転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……ふう。やっとチャレンジモードも終わりましたね」
ゲーム開発部の部室。アリスから何度か分離し、ゲーミングボディに入ったケイ。回数を繰り返し、その度にアップデートを繰り返していったおかげもあってか今ではすっかり慣れたものだ。今だに本格的なボディの方は難航しているとはいえ、今はこれでも十分に楽しめているものだ。そして今日もゲーム開発部の皆でモルフォが持ち寄ってきたゲームをやっており、丁度今、ゲーム開発部皆でピクミン2をクリアしたところであった。
「ストーリーもチャレンジモードも歯応えがあってよかったよね」
ピクミン2。それはピクミンで遭難したオリマーがピクミン達の手を借り、遭難の際に大破した宇宙船ドルフィン号を修復、それによって大気圏外に脱出し無事に故郷であるホコタテ星へと帰還したところから話は始まる。無事に戻ったオリマーに突きつけられたのは大量の借金を背負い倒産の危機に陥った彼が働く会社、ホコタテ運送であった。借金返済のためにあらゆるものを売りに出すも、唯一売れたのはオリマーのドルフィン号のみ。それでもなお、借金は大量に残っており、それを返済するために宝物を求め、オリマーとホコタテ運送社員のルーイはピクミンと危険な原住生物が住まう星へと逆戻り、借金を返済するため、ピクミン達と共にオリマー達は宝物を集めることになるのだ。
「ただやっぱり紫ピクミン強すぎない?」
(まあその後の作品で紫と3の羽はナーフされたからね……)
ピクミン2では赤、青、黄に加え、紫と白ピクミン(とハチャッピー)が追加される。ピクミンが持つ特性は前作から続投した色のピクミンは赤と青は据え置き、黄は高く跳ぶ特性こそそのままだが、敵やギミックとして以外にバクダン岩は登場しないため、バクダン岩を持てるという特性は消滅、代わりに電気に耐性があり、電気攻撃を受けても黄ピクミンだけが唯一即死しないという長所を手に入れている。
そして追加された紫ピクミンは移動速度が遅い代わりにピクミン10匹分の力と体重を持っており、紫ピクミンを投げると衝撃波と共に相手にダメージを与え、気絶させてしまうというとんでもない特性を持っているのだ。ボス戦など通用する相手なら紫を適当に放り投げているだけで決着するぐらいには大きなパワーを秘めており、そのせいで後年では弱体化を喰らってしまっている。そして白ピクミンは毒に耐性を持っており、さらに移動スピードは全ピクミン中最大、さらに地下に埋められた宝物を見つけて掘り出してくれるという唯一の長所を持っている。他には毒が体内にあるため、原住生物に食べられると相手に毒のダメージを与えるという特性もあるのだが、手に入れられる手段が限られることも相まって、途中から白ピクミンを犠牲にするのを嫌がったゲーム開発部は早々に白ピクミン特攻戦術を封印することになっていた。
「地上だと時間に追われますが、地下だとゆっくり考えられるから安心してプレイできますね!」
「洞窟だと階層ごとにセーブされるからピクミンが食べられたりした時はすぐにリセットできるのもいいよね」
また、セーブ面については大きく改善されているといえる。前作では一日が終わるまでセーブできないのだが、今作からは洞窟と呼ばれる、フィールドにいくつか存在するダンジョンのようなものに入る、出る、階層を進める毎にセーブが行われるようになっている。そのため、定期的なチェックポイントとして使えるのもあり、やり直すハードルはかなり低くなっているのだ。その分、回収する宝物は前作のパーツよりもかなり増えており、敵の種類やギミック、難易度なども上がっているので総合的に判断するとトントンといったところだが。
「チャレンジモードのスコアアタックはもっと突き詰められそうだよね……とりあえずノーミスクリアを目指すだけでどんどん次行くことにしてたけど」
そしてこのゲームにはチャレンジモードという機能があり、借金返済のためにお宝を集め、クリア後はお宝をコンプリートすることを目指すストーリーモードとは違い、時間内にできるだけ早くステージ内のお宝を集め、できるだけピクミンを死なせないかを競う内容となっている。それらをクリアすることで、ルーイのやらかしが原因で借金を背負うことになったという事実が明らかになるのだ。しかし、一通りピクミン2を全員で遊び終えたところで彼女達はあるモードを始めようとしていた。それが、2Pバトルモードだ。
「でもさ、対戦なんてどうやって決着をつけるんだろう」
「確かにそれは気になりますね、どうなんですかモルフォ」
「アリスも気になります!」
「まあ、見てみればわかるよ。軽く流れでやってみようか」
所謂対戦モードであり、1Pはオリマーと赤ピクミンを、2Pはルーイと青ピクミンを操作する。対戦モードでは赤ピクミンと青ピクミンに攻撃力の差はなくなっており、お互いにピクミンを増やしたり相手の妨害をしたり、或いは相手と戦いながら相手が持つビー玉を回収することで勝敗を決していくのだ。他の勝利条件として、黄色いビー玉を先に四つ確保することや、相手のピクミンを全滅させる、相手の操作するキャラの体力を0にすることもある。ピクミンはお互い最大50匹まで持つことができ、対戦開始時に5から5匹刻みで最大50匹からスタートすることも可能だ。
「じゃあまずはモモイとミドリにやってもらおうか」
「よーし、負けないよ!」
「それはこっちの台詞だよお姉ちゃん」
そして、モモイがオリマー、ミドリがルーイを操作し、おてがるコースという初心者用のステージで対戦を開始する。初期ピクミンは10匹からのスタートとし、お互いに手慣れた動きで次々とピクミンを増やし、頭数を確保していく。その中で、モモイがステージ内に落ちているチェリーに黄色いビー玉を次々と回収し始めていく。
「うげ」
その様子を見て、ミドリも遅れてチェリーを回していく。ここは比較的弱めの敵しか出ないこともあり、ピクミンを増やしやすいこともあってか、不測の事態でピクミンを失ったりプレイヤーの体力を減らされる、という機会は少ない。また、ステージ自体が小さいのもあってお互いのプレイヤーが会いやすいため、
「!ピクミン同士が戦っています!」
「どんどん数が減って……うん?増えていますが……いえ、戻ってる?」
「相手のピクミンと戦うと基本的に相討ちになって、倒れたピクミンはまたオニヨンから出てくるんだ」
「あー、そこは補充されるんだね」
赤と青のピクミン同士の衝突は往々にして起こり、激しいビー玉の奪い合いが発生する。さらにチェリーも回収されていくことで、対戦モード特有のルーレット機能が発動する。チェリーを一個オニヨンに運ぶことで一回ルーレットを発動することができ、手持ちピクミンの数を増やしたり、プレイヤーが使えるアイテムを供給したり、また、相手の陣地に敵を送り込んだりと種類は様々だ。
「よしよし、一気にピクミンが増えるぞー!」
「う、お姉ちゃんの方は……あっ、ゲキニガスプレー……よし」
ゲキニガスプレーとは、ピクミン2に登場するアイテムで、ゲキカラスプレーというアイテムと対を成す存在である。ゲキカラスプレーの効果はピクミンが一定時間攻撃力と移動スピードが上がるという強力なものであり、これをボス相手に使えば一瞬で相手の体力を溶かすことすら可能となる。対してゲキニガスプレーは敵に使えば相手を一定時間石化させて完全に身動きを封じてしまうというこれまた強力すぎる効果になっている。その状態で倒した相手は死骸が残らず、回収できないという欠点こそ存在するものの、それを補って余りある強力な効果は当然対戦でも発揮される。ただし、対ピクミンに使用する際は少々効果が異なり、ゲキニガスプレーの効果を受けた相手ピクミンは一定時間地面に埋められるというものになっている。
「喰らえお姉ちゃん!ゲキニガスプレーだ!!」
「ちょっとミドリ!?うわああ一気に埋まった!!」
「よし、ここでルーレット連打!連打!敵をどんどん送りこんじゃえ!」
「うわあああああ!!」
ここが好機とばかりにミドリはどんどん敵を送り込む。風船のような生き物、アオケダタラやミズブタと呼ばれる豚のような口をした原生生物を呼んだり、手持ちを増やしたりしていく。モモイもルーレットを回すのだが、埋まっていないピクミンを花にする目だったり、ゲキカラスプレーを増やす目だったりとどうにも渋い。そして、モモイの陣地にサクレショイグモと呼ばれる、バクダン岩を背負った蜘蛛が出現する。
「「「「あっ」」」」
「えっ」
サクレショイグモが現れ、バクダン岩が起爆するまでの時間が迫る中、まるで示し合わせたかのように埋まったピクミンたちが制限時間を迎え、まとめて地面から復活する。そして、大爆発と共に赤ピクミンたちが吹き飛んでいき、大量の幽霊が天へと昇っていく。
「うわああああああ!?」
「……これはひどい」
「モモイ、まだミズブタ残ってるけど」
「あっ!?やばいやばい溺れる溺れる!!」
だが、モモイの陣地を襲っているのはサクレショイグモだけではない。ミズブタも残っており、ミズブタの放水によって葉っぱが水に包まれ、苦しむピクミン達を慌てて救出しようとする。そしてモモイがてんやわんやになっている間に、ミドリはというと。
「よし、これでビー玉四個目!」
「嘘ぉ!?」
四個目の黄色いビー玉を無事に運び終え、ゲームを終わらせてしまっていたのだった。ミドリがビー玉を運び終えたことで勝負がつき、モモイが操作していた上半分の画面にLOSEの文字が、そしてミドリが操作していた下半分にWINの文字が出現し、どちらが勝ったのかを示していく。
「ま、負けた……いやあれはきついって!?」
「まあ、確かに結構うまーくハマったね……」
悔しそうな様子のモモイを見ながら、ミドリ自身、我ながらあの流れは確かに美しかったなと自賛する。ルーレットがうまく噛み合ったのもあったが、そのおかげでモモイが壊滅的な被害を受けたおかげでミドリをフリーにせざるを得なかったのは確かに綺麗な流れと言えるだろう。
「じゃあ次はどうする?ミドリ勝ち抜き戦する?」
「え?いやまぁそれでもいいけどさ……ここは総当たりでいくべきじゃない?」
「そうしよっか。ステージも結構あるし……じゃあ次は……アリスとケイでやろうか」
「はい!ケイが相手でも手加減はしません!」
「あまりアリスに意地悪なことはしたくないのですが……ゲームであるなら話は別ですよ、アリス」
モモイからアリスへ、ミドリからケイにコントローラーが渡され、今度はひろびろコースと呼ばれる、畳の上に広がる巨大なコースが戦いの舞台となる。ここは先程モモイとミドリがやっていたステージよりもマップが広く、そちらより会敵する機会が少ないといえる。早速対戦を始め、まずはお互いに手持ちを増やしていく。序盤こそお互いに動きはなかったのだが、ステージの中にはフーセンドックリと呼ばれる青を基調とした風船のような敵が存在しており、それと偶然遭遇してしまったアリスが戦闘を開始する。
「こいつは運搬に邪魔なので倒しておいた方が良さそうです」
「……ふむ」
アリスがフーセンドックリに手間取っている間にピクミンを最大の50匹まで確保したケイは、次々とチェリーと黄色いビー玉を集めていく。そしてアリスがフーセンドックリを倒すかどうかというタイミングで、ルーレットで出てきたあるトラップを起動させる。
「うわーん!落石です!?落石でピクミンが潰されました!!」
「おー、うまいタイミングで当てたね」
「一応移動し続けていればあまり当たらない罠なのかな、落石は」
「そうだね、基本的に動き続けていれば当たることはないけど、こういう状況で落とされると……」
ルーレットには、相手プレイヤーを中心として一定範囲に落石を落とすという目も存在している。当たればピクミンは即死とはいえ、基本的にプレイヤーが動き続けていれば当たらないぐらいには普段は大した脅威にならないものなのだが、フーセンドックリを利用して一気にアリスのピクミンを10匹以上処理したケイは、そのまま試合を有利に進めていく。
「ふっ、油断大敵ですよアリス」
「で、ですがこっちもピクミンが増える目です!これで手持ちを回復します!」
「うまくリカバリーしてきたね……でも」
「あ、もうケイちゃんの黄色いビー玉が三個に……」
アリスが立て直しに苦労している間に、ケイは既に黄色いビー玉を三個回収し終えていた。そして、遂に残る四個目にも王手をかけたところで、ルーレットで手持ちピクミンを全て花にする目を引いたアリスは、それで50匹のピクミン全てを最高速度になる花に変化させると、幽霊ピクミンと呼ばれる目とゲキカラスプレーを使い、ここで勝負に出る。
「……は!?どうしてピクミンたちが埋まって……え!?次々運ばれてく!?一体何……あっ!?」
ここで、ケイの画面で異常が起こる。いきなりゲキニガスプレーの効果が発動し、青ピクミン達が一気に埋まったのだ。直後、運んでいた黄色いビー玉を始めとしてドンドン獲物がアリスのオニヨンの下へと運ばれていく。その光景に困惑していたケイだったが、ここで上画面がちらと目に入ったことでどういうことか理解する。なんと、そこではアリスはケイと同じところにおり、青ピクミン達を一気に処理して略奪を開始していたのだ。
「アリス!?」
「仕返しですよケイ!これでアリスは透明モードです!!」
「幽霊ピクミンは相手画面から見えなくなるからね……」
「でも、相手の画面見れば筒抜けなのはちょっと弱くない?」
「これに関してはピクミンも含めて見えなくなるっていうところがね……完全に見えなくなると強すぎるような気は正直する」
「あー、それはあるかも……一応歩く時の砂ぼこりは見えるけど……」
幽霊ピクミンの効果は、相手の画面から自分やピクミン達の姿を消すというもの。とはいえ完全なチートというものではなく、相手が自分の画面を見ればその行動は筒抜けになってしまうという致命的な欠点も存在する。とはいえ、この対戦モードにおいてその欠点がなければどうなっていたか、ということを考えるとTV画面を分割しなければ対戦できないピクミン2の仕様上の問題もあったとはいえ致し方ない部分もあったのかもしれないとモルフォは一人納得していた。
「くっ、だったら……!」
「あっ、アリスのピクミン達が埋まってしまいました!!」
「まあ、ゲキニガは相手の方も使えるからこうなるよね」
ケイも負けじとゲキニガスプレーを使い、赤ピクミン達を埋めにかかる。これで、お互いに手持ちピクミンの殆どを埋められてしまい、膠着状態に陥ってしまう。そうなると、ケイの青ピクミンの方が先に復活するのだが、今度はそれを再びアリスはゲキニガスプレーで埋めてしまう。
「あ、アリス……!」
「まだゲキニガスプレーはあります!」
「ですがこちらもゲキニガスプレーは残していますよ」
「あっ!!」
お返しとばかりにケイも復活した赤ピクミンを全て埋めてしまう。そして再び復活した青ピクミンをアリスが即座に埋め返すと、ケイも同じことをやり返そうとしたのだが。
「しまった……ゲキニガスプレーがもうない……!」
「アリスはルーレットで追加で獲得してたからね」
「その差が出てきたってことだね……」
対戦モードではゲキカラスプレーとゲキニガスプレーをプレイヤーは二個持った状態で始まる。この時、ケイが持っていたゲキニガスプレーは二個だったのに対し、アリスはルーレットで追加で一つ確保できて三個ある状態だったため、こうして撃ち合いを制することができたのだ。
「今です!ゲキカラスプレーで一気に青のビー玉を奪い取ります!」
「ダメです!アリス!そんなことをしては!!」
ケイが慌てて制止の声を上げるも、お構いなしに大量のピクミンを連れて本陣へと攻め込むアリス。そのまま青のビー玉を運ばせると、一足早く青ピクミン達が埋まっている、ビー玉の通り道へと戻っていく。そこでは丁度タイミングよく青ピクミン達が復帰しており、そこに向かってゲキカラスプレーで強化された赤ピクミン達を一気にぶつけていく。
「ここで決着をつけます!」
「させません!こちらだってゲキカラスプレーはまだ残っています!」
ケイも負けじとゲキカラスプレーで強化されたピクミンをぶつけてどうにか押し勝ち、ビー玉を取り戻そうとする。しかし、ここでアリスとケイがそれぞれ保有するピクミンの数の差が出てきていた。ケイの方がこの場に残していたピクミンの数はアリスがぶつけてきた数よりも少なく、戦局はすぐにアリスの有利に傾いていく。そして青のビー玉が運ばれてくる頃にはケイのピクミンはほぼ全滅してしまっており、全てオニヨンの下へと送り返されてしまっていた。
「あっあっあっ」
「これでアリスの勝利です!!」
阻むものがなくなったことで、アリスはビー玉をオニヨンへと運びきる。ケイの持つ青のビー玉が吸い込まれたことで、今回のバトルではアリスの勝利となる。
「ま、負けてしまうなんて……あ、あんなことが……途中まで順調だったはずなのに……」
「ですが、ケイも凄く強かったです!途中まではかなりやばかったですし」
「ゲキニガの撃ち合いはアリスの方が優勢だったから素直に引いたほうがよかったね……」
「それもあるけど、手持ちがすり減らされてもすぐにリカバリーできたのが大きいよね」
「確かにお姉ちゃんの言った通り、ルーレットが味方してくれていたよね」
アリスが勝利し、次にモルフォとユズの対戦となる。若干不貞腐れるケイを三人が宥めている前で、モルフォとユズがステージを選んでいく。
「コースはどうしようか?」
「うーん、ひやひやコースでいいかな」
そして四人が見守る中、二人の対戦が始まるのだが、互角の戦いが始まり、さらにタマコキンと呼ばれる復活する固定砲台として利用できる原住生物を利用したりされたり、ルーレットを回したりといった長時間に及ぶ泥沼の戦いが始まるとはこの時はまだ誰も予想できなかったのだった。