転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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百合園セイアと地球防衛軍6

コマンドシップから現れた謎の巨人。卵型の宇宙船から降り立った神と称されるラスボス、通称銀の人を攻撃し続けるセイア。重傷を負ったまま戦いを続ける味方達は次々に死亡していき、正規兵ですらない民間人を兵士としてマザーシップに突貫させるという慈悲の欠片もない最終作戦も行われる中、遂に銀の人はストーム1の手によって葬られる。

 

「倒した……のか?だが……こいつを倒したところでまだマザーシップは十隻全部残って……うん?」

 

しかし、敵の総司令を倒したところで、そもそもの話、敵の戦力は残っているのだ。どのみち勝ち目がない……そう思っていたセイアの予想を裏切るかのように、なんとプライマーは撤退を始めたのだ。人口は残り一割となり、崩壊した社会。そこに待っているのは絶望ばかりだろう。しかし、希望もあるのだと。いい話のようにエンディングは綴られていくのだが、正直な所、セイアはこの地球防衛軍5の終わり方は無理やりなようにしか見えなかった。

 

「……これで終わりなのかい?何ともまぁ……いや、指揮官が倒されたからと考えれば理解はできるが……普通にやってればプライマーの方が勝っていただろう……?」

「まあ、そうなりますよね。これといった理由は明言されてませんが、ある程度予測はできますが」

「ほう?あの舐めプ戦術に理由があるのかい?」

「ええ」

 

エンディングに入り、休憩しながらゲームについての感想を語るセイア。面白いゲームだということに異論はないが、やはり引っかかるのはその終わり方だろう。人類残り一割で世界もほぼ崩壊してて希望があるはどうなのよ?と言われてもまぁ無理もない。

 

「というわけで地球防衛軍6にいきましょうか」

「続編か……まあ、面白かったから構わないが」

 

その不満点を解決するため、地球防衛軍6を提示する。とはいえ、まずはゲームをクリアした達成感を堪能しつつ、世間話をしながら数時間時間を潰すと、いよいよセイアは地球防衛軍6を始めることにする。あの状況からどのような話が展開されるのかは興味があった。

 

「……この主人公は前作のストーム1と同一人物なのかい?」

「そうですよ」

「ふむ……このプロフェッサーという男は何者だい?前作では影も形もなかったが……」

「5のエンディングの語り部がプロフェッサーらしいですね。5と6が独立してもいいように5でプロフェッサーは出なかった可能性があるのかと」

 

前作から三年後の世界。前作にいないプロフェッサーというストーム1の知人っぽい誰かの解説を聞きながら、配属された基地でのチュートリアルを終える。そして地上に出て侵略生物の残党と戦うのだが、

 

「随分とくたびれたカエルだね……前作で初めて見た時から感じていたのだが……本当にこれは人間なのかい?」

「ぶっちゃけカエルですよあれは……私達から見たら」

「まぁそうだろうね……」

 

初戦から、前作では中盤に出てきたはずのカエルのようなエイリアン、コロニストが相手なのはさすがにセイアも度肝を抜かれた。蟻じゃないのか……と思いつつもミッションをこなしていくと、

 

「……なんだい?あの輪っかは」

「まあ、直に分かりますよ」

 

空に謎の巨大なリングが出現する。そして翌日と表されたミッション。そこでセイアは、作中の人物の会話の流れに始まり、景色も含めておかしいことに気付く。

 

「……待て、どうなっている?」

 

思えば前兆はあった。ミッション選択画面のUIがボロボロになり、不穏なBGMになっている。それだけでなく、空は赤く染まり、エイリアンツリーと呼ばれる謎の建造物が増えている。前のミッションまで苦労や疲労は感じつつもまだ明日はあるとそれなりに希望を持っていた登場人物の会話も、悲壮感を感じさせるものに。さらに敵は、コロニスト達とは違う、見たことのない、アンドロイドと呼ばれる敵の群れにラインナップが変わっていた。

 

「……」

 

落ち着いた時間にセイアがモルフォの顔を確認する。しかしモルフォはネタバレはしないと言わんばかりに黙っているばかり。その後、上空に出現したリングへの攻撃作戦を開始。プロフェッサーだけが知っている情報に従いリングの真下に向かい、攻撃を加えていく。すると、画面を光が包み込んでいく。そして画面に表示される、The Earth Defense Force 6という文字。

 

「……ここまでがプロローグ、というわけか―――何!?」

 

ここから始まるんだなと思った、次の瞬間。UIもストーム1の見た目が5の時に戻っていることに気付く。しかもミッションは前作の見覚えのあるタイトルに、ミッション説明文も同じ。これが意味することは、

 

「まさか……過去に、戻っている……?」

 

まさかこのためにこのゲームをやらせたのかと、セイアがモルフォを見る。と、モルフォの体が光に包まれていく光景が見えた。

 

「あ、そろそろ起きてきます」

「あ、おい―――」

 

しかし、モルフォに追及する間もなくモルフォは現実世界へと消えてしまった。残されたセイアは無言のままその場に座っていたが、次第にテレビへと向き直る。

 

「……まあ、戻ってきた時でいいか……それに、たかがゲームだ。これで未来を良くしてプライマーに勝とう、という話なのだろう……そんな簡単に未来が変えられるなら、苦労なんてないというのに……しかし、緋色の空、か……」

 

一人だけになった部屋で、セイアはぽつりと呟いた後に過去にやったはずのそのミッションを始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが特異現象捜査部かー」

 

特異現象捜査部の部室に足を運んできたモルフォ。別に自分だけの話だったらもうちょい落ち着いてからでもいいかなと思ってはいたが、トリニティの生徒の夢と繋がってる上にその子が目を覚ますことができずに自分の夢の中で居座ってます!という事態はさすがにやばいと思ったのだ。とはいえ、こんなことをいきなり話したが最後、ユズやネルだと疲れてるから休んだ方がいいと言われるかもしれない。

 

「……誰もいないんだけど?」

 

しかし、部室を開けてもそこには誰もいなかった。仕方ないので出直そうとモルフォが後ろを振り返ろうとしたその時。

 

『お待ちしていましたよ、夢見モルフォ』

「ん?」

 

声がどこかからか聞こえてくる。しかし部屋の中は無人だ。ということは、声の主はスピーカーか何かを使って話をしているのだろう。そう結論付けると、返事を返すことにする。

 

「そうですね……えーと、明星ヒマリ先輩の声、ってことでいいんですか?」

『その通りです。この私こそ超天才清楚系病弱美少女ハッカー、明星ヒマリなのですよ』

(超天才……何て?)

 

そう声の主は自己紹介すると、ホログラムを部屋に投影する。投影されたホログラムによって、車いすに座った厚着をしている銀髪の少女、明星ヒマリが現れる。自己紹介に非常にツッコミたいところではあるが、得意げに名乗りをあげた彼女にそれをツッコむのも酷な気がしたのでスルーすることにする。

 

「天才ってことはやっぱりオカルトにも強いんです?」

『ええ、あなたがここに来た理由もわかっています。あなたの身に宿っている不思議な能力……それについて聞きに来たのでしょう?』

「やっぱり話が早いですね!ヒマリ先輩!」

『当然です』

 

天才って名乗るだけのことはあるようだ。これは安心できると、ほっとした様子でモルフォは本題に入ることにする。

 

「じゃあ、もしかしたらセイアさんも起きれるかもしれませんね!」

『……あの?セイアというのは……まさかトリニティの百合園セイアさん、ですか?』

 

しかし、表情が固まったのはヒマリの方であった。セイアという名前の人物は、ヒマリも名前ぐらいはだが当然知っている。トリニティの生徒、しかもティーパーティーという、いわば生徒会に所属するトップの一人ではないか。何故そんなビッグネームがモルフォの口から飛び出してくるのか。こればっかりは、事前にモルフォの特異性についてある程度調べてはいたであろうヒマリであっても予想はしきれなかった。

 

「はい、なんか夢が繋がったとかで……なんか向こうで起きれない、みたいなこと言ってるんですよね」

『……ひとまず、お話を聞かせていただいても?』

「もちろんです」

 

ひとまず、話を聞いてみないことには始まらない。ヒマリはモルフォの話に耳を傾けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……帰ってきましたよー……」

「ちっとも良くなってないじゃないか!?」

 

夜。部屋に戻ってきたモルフォを待っていたのは、バァン!と勢いよく床を叩くセイアの姿だった。ミッション数を見ると、後半戦に入ってきたところか。

 

「ああ、七週目の未来に来たんですね」

「……モルフォか……何なんだこのゲームは……!時間を繰り返しているのに、ちっとも未来が良くならないぞ!?そればかりか、プライマーにばっかり有利になってるじゃないか!」

「そりゃプライマーは意地になってますからね」

 

地球防衛軍6は5とは地続きのストーリーである。しかし、地球防衛軍5及び6の本質とはストーム1とプロフェッサー、そしてプライマーによる過去改変合戦なのだ。そして、地球防衛軍5とはそのタイムリープの中の一周でしかなく、6の内容を踏まえるに、おそらくは人類がギリギリプライマーに勝つことができた最後の周回なのだ。しかしそれ以降。EDF6と称される周回に入ってからは人類は敗北の周回を繰り返すことになる。周回が進み、ナンバリングが進んでEDF7となっても同様。むしろ6よりも状況は悪化してしまっていた。

 

「……じゃあ、こっからが本番ですね」

「本番……?これ以上どうしろと……大体、私はゲームにまで現実の不条理さを味わいたいとは―――」

「言ったはずです。ここからが本番だと」

「……」

 

とりあえず言われるがまま、七週目の未来、リングが出現し、プライマーが過去に改変船団を送り、それによって変わり果てた絶望の未来を進めていく。地下の坑道を通り、リングへと迫る。どんな絶望の中でも、そこに駆けつけてくれる登場人物は変わらない。そんな、気休めにも似た嬉しさを感じながら、多分7回目と推測できるリングの破壊に成功。事故によって、ストーム1とプロフェッサーはEDF8へと向かう。その際に表示されるメッセージを読みながら、その不穏さにセイアは眉を顰める。

 

(降り注ぐ光、同じだ、だが……何かが狂いつつある……何が、狂うというんだ?)

 

民間人時代まで戻ったストーム1。時間を繰り返しているが故、プライマーが繰り出す兵器も過去のそれと比べてバージョンアップしている。だが、過去の周回を元に対策を知っているセイアは手際よく破壊していく。その中でふと、あることを思い出す。

 

(確かこのミッション……タンクが破壊されていたはずだが……)

 

狂いつつある。その言葉を思い出したセイアは、戦車の前に自分を待機させる。すると、戦車たちから民間人が進路を妨害しているという、前作では聞かなかった台詞を聞く。直後、本来戦車を破壊する敵の兵器がその場に突き刺さり、タンク隊が生存する。

 

「……!?」

 

本来死ぬはずだった命が助かった。その現実を前に、セイアの目が驚きと共に見開かれる。もしや。その後も過去のミッションと同様の流れでマザーシップが出現し、次のミッションへ。本来ならジェノサイド砲と呼ばれる大型砲台を発射してくるのだが、セイアは砲台を攻撃してみる。するとダメージが入り、それを見て次々と攻撃を入れるとジェノサイド砲は破壊されてしまう。すると、マザーシップが撤退してしまい、前作では出現するはずの増援は現れず、そこでミッションはクリアとなる。

 

「……ふふ」

 

過去とは全く違う流れと、民間人がマザーシップに大打撃を与えた事実に驚愕する通信を聞きながら、セイアの顔から思わず笑みが零れる。運命の流れを知り、それをより良い形に変える。プレイヤーとしては四週目、だがストーム1としては最低でも八週目。今までの鬱憤を晴らすような感じがして、凄く楽しくなってくる。

 

(……ふ、まるで私への当てつけじゃないか)

 

ミッション説明文もまた、変わっていた。共に時間を駆け抜けた戦友の言葉。『歴史をなぞる必要はない。君が歴史を作れ』。ここまでピンポイントで台詞をぶつけてくるかと、自嘲も含んだ笑みが零れる。そしてすぐに、セイアは次のミッションを開始する。

 

「歴史をなぞる必要はない、か……ふふ、確かにその通りではあるな……!」

 

本来、先の歴史でやっと破壊される輸送船も前倒しにする形で破壊。民間人らしからぬ戦果に強制的にEDFに入隊させられるという笑いどころを目撃しつつ、その後もストーム1は次々と戦果を挙げていく。そして歴史の修正作用にも負けず、月に隠れ潜んでいたナンバー11、敵のコマンドシップを攻撃することに成功し、大打撃を与えたという決定的な勝利を経て、遂に運命の三年後の世界へ。UIはこれまでの三年後と変わらないが、装備だけはハイテクっぽくなっているのがわかる。そして、三年後の初めてのミッションが始まる。

 

「……ストームチームが生きている……」

 

ミッションを進めていく中で気付いたのは、これまでの周回では三年後には死亡していたストームチームのメンバーが生きているということだ。そして、遂に地上に出ることになる。仲間たちの装備は変わっており、ストームチームも生存しているが、町は廃れたままではないかという嫌な予感が過る。

 

「……あ……」

 

だが、シャッターが開いたセイアの目に飛び込んできたのは、発展したビル街。まさに都市としか言いようのない街並み。自分達を出迎える歩兵部隊とタンク隊。まさに、掴み取りたかった未来が、そこにはあった。

 

(……未来を変えるために、彼らは動いたのだろう……絶望の未来から人類を救うために……)

 

例えそれはゲームであっても、次々と悪化していく未来を見せられた末に、それを変えることができるという結果を見せられる。それは、凄く気分のいいものだった。

 

「……全く、こんなものを見せられたら……私も少しだけ、抗いたくなっちゃうじゃないか」

 

ちょっとだけ潤んできた目元を拭う。前作、地球防衛軍5から合わせて既に長い時間プレイしているのだ。感動と達成感も凄く大きく、そしてちょっとだけ、心持ちが変わったような、そんな感じがした。

 

「君は、これを狙って私にやらせたのかい?」

「いえ?未来が視えるって言ってたんで、それなら没入感あるのかなと」

「……そうか」

 

そして当人は自分に起こる変化については一切考慮しないで、ただ単に面白いゲームをやらせよう、という感覚でこれをやらせていたようだった。だが、今に至ってはその感性に感謝するべきだろう。さあ、これで遂にプライマーとの決戦だ。そう決意し、セイアは未来でのミッションを始める。

 

「……なんでこうなるんだ!?未来を変えたはずだろう!?」

「あっ、まだ次の周回あるんですよこのゲーム」

 

そして少しした後。最後の周回、EDF9に繋がる最後のプライマーの未来改変により最悪の状態に書き換えられてしまった現実にセイアは絶叫し、最後の周回のストーム1の大暴れっぷりに大笑いするのだった。

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