています』

「っ!」

 

今度はサオリ達の表情が歪む。それを見てベアトリーチェはあくどい笑みを浮かべると、

 

『奴らを殺しなさい。ただしモルペウス……オレンジの髪の少女だけは生かして捕らえること』

 

その言葉と共にスバル達が銃を構え、撃ち出そうとしたその時だった。四人が既に持っていたカモフラージュ用の銃を目の前の集団へ向かって投げ捨て、モルフォの背負うリュックに同時に手を突っ込み、各々の銃を取り出す。それらを手にすると同時に投げられた各々の先制攻撃がアリウスの生徒達にぶつかり、先頭の数名が倒れる中、

 

「きゃああああ!?」

「わああああ!?」

「皆、今だ!」

 

悲鳴が上がったのはアリウスの生徒達の方からだった。モルフォが地面に突き立てたライオットシールドを遮蔽物にした先生が合図を出すと、四人はアリウスが使用していた白いローブを脱ぎ捨てる。

 

「……ふー、やっと脱げたぜ。窮屈だし暑くてしょうがねえ」

「あれはあれで色々使えそうだったんだけどねぇ……ネルちゃんは単純に厚着しすぎだよ」

「うるせえな、スカジャンは譲れねえんだよ」

 

そこから現れたのは、なんとホシノとネルだった。それだけではない、その横にはヒナとミカの姿もあり、二人はローブの中に閉じ込めていた羽を勢いよく広げるように伸ばしていた。

 

「あー、やっと解放されたよ……羽を見せたら誰かバレちゃうから仕方ないんだけどさ。でもこんなことやってたら羽が凝っちゃうよ」

「潜入のためとはいえ、何度もこんなことはしたくないわね」

 

正体を隠すためにローブの中に羽を押し込む必要があった二人は無機物のスカジャンを着こんで少し窮屈そうにしていたネルよりも深刻だったようで、その解放感を喜ぶように、そして羽の調子をすぐに戻すかのように今も細かく忙しなく動いているのがわかる。

 

「な……聖園ミカと空崎ヒナ!?」

 

が、それ以上にざわめくのはアリウスの生徒達の方だ。まさか、ここにミカとヒナが現れるとは思ってもいなかったのか、驚きのあまり手を止めてしまう。それを好機と見た先生が、

 

「今だ!バレた以上は時間との勝負だ!皆、突破するよ!!」

 

そう指示を下すと同時に、ヒナ達は戦闘を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は巻き戻る。拘束されたアリウススクワッドは、トリニティの広めの部屋に通されていた。拘束され、手錠を付けられた上に身に着けていた武器などを全て取り上げられたものの、先生達が最後に確認した時よりも怪我が酷いことになっていることもあり、ミネの強い要望を受け手当てを受けた上での事情聴取となっていた。そこには、モルフォや先生を始め、ヒナやアコ、ツルギやハスミといった風紀委員会や正義実現委員会の代表、ミカや病院から急遽出てきたナギサにシスターフッドからはサクラコ、救護騎士団からミネ。そして今回の件にあたって様々な手伝いなどをしていたハナコに元アリウス生ということでアズサが呼ばれていた。それ以外にはゲーム開発部やC&C、対策委員会らの姿もある。

 

「……ふざけないでください!そんなことを何故受け入れなければならないんですか!?セイア様のことでも既に大変な事になっているのに!!」

「……癪ですが、同意せざるを得ませんね。そもそも、調印式を滅茶苦茶にした上に、ヒナ委員長や先生の慈悲も不意にしたばかりか全く無関係なミレニアムの生徒を襲って捕らえようとするなんて……」

 

そしてサオリ達の話を聞き終えた後。ハスミが怒りのまま拳を机の上に叩きつけていた。少し離れたところに座っていたアコも、溜息を吐きながら同じ意見だと頷くと、サオリ達を睨みつける。当のサオリは顔にガーゼなどが当てられており、腹部や左腕には包帯が巻かれているのがわかる。その横では同じように包帯やガーゼを付けられたミサキやヒヨリがおり、ハスミとアコの視線に気まずそうに顔を俯かせる。

 

「皆、落ち着いて」

「そうですよ、ハスミさん。焦り、憤る気持ちはわかりますが……それだけでは事態は好転しません」

「……申し訳ありません」

「アコもよ。確かに思うところがあるのはわかるけれど……そのおかげで、マダムは少なくとも百合園セイアについては無事を約束するつもりはないということは判明しているのだから」

「……わかりました」

 

先生の声に同意するようにナギサに窘められ、ハスミも渋々といった様子で引き下がる。アコも同様にヒナの一声で大人しくなったところで、先生はもう一度サオリ達を見る。サオリ達から伝えられたのは、アツコが攫われたということ。そのアツコを助けるためにモルフォをアリウスに連れていく必要があったこと。

 

しかし、あんな別れ方をしてしまった手前、先生らに助けを求めることなどできるわけもなく、そしてアツコを見捨てるわけにいかなかったサオリ達は、モルフォを誘拐せざるを得なくなってしまったのだ。しかし、セイアを助けるために先生とモルフォを差し出せと言っておきながらスクワッドにアツコを救いたければモルフォを連れてこいという、矛盾した発言は彼女の本性を垣間見る結果となっていた。

 

「アツコをマダムはどうしようとしているのさ?」

「……多分だけど、儀式をしようとしているんだと思う」

「儀式?それって……バシリカで行おうとしてる?」

「!?何故お前がバシリカのことを!?」

 

ここで口を挟んできたモルフォに、三人が驚愕の表情を向ける。当然、他の面々の視線もモルフォに向けられるのだが、モルフォは真剣そのものといった表情でサオリ達を見つめていた。と、そこに口を出したのはサクラコだった。

 

「バシリカというのは、アリウス分校に存在すると言われる場所です。詳細まではシスターフッドでも掴めませんでしたが……何故、一介のミレニアム生であるあなたがそのようなことをご存じなのですか?」

「さ、サクラコ様……」

「これは疑問ですよ、ただの疑問です。是非、納得のいく説明をお願いしたいのですが」

 

そう言い、モルフォに対して笑いかけるサクラコ。しかし、その問いかけはあまりに鋭いナイフのようにすら周りには見えたのだろう。シスターフッドですら追えない情報を持つ少女。その情報収集能力は下手すればトリニティのそれを越えていると思われても不思議ではないだろう。何せ、トリニティの奥地にあるアリウスの情報すら仕入れているのだから。

 

「……うーん、納得も何も……実際にセイアさんとアリウスに行きましたから」

「え!?」

「は!?」

 

その言葉に勢いよく立ち上がったのはミカとナギサだった。あまりの衝撃に椅子が後ろに倒れる音が響くが、そんなことすら気ににはならない。慌てた様子で同席していたティーパーティーの生徒が二人の椅子を元に戻す中、問いかけた本人であるサクラコはというと完全に固まっていた。

 

「え、えっと?セイアさんとアリウスに行った、とは?」

「そのままの意味です。私の夢とセイアさんの夢が繋がっていて、セイアさんは夢の中でアリウスに現れたんです。そこに私が現れて……皆がマダムって呼んでる女、ゲマトリアという組織の大人であるベアトリーチェに襲われたんです。それで私だけが逃がされました。その時にバシリカの祭壇で儀式を行うと言っていたので、その儀式にアツコが使われるんだとしたら……おそらく、生贄になるんだと予想できます。それなら、午前中の戦いでアツコが言っていた、生かしておくつもりがない、という発言にも通ずるところがあります」

「あの、ちょっと待ってもらっていいですか?」

「え、あのサクラコちゃんが押されてる……!?」

「モルフォちゃん!お姉ちゃんが駄目なシナリオ書いてプレイヤーをいきなり置き去りにした時みたいな情報量の暴力ぶつけてる!!」

「ごふっ」

「うわーん!モモイが大ダメージです!!」

 

この場で共有するつもりだった情報を一気に解放する。セイアと夢が繋がっているという衝撃のカミングアウト。それを知っているのは先生とトキ、そしてミネぐらいだ。他は、セイアと繋がりのある生徒としてモルフォに見当をつけていたミカがどこか納得した表情を見せるぐらいである。

 

「はあああ……」

 

何かを察して思わず頭を抱えてしまうネルと苦笑いをするホシノ。ネルはといえば、絶対このことをリオは知っていただろうと考えており、それを見る他のC&Cも何となくネルの考えていたことを察してしまっていた。とはいえ、リオが黙っていた理由も政治的なあれこれなのだろうと予想できるし、公に絶対したくないという気持ちも理解はできる。

 

「モルフォちゃんの交友関係の広さって……」

「結構……やばいわよね……」

 

対策委員会の方はモルフォがティーパーティーにまで交友関係を伸ばしていたことに対してもう驚きすらしていなかった。

 

「……えーと、その。モルフォさんはセイアさんと同じように予知夢が見れるというのですか?その、調印式の事も……」

「いえ、私に予知夢とかはありません。夢の中でセイアさんと会って色々話をしたりしていただけですね。ただ、調印式のことについては全く教えてくれませんでした。言ったら首を突っ込むかもしれないからと……まあ、別の理由で来ましたが」

「うっ」

「も、モモイ……!」

 

事実を言っただけで悪意はないのだが思わぬ流れ弾にモモイが呻き、ユズが慌てて抑える。そんなゲーム開発部の様子を見て、ナギサもモルフォが予知夢をできるわけではないことは理解する。そして数分後、ざわめくトリニティとゲヘナの面々がやっと全員落ち着いてきたところで、現状を改めて整理する。

 

「……こほん、とりあえず現状を整理しましょう。マダム、いえベアトリーチェは先生とモルフォさんの身柄を求めている……先生は警戒されていたから、モルフォさんはセイアさんの力で共にアリウスに行ってしまい、そこで知ってはいけないものを知ってしまったからですね。先生もセイアさんと同じ夢にいたそうですし、セイアさんの予知夢にはこのような力もあったとは……すみません、話が逸れましたね」

「うん、大丈夫だよ」

「そしてアリウススクワッドもまた、秤アツコを人質に取られ、モルフォさんを連れてくるようにと強要された。先生を指定しなかったのは、そちらは成功率が限りなく低いと考えられたからと、先生なら自分から来るだろうと思われたから」

「……ああ、おそらく間違いない。追っ手との戦闘で私達は大きく疲弊していたからな」

「……それでもあんな簡単に制圧されるぐらい弱ってたとは思わなかったけど」

 

ナギサの発言に先生とサオリ、ミサキが頷く。その上で、先生が提案をする。

 

「私は、アリウス分校に行くべきだと考えてるよ」

「……危険よ。確かに、言っている意味はわかるけれど……」

 

先生の提案に、ヒナが苦言を呈する。とはいえ、このままでは仮に相手の要求を呑んだところでセイアは絶対に助からない。セイアを助けるためにはアリウス分校に乗り込むしかない。そして、アリウスに向かうならば、自分達をアリウスに連れていきたいという思惑自体は間違いないというところから、向こうの提案を呑んだ形に最初は動いたほうが都合がいいはずだ。

 

「……それに、カタコンベを突破するのは無理だ。それができるとしたら……サオリ達だけだよね」

 

だがそのためには解決しないといけない問題が存在する。アリウスとトリニティを隔てるカタコンベを突破するには、時間によって形を変えるその特異性を攻略しなければならない。それを無視し、最短ルートでアリウスへたどり着けるのは、完全にアリウスからの情報を断ってしまったアズサではなく道を知っているサオリ達だけであった。しかしそれは、

 

「……先生とアリウススクワッドを一緒にするということですか」

 

とてもナギサ達に受け入れられる話ではなかった。それもそうだろう、事情は理解したとはいえ、先生の命を狙ってきた相手だ。本当に一緒にしていいというのか。だが、アスナの懸念点はそこにはなく。

 

「うーん、そうなるとさ、モルフォちゃんも一緒に行かないと駄目だよね?先生はついでに捕まえられたーって言えるけど、アリウススクワッドの目的はモルフォちゃんなわけだし」

「……で、どう思ってんだアスナは」

「うーん……別にヒヨリちゃんとかは全然問題ないと思うんだけどさ……やっぱ足りないよね」

「そうなるか……」

 

アリウススクワッドだけでは戦力が足りないと告げていた。ネルもその宣言に難しそうに考え込んでしまう。その様子を見て、ハスミが唖然となりながら抗議をぶつけ始める。

 

「待ってください!気にするのはそんなところですか!?」

「あー、お前らは知らねえか。アスナは勘が凄いんだよ。こいつがアリウススクワッドは大丈夫って言ってるならとりあえず大丈夫だろ。それにまあ、あたしもあの場面を見ちゃいるしな」

「勘って……!」

「落ち着いて、ハスミ。私なら大丈夫だよ。サオリ、案内は任せてもいいかな?」

「……いいのか?」

 

勘、そんなもので自分を信じていいのかと思わず困惑してしまうサオリ。しかし、先生は頷いてサオリ達に笑いかける。

 

「私は最初からサオリ達を信じているからね。アツコとセイアを助けるために、協力してほしいんだ」

「……先生……すまない……」

 

先生の言葉を聞き、安心した様子を見せる三人。その様子を見て、C&Cが警戒を解いたことに納得する者も出てくるが、それでもハスミやアコを筆頭にどうしても警戒心が抜けていない面々は出てきてしまう。それも仕方のないことだろう。だが、先生の案を渋々といった様子で受け入れる様子は見せていた。

 

「で、ネルちゃんとアスナちゃんは何が足りないってー?」

「戦力だよ、言われなくてもわかんだろ」

「全員で乗り込む……わけにはいきませんよね~?」

「ノノミ先輩!?そんなことしたら大変な事になりますよ!?」

「うーん、セイアちゃんが絶対無事じゃなくなるから却下!」

 

そう、アリウススクワッドだけでは戦力が圧倒的に足りないのだ。しかし、下手に追加の人員を用意しようとしても、それを察知したベアトリーチェがどう動くかはわからない。ではどうすればいいのか。ふと、ここで妙案を思い付いたとばかりにシロコが手を叩く。

 

「ん、私達がアリウスになる」

「……え?シロコ先輩、それってどういう……」

「成程。潜入用にアリウスの生徒の服装を拝借するんですね」

「それなら確かに不自然ではないな」

「確か、何人かは捕まえているという話でしたし、服自体は用意できそうですね」

 

シロコの言葉の意味を理解し、アカネとカリンも頷く。少し遅れて他の面々もその意図を理解し、ナギサがすぐに確認に向かわせたのだが。数分後、

 

「すみません……アリウスが使用していた装束ですが、正体を隠すのに使えないぐらい損傷しているものも多く、現状用意できるのはこれぐらいでした」

 

持ってこられたのは、小さめのサイズのローブばかり。通常サイズのローブは一着しかなかった。

 

「……小さいものが多いですね……」

「酷な話だが……アリウスも仲間たちの事を十分気にかけていられる余裕がある生徒も少なかったんだろう」

 

ツルギがそれらを見て呟く。先にダウンし、結果的に服の損傷がほとんどないものが残ったのは小柄な体格の生徒ばかり。即ち、体力なども他より劣っていると思われる人員達であった。そして通常サイズのローブが一着しかなかったのは、ある程度体力のある生徒は限界まで戦って確保されているからだろう。

 

「……先生、誰を連れていくかはお任せします」

「先生、これは私も行った方がいいと思うんです。その方がサオリ達も怪しまれずにセイアさんの下に近づけるだろうし……今、セイアさんは意識だけの状態。そうなると、私以外は接触すらできないかもしれないから」

「……わかった。誰かモルフォに代わりの盾を用意できないかな。といっても戦闘に参加する用ではないけど」

「であれば、私が使っているライオットシールドの予備をお渡ししましょう。後で持ってきます……ですが、戦闘に参加しないこと、自らの身を守ることを最優先にすること。これだけは遵守してください」

「ありがとうございます」

 

先生にメンバーが一任され、モルフォにはミネから予備のライオットシールドを手渡されることが決定する。そして考えた末に先生は、小柄な服が着れるメンバーとしてネル、ホシノ、ヒナを。そしてこの中でアリウスの内情を知っている方であり、実力もあるミカを選出し、この後の事はナギサらに任せてアリウススクワッドと共にアリウス分校へと向かうことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラァ!!」

「止まらない!?くそっ、どうなってるんだ!!」

「撃って撃って撃ちまくりなさい!敵を通さないで!!」

「悪いけど通るよ~!」

 

そしてアリウス分校の中では先生達はバシリカを目指して走っていた。道中で立ちはだかるアリウスの生徒達をなぎ倒しながら進軍する一行、しかしその表情に焦りなどは見えない。先頭を走るネルとホシノに敢え無く蹴散らされていき、塞いでいたはずの道をアリウス生達は晒してしまう。

 

「くそっ、喰らえ爆弾を―――」

「通さないわ」

「ちいいい!」

 

数人のアリウス生が投げる手榴弾をヒナが撃ち落とす。そのままマシンガンを連射して投げた当人たちを撃破すると、脇から出てきた数人からの先生への攻撃をライオットシールドを構えて受け止めるモルフォを目にする。と、

 

「油断大敵だよ」

「ぎゃあ!?」

 

攻撃をしていた生徒達がミカによってやられる。今相手にしている集団は蹴散らせたが、足音はどんどん近づいてきている。いつまでもここにいるわけにはいかないと、再び走りながら、先生はサオリ達に質問する。

 

「後どれくらいで着きそう!?」

「もうすぐだ!あの巨大な建物……あそこの奥にバシリカがある!突っ込むぞ!!」

 

サオリの言葉に一行は頷き、見えてきた巨大な建物の扉を開け放ち、中に入る。と、

 

『よくここまで来たものです。ですが……そこまでですよ』

「っ、ベアトリーチェ!」

『先生、サオリ。お前たちの愚行は、ここで終わりです。そこでその命を散らしなさい』

 

ベアトリーチェの声と共に明かりが灯る。そして、部屋いっぱいのユスティナ聖徒会が一行を出迎えるのだった。

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